今回2026年の衆院選で、68人の女性候補が当選し、前回の2024年の73人に次いで過去2番目に多かった。
全当選者465人に占める割合は14.6%で、同様に2024年の15.7%に次ぐ2番目の高さだった。
ただ、依然として世界水準からみて低い状況だ。
今回の衆院選では、小選挙区で28人、比例区では40人の女性候補が当選。
政党別に見ると、自民党39人、中道改革連合8人、国民民主党8人、参政党8人、共産党2人、チームみらい2人、日本維新の会1人。
一方、今回の衆院選の候補者に占める女性比率は過去最高だった。
313人の女性が立候補し、全候補者1284人の24.4%を占めた。
参政党やれいわ新選組、共産党の候補者の女性比率がそれぞれ約4割で全体を押し上げた。
自民は12.8%だった。
国際的な議員交流団体のIPU(列国議会同盟)が185ヶ国を調査した2025年の報告書によると、世界の下院または一院制議会の女性割合は27.2%。
これに比べ、日本は半分程度にとどまる。
朝日新聞、2026年2月9日 17時39分
衆院選で女性候補68人当選、過去2番目の多さ
当選者の14.6%
https://digital.asahi.com/articles/ASV290J48V29UTFK00VM.html
※ 女性参政権(旧:婦人参政権)
1945年11月21日には、まず勅令により治安警察法が廃止され、女性の結社権が認められる。
1945年12月17日の改正衆議院議員選挙法公布により、女性の国政参加が認められる(地方参政権は翌年1946年9月27日の地方制度改正により実現)。
1946年4月10日の戦後初(かつ帝国議会最後)の衆議院選挙(第22回衆議院議員総選挙)の結果、日本初の女性議員39名が誕生する。
1946年5月16日召集の第90特別議会での審議を経て、10月7日に大日本帝国憲法の全面改正案が成立し、第14条の「法の下の平等」で女性参政権が明確に保障された日本国憲法が1946年11月3日公布、1947年5月3日に施行された。
2005年の第44回衆議院議員総選挙で43人が当選するまで22回、59年間にわたって1946年総選挙の39人を超えることはできなかった。
日本の女性が戦後初めて参政権を得て、およそ80年がたつ。
自民党総裁選で高市早苗新総裁が選出され、初の女性首相の誕生が現実味を帯びてきた。
これは、女性参政権の成果なのか。
女性学の第一人者、上野千鶴子(1948年生まれ富山県出身)・東大名誉教授に尋ねると、はっきりと「ノー」という答えが返ってきた。
「女性なら誰でもよい、という時代は終わりました。女性の利益になる政治を期待できませんから」
上野さんは2025年10月5日、自身のX(ツイッター)に「初の女性首相が誕生するかもしれない、と聞いてもうれしくない」と投稿し、反響を呼んだ。
なぜ「高市首相」に期待できないのか、その真意は――。
「『日本はいつ男女平等になりますか』と聞かれたら、あなたが生きている間は無理でしょう、と返します。全世界が変化する中で取り残されているのが日本です」
世界経済フォーラムが各国の男女平等度をランキングで示す2025年の「ジェンダーギャップ指数」で、日本は前年と同じ118位に沈んだ。
その要因の一つが女性議員の割合が低いことだ。
列国議会同盟(Inter-Parliamentary Union、 IPU)の2025年1月の発表によると、下院の女性議員比率は183ヶ国中142位(衆院の女性比率15・7%)。
先進国最低レベルだ。
女性参政権は、政治を変えられなかったのか。
「女性票は家族票の一部として動き、戦後長く続いた自民一党支配を支えました。1989年のマドンナ旋風まで、女性参政権は政治を変えなかったというのが政治学の結論です」
潮目が変わったのは1980年代だ。
1986年、社会党の土井たか子(1928-2014)氏が女性で初めての政党党首となり、89年参院選で社会党の女性候補11人が当選する「マドンナ旋風」が起きた。
「当時メディアは『女で闘う』と表現したことに、私たちは怒りました。どうして『女が闘う』ではないのか、と。このとき初めて、女性票が個人票として動く兆しが見えました」
背景には、既婚女性の就労率の上昇がある。
夫や家族ではなく、自分の意向で投票する女性が増えたことがマドンナ旋風を生んだ。
「男性以上に男性」の女性議員
1980〜1990年代は世界的に、女性の人権保障や社会進出に関する法整備が大きく進んだ時代でもある。
法制審議会が選択的夫婦別姓を含む民法改正案を答申したのは1996年だった。
しかし、2000年代には自民党の安倍晋三政権下でジェンダー平等や性教育への反動(バックラッシュ)が本格化した。
2009〜2012年の民主党政権を除き、現在に至るまで自公政権が定着している。
別姓導入の民法改正案は自民党の反対で国会提出が見送られ、たなざらしのままだ。
女性の政治参加に関する研究では、女性政治家はジェンダー政策よりも、政党の方針を優先する傾向が明らかになっているという。
「男性中心の組織に女性が食い込もうとすると、男性以上に男性らしく振る舞うことが生き残り戦略になる。男性の利益を守る女性という指定席を与えられるからです」
その象徴が、選択的夫婦別姓反対論や外国人への強硬姿勢で知られる、自民党の高市総裁や杉田水脈元衆院議員だと指摘する。
女性の貧困は「人災」
「女性の学歴も就業率も向上しましたが、結局のところ女性が家父長制的な構造のもとで男性の劣位に置かれている点は、全く変わりませんでした」
女性の弱者性は、経済格差にあらわれていると指摘する。
上野さんは「夫が死亡した際の遺族年金や法定相続分といった既婚女性の権利は拡張しましたが、これは女性の人権保障ではない。“妻の座”権の保障であり、つまるところ夫のみとり保障です」と喝破する。
日本は高度成長期を経て、男性が稼ぎ主、女性が専業主婦となる標準世帯モデルが定着した。
1986年施行の男女雇用機会均等法も、「男性並み」に働くか、子どもを育て「家計補助」的に働くか、という「女性の分断」を生む結果になった、とみる。
「女性には就労機会がない、昇進がない、賃金が安い。かつて結婚は永久就職と言われました。『男に依存しないと食えない』という男性稼ぎ主モデルを維持しました。女性の低賃金、不安定雇用は明らかな人災です」
家父長的構造への反発
上野さんが女性学研究を志したのは、家父長制に「うんざりした」からだ。
「フェミニズムは誤解されがちですが、男のようになりたいという思想ではありません。この社会では、それは支配者・差別者・抑圧者になることと同じだからです。弱者が強者になる必要がない、そのままで尊重される社会を目指したいのです」
富山県の開業医の家庭で、ワンマンの父、専業主婦の母のもとで育った。
夫の顔色をうかがい「子どもがいるから離婚できない」とこぼす母に、「夫を替えてもあなたの不幸は変わらない」と反発した。
1967年に進学した京都大では、学生運動の中で女性差別に遭遇した。
「マイクを握って演説するのはすべて男、女は全員バックヤードです。男たちは首から上はリベラルだけど、首から下は家父長制。散々イヤな思いをしました」
1960年代後半、ベトナム戦争反対や大学改革を掲げる学生運動での女性蔑視は、世界共通の現象だった。
「あらゆる革命は、女性にとって『裏切られた革命』でした」
失望した女性たちは世界中で「ウーマン・リブ」運動を展開した。
日本でも1970年代から田中美津(1943-2024)さんらがけん引。
国連が初めて女性を巡る問題をテーマとした1975年の第1回世界女性会議(World Conference on Women)開催につながっていく(1975年は国際婦人年 International Women's Year)。
「家事は不払い労働」定着に半世紀
上野さんは「政治にしてやられた」と失望する一方で、フェミニズムは社会に無視できない変化をもたらした、とも指摘する。
「フェミニズムが登場したころの社会の反応は、無視、黙殺、やゆ、でした。バックラッシュが起きたのは影響力が無視できなくなったからです」
成果の一つは「家事は不払い労働である」と定義したことだ。
「かつて専業主婦は『三食昼寝付き』と言われていたんです。冗談でしょう? 朝から晩までコマネズミみたいに働くのに。私はそれを不払い労働と定義しました」
この考え方には、当事者の主婦すら当初は反発したという。
「『私がやっているのは愛の行為で、お金に換算できない』と言われました。もう一つは、マルクス経済学者から『お前たちは経済学に無知だからそんなことを言うんだ』と。大変でした」
しかし2016年放送のTBS系ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ(逃げ恥)」の大ヒットで、「家事は不払い労働という認識は半世紀かけてようやく定着した」と実感したという。
「逃げ恥」は、「雇用主と家事労働者」という関係から始まった男女が恋愛結婚へ至るストーリーを描く。
もともとは家事労働の対価として給料が支払われていたのに、結婚した途端に無償労働になる。
主人公の女性は雇い主の男性に「愛の搾取です」と訴えたのだ。
「無位無冠の女」が日本を変えた
また、「セクシュアルハラスメント」「ドメスティックバイオレンス(DV)」という概念も、画期的な変化をもたらした。
「セクハラはかつて、からかいやいたずら、DVはお仕置きや痴話げんか、と呼ばれていました。しかしあれは不当な人権侵害だった、とモヤモヤした思いに定義を与えられた。そこで何が起きるかというと、怒りが湧くんです。女性が暴力に我慢しなくなった、許容しなくなった。女性の中にも自尊心や人権意識が定着しました」
こうした経験の再定義こそが、社会の変化を生んだ。
政治の変化は遅々として進まない中で、社会を変えてきたのは「無位無冠の女たち」だと強調する。
「これだけ変わってきただけでも上等です。怒りの声を上げる草の根の女性たちが日本を支えてきたのです。無視されて都合のよい女になるより、面倒くさい女になった方がいい。あなたはそう思いませんか?」
[写真‐1]自民党の総裁室の椅子に座る高市早苗新総裁=同党本部で2025年10月4日午後7時2分
[写真‐2]2025年6月に世界経済フォーラムが発表した「ジェンダー・ギャップ指数」で、日本は148カ国中118位に沈んだ=内閣府男女共同参画局ホームページから
[写真‐3]参院選の開票が進み、党本部で当選者名の上に赤いバラを付ける社会党の土井たか子委員長(当時、中央右)=東京都千代田区で1989年7月23日
[写真‐4]改造後の初閣議を終え、記念写真におさまる(前列左から)安倍晋三首相、麻生太郎副総理兼財務・金融相、(後列右から)稲田朋美防衛相、高市早苗総務相=首相官邸で2016年8月3日午後7時53分
[写真‐5]可決された男女雇用平等法案に反対し、ゆうれい姿でデモをする約200人の女性たち=東京・六本木で1984年7月24日撮影
[写真‐6]夕方の買い物をする主婦ら=大阪府豊中市のダイエー庄内店で1971年10月16日撮影
[写真‐7]優生保護法改正に反対を訴える母親たち=東京都新宿区の戸塚公園で1973年5月13日撮影
毎日新聞、2025/10/20 15:13
なぜ「高市首相」は喜べないか
上野千鶴子氏が見た女性参政権80年
(山本萌)
https://mainichi.jp/articles/20251009/k00/00m/010/038000c
2026年02月11日
霊気満山 高尾山
1. 背景
八王子市が申請した高尾山をテーマにしたストーリー「霊気満山 高尾山〜人びとの祈りが紡ぐ桑都物語〜」が、2020(令和2)年6月、都内で初めて「日本遺産」に認定された。
「日本遺産」とは、地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の文化・伝統を語るストーリーを文化庁が認定するもので、今回選ばれた「霊気満山 高尾山」は、養蚕や織物が盛んであったことから「桑都」(そうと)と称された八王子の歴史や文化を、信仰の山として地域の人びとのよりどころであった高尾山とのつながりとともに今に伝えるストーリーとなっており、物語を語るうえで欠かせない29件の文化財で構成されている。
八王子市が日本遺産への申請を決めたきっかけは、2017(平成29)年に市制100周年を迎えたことだ。
歴史文化を活かしたまちづくりをすすめるとともに、八王子市が掲げる「地域活性化」「関係人口増加」「郷土愛の醸成」という3つの将来ビジョンを達成するための手段の一つとして、日本遺産認定が100周年のレガシー(遺産)として組み込まれた。
本事例をベストプラクティスとして取り上げる理由は、日本遺産認定によって短期的な観光客数の増加を図るのではなく、ビジョン達成の手段として日本遺産を活用するという八王子市の考え方、また認定に至るまでの長期的な視点での取組の過程が、他機関における今後の事業運営等において参考になると考えるからである。
2. 市制100周年のレガシーとしての日本遺産申請
市制100周年の翌年である2018(平成30)年4月に、八王子市役所内に日本遺産申請に向けた担当部署が立ち上がり、学芸員3名を含む市の職員6名体制でスタートした。
日本遺産は、遺産を保護することを主目的とするユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の世界遺産と異なり、遺産を活用することを主目的として文化庁が認定する制度である。
国宝など知名度の高い観光資源がひとつでもあれば認められるといったものではなく、
@ 歴史的経緯や伝承・風習等を踏まえたストーリーであること
A 地域に根ざして継承・保存がなされている文化財がストーリーの構成文化財として必要となる。
そのため、何をテーマにするか、どのようなストーリーとするか、ストーリーを構成する文化財を何にするか、という流れで、申請に向けて準備を進めていった。
3. 日本遺産認定に至るまでの取組の過程
まずテーマを決めるにあたって、八王子らしさや他と違う独自性を出すことを意識し、現在の八王子市街地の元となった「八王子宿」や江戸幕府の職制のひとつであり、八王子及び周辺地域の治安維持などを行った「千人同心」(※1)、登りやすい山として全国的にも有名な「高尾山」など、さまざまな案を候補とした。
そして、申請に向けて市が立ち上げた有識者等会議「八王子市歴史遺産活用検討会」において、八王子観光コンベンション協会、八王子商工会議所、民間事業者、大学教授などの幅広い分野の専門家とともに検討を行ない、高尾山をテーマにすることとなった。
次に、高尾山をテーマにどういったストーリー構成とするか、検討を進めていった。
人びとの琴線に触れ、実際に行ってみたくなるか、また、それだけではなく、地元の市民が共感できるストーリーとすることを意識し、都内及び埼玉県や神奈川県の人びとを対象にインターネット調査を行ったほか、市の職員約2,000人を対象にしたアンケート調査を行った。
職員アンケートでは、高尾山へ登った回数や高尾山の何に魅力を感じるかなどを聞く中で、一度も登ったことがないという人は少なく、二度以上高尾山に登った経験のある人が多くいること、歴史文化を活用した地域振興に魅力を感じる人びとの割合が高いことが分かった。
アンケート結果などをもとに、活用検討会におけるミーティングを2ヶ月に1回程度実施するなど検討を繰り返し、高尾山とのつながりとともに人びとによって紡がれてきた歴史や文化により八王子の魅力を語るストーリーを作り上げた。
構成文化財の選定にあたっては、文化財を守ってきた人びとの「思い」を申請に反映することを意識した。
関係者約300人と会い、話を聞いたほか、申請までにストーリーの軸となる高尾山に50回以上登るなど足を使い、時間をかけて未指定のものを含む約60件の有形・無形の文化財の中からストーリーに関連の深い29件を選定した。
4. 認定への反響と今後の展開について
日本遺産を実施する文化庁との事前相談を経て、その都度内容を検討したほか、他の類似遺産との違いを明確化した上で申請を行った結果、2020(令和2)年6月19日に、日本遺産への認定が決まった。
市のHP上で認定を報告したところ、多くの喜びの声が寄せられたほか、Twitter 上では、数ヶ月経った現在も市民の祝福の書き込みが続いている。
また、市の広報紙「広報はちおうじ」8月15日号において、特集で日本遺産認定を取り上げたところ、日本遺産認定で今までにない高尾山の魅力を知った、高尾山を神秘的に感じたとの声が寄せられるなど、コロナ禍が続く中での久しぶりの明るい話題に祝福の声が相次いだ。
7月には、市内の事業者や団体のほか、八王子市や八王子観光コンベンション協会などが連携して日本遺産を活かしたまちづくりに取り組む「日本遺産『桑都物語』推進協議会」(※3)を立ち上げ、活用に向けてさまざまなPRなどの取組を始めている。
市が当初より目標としていた3つの将来ビジョン「地域活性化」「関係人口増加」「郷土愛の醸成」の達成については、日本遺産認定によってそれぞれの動きが加速している。
1つめの「地域活性化」では、コロナ禍で認定後しばらくは大規模なイベントを実施できていなかったが、10月に入ってから日本遺産認定に関連したイベントが行われるようになり、11月には毎年恒例の「八王子いちょう祭り」において日本遺産認定に関連したスタンプラリーを実施するなど、地域活性化に向けた活動が進められている。
2つめの「関係人口増加」は、高尾山や構成文化財への興味・関心をきっかけに八王子市にかかわる人びとを増やすことを目標としており、10月には、大学生などを対象に、日本遺産ストーリーを分かりやすく説明するための「教育デジタルコンテンツ作品」の募集を開始している。
これは、大学進学などで八王子に来た学生が八王子に魅力を感じ、卒業しても八王子に関わってくれることを目的の一つにしており、市の担当者曰く、将来的な関係人口増加に向けて、日本遺産認定が一つの良いきっかけとなっているとのことだ。
3つめの「郷土愛の醸成」は、将来を担う子供をはじめとする地域住民に地元八王子の良さを伝え、地元に愛着をもってもらうことを目的としている。
認定後、市内の全市立小中学校で日本遺産認定を祝う横断幕を掲示したほか、尾山薬王院で提供される精進料理をアレンジした「高尾山御膳」、八王子城の石垣をイメージした石垣揚げを献立に入れた「八王子城御膳」、桑の葉パウダーを混ぜたソースを使った「桑都御膳」など日本遺産ストーリーにちなんだ給食を提供するなど、地元により愛着を持ってもらうための機会を増やしている。
給食を食べた子供たちからは、歴史をしっかり守っていきたいという声が上がるなど、これまでになかった反応が得られている。
また、前述の「教育デジタルコンテンツ作品」についても、優秀作品を市立小中学校および義務教育学校において副教材として活用することを予定しており、こちらも郷土愛の醸成に向けて役立てていく予定だ。
認定をきっかけに、構成文化財の一つである尾山薬王院の関係者は、単なる観光地としての高尾山ではなく、高尾山の霊山としての歴史を学んでもらうきっかけになったと話したほか、同じく構成文化財の一つであり、70万人が訪れる八王子まつりの実行委員会関係者は、自分たちのまつりの名前が全国にとどろくことを誇りに思うと語っている。
市の担当者は、「自分のところには有名な観光地がない、魅力的なものはないと考えている方々もいるかもしれないが、見えていないだけで必ずどこの地域にも魅力はある。大事なのは、他と比べて、これもない、あれもない、とないものを見つけるのではなく、こんな魅力がある、という、あるものを見つける“あるもの探し”である。」とのことだ。
一過性の消費を目的とするのではなく、文化を理解してもらうこと、そして絶えず探索しつづけることが重要であり、八王子市では、日本遺産認定をうまく活用し、将来を担う子供を巻き込みながら、地域活性化などにつなげていきたいとのことだ。
<おわりに>
2015(平成27)年より開始した文化庁の日本遺産は、2020(令和2)年6月認定で104件となり、「2020(令和2)年度までに100件程度」としていた目標件数に到達しました。
今回で認定は最後となるため、都内で唯一の日本遺産認定となります。
八王子市日本遺産推進担当の平塚裕之課長は、「日本遺産を通じて、多くの市民が地域の歴史文化を語り続けることが未来のまちづくりにつながる」と語っています。
取材前には、日本遺産認定は観光客誘致が目的なのであろうと考えていましたが、実はそれが目的ではないこと、地元の人びとに地元八王子を知ってもらうこと、また愛してもらうこと、そのきっかけの一つが日本遺産認定であるという考えをお伺いすることができました。
観光は、一朝一夕で成功するものではありません。
中長期的な視点で観光客の誘致を図ること、また、観光客数という目先の数字にとらわれすぎることなく、観光地としての土壌を築いてくこと、地域住民の理解や協力を得て初めて観光地として成り立つのだということを実感することができました。
全国的にも高い知名度を誇る高尾山について、公益社団法人「八王子観光コンベンション協会」の齋藤和仁事務局長は、「高尾山といえば知名度が高いからわざわざPRしなくても人は来ると思われるかもしれないが、決してそんなことはない。日本遺産認定をきっかけに、これからも高尾山の魅力を発信し続けていきたい」と語っています。
また、高尾山のおすすめ時間帯は早朝とのことで、実際に早朝の様子を撮った写真が載った「広報はちおうじ」を見せていただき、その荘厳な景色に圧倒されました。
ぜひ早朝の高尾山を訪れるとともに構成文化財を見て回り、八王子の歴史に思いをはせてみてはいかがでしょうか。
東京観光財団(TCVP)、2020(令和2)年12月16日
2020(令和2)年度ベストプラクティス
「霊気満山 高尾山〜人びとの祈りが紡(つむ)ぐ桑都(そうと)物語〜」が日本遺産認定に至るまでの取組
(八王子市)
https://www.tcvb.or.jp/jp/project/chiiki_bestpractice_hachioji_2.pdf
(※1)東京新聞、2023年5月2日 13時43分
[ぷらっとTOKYO]「JR西八王子駅周辺」、「千人同心」がいた町
https://www.tokyo-np.co.jp/article/247553
(※2)東京新聞、2023年11月2日 06時43分
日本遺産フェス 八王子で東日本 初の開催
全国の伝統文化が一堂に
2023年11月4、5日 車人形や「桑都のお練り」披露
(昆野夏子)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/287552
(※3)日本遺産「桑都物語」推進協議会
事務局:八王子市元本郷町3-24-1 八王子市産業振興部 日本遺産推進課内
https://japan-heritage-soto.jp/about/
八王子市が申請した高尾山をテーマにしたストーリー「霊気満山 高尾山〜人びとの祈りが紡ぐ桑都物語〜」が、2020(令和2)年6月、都内で初めて「日本遺産」に認定された。
「日本遺産」とは、地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の文化・伝統を語るストーリーを文化庁が認定するもので、今回選ばれた「霊気満山 高尾山」は、養蚕や織物が盛んであったことから「桑都」(そうと)と称された八王子の歴史や文化を、信仰の山として地域の人びとのよりどころであった高尾山とのつながりとともに今に伝えるストーリーとなっており、物語を語るうえで欠かせない29件の文化財で構成されている。
八王子市が日本遺産への申請を決めたきっかけは、2017(平成29)年に市制100周年を迎えたことだ。
歴史文化を活かしたまちづくりをすすめるとともに、八王子市が掲げる「地域活性化」「関係人口増加」「郷土愛の醸成」という3つの将来ビジョンを達成するための手段の一つとして、日本遺産認定が100周年のレガシー(遺産)として組み込まれた。
本事例をベストプラクティスとして取り上げる理由は、日本遺産認定によって短期的な観光客数の増加を図るのではなく、ビジョン達成の手段として日本遺産を活用するという八王子市の考え方、また認定に至るまでの長期的な視点での取組の過程が、他機関における今後の事業運営等において参考になると考えるからである。
2. 市制100周年のレガシーとしての日本遺産申請
市制100周年の翌年である2018(平成30)年4月に、八王子市役所内に日本遺産申請に向けた担当部署が立ち上がり、学芸員3名を含む市の職員6名体制でスタートした。
日本遺産は、遺産を保護することを主目的とするユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の世界遺産と異なり、遺産を活用することを主目的として文化庁が認定する制度である。
国宝など知名度の高い観光資源がひとつでもあれば認められるといったものではなく、
@ 歴史的経緯や伝承・風習等を踏まえたストーリーであること
A 地域に根ざして継承・保存がなされている文化財がストーリーの構成文化財として必要となる。
そのため、何をテーマにするか、どのようなストーリーとするか、ストーリーを構成する文化財を何にするか、という流れで、申請に向けて準備を進めていった。
3. 日本遺産認定に至るまでの取組の過程
まずテーマを決めるにあたって、八王子らしさや他と違う独自性を出すことを意識し、現在の八王子市街地の元となった「八王子宿」や江戸幕府の職制のひとつであり、八王子及び周辺地域の治安維持などを行った「千人同心」(※1)、登りやすい山として全国的にも有名な「高尾山」など、さまざまな案を候補とした。
そして、申請に向けて市が立ち上げた有識者等会議「八王子市歴史遺産活用検討会」において、八王子観光コンベンション協会、八王子商工会議所、民間事業者、大学教授などの幅広い分野の専門家とともに検討を行ない、高尾山をテーマにすることとなった。
次に、高尾山をテーマにどういったストーリー構成とするか、検討を進めていった。
人びとの琴線に触れ、実際に行ってみたくなるか、また、それだけではなく、地元の市民が共感できるストーリーとすることを意識し、都内及び埼玉県や神奈川県の人びとを対象にインターネット調査を行ったほか、市の職員約2,000人を対象にしたアンケート調査を行った。
職員アンケートでは、高尾山へ登った回数や高尾山の何に魅力を感じるかなどを聞く中で、一度も登ったことがないという人は少なく、二度以上高尾山に登った経験のある人が多くいること、歴史文化を活用した地域振興に魅力を感じる人びとの割合が高いことが分かった。
アンケート結果などをもとに、活用検討会におけるミーティングを2ヶ月に1回程度実施するなど検討を繰り返し、高尾山とのつながりとともに人びとによって紡がれてきた歴史や文化により八王子の魅力を語るストーリーを作り上げた。
構成文化財の選定にあたっては、文化財を守ってきた人びとの「思い」を申請に反映することを意識した。
関係者約300人と会い、話を聞いたほか、申請までにストーリーの軸となる高尾山に50回以上登るなど足を使い、時間をかけて未指定のものを含む約60件の有形・無形の文化財の中からストーリーに関連の深い29件を選定した。
4. 認定への反響と今後の展開について
日本遺産を実施する文化庁との事前相談を経て、その都度内容を検討したほか、他の類似遺産との違いを明確化した上で申請を行った結果、2020(令和2)年6月19日に、日本遺産への認定が決まった。
市のHP上で認定を報告したところ、多くの喜びの声が寄せられたほか、Twitter 上では、数ヶ月経った現在も市民の祝福の書き込みが続いている。
また、市の広報紙「広報はちおうじ」8月15日号において、特集で日本遺産認定を取り上げたところ、日本遺産認定で今までにない高尾山の魅力を知った、高尾山を神秘的に感じたとの声が寄せられるなど、コロナ禍が続く中での久しぶりの明るい話題に祝福の声が相次いだ。
7月には、市内の事業者や団体のほか、八王子市や八王子観光コンベンション協会などが連携して日本遺産を活かしたまちづくりに取り組む「日本遺産『桑都物語』推進協議会」(※3)を立ち上げ、活用に向けてさまざまなPRなどの取組を始めている。
市が当初より目標としていた3つの将来ビジョン「地域活性化」「関係人口増加」「郷土愛の醸成」の達成については、日本遺産認定によってそれぞれの動きが加速している。
1つめの「地域活性化」では、コロナ禍で認定後しばらくは大規模なイベントを実施できていなかったが、10月に入ってから日本遺産認定に関連したイベントが行われるようになり、11月には毎年恒例の「八王子いちょう祭り」において日本遺産認定に関連したスタンプラリーを実施するなど、地域活性化に向けた活動が進められている。
2つめの「関係人口増加」は、高尾山や構成文化財への興味・関心をきっかけに八王子市にかかわる人びとを増やすことを目標としており、10月には、大学生などを対象に、日本遺産ストーリーを分かりやすく説明するための「教育デジタルコンテンツ作品」の募集を開始している。
これは、大学進学などで八王子に来た学生が八王子に魅力を感じ、卒業しても八王子に関わってくれることを目的の一つにしており、市の担当者曰く、将来的な関係人口増加に向けて、日本遺産認定が一つの良いきっかけとなっているとのことだ。
3つめの「郷土愛の醸成」は、将来を担う子供をはじめとする地域住民に地元八王子の良さを伝え、地元に愛着をもってもらうことを目的としている。
認定後、市内の全市立小中学校で日本遺産認定を祝う横断幕を掲示したほか、尾山薬王院で提供される精進料理をアレンジした「高尾山御膳」、八王子城の石垣をイメージした石垣揚げを献立に入れた「八王子城御膳」、桑の葉パウダーを混ぜたソースを使った「桑都御膳」など日本遺産ストーリーにちなんだ給食を提供するなど、地元により愛着を持ってもらうための機会を増やしている。
給食を食べた子供たちからは、歴史をしっかり守っていきたいという声が上がるなど、これまでになかった反応が得られている。
また、前述の「教育デジタルコンテンツ作品」についても、優秀作品を市立小中学校および義務教育学校において副教材として活用することを予定しており、こちらも郷土愛の醸成に向けて役立てていく予定だ。
認定をきっかけに、構成文化財の一つである尾山薬王院の関係者は、単なる観光地としての高尾山ではなく、高尾山の霊山としての歴史を学んでもらうきっかけになったと話したほか、同じく構成文化財の一つであり、70万人が訪れる八王子まつりの実行委員会関係者は、自分たちのまつりの名前が全国にとどろくことを誇りに思うと語っている。
市の担当者は、「自分のところには有名な観光地がない、魅力的なものはないと考えている方々もいるかもしれないが、見えていないだけで必ずどこの地域にも魅力はある。大事なのは、他と比べて、これもない、あれもない、とないものを見つけるのではなく、こんな魅力がある、という、あるものを見つける“あるもの探し”である。」とのことだ。
一過性の消費を目的とするのではなく、文化を理解してもらうこと、そして絶えず探索しつづけることが重要であり、八王子市では、日本遺産認定をうまく活用し、将来を担う子供を巻き込みながら、地域活性化などにつなげていきたいとのことだ。
<おわりに>
2015(平成27)年より開始した文化庁の日本遺産は、2020(令和2)年6月認定で104件となり、「2020(令和2)年度までに100件程度」としていた目標件数に到達しました。
今回で認定は最後となるため、都内で唯一の日本遺産認定となります。
八王子市日本遺産推進担当の平塚裕之課長は、「日本遺産を通じて、多くの市民が地域の歴史文化を語り続けることが未来のまちづくりにつながる」と語っています。
取材前には、日本遺産認定は観光客誘致が目的なのであろうと考えていましたが、実はそれが目的ではないこと、地元の人びとに地元八王子を知ってもらうこと、また愛してもらうこと、そのきっかけの一つが日本遺産認定であるという考えをお伺いすることができました。
観光は、一朝一夕で成功するものではありません。
中長期的な視点で観光客の誘致を図ること、また、観光客数という目先の数字にとらわれすぎることなく、観光地としての土壌を築いてくこと、地域住民の理解や協力を得て初めて観光地として成り立つのだということを実感することができました。
全国的にも高い知名度を誇る高尾山について、公益社団法人「八王子観光コンベンション協会」の齋藤和仁事務局長は、「高尾山といえば知名度が高いからわざわざPRしなくても人は来ると思われるかもしれないが、決してそんなことはない。日本遺産認定をきっかけに、これからも高尾山の魅力を発信し続けていきたい」と語っています。
また、高尾山のおすすめ時間帯は早朝とのことで、実際に早朝の様子を撮った写真が載った「広報はちおうじ」を見せていただき、その荘厳な景色に圧倒されました。
ぜひ早朝の高尾山を訪れるとともに構成文化財を見て回り、八王子の歴史に思いをはせてみてはいかがでしょうか。
東京観光財団(TCVP)、2020(令和2)年12月16日
2020(令和2)年度ベストプラクティス
「霊気満山 高尾山〜人びとの祈りが紡(つむ)ぐ桑都(そうと)物語〜」が日本遺産認定に至るまでの取組
(八王子市)
https://www.tcvb.or.jp/jp/project/chiiki_bestpractice_hachioji_2.pdf
(※1)東京新聞、2023年5月2日 13時43分
[ぷらっとTOKYO]「JR西八王子駅周辺」、「千人同心」がいた町
https://www.tokyo-np.co.jp/article/247553
(※2)東京新聞、2023年11月2日 06時43分
日本遺産フェス 八王子で東日本 初の開催
全国の伝統文化が一堂に
2023年11月4、5日 車人形や「桑都のお練り」披露
(昆野夏子)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/287552
(※3)日本遺産「桑都物語」推進協議会
事務局:八王子市元本郷町3-24-1 八王子市産業振興部 日本遺産推進課内
https://japan-heritage-soto.jp/about/
2026年02月10日
雪の高尾山
ヤッホーくん、2026年2月8日(日)のお山歩は、高尾山599m!
岩殿山634mに次いで、退院後2番目の山となりましたが、雪!
薬王院 👇

門には「日本遺産 Japan Heritage、霊気満山 高尾山〜人びとの祈りが紡ぐ桑都物語〜」と垂れ幕が下がっております。
高尾山薬王院本堂 👇

柱には右から「世界平和」「身体健全」「寿命長久」「万民豊楽」と書いてありました。
[高尾山内の積雪状況]
2026年2月8日AM9:00時点の高尾山山頂599mと1号路の様子です。
山内5p以上の積雪があり、大変滑りやすくなっております。
アイゼンやチェーンスパイクなどの、雪山装備の上、無理のない登山計画をお願いします。
※ 現在も降雪は続いております。
[写真‐1]山頂広場
[写真‐2]山頂下
[写真‐3]1号路 薬王院〜山頂
[写真‐4]1号路 大杉並木
東京都高尾ビジターセンター
https://takaovc.ces-net.jp/?p=1471
高尾山は、四季折々の美しい自然や、変化に富んだ6つのハイキングコースがあり、多くの観光客が訪れる観光地として有名です。
ケーブルカーやリフトがあるので、子どもから年配の人まで、誰もが気軽に山登りできるのも魅力です。
山頂を含む一帯は「明治の森高尾国定公園」(※)に指定され、山内の自然や建造物は保護されています。
また、霊山としても長い歴史を持ち、山腹にある「尾山薬王院有喜寺」は真言宗智山派の大本山で、成田山新勝寺、川崎大師平間寺とともに、関東三山のひとつにもなっています。山麓付近に軒を並べる食事処やみやげ物店には名物も数多くあり、これらを目当てに来る人も多いそうです。
フランスのタイヤメーカーミシュランが選ぶ三つ星観光地に選ばれています。
八王子市公式サイト、令和6年11月21日
高尾山
https://www.city.hachioji.tokyo.jp/kankobunka/001/004/p003393.html
(※)明治の森高尾の歴史
標高599mの高尾山は、薬王院を中心とする修験道の霊山
高尾山は、古くから山岳信仰の場とされ、戦国時代に八王子城主の北条氏康・北条氏照親子が高尾山を保護しました。
その後、周辺の森林は社寺林として、明治に入ったあとに帝室御料林として保護されてきました。
第二次世界大戦後には国有林となり、1950(昭和25)年に高尾山と八王子城山などを中心に都立高尾陣場自然公園に指定されました。
1967(昭和42)年には、明治100年記念事業の一環として、都立高尾陣場自然公園の一部が明治の森高尾国定公園に指定されました。
面積は770ヘクタールです。
自然環境の保護の歴史によって、モミ林、カシ類を主体とする常緑樹林やブナ類を主体とする落葉樹林、スギ、ヒノキ等の人工林といった林相の相違が見られ、多くの動植物が生息しています。
歴史的・文化的な風致・景観を持つ薬王院と参道のスギ並木は、「八王子88景」にも選ばれています。
東京都環境局・東京の自然公園
https://www.kankyo1.metro.tokyo.lg.jp/naturepark/know/park/introduction/toritu/meiji/history.html
岩殿山634mに次いで、退院後2番目の山となりましたが、雪!
薬王院 👇
門には「日本遺産 Japan Heritage、霊気満山 高尾山〜人びとの祈りが紡ぐ桑都物語〜」と垂れ幕が下がっております。
高尾山薬王院本堂 👇
柱には右から「世界平和」「身体健全」「寿命長久」「万民豊楽」と書いてありました。
[高尾山内の積雪状況]
2026年2月8日AM9:00時点の高尾山山頂599mと1号路の様子です。
山内5p以上の積雪があり、大変滑りやすくなっております。
アイゼンやチェーンスパイクなどの、雪山装備の上、無理のない登山計画をお願いします。
※ 現在も降雪は続いております。
[写真‐1]山頂広場
[写真‐2]山頂下
[写真‐3]1号路 薬王院〜山頂
[写真‐4]1号路 大杉並木
東京都高尾ビジターセンター
https://takaovc.ces-net.jp/?p=1471
高尾山は、四季折々の美しい自然や、変化に富んだ6つのハイキングコースがあり、多くの観光客が訪れる観光地として有名です。
ケーブルカーやリフトがあるので、子どもから年配の人まで、誰もが気軽に山登りできるのも魅力です。
山頂を含む一帯は「明治の森高尾国定公園」(※)に指定され、山内の自然や建造物は保護されています。
また、霊山としても長い歴史を持ち、山腹にある「尾山薬王院有喜寺」は真言宗智山派の大本山で、成田山新勝寺、川崎大師平間寺とともに、関東三山のひとつにもなっています。山麓付近に軒を並べる食事処やみやげ物店には名物も数多くあり、これらを目当てに来る人も多いそうです。
フランスのタイヤメーカーミシュランが選ぶ三つ星観光地に選ばれています。
八王子市公式サイト、令和6年11月21日
高尾山
https://www.city.hachioji.tokyo.jp/kankobunka/001/004/p003393.html
(※)明治の森高尾の歴史
標高599mの高尾山は、薬王院を中心とする修験道の霊山
高尾山は、古くから山岳信仰の場とされ、戦国時代に八王子城主の北条氏康・北条氏照親子が高尾山を保護しました。
その後、周辺の森林は社寺林として、明治に入ったあとに帝室御料林として保護されてきました。
第二次世界大戦後には国有林となり、1950(昭和25)年に高尾山と八王子城山などを中心に都立高尾陣場自然公園に指定されました。
1967(昭和42)年には、明治100年記念事業の一環として、都立高尾陣場自然公園の一部が明治の森高尾国定公園に指定されました。
面積は770ヘクタールです。
自然環境の保護の歴史によって、モミ林、カシ類を主体とする常緑樹林やブナ類を主体とする落葉樹林、スギ、ヒノキ等の人工林といった林相の相違が見られ、多くの動植物が生息しています。
歴史的・文化的な風致・景観を持つ薬王院と参道のスギ並木は、「八王子88景」にも選ばれています。
東京都環境局・東京の自然公園
https://www.kankyo1.metro.tokyo.lg.jp/naturepark/know/park/introduction/toritu/meiji/history.html
2026年02月09日
高市早苗自民党総裁と麻生太郎自民党副総裁
はじめに
麻生太郎氏(1940年生まれ)が、高市早苗(1961年生まれ)自民党総裁によって、副総裁に指名された。麻生氏は最高顧問だったけれど副総裁となったのだ。最高顧問は元首相や重鎮議員などが就任する名誉職的ポジションだけれど、副総裁は党内で総裁に次ぐナンバー2であり、役職政策・選挙・人事などに関与するとされている。高市・麻生体制となったのである。
私は、高市氏は歴史に学ぶ必要性を否定する危険人物だと評価しているけれど、麻生氏も高市氏に劣らない危険人物だと思っている。その理由は、一つは彼の「ナチスに学べ」発言であり、もう一つは「台湾有事は日本有事」発言である。
この小論では、彼の二つの発言を紹介し、その無責任さと危険性を検証する。
「ナチスに学べ」発言
2013年7月29日。麻生氏は、民間シンクタンク国家基本問題研究所のシンポジウムで「僕は今、(憲法改正案の発議要件の衆参)3分の2(議席)という話がよく出ていますが、ドイツはヒトラーは、民主主義によって、きちんとした議会で多数を握って、ヒトラー出てきたんですよ。(略)ヒトラーは、選挙で選ばれたんだから。ドイツ国民はヒトラーを選んだんですよ。……憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね。わーわー騒がないで。本当に、みんないい憲法と、みんな納得して、あの憲法変わっているからね」と講演した(辻本清美氏の質問主意書からの引用)。
このことは、当時、マスコミでも報道されたので、記憶している人も多いであろう。
この発言は「ナチスの手法を参考にして憲法改正を進めるべきだ」という主張として受け止められた。私もその一人だった。だから、この発言を「プロパガンダの天才」と言われたナチスの宣伝相ゲッペルスが、どのような手法で大衆を動員したかを批判する文脈の中で紹介したことがある(「ゲッペルスのプロパガンダを表現の自由で擁護してはならない」『「核の時代」と憲法9条』日本評論社、2019年5月)。憲法改正手続きの中で、ナチスの手法など持ち込まれたら大変なことになるという危機感があったのだ。
ところで、この「ナチスの手口に学べ」という表現が、ナチスの独裁的手法を肯定しているように受け取られたので、国内外からの強い批判が寄せられることになった。だから、麻生氏は、8月1日、その発言の一部を撤回している。
その理由は「喧騒にまぎれて十分な国民的理解及び議論のないまま進んでしまった悪しき例として、ナチス政権下のワイマール憲法に係る経緯をあげたところである。この例示が誤解を招く結果となったので、ナチス政権を例示としてあげたことは撤回したい」というものであった。
彼は「ナチスのようにワーワー騒がないで静かにやっていく」と言ったけれど、それは「喧騒にまぎれて国民的議論がなかった悪しき例」として挙げたのだ。誤解を招いたので撤回するとしたのだ。これは説明になっていない。そして、誰も誤解などしていない。麻生氏は、ナチスは暴力と陰謀と懐柔で権力奪取をしていたにもかかわらず「ナチスに学べ」と言ったのである。
麻生氏の発言と撤回の意味
当時、麻生氏は副総理兼財務大臣という要職にあった。私は、そのような立場にある人が「憲法改正」という重要事項について「ナチスに学べ」という発言をすることも大問題だと思うけれど、それをたやすく撤回して、なかったことにすることも大問題だと思っている。
「綸言汗の如し」(りんげんあせのごとし。一度口にした君主の言は取り消すことができない、という意味)をここで引用することは適切かどうかわからないけれど、麻生氏が責任感を持つ政治家ならば、たやすく撤回するような発言はすべきではないであろう。権力の中枢にある者は、その発する言葉の重さを自覚すべきだからである。麻生氏にその自覚はないようである。彼はそのような無責任な資質の持ち主なのである。
ところで、麻生氏の危険性は彼が「ナチスに学べ」としていることである。彼は、ナチスが、ワイマール体制下において政権を奪取していく方法や手段を否定していないのである。そして、ナチスが大戦争を仕掛けていったことにも反対しないどころか、むしろ共感を示しているようである。
私は彼の論理を次のように受け止めている。ドイツ国民はナチスを選んだ。国民の多数が選んだものは正しい。ナチスは多数を確保するために工夫した。だから、ナチスに学んで「憲法改正」で多数派になろう。政治的多数派は何をしてもいいのだ。多数派になるために何でもやろう、という論理である。
現役の国務大臣が現行憲法の改正を進めるために「ナチスに学べ」というのは、立憲主義も平和主義も全く無視していることになる。立憲主義や平和主義が失われた時「政府の行為によって再び戦争の惨禍がもたらされる」ことになる。麻生氏の危険性の本質はここにある。
「台湾有事は日本有事」
2024年1月10日。麻生氏(自民党副総裁・当時)は、米国で記者団に「(台湾海峡有事は)日本の存立危機事態だと日本政府が判断をする可能性が極めて大きい」と述べ、日本は中国の台湾侵攻時に集団的自衛権を発動する可能性が高いという考えを示した(『朝日新聞』2024年1月11日)。
麻生氏はこれに先立ち「台湾海峡の平和と安定は国際社会の安定に不可欠。日本・台湾・米国は戦う覚悟を持ち、それを相手に伝えることが抑止力になる」(2023年8月8日の台湾訪問時)とか、「台湾海峡で戦争となれば、日本は潜水艦や軍艦で戦う。台湾有事は間違いなく日本の存立危機事態だ」(2024年1月8日の福岡での国政報告会)などと発言している。
彼は「台湾有事は日本の存立危機事態、すなわち日本有事」としているのである。
ところで、存立危機事態とは「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態をいう」と定義されている(武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律2条4号)。
だから、台湾で日本以外の当事者間での武力衝突が起きたとしても「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」でなければ「存立危機事態」ではないのである。
けれども、麻生氏は、そのことには触れようとしないで「台湾海峡の平和と安定は国際社会の安定に不可欠」として「日本は潜水艦や軍艦で戦う」としているのである。
彼の発想には中国と米国(台湾)が武力衝突しても「日本はどちらにも与しない」という選択肢はない。
米国が戦闘態勢に入れば「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生」したとして、内閣総理大臣が自衛隊に防衛出動を命ずる(自衛隊法76条)ことを当然としているのである。
日本に武力攻撃がないにもかかわらず、日本が戦争当事者になることを当然視しているのである。
戦争を放棄している日本国憲法のもとで、日本に対する攻撃がないにもかかわらず、戦争が起きるのである。
それは、自衛隊による中国本土の基地攻撃や、中国からの攻撃を意味している。
政府の行為によって再び戦争の惨禍がもたらされるのである。
まとめ
確認しておくと、麻生氏はナチスへの親近感がある人だということと、「台湾有事」を「日本有事」にしないという発想は皆無の人だということである。
こういう人が、自民党副総裁として、「戦後生まれだから戦争責任など問われるいわれはない」として「過去に学ぼうとしない」総裁とタッグを組んだのである。
私たちはその危険な組み合わせに敏感でなければならない。
危険が相乗効果を発揮するかもしれないからである。
2016年5月27日。広島を訪問したにオバマ元米国大統領は「71年前、ある晴れた雲一つない朝、死が空から落ち、世界が変わりました。一つの閃光と火の海が街を破壊し、人類が自らを破壊する手段を手に入れたことがはっきりと示されたのです」と演説している。
現代は「人類が自らを破壊する手段を手に入れた」時代なのだ。
中国は核兵器保有国である。米国が日本のために中国に対して核兵器を使用するなどといことはあり得ないであろう。
米国の核が中国の日本に対する攻撃を抑止し、日本の安全を保障するなどというのは「天動説」並みの謬論である。
このままでは、日本が、長崎以降、初めての核兵器を使用される戦場になるかもしれない。
新たな被爆者が生まれるかもしれないのだ。
私たちには「空から死が落ちてくる」事態を阻止する営みが求められている。
大久保賢一法律事務所、2025年10月9日記
「核兵器廃絶」と憲法9条
麻生太郎氏の無責任さと危険性
https://ohkubo-law.com/constitution/
「国是」とは何か。一国の政治の基本方針、つまり、内外に向けた政治的な宣言だ。法律ではないから、背いても違法という問題は生じない。理論的には、政治的な意思で変わり得る。
だから非核三原則をなぜ法律にしないのか、という議論は常にあった。米国の「核の傘」に依存したい政治家には、国是にとどめておく方が都合がいいのだろう。核兵器の持ち込みに際しても、違法とのそしりを免れることができる。現に政府は過去に米国の核搭載船の寄港を黙認してきた。
許されない転換
一方、他に日本の国是を思いつかないほど、非核三原則は国民に根付いている。仮に見直すことになれば、核兵器への依存を深める極めて危険な転換であり、決して許されるものではない。
高市早苗首相は「見直しを検討する」と観測気球を揚げたのだろうが、簡単に見直せるものでもない。三原則は1967年、佐藤栄作首相が国会で表明。その後も沖縄返還を控えた1971年11月、順守を求める決議が衆院本会議で全会一致で採択されるなど、国会決議が積み上げられてきた。軽んじられるものではない。安保関連3文書を改定する閣議決定では変えられず、少なくとも全会一致の国会決議がいるという議論も出てくるだろう。
一部の政治家は、米国の核兵器を日本に配備する「核共有」まで念頭に置いているようだが、この行為は、核兵器の受領や取得を禁ずる核拡散防止条約(NPT)に明らかに違反する。日本がNPTを離脱し、国際社会の猛反発を招くことまで、彼らが考えているかどうかは怪しい。
歴史学ばぬ姿勢
首相は新進党の議員だった1995年、衆院外務委員会で日本の戦争責任について、こう述べている。
「少なくとも私自身は当事者とは言えない世代ですから、反省なんかしておりませんし、反省を求められるいわれもない」
歴史に学ぼうともしない姿勢だ。
こうした主張が「格好いい」と見られているのだとすれば、この社会は危機的な情勢にある。
※ 大久保賢一(おおくぼ けんいち、1947年長野市生まれ)
法務省勤務を経て1979年に弁護士登録。埼玉弁護士会所属。核兵器の違法性を訴える日本反核法律家協会に1994年の発足時から加わり、2020年に5代目会長に就任した。
※ 中國新聞・ヒロシマ平和メディアセンター、2025年11月20日朝刊掲載
中國新聞、25年11月20日
国是「非核三原則」
国会決議 軽んじるな
日本反核法律家協会会長 大久保賢一さん(78)
(宮野史康)
https://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=157657
麻生太郎氏(1940年生まれ)が、高市早苗(1961年生まれ)自民党総裁によって、副総裁に指名された。麻生氏は最高顧問だったけれど副総裁となったのだ。最高顧問は元首相や重鎮議員などが就任する名誉職的ポジションだけれど、副総裁は党内で総裁に次ぐナンバー2であり、役職政策・選挙・人事などに関与するとされている。高市・麻生体制となったのである。
私は、高市氏は歴史に学ぶ必要性を否定する危険人物だと評価しているけれど、麻生氏も高市氏に劣らない危険人物だと思っている。その理由は、一つは彼の「ナチスに学べ」発言であり、もう一つは「台湾有事は日本有事」発言である。
この小論では、彼の二つの発言を紹介し、その無責任さと危険性を検証する。
「ナチスに学べ」発言
2013年7月29日。麻生氏は、民間シンクタンク国家基本問題研究所のシンポジウムで「僕は今、(憲法改正案の発議要件の衆参)3分の2(議席)という話がよく出ていますが、ドイツはヒトラーは、民主主義によって、きちんとした議会で多数を握って、ヒトラー出てきたんですよ。(略)ヒトラーは、選挙で選ばれたんだから。ドイツ国民はヒトラーを選んだんですよ。……憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね。わーわー騒がないで。本当に、みんないい憲法と、みんな納得して、あの憲法変わっているからね」と講演した(辻本清美氏の質問主意書からの引用)。
このことは、当時、マスコミでも報道されたので、記憶している人も多いであろう。
この発言は「ナチスの手法を参考にして憲法改正を進めるべきだ」という主張として受け止められた。私もその一人だった。だから、この発言を「プロパガンダの天才」と言われたナチスの宣伝相ゲッペルスが、どのような手法で大衆を動員したかを批判する文脈の中で紹介したことがある(「ゲッペルスのプロパガンダを表現の自由で擁護してはならない」『「核の時代」と憲法9条』日本評論社、2019年5月)。憲法改正手続きの中で、ナチスの手法など持ち込まれたら大変なことになるという危機感があったのだ。
ところで、この「ナチスの手口に学べ」という表現が、ナチスの独裁的手法を肯定しているように受け取られたので、国内外からの強い批判が寄せられることになった。だから、麻生氏は、8月1日、その発言の一部を撤回している。
その理由は「喧騒にまぎれて十分な国民的理解及び議論のないまま進んでしまった悪しき例として、ナチス政権下のワイマール憲法に係る経緯をあげたところである。この例示が誤解を招く結果となったので、ナチス政権を例示としてあげたことは撤回したい」というものであった。
彼は「ナチスのようにワーワー騒がないで静かにやっていく」と言ったけれど、それは「喧騒にまぎれて国民的議論がなかった悪しき例」として挙げたのだ。誤解を招いたので撤回するとしたのだ。これは説明になっていない。そして、誰も誤解などしていない。麻生氏は、ナチスは暴力と陰謀と懐柔で権力奪取をしていたにもかかわらず「ナチスに学べ」と言ったのである。
麻生氏の発言と撤回の意味
当時、麻生氏は副総理兼財務大臣という要職にあった。私は、そのような立場にある人が「憲法改正」という重要事項について「ナチスに学べ」という発言をすることも大問題だと思うけれど、それをたやすく撤回して、なかったことにすることも大問題だと思っている。
「綸言汗の如し」(りんげんあせのごとし。一度口にした君主の言は取り消すことができない、という意味)をここで引用することは適切かどうかわからないけれど、麻生氏が責任感を持つ政治家ならば、たやすく撤回するような発言はすべきではないであろう。権力の中枢にある者は、その発する言葉の重さを自覚すべきだからである。麻生氏にその自覚はないようである。彼はそのような無責任な資質の持ち主なのである。
ところで、麻生氏の危険性は彼が「ナチスに学べ」としていることである。彼は、ナチスが、ワイマール体制下において政権を奪取していく方法や手段を否定していないのである。そして、ナチスが大戦争を仕掛けていったことにも反対しないどころか、むしろ共感を示しているようである。
私は彼の論理を次のように受け止めている。ドイツ国民はナチスを選んだ。国民の多数が選んだものは正しい。ナチスは多数を確保するために工夫した。だから、ナチスに学んで「憲法改正」で多数派になろう。政治的多数派は何をしてもいいのだ。多数派になるために何でもやろう、という論理である。
現役の国務大臣が現行憲法の改正を進めるために「ナチスに学べ」というのは、立憲主義も平和主義も全く無視していることになる。立憲主義や平和主義が失われた時「政府の行為によって再び戦争の惨禍がもたらされる」ことになる。麻生氏の危険性の本質はここにある。
「台湾有事は日本有事」
2024年1月10日。麻生氏(自民党副総裁・当時)は、米国で記者団に「(台湾海峡有事は)日本の存立危機事態だと日本政府が判断をする可能性が極めて大きい」と述べ、日本は中国の台湾侵攻時に集団的自衛権を発動する可能性が高いという考えを示した(『朝日新聞』2024年1月11日)。
麻生氏はこれに先立ち「台湾海峡の平和と安定は国際社会の安定に不可欠。日本・台湾・米国は戦う覚悟を持ち、それを相手に伝えることが抑止力になる」(2023年8月8日の台湾訪問時)とか、「台湾海峡で戦争となれば、日本は潜水艦や軍艦で戦う。台湾有事は間違いなく日本の存立危機事態だ」(2024年1月8日の福岡での国政報告会)などと発言している。
彼は「台湾有事は日本の存立危機事態、すなわち日本有事」としているのである。
ところで、存立危機事態とは「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態をいう」と定義されている(武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律2条4号)。
だから、台湾で日本以外の当事者間での武力衝突が起きたとしても「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」でなければ「存立危機事態」ではないのである。
けれども、麻生氏は、そのことには触れようとしないで「台湾海峡の平和と安定は国際社会の安定に不可欠」として「日本は潜水艦や軍艦で戦う」としているのである。
彼の発想には中国と米国(台湾)が武力衝突しても「日本はどちらにも与しない」という選択肢はない。
米国が戦闘態勢に入れば「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生」したとして、内閣総理大臣が自衛隊に防衛出動を命ずる(自衛隊法76条)ことを当然としているのである。
日本に武力攻撃がないにもかかわらず、日本が戦争当事者になることを当然視しているのである。
戦争を放棄している日本国憲法のもとで、日本に対する攻撃がないにもかかわらず、戦争が起きるのである。
それは、自衛隊による中国本土の基地攻撃や、中国からの攻撃を意味している。
政府の行為によって再び戦争の惨禍がもたらされるのである。
まとめ
確認しておくと、麻生氏はナチスへの親近感がある人だということと、「台湾有事」を「日本有事」にしないという発想は皆無の人だということである。
こういう人が、自民党副総裁として、「戦後生まれだから戦争責任など問われるいわれはない」として「過去に学ぼうとしない」総裁とタッグを組んだのである。
私たちはその危険な組み合わせに敏感でなければならない。
危険が相乗効果を発揮するかもしれないからである。
2016年5月27日。広島を訪問したにオバマ元米国大統領は「71年前、ある晴れた雲一つない朝、死が空から落ち、世界が変わりました。一つの閃光と火の海が街を破壊し、人類が自らを破壊する手段を手に入れたことがはっきりと示されたのです」と演説している。
現代は「人類が自らを破壊する手段を手に入れた」時代なのだ。
中国は核兵器保有国である。米国が日本のために中国に対して核兵器を使用するなどといことはあり得ないであろう。
米国の核が中国の日本に対する攻撃を抑止し、日本の安全を保障するなどというのは「天動説」並みの謬論である。
このままでは、日本が、長崎以降、初めての核兵器を使用される戦場になるかもしれない。
新たな被爆者が生まれるかもしれないのだ。
私たちには「空から死が落ちてくる」事態を阻止する営みが求められている。
大久保賢一法律事務所、2025年10月9日記
「核兵器廃絶」と憲法9条
麻生太郎氏の無責任さと危険性
https://ohkubo-law.com/constitution/
「国是」とは何か。一国の政治の基本方針、つまり、内外に向けた政治的な宣言だ。法律ではないから、背いても違法という問題は生じない。理論的には、政治的な意思で変わり得る。
だから非核三原則をなぜ法律にしないのか、という議論は常にあった。米国の「核の傘」に依存したい政治家には、国是にとどめておく方が都合がいいのだろう。核兵器の持ち込みに際しても、違法とのそしりを免れることができる。現に政府は過去に米国の核搭載船の寄港を黙認してきた。
許されない転換
一方、他に日本の国是を思いつかないほど、非核三原則は国民に根付いている。仮に見直すことになれば、核兵器への依存を深める極めて危険な転換であり、決して許されるものではない。
高市早苗首相は「見直しを検討する」と観測気球を揚げたのだろうが、簡単に見直せるものでもない。三原則は1967年、佐藤栄作首相が国会で表明。その後も沖縄返還を控えた1971年11月、順守を求める決議が衆院本会議で全会一致で採択されるなど、国会決議が積み上げられてきた。軽んじられるものではない。安保関連3文書を改定する閣議決定では変えられず、少なくとも全会一致の国会決議がいるという議論も出てくるだろう。
一部の政治家は、米国の核兵器を日本に配備する「核共有」まで念頭に置いているようだが、この行為は、核兵器の受領や取得を禁ずる核拡散防止条約(NPT)に明らかに違反する。日本がNPTを離脱し、国際社会の猛反発を招くことまで、彼らが考えているかどうかは怪しい。
歴史学ばぬ姿勢
首相は新進党の議員だった1995年、衆院外務委員会で日本の戦争責任について、こう述べている。
「少なくとも私自身は当事者とは言えない世代ですから、反省なんかしておりませんし、反省を求められるいわれもない」
歴史に学ぼうともしない姿勢だ。
こうした主張が「格好いい」と見られているのだとすれば、この社会は危機的な情勢にある。
※ 大久保賢一(おおくぼ けんいち、1947年長野市生まれ)
法務省勤務を経て1979年に弁護士登録。埼玉弁護士会所属。核兵器の違法性を訴える日本反核法律家協会に1994年の発足時から加わり、2020年に5代目会長に就任した。
※ 中國新聞・ヒロシマ平和メディアセンター、2025年11月20日朝刊掲載
中國新聞、25年11月20日
国是「非核三原則」
国会決議 軽んじるな
日本反核法律家協会会長 大久保賢一さん(78)
(宮野史康)
https://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=157657
伊ミラノで反五輪・反ICEデモ
ヤッホーくんのこのブログ、2026年01月27日付け日記「Former President Barack Obama's statement on Alex Pretti」をお読みください。
冬季オリンピックが開催されているミラノで、たいへんなことがおこっています:
イタリア・ミラノではオリンピックに反対するデモが相次いでいて、在ミラノ日本国総領事館が渡航者らに注意を呼び掛けています。
2026年2月7日、ミラノ市内ではオリンピックの開催に抗議するデモがあり、住宅街で発煙筒がたかれるなどしてイタリアの国家憲兵が出動する事態となりました。
また、オリンピックの警備のために派遣されているアメリカのICE=移民・税関捜査局に反対するデモも行われました。
在ミラノ日本国総領事館は「デモや群衆を見掛けたら、周囲の状況に十分注意し、身の安全を最優先にした行動を心掛けて下さい」と注意喚起しています。
テレ朝NEWS、2026年2月8日 19:09
伊ミラノで反五輪・反ICEデモ
日本領事館が注意喚起
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000483996.html
Shocking Footage From ICE Agent’s Own Phone Shows Confrontation and Shooting of Renee Good
https://www.youtube.com/watch?v=7QYKTTEMf-Q
https://www.youtube.com/watch?v=5SafgHV2wLM
The Department of Homeland Security said Wednesday that the federal agents who killed Alex Pretti on Saturday and Renee Good earlier this month in Minneapolis have been placed on leave.
“The two officers involved are on administrative leave,” a DHS spokesperson said in a statement, referring to the Customs and Border Protection employees who killed Pretti. “This is standard protocol.”
DHS spokesperson Tricia McLaughlin told HuffPost in a separate statement that Jonathan Ross, the Immigration and Customs Enforcement officer who killed Good, had also been placed on leave. McLaughlin did not specify when that had taken place.
Hinting at an agency in disarray, DHS’s statement on Wednesday is the exact opposite of what Border Patrol chief Gregory Bovino told the media on Sunday, when he said that the agents who had killed Pretti were still working − but had been reassigned to a different location for their own safety.
“All agents that were involved in that scene are working, not in Minneapolis, but in other locations,” Bovino told reporters. “That’s for their safety. There’s this thing called doxing. And the safety of our employees is very important to us. So we’re going to keep those employees safe.”
The unidentified agents fired around 10 bullets at Pretti at close range, some of them into the 37-year-old VA nurse’s back.
While DHS claimed in a statement on social media that Pretti had “approached US Border Patrol officers with a 9 mm semi-automatic handgun,” the claim was disproven by multiple videos and CBP’s own preliminary report.
The report makes no mention of Pretti reaching for the firearm, which he owned lawfully and was licensed to carry.
HuffPost, Jan 28, 2026, 02:48 PM EST
Federal Agents Who Killed Alex Pretti, Renee Good Have Been Placed On Leave
https://www.huffpost.com/entry/alex-pretti-renee-good-ice-agents-leave_n_697a5c18e4b025706e866f08
Barely two weeks apart, two American citizens have been slain in Minnesota by U.S. Immigration and Customs Enforcement (ICE) agents in the Twin Cities. Their deaths raise important questions−not just about the violation of First Amendment freedoms, but also the trampling of Eighth Amendment protections that bar the government from inflicting “cruel and unusual punishment.”
Indeed, the killings of Renee Nicole Good and Alex Jeffrey Pretti are so horrendous and brazen−not hidden, but flaunted in front of cameras−that they evoke historical parallels to lynching and vigilante public execution. Yet, unlike America’s lynchings of the past with Black bodies, tortured, bullet-ridden, torn apart, set aflame and hanging by nooses from trees and bridges while onlookers strangely gawked with satisfaction−here the bystanders and protesters are traumatized.
As if torn from the pages of a family violence casebook, ICE’s recent conduct in Minnesota displays the hallmarks of domestic abuse. The United Nations defines such conduct as “behavior in any relationship … used to gain or maintain power and control,” often paired with physical and emotional threats. This includes actions that “frighten, intimidate, terrorize, manipulate, hurt, humiliate, blame, injure, or wound someone.” The U.N. says these patterns “can occur within a range of relationships,” and warns that incidents “are rarely isolated, and usually escalate in frequency and severity … culminating in serious physical injury or death.”
This framework tragically mirrors what has unfolded in Minnesota, with heightened enforcement sparking widespread outrage and protests.
From both legal and ethical perspectives, it’s time to break up with ICE.
Minnesotans now fear ICE agents unlawfully raiding their homes. Many have been threatened while standing on their front lawns. They have been terrorized, threatened and pulled out of their cars while doing nothing more than exercising their constitutional rights and protecting their neighbors.
This is modern-day domestic violence−not between partners, but wielded by the federal government through unlawful and unconstitutional force against its citizens.
Both Good and Pretti were 37 years old. Good, a mother of three, “suffered three clear gunshot wounds, including one to her head,” according to her family’s lawyers. Their findings were based on an autopsy commissioned by her family in the wake of unsubstantiated claims that she was attempting to run over an ICE agent. Homeland Security Secretary Kristi Noem declared Good “a domestic terrorist.”
Then, over the weekend, the world watched in horror as federal agents fatally shot Alex Pretti, an intensive care nurse at the Minneapolis Veterans Affairs medical center. By the accounts of patients, friends and family, he dedicated his life to caring for others. According to reporting from The New York Times, photos and videos taken from multiple angles, analyzed by news organizations and posted online, ICE agents “appear to fire at least 10 shots in a span of five seconds,” rattling Pretti’s body with bullets, including in the back. This all after being tackled by a group of ICE agents.
As she did after Good’s killing, Noem excoriated Pretti and offered an account at odds with widely viewed video evidence, going so far as to claim, “This looks like a situation where an individual arrived at the scene to inflict maximum damage on individuals and kill law enforcement.”
Bystanders and witnesses to these killings report lasting trauma and fear. Many now worry they could be next, after seeing people physically targeted and psychologically harmed−again in violation of the Eighth Amendment’s explicit prohibition on cruel and unusual punishment by the government.
In 1791, 235 years ago, the Bill of Rights was ratified and adopted as part of the U.S. Constitution−specifically aimed at the federal government, and later applied to the states. The text of this packet of 10 amendments was largely inspired and derived from the Magna Carta five centuries before (1215) and the English Bill of Rights (1689). These 10 amendments start boldly, addressing basic, fundamental freedoms now challenged by the federal government: the freedom to speak, assemble and even petition the government to “redress grievances.” Each year, when I teach constitutional law and the First Amendment, I remind my students that the Bill of Rights was intended to protect Americans against the potential tyranny of the state.
Throughout the Bill of Rights, the U.S. Constitution makes clear that Americans shall be shielded from abuse and retribution by the state regarding speech, religion, privacy, their homes and criminal prosecution. Surprisingly overlooked in recent months are the important protections against cruelty and unusual conduct by the government. ICE activities in Minnesota are the type of conduct that the constitutional framers sought to guard against.
In a recent judicial order, U.S. District Judge Katherine Menendez barred Immigration and Customs Enforcement from retaliating against people engaged in peaceful, unobtrusive protest activity, including observing federal enforcement actions, and from arresting or detaining individuals participating in such nonviolent protests. The order was issued in response to extraordinary harms alleged by six Minnesota residents: Susan Tincher, John Biestman, Janet Lee, Lucia Webb, Abdikadir Noor and Alan Crenshaw. These plaintiffs sought court protection after reporting constitutional violations by ICE agents during “Operation Metro Surge.”
One of the examples noted in judge Menendez’s order:
Tincher was acting as a legal observer when masked federal agents approached her on a public sidewalk and, without warning, tackled her to the ground and handcuffed her. Officers then transported her to the federal Whipple Building in Fort Snelling, Minn., where parts of her clothing and her wedding ring were removed during her detention. She was held in shackles for hours before being released without charges.
Her co-petitioners allege they endured similar treatment at the hands of ICE agents−actions they contend far exceeded any lawful authority and violated their constitutional rights.
Minnesotans have been terrorized on their streets and in their neighborhoods−not by Laotian or Somali immigrants or Native Americans, but by ICE agents. Perhaps that is the point.
The tragic deaths of Good and Pretti cast a dark shadow on the United States, its immigration policies and enforcement tactics under the Trump administration. As Judge Menendez’s order implies, the problem is not conducting “routine operations” in Minneapolis, but rather the extraordinary and chilling behavior that compelled the court to intervene.
Their deaths raise serious questions about the federal government’s respect for American citizens, the rule of law, and the judiciary. Clearly implicated and dramatized in recent weeks in Minnesota is ICE’s diminishing respect for civil liberties and civil rights of ordinary citizens in the United States.
Given all of this, it’s time for a divorce. Congress can go back to the drawing board on immigration, shaping ethical policy that respects life and human dignity, and avoids cruelty.
Ms. 、UPDATED 2/2/2026 at 12:53 P.M. PT
The Cruel and Unusual Killings of Renee Good and Alex Pretti
ICE’s lethal conduct in Minnesota forces a reckoning with cruel and unusual punishment carried out by the federal government.
by Michele Goodwin
https://msmagazine.com/2026/01/27/renee-good-alex-pretty-cruel-unusual-punishment-first-eight-amendment/
冬季オリンピックが開催されているミラノで、たいへんなことがおこっています:
イタリア・ミラノではオリンピックに反対するデモが相次いでいて、在ミラノ日本国総領事館が渡航者らに注意を呼び掛けています。
2026年2月7日、ミラノ市内ではオリンピックの開催に抗議するデモがあり、住宅街で発煙筒がたかれるなどしてイタリアの国家憲兵が出動する事態となりました。
また、オリンピックの警備のために派遣されているアメリカのICE=移民・税関捜査局に反対するデモも行われました。
在ミラノ日本国総領事館は「デモや群衆を見掛けたら、周囲の状況に十分注意し、身の安全を最優先にした行動を心掛けて下さい」と注意喚起しています。
テレ朝NEWS、2026年2月8日 19:09
伊ミラノで反五輪・反ICEデモ
日本領事館が注意喚起
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000483996.html
Shocking Footage From ICE Agent’s Own Phone Shows Confrontation and Shooting of Renee Good
https://www.youtube.com/watch?v=7QYKTTEMf-Q
https://www.youtube.com/watch?v=5SafgHV2wLM
The Department of Homeland Security said Wednesday that the federal agents who killed Alex Pretti on Saturday and Renee Good earlier this month in Minneapolis have been placed on leave.
“The two officers involved are on administrative leave,” a DHS spokesperson said in a statement, referring to the Customs and Border Protection employees who killed Pretti. “This is standard protocol.”
DHS spokesperson Tricia McLaughlin told HuffPost in a separate statement that Jonathan Ross, the Immigration and Customs Enforcement officer who killed Good, had also been placed on leave. McLaughlin did not specify when that had taken place.
Hinting at an agency in disarray, DHS’s statement on Wednesday is the exact opposite of what Border Patrol chief Gregory Bovino told the media on Sunday, when he said that the agents who had killed Pretti were still working − but had been reassigned to a different location for their own safety.
“All agents that were involved in that scene are working, not in Minneapolis, but in other locations,” Bovino told reporters. “That’s for their safety. There’s this thing called doxing. And the safety of our employees is very important to us. So we’re going to keep those employees safe.”
The unidentified agents fired around 10 bullets at Pretti at close range, some of them into the 37-year-old VA nurse’s back.
While DHS claimed in a statement on social media that Pretti had “approached US Border Patrol officers with a 9 mm semi-automatic handgun,” the claim was disproven by multiple videos and CBP’s own preliminary report.
The report makes no mention of Pretti reaching for the firearm, which he owned lawfully and was licensed to carry.
HuffPost, Jan 28, 2026, 02:48 PM EST
Federal Agents Who Killed Alex Pretti, Renee Good Have Been Placed On Leave
https://www.huffpost.com/entry/alex-pretti-renee-good-ice-agents-leave_n_697a5c18e4b025706e866f08
Barely two weeks apart, two American citizens have been slain in Minnesota by U.S. Immigration and Customs Enforcement (ICE) agents in the Twin Cities. Their deaths raise important questions−not just about the violation of First Amendment freedoms, but also the trampling of Eighth Amendment protections that bar the government from inflicting “cruel and unusual punishment.”
Indeed, the killings of Renee Nicole Good and Alex Jeffrey Pretti are so horrendous and brazen−not hidden, but flaunted in front of cameras−that they evoke historical parallels to lynching and vigilante public execution. Yet, unlike America’s lynchings of the past with Black bodies, tortured, bullet-ridden, torn apart, set aflame and hanging by nooses from trees and bridges while onlookers strangely gawked with satisfaction−here the bystanders and protesters are traumatized.
As if torn from the pages of a family violence casebook, ICE’s recent conduct in Minnesota displays the hallmarks of domestic abuse. The United Nations defines such conduct as “behavior in any relationship … used to gain or maintain power and control,” often paired with physical and emotional threats. This includes actions that “frighten, intimidate, terrorize, manipulate, hurt, humiliate, blame, injure, or wound someone.” The U.N. says these patterns “can occur within a range of relationships,” and warns that incidents “are rarely isolated, and usually escalate in frequency and severity … culminating in serious physical injury or death.”
This framework tragically mirrors what has unfolded in Minnesota, with heightened enforcement sparking widespread outrage and protests.
From both legal and ethical perspectives, it’s time to break up with ICE.
Minnesotans now fear ICE agents unlawfully raiding their homes. Many have been threatened while standing on their front lawns. They have been terrorized, threatened and pulled out of their cars while doing nothing more than exercising their constitutional rights and protecting their neighbors.
This is modern-day domestic violence−not between partners, but wielded by the federal government through unlawful and unconstitutional force against its citizens.
Both Good and Pretti were 37 years old. Good, a mother of three, “suffered three clear gunshot wounds, including one to her head,” according to her family’s lawyers. Their findings were based on an autopsy commissioned by her family in the wake of unsubstantiated claims that she was attempting to run over an ICE agent. Homeland Security Secretary Kristi Noem declared Good “a domestic terrorist.”
Then, over the weekend, the world watched in horror as federal agents fatally shot Alex Pretti, an intensive care nurse at the Minneapolis Veterans Affairs medical center. By the accounts of patients, friends and family, he dedicated his life to caring for others. According to reporting from The New York Times, photos and videos taken from multiple angles, analyzed by news organizations and posted online, ICE agents “appear to fire at least 10 shots in a span of five seconds,” rattling Pretti’s body with bullets, including in the back. This all after being tackled by a group of ICE agents.
As she did after Good’s killing, Noem excoriated Pretti and offered an account at odds with widely viewed video evidence, going so far as to claim, “This looks like a situation where an individual arrived at the scene to inflict maximum damage on individuals and kill law enforcement.”
Bystanders and witnesses to these killings report lasting trauma and fear. Many now worry they could be next, after seeing people physically targeted and psychologically harmed−again in violation of the Eighth Amendment’s explicit prohibition on cruel and unusual punishment by the government.
In 1791, 235 years ago, the Bill of Rights was ratified and adopted as part of the U.S. Constitution−specifically aimed at the federal government, and later applied to the states. The text of this packet of 10 amendments was largely inspired and derived from the Magna Carta five centuries before (1215) and the English Bill of Rights (1689). These 10 amendments start boldly, addressing basic, fundamental freedoms now challenged by the federal government: the freedom to speak, assemble and even petition the government to “redress grievances.” Each year, when I teach constitutional law and the First Amendment, I remind my students that the Bill of Rights was intended to protect Americans against the potential tyranny of the state.
Throughout the Bill of Rights, the U.S. Constitution makes clear that Americans shall be shielded from abuse and retribution by the state regarding speech, religion, privacy, their homes and criminal prosecution. Surprisingly overlooked in recent months are the important protections against cruelty and unusual conduct by the government. ICE activities in Minnesota are the type of conduct that the constitutional framers sought to guard against.
In a recent judicial order, U.S. District Judge Katherine Menendez barred Immigration and Customs Enforcement from retaliating against people engaged in peaceful, unobtrusive protest activity, including observing federal enforcement actions, and from arresting or detaining individuals participating in such nonviolent protests. The order was issued in response to extraordinary harms alleged by six Minnesota residents: Susan Tincher, John Biestman, Janet Lee, Lucia Webb, Abdikadir Noor and Alan Crenshaw. These plaintiffs sought court protection after reporting constitutional violations by ICE agents during “Operation Metro Surge.”
One of the examples noted in judge Menendez’s order:
Tincher was acting as a legal observer when masked federal agents approached her on a public sidewalk and, without warning, tackled her to the ground and handcuffed her. Officers then transported her to the federal Whipple Building in Fort Snelling, Minn., where parts of her clothing and her wedding ring were removed during her detention. She was held in shackles for hours before being released without charges.
Her co-petitioners allege they endured similar treatment at the hands of ICE agents−actions they contend far exceeded any lawful authority and violated their constitutional rights.
Minnesotans have been terrorized on their streets and in their neighborhoods−not by Laotian or Somali immigrants or Native Americans, but by ICE agents. Perhaps that is the point.
The tragic deaths of Good and Pretti cast a dark shadow on the United States, its immigration policies and enforcement tactics under the Trump administration. As Judge Menendez’s order implies, the problem is not conducting “routine operations” in Minneapolis, but rather the extraordinary and chilling behavior that compelled the court to intervene.
Their deaths raise serious questions about the federal government’s respect for American citizens, the rule of law, and the judiciary. Clearly implicated and dramatized in recent weeks in Minnesota is ICE’s diminishing respect for civil liberties and civil rights of ordinary citizens in the United States.
Given all of this, it’s time for a divorce. Congress can go back to the drawing board on immigration, shaping ethical policy that respects life and human dignity, and avoids cruelty.
Ms. 、UPDATED 2/2/2026 at 12:53 P.M. PT
The Cruel and Unusual Killings of Renee Good and Alex Pretti
ICE’s lethal conduct in Minnesota forces a reckoning with cruel and unusual punishment carried out by the federal government.
by Michele Goodwin
https://msmagazine.com/2026/01/27/renee-good-alex-pretty-cruel-unusual-punishment-first-eight-amendment/
2026年02月08日
エマニュエル・トッドが語る<日本の選択>
[5分で聴く♪文春新書]
エマニュエル・トッド Emmanuel Todd 著『西洋の敗北と日本の選択 La défaite de l'Occident 』
フランスの歴史学者であるエマニュエル・トッド氏は、家族類型と人口統計にもとづく分析で国家や社会の変動を大胆に予言し、ことごとく的中させてきました。
ソ連の崩壊、イギリスのEU離脱、トランプ政権の誕生などがその代表的なものです。
近年もトッド氏は「ウクライナ戦争でのロシアの勝利」「米国と欧州の混乱と分裂」を予言し、事態はほぼその通りに推移しています。
トッド氏は折々で『文藝春秋』に論考を発表し、次々に生じる予想外の事態の本質を見抜き、歴史的見通しを与えてきました。
その集大成が『西洋の敗北と日本の選択』です。
なぜトッド氏の予言は的中するのか?その素顔は?――担当編集者の西泰志が、秘密を語ります。
(聞き手:西本幸恒・文春新書編集長)
https://www.youtube.com/watch?v=V6gGw6DkzoY&t=2s
トッドの日本論の位置づけ
トッドの著作の日本語版の題名に、『日本の・・・』といったものが入っている場合が多い。
日本の読者に理解の切り口を提示するための日本の編集者側の工夫だろう。
最新刊である『西洋の敗北と日本の選択』(文春新書、2025年)は、その典型例である。
注目作である『西洋の敗北 Après l'empire - Essai sur la décomposition du système américain』(2002年)の議論を下地にしながら、追加的に日本についてもなるべく論じてもらう体裁で、本が作られている。
したがって必ずしもトッド自身が積極的に、詳細な日本論を展開してきている、ということではない。
とはいえ、トッドも、日本について、ある程度の関心は抱いているようだ。
もっともその姿勢に変化も見られる。
2002年『帝国以後』の時期の著作では、日本を工業先進国と扱うような記述が目立つ。
トッドは、当時は日本を経済大国とみなしていたようだ。しかし、最近では、そのような素振りはない。
トッドが指摘する日本の最大の問題
人類学者としてのトッドの関心の中心点は、日本の伝統的な家族制度が、ドイツと同様に、「直系家族」(跡継ぎを一人に絞る)で成り立っていることだ。
トッドは、こうした家族制度の伝統の性格の違いが、権威主義的性格を持つ社会と個人主義的性格を持つ社会のように、社会全体の特徴を形成していくことについて、長年にわたって研究している。
このトッドの人類学者としての日本への関心は、当然、現在進行形の未曽有の日本の人口減少・少子高齢化の評価とも、結びついてくるはずだ。
トッドは、深刻な問題を知りながら、為政者たちが何ら有効な政策をとってこなかったことについて、批判めいたコメントをたびたび行ってきている。
自国の文化の長所と短所をよく吟味したうえで、全ての問題を差し置いて、この問題に取り組め、というのが、トッドの実直な勧めだろう。
トッドは日本の安全保障政策には興味がない
したがって、トッドは、国力を低下させている日本に、何か大胆な安全保障政策を選択するように勧める気持ちは、持っていないと思われる。
トッドは、日本にとって核武装が合理的であるという見解を持っている。
時にその点が強調される場合がある。
しかし、トッドは決して派手で大胆な安全保障政策をとるべきだ、と日本に勧めているわけではない。
むしろ逆だろう。
脅威に囲まれながら、人口減少・少子高齢化による国力低下の現象に直面している日本には、核武装のような効率性重視の安全保障政策を検討する必要があるのではないか、という文脈において、トッドは、そう言っているのにすぎない。
トッドは、イランの核武装にも合理性を見出すが、それはイランが、アメリカを中心とする勢力に不当な経済制裁を科せられて、苦しんでいるからだ。
幸いにして日本の場合には、イランのように経済制裁の対象にはなっていない。
だがトッドは、アメリカを信頼することを勧めない。
トッドの多極化する世界の認識
トッドにとって、アメリカは、「敗北」している最中の国であるだけでなく、「緊張を高め、紛争や戦争を引き起こし、そこに『同盟国』というより『属国』と呼ぶにふさわしい国々を巻き込もうとしている」「信頼できない国」である(『西洋の敗北と日本の選択』69頁)。
トッドは、日本にはアジアの国として、敗北する「西洋」と決別してBRICSに加入するような道筋もありうるのではないか、といった示唆も行っている。
※ BRICS ブリックスは、Brazil、Russia、India、China、South Africaに、イラン、エジプト、アラブ首長国連邦、エチオピア、インドネシアを加え、10か国から成る国際会議である。BRICSは加盟国による非干渉、平等、相互利益を基本としている。
もちろん極めて真剣で具体的な提案というよりは、一つの考え方の提示といった断片的なものではある。
結局、日本の国力の衰退と、近隣国との関係、そしてアメリカの存在が持つ問題性を鑑みて、トッドが最終的に勧めるのは、「何もしないこと」であるという。
トッドの「何もしないこと」の勧め
トッドは次のように語る。
全世界の諸地域を見渡して展開する壮大な人類学の視野を駆使しながら、『帝国以後』、『西洋の敗北』、といった派手な題名のベストセラーを持つトッドが、「何もしないこと」、を勧めてくるのは、いささか肩透かしであるような印象も受ける。
「慎重さ」などという言葉で、トッドは、日本への無関心を吐露しているのではないか、といぶかる読者もいるかもしれない。
しかし、私は、そうは思わない。
「何もしないこと」の含意
私は、確かにトッドの言う通りだ、という納得感を持つ。
トッドの議論を見渡したうえで、日本の現状をふまえて、トッドの「何もしないこと」という勧めを考えてみたい。
冷静になるべきだ。日本は単に経済力を低下させているだけではない。人口そのものを激減させている。しかも抜本的な解決策の見出せない財政赤字の苦境にある。
しかもトッドの洞察が正しければ、同盟国アメリカも、非常に苦しい状態にある。
「西洋」そのものが敗北に瀕している。
この状態の中で、日本が起死回生の一発逆転策を狙い、奇をてらった政策を追い求めてみても、上手くいく確率は低い、と言わざるを得ない。
それどころか、焦るあまりに現実から浮遊した空回りする態度をとり続ける恐れも強い。
そうなれば、さらにいっそう泥沼にはまり込んでいく負の悪循環に陥るだけだ。
限られた貴重な資源を、体系的に優先順位の高い政策にあてていくのであれば、まずは自分の足元を立て直すための少子高齢化社会の負の連鎖を止めることに専心すべきだ。
そのためには、余計なことに政策資源を割いたりはしない態度も必要になる。
「何もしないこと」を心掛けて、重要課題に取り組むための余力を、少しずつでも、作り出していくしかないのである。
トッドの諦念
トッドは、2016年のインタビューの中で、次のように語っていた。
こうした諦念の境地にいるトッドが示してくる「日本の選択」に関する勧めは、残念ながら、やはり「選ばれることはない」のかもしれない。
日本人は、トッドの勧めには耳を貸さず、浮足立った現実離れした政策を次々と採用し、むしろ「何でもすること」を追い求めていくのかもしれない。
大多数の日本人は、「何もしないなんて耐えられない、何かやっていないと不安で仕方がない、たとえ上手くいかなさそうなことでも何かを沢山やらせてくれ」と、叫ぶ心理状態で、座標軸も見定まらないまま、うごめきあっていくのかもしれない。
果たして、それで日本に何が訪れるだろうか。
トッドの洞察が正しいかどうかは、逆説的な形で、試されるかもしれない。
msn・theLetter、2026/02/08
トッドが語る「慎重さ」という「日本の選択」の勧め
(篠田英朗)
https://www.msn.com/ja-jp/politics/international-relations/トッドが語る-慎重さ-という-日本の選択-の勧め-トッド-西洋の敗北-を読む4/ar-AA1VTmSB
政府は「こども未来戦略方針」を閣議決定した。今後3年かけて年間3兆円台半ばの予算を確保し、「加速化プラン」として集中的に取り組みを進めるという。岸田文雄政権は「異次元の少子化対策」と称して人口減少に歯止めをかける意欲を見せる。だが、「異次元」というほどの内容なのだろうか。生まれてくる子どもは予想を上回る速度で減っている。
7年前2016年、フランスの歴史人口学者であるエマニュエル・トッド氏にインタビューしたことを思い出す。「人口減少こそ日本の唯一の課題。どうして日本はもっと本気で対策に取り組まないのか。気づいたときにはもう遅い」と強く訴えた。トッド氏の予言は現実のものになろうとしている。日本に残された時間は少ない。
40年後に日本はなくなる?
ランチの客で混み合う店に無精ひげを生やしたトッド氏はやってきた。ジャケットの胸ポケットに眼鏡やペンを無造作に入れている。2016年11月、パリ中心部のカフェでインタビューは行われた。
「世界のどこを見ても日本ほど素晴らしい国はない。経済は強く科学技術にも秀でている。国民は勤勉で治安も良い。食べ物もおいしい。それに比べフランスときたら経済はドイツにやられっ放し、政治家も官僚も能力がなく、テロはあるし治安も悪い。フランスはだめなまま40年後もフランスであり続けるだろう。しかし、日本は40年後にあるかどうか私にはわからない」
キノコオムレツをほおばりながら、トッド氏は熱弁を振るった。誰に対しても歯に衣(きぬ)着せず辛辣(しんらつ)に批判するため、フランス国内では嫌われているのだといい、大の日本びいきであることを自任するトッド氏は日本の少子化を深刻にとらえていた。
「どうして日本は人口減少をもっと真剣に考えないのだ。人口対策は巨大なタンカーみたいなもので、急に針路を変えることはできない。危機に気が付いて慌ててかじを切ったところで、その時にはすでに手遅れなのだ」
世界各国の家族類型を分析して政治体制との関連を論考し、出生率や乳幼児死亡率など生命や健康に関する統計の分析から、その国の内部で起こっている状況を解き明かす独特の研究で注目されている。古くはソビエト連邦の崩壊を予測し、まだ泡沫(ほうまつ)候補と見られていたころのトランプ氏が米国大統領に当選することや、イギリスの欧州連合(EU)離脱も当ててきた研究者である。
少子高齢化や経済の長期的な停滞に陥っていた日本のことをトッド氏がどう見ているのかを知りたいと手紙を書いたところ、自宅にほど近いカフェで会おうと返事がきた。
「老いた親の介護負担を家族が負いすぎる。子育ての負担も重すぎる。家族だけに任せていたのでは生まれてくる子どもは増えない。日本国民は税金を取られるのを嫌がるというが、それはわなだ。税金は介護や子育てから家族を解放するために徴収されるのだ。もっと税金を上げなければ少子化は改善できない」
日本では2012年の民主党・野田佳彦政権の時、税と社会保障の一体改革を与野党が合意し、消費税を5%から10%へ引き上げ、子どもや子育てに消費税を投入することが決められた。トッド氏にインタビューした当時は自民党の安倍晋三政権が待機児童の解消や「働き方改革」による非正規社員の待遇改善などに取り組んでいた。
そのことを指摘すると、トッド氏は「日本政府は何もやっていない」とにべもなかった。
「安倍首相の周りにいる人たちは経済優先の考えだから、中期的な展望で経済が安定することを望んでいる。私の関心はもっと長期的に日本が安定することだ。それには人口問題や出生率のことにもっと真剣に取り組まねばならない」
翌年の2017年にもパリでトッド氏に再び会ったが、日本政府の少子化対策の手ぬるさに対する批判は変わらなかった。
災いは突然、現れる
最初にトッド氏にインタビューをしてから6年、日本で2022年に生まれた子どもは77万747人になった。終戦直後には年間270万人近くが生まれていたのと比べると、3分の1から4分の1ほどに落ち込んでいることになる。1人の女性が生涯に産む子どもの数である合計特殊出生率は1.26。人口を維持するためには2.07を超えなければならないが、はるかに届かず、安倍政権が目指した「希望出生率」1.8からも遠い。
「人口は30〜40年は穏やかに変化するので人々は気づかない。しかし、災いは突然にやってくる。慌てて何とかしようとしても簡単には人口減少は止められない」とトッド氏は言う。まさに今の日本がそうだ。
岸田政権は「異次元の少子化対策」を看板に掲げ、少子化対策を「先送りできない待ったなしの課題」と強調する。「こども未来戦略方針」では、今後3年かけて年間3兆円台半ばの予算を確保し集中的に取り組みを進めることを打ち出した。
児童手当は
▽ 所得制限を撤廃した上で対象を高校生まで拡大し、3歳未満は1人あたり月額1万5000円を支給
▽ 3歳から高校生までは同1万円を支給
▽ 第3子以降は年齢にかかわらず同3万円に増やす
――などが盛り込まれた。
高等教育にかかる費用負担の軽減策としては、授業料の減免や給付型の奨学金の対象を理系の大学生や実家が多子世帯の学生などとし、世帯年収が600万円程度までの中間層に広げる。
親が就労していなくても、子どもを保育所に預けられるようにする。両親とも育児休業を取得した場合、最長4週間は手取りの収入が変わらないようにするため、育休給付の給付率の引き上げを目指すことも盛り込まれた。
必要な財源は、社会保障費の歳出改革に加え、社会保険の仕組みを活用して、社会全体で負担する新たな「支援金制度」を創設し、一時的な不足分は「こども特例公債」を発行して賄う。徹底した歳出改革などを通じ、国民に実質的に追加負担が生じないことを目指すという。
トッド氏は岸田政権の「異次元の少子化対策」をどう思うだろうか。幼稚園から大学まで教育費が無料で、事実婚のカップルにも手厚い経済支援が受けられるフランスに比べると、「何もやっていない」という範囲にとどまっているように思われるのではないか。国民に追加負担が生じない少子化対策などあり得るのか、とあきれられるかもしれない。
これまでの少子化対策に比べれば、現政権はそれなりに思い切ったメニューを並べたつもりかもしれない。連続性の中にいるとこの程度でも「異次元」に思えるのだろう。しかし、育休に100%の休業補償を盛り込んだ自民党の少子化対策と比べても見劣りする内容だ。
2022年の出生率はもっと深刻に受け止めないといけない。1.26というのは2005年と同じ水準だが、2005年の出生数は106万2530人だった。一方、22年は約77万人しか生まれていない。出生率は同じでも出生数は約30万人も少ないのである。
なぜそうなるのかといえば、出生率はその計算の分母である15〜49歳の女性の人口の増減によって変化するからだ。出生率は同じなのに、実際に生まれた子どもが30万人少ないのは現役世代の女性人口が減っているからに他ならない。
江戸時代の人口規模に
政府の少子化対策が奏功したとしても子どもは増えない。新型コロナウイルスの影響もあるのだろうが、ここ数年の出生数の減少傾向が続けば、2100年ごろの日本は江戸時代と同じくらいの人口規模になる。
自然に負荷をかけずストレスも少なくなりそうだからいいではないかと思う人もいるだろう。しかし、江戸時代は鎖国をしており国内で何もかも完結していたからいいが、現在は経済も安全保障も世界と緊密につながっている。猛烈な速度で現役世代の人口が減少していくと、経済や社会システムが危機に陥ることが懸念される。
戦後の復興期から高度成長にかけて全国各地で道路や橋や港湾などが建設された。経済政策の意味もあってのインフラ整備だが、耐用年数が過ぎつつあり巨額の修繕費が国や自治体に重くのしかかる。地方では過疎化が進み、コミュニティーそのものが維持できなくなっている。
国内総生産(GDP)の半分以上は国内消費が占めており、人口減少は生産においても消費においても日本経済の地盤沈下を招くことが避けられない。企業数の9割は中小零細企業だが、業績の良い企業も後継者がいないために閉鎖せざるを得ないところが相次いでいる。
経済の縮小は税や保険料収入にも響き、医療や福祉などの社会保障の持続可能性に黄色信号をともすことが懸念される。医療や福祉現場の人材不足は今も深刻だが、働く人が足りないために閉鎖せざるを得ない事業所が相次ぐことも想像に難くない。
「日本は40年後にあるかどうかわからない」とトッド氏は言った。人口減少のために日本という国家が破綻する・機能不全に陥る恐れがあるという意味なのだろうが、ソ連の崩壊、アラブの春、イギリスのEU離脱など、誰も本当に起きるとは思っていなかったころから予言し、いずれも現実のものとなってきた。その研究者の言葉だけに重い響きを感じざるを得ない。
日本に住んでいるわけでもなく、外から見ているだけで何がわかるのかと思われるかもしれない。ただ、ゆっくり沈んでいく船に乗っている人には、沈んでいることがわからないものだ。不愉快な話には耳をふさぎたくなるが、気づいた時には遅い。トッド氏の警告を今一度、重く受け止めるべきである。
毎日新聞、2023年6月22日
遅すぎる少子化対策〜トッド氏の警告を思う
(野澤和弘・植草学園大学教授/毎日新聞客員編集委員)
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20230619/med/00m/100/014000c
エマニュエル・トッド Emmanuel Todd 著『西洋の敗北と日本の選択 La défaite de l'Occident 』
フランスの歴史学者であるエマニュエル・トッド氏は、家族類型と人口統計にもとづく分析で国家や社会の変動を大胆に予言し、ことごとく的中させてきました。
ソ連の崩壊、イギリスのEU離脱、トランプ政権の誕生などがその代表的なものです。
近年もトッド氏は「ウクライナ戦争でのロシアの勝利」「米国と欧州の混乱と分裂」を予言し、事態はほぼその通りに推移しています。
トッド氏は折々で『文藝春秋』に論考を発表し、次々に生じる予想外の事態の本質を見抜き、歴史的見通しを与えてきました。
その集大成が『西洋の敗北と日本の選択』です。
なぜトッド氏の予言は的中するのか?その素顔は?――担当編集者の西泰志が、秘密を語ります。
(聞き手:西本幸恒・文春新書編集長)
https://www.youtube.com/watch?v=V6gGw6DkzoY&t=2s
トッドの日本論の位置づけ
トッドの著作の日本語版の題名に、『日本の・・・』といったものが入っている場合が多い。
日本の読者に理解の切り口を提示するための日本の編集者側の工夫だろう。
最新刊である『西洋の敗北と日本の選択』(文春新書、2025年)は、その典型例である。
注目作である『西洋の敗北 Après l'empire - Essai sur la décomposition du système américain』(2002年)の議論を下地にしながら、追加的に日本についてもなるべく論じてもらう体裁で、本が作られている。
したがって必ずしもトッド自身が積極的に、詳細な日本論を展開してきている、ということではない。
とはいえ、トッドも、日本について、ある程度の関心は抱いているようだ。
もっともその姿勢に変化も見られる。
2002年『帝国以後』の時期の著作では、日本を工業先進国と扱うような記述が目立つ。
トッドは、当時は日本を経済大国とみなしていたようだ。しかし、最近では、そのような素振りはない。
トッドが指摘する日本の最大の問題
人類学者としてのトッドの関心の中心点は、日本の伝統的な家族制度が、ドイツと同様に、「直系家族」(跡継ぎを一人に絞る)で成り立っていることだ。
トッドは、こうした家族制度の伝統の性格の違いが、権威主義的性格を持つ社会と個人主義的性格を持つ社会のように、社会全体の特徴を形成していくことについて、長年にわたって研究している。
このトッドの人類学者としての日本への関心は、当然、現在進行形の未曽有の日本の人口減少・少子高齢化の評価とも、結びついてくるはずだ。
トッドは、深刻な問題を知りながら、為政者たちが何ら有効な政策をとってこなかったことについて、批判めいたコメントをたびたび行ってきている。
自国の文化の長所と短所をよく吟味したうえで、全ての問題を差し置いて、この問題に取り組め、というのが、トッドの実直な勧めだろう。
トッドは日本の安全保障政策には興味がない
したがって、トッドは、国力を低下させている日本に、何か大胆な安全保障政策を選択するように勧める気持ちは、持っていないと思われる。
トッドは、日本にとって核武装が合理的であるという見解を持っている。
時にその点が強調される場合がある。
しかし、トッドは決して派手で大胆な安全保障政策をとるべきだ、と日本に勧めているわけではない。
むしろ逆だろう。
脅威に囲まれながら、人口減少・少子高齢化による国力低下の現象に直面している日本には、核武装のような効率性重視の安全保障政策を検討する必要があるのではないか、という文脈において、トッドは、そう言っているのにすぎない。
トッドは、イランの核武装にも合理性を見出すが、それはイランが、アメリカを中心とする勢力に不当な経済制裁を科せられて、苦しんでいるからだ。
幸いにして日本の場合には、イランのように経済制裁の対象にはなっていない。
だがトッドは、アメリカを信頼することを勧めない。
トッドの多極化する世界の認識
トッドにとって、アメリカは、「敗北」している最中の国であるだけでなく、「緊張を高め、紛争や戦争を引き起こし、そこに『同盟国』というより『属国』と呼ぶにふさわしい国々を巻き込もうとしている」「信頼できない国」である(『西洋の敗北と日本の選択』69頁)。
トッドは、日本にはアジアの国として、敗北する「西洋」と決別してBRICSに加入するような道筋もありうるのではないか、といった示唆も行っている。
※ BRICS ブリックスは、Brazil、Russia、India、China、South Africaに、イラン、エジプト、アラブ首長国連邦、エチオピア、インドネシアを加え、10か国から成る国際会議である。BRICSは加盟国による非干渉、平等、相互利益を基本としている。
もちろん極めて真剣で具体的な提案というよりは、一つの考え方の提示といった断片的なものではある。
結局、日本の国力の衰退と、近隣国との関係、そしてアメリカの存在が持つ問題性を鑑みて、トッドが最終的に勧めるのは、「何もしないこと」であるという。
トッドの「何もしないこと」の勧め
トッドは次のように語る。
私が日本に勧めたいのは、『何もしないこと』『できるだけ何もしないこと』です。今日、『日本は国際政治にもっと関与すべきだ』という声が聞かれますが、私はむしろ、ある種の『慎重さ』を勧めたい。可能なかぎり紛争を避け、事態をじっと見守るのです。
戦争の勃発や中国の経済的台頭は、この『米国一極支配の世界』から我々が抜け出しつつあることを示しています。つまり、『多極化した世界』というロシアのヴィジョンに近づいている。
日本への提言に付け加えるとすれば、先ほどの『慎重さ』を保ちつつ、こうした『多極化した世界』に自らを位置づけることです。
もう一つは、『経済問題』以上に日本の真の問題である『人口問題』に集中して本気で取り組むことです。すなわち、適度な移民の受け入れを進めると同時に、出生率を上昇させるのです。
(『西洋の敗北と日本の選択』69−70頁)
全世界の諸地域を見渡して展開する壮大な人類学の視野を駆使しながら、『帝国以後』、『西洋の敗北』、といった派手な題名のベストセラーを持つトッドが、「何もしないこと」、を勧めてくるのは、いささか肩透かしであるような印象も受ける。
「慎重さ」などという言葉で、トッドは、日本への無関心を吐露しているのではないか、といぶかる読者もいるかもしれない。
しかし、私は、そうは思わない。
「何もしないこと」の含意
私は、確かにトッドの言う通りだ、という納得感を持つ。
トッドの議論を見渡したうえで、日本の現状をふまえて、トッドの「何もしないこと」という勧めを考えてみたい。
冷静になるべきだ。日本は単に経済力を低下させているだけではない。人口そのものを激減させている。しかも抜本的な解決策の見出せない財政赤字の苦境にある。
しかもトッドの洞察が正しければ、同盟国アメリカも、非常に苦しい状態にある。
「西洋」そのものが敗北に瀕している。
この状態の中で、日本が起死回生の一発逆転策を狙い、奇をてらった政策を追い求めてみても、上手くいく確率は低い、と言わざるを得ない。
それどころか、焦るあまりに現実から浮遊した空回りする態度をとり続ける恐れも強い。
そうなれば、さらにいっそう泥沼にはまり込んでいく負の悪循環に陥るだけだ。
限られた貴重な資源を、体系的に優先順位の高い政策にあてていくのであれば、まずは自分の足元を立て直すための少子高齢化社会の負の連鎖を止めることに専心すべきだ。
そのためには、余計なことに政策資源を割いたりはしない態度も必要になる。
「何もしないこと」を心掛けて、重要課題に取り組むための余力を、少しずつでも、作り出していくしかないのである。
トッドの諦念
トッドは、2016年のインタビューの中で、次のように語っていた。
私は自分の好みを打ち出すのをやめてしまいました。政治的な戦いでは、私はつねに負けてきました。私が望んだことが選ばれることはありませんでした。だから私は好まないでいることを好むようになりました。
(『グローバリズム以後:アメリカ帝国の失墜と日本の運命』[朝日新聞出版、2016年]52頁)
こうした諦念の境地にいるトッドが示してくる「日本の選択」に関する勧めは、残念ながら、やはり「選ばれることはない」のかもしれない。
日本人は、トッドの勧めには耳を貸さず、浮足立った現実離れした政策を次々と採用し、むしろ「何でもすること」を追い求めていくのかもしれない。
大多数の日本人は、「何もしないなんて耐えられない、何かやっていないと不安で仕方がない、たとえ上手くいかなさそうなことでも何かを沢山やらせてくれ」と、叫ぶ心理状態で、座標軸も見定まらないまま、うごめきあっていくのかもしれない。
果たして、それで日本に何が訪れるだろうか。
トッドの洞察が正しいかどうかは、逆説的な形で、試されるかもしれない。
msn・theLetter、2026/02/08
トッドが語る「慎重さ」という「日本の選択」の勧め
(篠田英朗)
https://www.msn.com/ja-jp/politics/international-relations/トッドが語る-慎重さ-という-日本の選択-の勧め-トッド-西洋の敗北-を読む4/ar-AA1VTmSB
政府は「こども未来戦略方針」を閣議決定した。今後3年かけて年間3兆円台半ばの予算を確保し、「加速化プラン」として集中的に取り組みを進めるという。岸田文雄政権は「異次元の少子化対策」と称して人口減少に歯止めをかける意欲を見せる。だが、「異次元」というほどの内容なのだろうか。生まれてくる子どもは予想を上回る速度で減っている。
7年前2016年、フランスの歴史人口学者であるエマニュエル・トッド氏にインタビューしたことを思い出す。「人口減少こそ日本の唯一の課題。どうして日本はもっと本気で対策に取り組まないのか。気づいたときにはもう遅い」と強く訴えた。トッド氏の予言は現実のものになろうとしている。日本に残された時間は少ない。
40年後に日本はなくなる?
ランチの客で混み合う店に無精ひげを生やしたトッド氏はやってきた。ジャケットの胸ポケットに眼鏡やペンを無造作に入れている。2016年11月、パリ中心部のカフェでインタビューは行われた。
「世界のどこを見ても日本ほど素晴らしい国はない。経済は強く科学技術にも秀でている。国民は勤勉で治安も良い。食べ物もおいしい。それに比べフランスときたら経済はドイツにやられっ放し、政治家も官僚も能力がなく、テロはあるし治安も悪い。フランスはだめなまま40年後もフランスであり続けるだろう。しかし、日本は40年後にあるかどうか私にはわからない」
キノコオムレツをほおばりながら、トッド氏は熱弁を振るった。誰に対しても歯に衣(きぬ)着せず辛辣(しんらつ)に批判するため、フランス国内では嫌われているのだといい、大の日本びいきであることを自任するトッド氏は日本の少子化を深刻にとらえていた。
「どうして日本は人口減少をもっと真剣に考えないのだ。人口対策は巨大なタンカーみたいなもので、急に針路を変えることはできない。危機に気が付いて慌ててかじを切ったところで、その時にはすでに手遅れなのだ」
世界各国の家族類型を分析して政治体制との関連を論考し、出生率や乳幼児死亡率など生命や健康に関する統計の分析から、その国の内部で起こっている状況を解き明かす独特の研究で注目されている。古くはソビエト連邦の崩壊を予測し、まだ泡沫(ほうまつ)候補と見られていたころのトランプ氏が米国大統領に当選することや、イギリスの欧州連合(EU)離脱も当ててきた研究者である。
少子高齢化や経済の長期的な停滞に陥っていた日本のことをトッド氏がどう見ているのかを知りたいと手紙を書いたところ、自宅にほど近いカフェで会おうと返事がきた。
「老いた親の介護負担を家族が負いすぎる。子育ての負担も重すぎる。家族だけに任せていたのでは生まれてくる子どもは増えない。日本国民は税金を取られるのを嫌がるというが、それはわなだ。税金は介護や子育てから家族を解放するために徴収されるのだ。もっと税金を上げなければ少子化は改善できない」
日本では2012年の民主党・野田佳彦政権の時、税と社会保障の一体改革を与野党が合意し、消費税を5%から10%へ引き上げ、子どもや子育てに消費税を投入することが決められた。トッド氏にインタビューした当時は自民党の安倍晋三政権が待機児童の解消や「働き方改革」による非正規社員の待遇改善などに取り組んでいた。
そのことを指摘すると、トッド氏は「日本政府は何もやっていない」とにべもなかった。
「安倍首相の周りにいる人たちは経済優先の考えだから、中期的な展望で経済が安定することを望んでいる。私の関心はもっと長期的に日本が安定することだ。それには人口問題や出生率のことにもっと真剣に取り組まねばならない」
翌年の2017年にもパリでトッド氏に再び会ったが、日本政府の少子化対策の手ぬるさに対する批判は変わらなかった。
災いは突然、現れる
最初にトッド氏にインタビューをしてから6年、日本で2022年に生まれた子どもは77万747人になった。終戦直後には年間270万人近くが生まれていたのと比べると、3分の1から4分の1ほどに落ち込んでいることになる。1人の女性が生涯に産む子どもの数である合計特殊出生率は1.26。人口を維持するためには2.07を超えなければならないが、はるかに届かず、安倍政権が目指した「希望出生率」1.8からも遠い。
「人口は30〜40年は穏やかに変化するので人々は気づかない。しかし、災いは突然にやってくる。慌てて何とかしようとしても簡単には人口減少は止められない」とトッド氏は言う。まさに今の日本がそうだ。
岸田政権は「異次元の少子化対策」を看板に掲げ、少子化対策を「先送りできない待ったなしの課題」と強調する。「こども未来戦略方針」では、今後3年かけて年間3兆円台半ばの予算を確保し集中的に取り組みを進めることを打ち出した。
児童手当は
▽ 所得制限を撤廃した上で対象を高校生まで拡大し、3歳未満は1人あたり月額1万5000円を支給
▽ 3歳から高校生までは同1万円を支給
▽ 第3子以降は年齢にかかわらず同3万円に増やす
――などが盛り込まれた。
高等教育にかかる費用負担の軽減策としては、授業料の減免や給付型の奨学金の対象を理系の大学生や実家が多子世帯の学生などとし、世帯年収が600万円程度までの中間層に広げる。
親が就労していなくても、子どもを保育所に預けられるようにする。両親とも育児休業を取得した場合、最長4週間は手取りの収入が変わらないようにするため、育休給付の給付率の引き上げを目指すことも盛り込まれた。
必要な財源は、社会保障費の歳出改革に加え、社会保険の仕組みを活用して、社会全体で負担する新たな「支援金制度」を創設し、一時的な不足分は「こども特例公債」を発行して賄う。徹底した歳出改革などを通じ、国民に実質的に追加負担が生じないことを目指すという。
トッド氏は岸田政権の「異次元の少子化対策」をどう思うだろうか。幼稚園から大学まで教育費が無料で、事実婚のカップルにも手厚い経済支援が受けられるフランスに比べると、「何もやっていない」という範囲にとどまっているように思われるのではないか。国民に追加負担が生じない少子化対策などあり得るのか、とあきれられるかもしれない。
これまでの少子化対策に比べれば、現政権はそれなりに思い切ったメニューを並べたつもりかもしれない。連続性の中にいるとこの程度でも「異次元」に思えるのだろう。しかし、育休に100%の休業補償を盛り込んだ自民党の少子化対策と比べても見劣りする内容だ。
2022年の出生率はもっと深刻に受け止めないといけない。1.26というのは2005年と同じ水準だが、2005年の出生数は106万2530人だった。一方、22年は約77万人しか生まれていない。出生率は同じでも出生数は約30万人も少ないのである。
なぜそうなるのかといえば、出生率はその計算の分母である15〜49歳の女性の人口の増減によって変化するからだ。出生率は同じなのに、実際に生まれた子どもが30万人少ないのは現役世代の女性人口が減っているからに他ならない。
江戸時代の人口規模に
政府の少子化対策が奏功したとしても子どもは増えない。新型コロナウイルスの影響もあるのだろうが、ここ数年の出生数の減少傾向が続けば、2100年ごろの日本は江戸時代と同じくらいの人口規模になる。
自然に負荷をかけずストレスも少なくなりそうだからいいではないかと思う人もいるだろう。しかし、江戸時代は鎖国をしており国内で何もかも完結していたからいいが、現在は経済も安全保障も世界と緊密につながっている。猛烈な速度で現役世代の人口が減少していくと、経済や社会システムが危機に陥ることが懸念される。
戦後の復興期から高度成長にかけて全国各地で道路や橋や港湾などが建設された。経済政策の意味もあってのインフラ整備だが、耐用年数が過ぎつつあり巨額の修繕費が国や自治体に重くのしかかる。地方では過疎化が進み、コミュニティーそのものが維持できなくなっている。
国内総生産(GDP)の半分以上は国内消費が占めており、人口減少は生産においても消費においても日本経済の地盤沈下を招くことが避けられない。企業数の9割は中小零細企業だが、業績の良い企業も後継者がいないために閉鎖せざるを得ないところが相次いでいる。
経済の縮小は税や保険料収入にも響き、医療や福祉などの社会保障の持続可能性に黄色信号をともすことが懸念される。医療や福祉現場の人材不足は今も深刻だが、働く人が足りないために閉鎖せざるを得ない事業所が相次ぐことも想像に難くない。
「日本は40年後にあるかどうかわからない」とトッド氏は言った。人口減少のために日本という国家が破綻する・機能不全に陥る恐れがあるという意味なのだろうが、ソ連の崩壊、アラブの春、イギリスのEU離脱など、誰も本当に起きるとは思っていなかったころから予言し、いずれも現実のものとなってきた。その研究者の言葉だけに重い響きを感じざるを得ない。
日本に住んでいるわけでもなく、外から見ているだけで何がわかるのかと思われるかもしれない。ただ、ゆっくり沈んでいく船に乗っている人には、沈んでいることがわからないものだ。不愉快な話には耳をふさぎたくなるが、気づいた時には遅い。トッド氏の警告を今一度、重く受け止めるべきである。
毎日新聞、2023年6月22日
遅すぎる少子化対策〜トッド氏の警告を思う
(野澤和弘・植草学園大学教授/毎日新聞客員編集委員)
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20230619/med/00m/100/014000c
エマニュエル・トッド
ヤッホーくんのこのブログ、次の日付けの日記をお読みください:
★ 2019年03月18日「綿野恵太」
http://fom-club.seesaa.net/article/464678789.html
★ 2021年10月10日「朴裕河『帝国の慰安婦』」
http://fom-club.seesaa.net/article/483815720.html
★ 2023年06月25日「エマニュエル・トッド氏にインタビュー」
http://fom-club.seesaa.net/article/499821548.html
★ 2023年06月28日「青い山脈」
http://fom-club.seesaa.net/article/499859717.html
米国の傀儡 明日はわが身
私たちは、ウクライナとロシアの戦争を「民主主義 vs 権威主義の戦い」と表現し、あまつさえ「普遍的価値を共有する我が方こそが前者だ」と絶叫したがる。だがそれらは、米国およびウクライナ発の情報のみに依拠した、偏狭な独善以外の何物でもない。
まずは自らの置かれた情報環境を正しく認識した上で、一歩引いてみることだ。まるで違う光景が見えてくる。
そんなことを教えてくれる本だ。著者は経済よりも人口動態に基づいて人類を捉え、ソ連崩壊やトランプ大統領の登場等、数々の世界史的大事件を予言してきた。「現代最高の知性」だと帯にある。
本書によれば、今回のウクライナ・ロシア戦争を仕掛けたのは米国と北大西洋条約機構(NATO)に他ならない。ロシアの侵攻が始まる以前から、ウクライナは事実上のNATO加盟国に組み入れられ、米英の軍事顧問団や高性能兵器類を大量に送り込まれていた。NATOのとめどない東方拡大に追い詰められたプーチンが、窮鼠(きゅうそ)猫を噛(か)んだ構図。
なぜ? とどのつまりは米国の焦りに尽きる、と評者には読めた。衰退が不可避の覇権国家が、まるで手負いの熊と化している。戦争は「もはやアメリカの文化やビジネスの一部と言って過言でない」との指摘に思わず膝を叩(たた)いた。
だが冗談ではない。危うい米国は、「同盟国日本にとっては最大のリスクで、不必要な戦争に巻き込まれる恐れがあります」と、著者は述べる。そこで改めてウクライナの状況を直視しよう。米国のあたかも傀儡(かいらい)としてロシアとの戦争を続けている彼らは、私たちの明日の姿ではあるまいか。相手は中国だよとまでは、本書には書かれていないけれども。
本書の議論の大半に、評者は大いに共感できた。
ただ一点だけ、だから日本は核を持つべきだとする提言には強い違和感がある。
そんなことをしたところで、傀儡であることをむしろ誇っているかのごとき自民党政治が、米国の支配から「自律」などできるはずがない。
ただ単に、中国に先制攻撃の口実を与えてしまうだけである。
※ エマニュエル・トッド(1951年生まれ。フランスの歴史人口学者・家族人類学者。『最後の転落』など)
東京新聞・書評、2022年9月18日 07時00分
エマニュエル・トッド『第三次世界大戦はもう始まっている』(大野舞訳、文春新書、2022年6月)
(評者:斎藤貴男、ジャーナリスト)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/202776
国連気候変動枠組み条約を含む多数の国際枠組みや国連機関からの脱退表明など、トランプ米政権の露骨な国益追求の動きとともに2026年はスタートした。
国際協調が色あせる中、人類は地球規模の危機にどう対処したらいいのか。今後の国際秩序はどうなるのか。フランスの歴史人口学者、エマニュエル・トッド氏に尋ねた。
現状の資本主義において、自国の産業を守るための保護主義は必要不可欠で、第2次トランプ米政権での動きも自然だと考える。高関税措置を課したトランプ大統領が目立っているが、保護主義的な政策はオバマ政権から始まっていた。
ただ、トランプ政権が進める保護主義には問題がある。
ドル依存の構造
効果的に保護主義政策を進めるには、輸入品に関税を課した上で、国内で競争力のある産業を作ったり、再構築したりすることができる熟練した労働力が必要だ。
しかし、世界の基軸通貨であるドルの発行を通して繁栄した米国には、有能な技術者やエンジニアがいない。優秀な若者は製造業よりも高い収入を得られる金融や法律などの分野に流れる。一方で、米国の生活水準はドルの発行の代わりに得られる輸入品に大きく依存しているという矛盾をはらんでいる。
トランプ政権の(ハーバード大などエリート)大学に対する攻撃は、何も成し遂げられない。既存のドル依存の構造を壊し、競争力のある労働力を生むことで生産力のある国に戻らなければならない。だが、そうした兆候は見られず、高関税措置は意味を持たないだろう。
世界史の重大な転換点
フランスでも日本でも世界のニュースはトランプ大統領一色だが、私には単なる茶番劇にしか見えない。彼は「敗北」の大統領に過ぎないのだ。
トランプ大統領の役割は、米国のシステムの完全な崩壊を招かずに、ウクライナ戦争から撤退する方法を見つけることだ。
ウクライナへ兵器や武器を供与してきた西側諸国は、戦争に勝つだけの生産力を持っていなかった。ロシアは国内の産業基盤を維持しているが、米国はもはや十分な数のトマホーク(米国産の巡航ミサイル)を生産することができない。
トランプ政権はプーチン露大統領を理性的な人物として語り、戦争から抜け出そうという衝動が感じられる。米国が戦争から手を引けば、初めての戦略的敗北となり、世界史における重大な転換点になるだろう。
世界中の人びとが米国の「敗北」を認識した瞬間、米国が急速に衰退するかもしれない。北大西洋条約機構(NATO)や東アジアにおける安全保障体制、あるいは世界中の体制が崩壊する可能性がある。
そのため、いまの米国には、ロシアや中国のような「敵」よりも、「同盟国」への支配力を維持することがますます重要になっている。西側諸国に残された産業力はドイツや台湾、韓国、日本など、米国の周縁部にあるからだ。
武器購入や投資を強制する動きは、米国による新たな搾取の試みだ。ガザやイランといった中東周辺への介入や攻撃によって、米国が依然として強大であると思い込ませ、「敗北」をごまかそうとしているのではないか。
ポピュリズムが生まれる共通要因
(トランプ大統領が支持されたように)ポピュリズムが生まれる世界共通の要因は、エリート層への反発と言える。健全で真の民主主義は、万人に初等教育が行き渡り、識字が普及した成果だった。
しかしその後、高等教育が発展して新たな教育の階層化が起こると、高学歴層にエリート的な意識が芽生え、社会の分断を生んだ。
さらに、エリート層で構成される国の統治者が自由貿易へかじを切ったことで所得の格差が生じ、先進国の労働者階級の崩壊を招いたのだ。これこそが、ポピュリズムの土台となったと言える。
もう一つの要因として明らかなのは移民だ。ほとんどの先進国が低出生率・人口減少に直面している中で、経済的には移民が必要とされている。その半面、アイデンティティーの危機と呼ばれるほどの問題となった。
ポピュリストや右派政党はリスクを強調し、移民の停止を主張する。一つの見方ではあるが、私としては、西側諸国は特に出生率に関してもっと深い議論がなされるべきだと考える。
かつて農民社会だった先進国は、産業革命を経て非常に豊かになり、信じられないほどの長寿を実現した。人類はある意味で驚くべき成功を収めたのだ。同時に、まるで歴史が止まってしまったかのような感覚もある。なぜこれほどまでに子どもを持つことが難しくなっているのか。非常に説明が困難で、重要な問題だ。
さらに、社会は目標を失い、空虚さを感じている。ニヒリズム(虚無主義)をもたらせば、人や物事を破壊したいという衝動、ひいては戦争を望む姿勢につながる。
統治者が安易に戦争を選ぶ時
米国がウクライナ戦争から手を引こうとしている一方で、欧州は戦争を続けたがっている。欧州のエリート層のロシアに対する恐怖心は病的で、妄想のようにも見える。ロシアへの制裁で(欧州の)社会は一体性を失い、経済的な困難も抱えている。
しかしそれだけが戦争に執着させるのではない。国を統治する立場にある人が、何をすべきか分からない時、最も安易に選ばれるのが戦争だ。エリート層は歴史の中で迷子になっている。今後(の世界)は戦争と気候変動、二重の危機に直面することになるかもしれない。
私自身、気候に問題があるという身体的な経験がある。気候変動は危険を伴っており、何か対策を講じるべきだ。ただ、(対策の有効性に対しては)非常に懐疑的な見方もしている。
例えば北極海航路に目を向けると、ロシアにとっては有利に働く可能性さえある。気候変動が国や地域によって意味が全く異なるグローバルな問題であることが、国際協調を難しくしているのだ。
気候変動対策の成果を出すには本来、国同士の合意や協力が必要で、困難な対策を課すことのできる強い国家があることが前提だが、グローバル化自体が、国家を不要な存在として忘れようとするものだった。
米国がトランプ政権の下で「気候変動など問題ではない」と振る舞っているように、私たちが既に直面しているのは「至った合意を守ることもできない」という現実だ。私の専門分野ではないが、国際社会は気候変動を止めることはできず、適応していくしかないと予測している。
※ エマニュエル・トッド(Emmanuel Todd)氏(1951年生まれ)
仏歴史人口学者。2016年の米大統領選でのトランプ氏当選や英国の欧州連合(EU)離脱を予見した。ウクライナ情勢などを分析する「西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか」(2024年11月、文芸春秋)に続き、2025年9月には「西洋の敗北と日本の選択」(文春新書)を刊行した。
[写真‐1]
インタビューに答える歴史人口学者のエマニュエル・トッドさん=東京都千代田区で2025年10月22日
[写真‐2]
記念撮影するハーバード大学の卒業生ら=米マサチューセッツ州ケンブリッジで2025年5月29日
[写真‐3]
米ホワイトハウスの執務室で発言するトランプ大統領=2026年1月30日
毎日新聞、2026/2/7 06:56
「トランプ氏は敗北の大統領」
エマニュエル・トッド氏が見る世界
(聞き手・高橋由衣)
https://mainichi.jp/articles/20260205/k00/00m/030/275000c
★ 2019年03月18日「綿野恵太」
http://fom-club.seesaa.net/article/464678789.html
★ 2021年10月10日「朴裕河『帝国の慰安婦』」
http://fom-club.seesaa.net/article/483815720.html
★ 2023年06月25日「エマニュエル・トッド氏にインタビュー」
http://fom-club.seesaa.net/article/499821548.html
★ 2023年06月28日「青い山脈」
http://fom-club.seesaa.net/article/499859717.html
米国の傀儡 明日はわが身
私たちは、ウクライナとロシアの戦争を「民主主義 vs 権威主義の戦い」と表現し、あまつさえ「普遍的価値を共有する我が方こそが前者だ」と絶叫したがる。だがそれらは、米国およびウクライナ発の情報のみに依拠した、偏狭な独善以外の何物でもない。
まずは自らの置かれた情報環境を正しく認識した上で、一歩引いてみることだ。まるで違う光景が見えてくる。
そんなことを教えてくれる本だ。著者は経済よりも人口動態に基づいて人類を捉え、ソ連崩壊やトランプ大統領の登場等、数々の世界史的大事件を予言してきた。「現代最高の知性」だと帯にある。
本書によれば、今回のウクライナ・ロシア戦争を仕掛けたのは米国と北大西洋条約機構(NATO)に他ならない。ロシアの侵攻が始まる以前から、ウクライナは事実上のNATO加盟国に組み入れられ、米英の軍事顧問団や高性能兵器類を大量に送り込まれていた。NATOのとめどない東方拡大に追い詰められたプーチンが、窮鼠(きゅうそ)猫を噛(か)んだ構図。
なぜ? とどのつまりは米国の焦りに尽きる、と評者には読めた。衰退が不可避の覇権国家が、まるで手負いの熊と化している。戦争は「もはやアメリカの文化やビジネスの一部と言って過言でない」との指摘に思わず膝を叩(たた)いた。
だが冗談ではない。危うい米国は、「同盟国日本にとっては最大のリスクで、不必要な戦争に巻き込まれる恐れがあります」と、著者は述べる。そこで改めてウクライナの状況を直視しよう。米国のあたかも傀儡(かいらい)としてロシアとの戦争を続けている彼らは、私たちの明日の姿ではあるまいか。相手は中国だよとまでは、本書には書かれていないけれども。
本書の議論の大半に、評者は大いに共感できた。
ただ一点だけ、だから日本は核を持つべきだとする提言には強い違和感がある。
そんなことをしたところで、傀儡であることをむしろ誇っているかのごとき自民党政治が、米国の支配から「自律」などできるはずがない。
ただ単に、中国に先制攻撃の口実を与えてしまうだけである。
※ エマニュエル・トッド(1951年生まれ。フランスの歴史人口学者・家族人類学者。『最後の転落』など)
東京新聞・書評、2022年9月18日 07時00分
エマニュエル・トッド『第三次世界大戦はもう始まっている』(大野舞訳、文春新書、2022年6月)
(評者:斎藤貴男、ジャーナリスト)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/202776
国連気候変動枠組み条約を含む多数の国際枠組みや国連機関からの脱退表明など、トランプ米政権の露骨な国益追求の動きとともに2026年はスタートした。
国際協調が色あせる中、人類は地球規模の危機にどう対処したらいいのか。今後の国際秩序はどうなるのか。フランスの歴史人口学者、エマニュエル・トッド氏に尋ねた。
現状の資本主義において、自国の産業を守るための保護主義は必要不可欠で、第2次トランプ米政権での動きも自然だと考える。高関税措置を課したトランプ大統領が目立っているが、保護主義的な政策はオバマ政権から始まっていた。
ただ、トランプ政権が進める保護主義には問題がある。
ドル依存の構造
効果的に保護主義政策を進めるには、輸入品に関税を課した上で、国内で競争力のある産業を作ったり、再構築したりすることができる熟練した労働力が必要だ。
しかし、世界の基軸通貨であるドルの発行を通して繁栄した米国には、有能な技術者やエンジニアがいない。優秀な若者は製造業よりも高い収入を得られる金融や法律などの分野に流れる。一方で、米国の生活水準はドルの発行の代わりに得られる輸入品に大きく依存しているという矛盾をはらんでいる。
トランプ政権の(ハーバード大などエリート)大学に対する攻撃は、何も成し遂げられない。既存のドル依存の構造を壊し、競争力のある労働力を生むことで生産力のある国に戻らなければならない。だが、そうした兆候は見られず、高関税措置は意味を持たないだろう。
世界史の重大な転換点
フランスでも日本でも世界のニュースはトランプ大統領一色だが、私には単なる茶番劇にしか見えない。彼は「敗北」の大統領に過ぎないのだ。
トランプ大統領の役割は、米国のシステムの完全な崩壊を招かずに、ウクライナ戦争から撤退する方法を見つけることだ。
ウクライナへ兵器や武器を供与してきた西側諸国は、戦争に勝つだけの生産力を持っていなかった。ロシアは国内の産業基盤を維持しているが、米国はもはや十分な数のトマホーク(米国産の巡航ミサイル)を生産することができない。
トランプ政権はプーチン露大統領を理性的な人物として語り、戦争から抜け出そうという衝動が感じられる。米国が戦争から手を引けば、初めての戦略的敗北となり、世界史における重大な転換点になるだろう。
世界中の人びとが米国の「敗北」を認識した瞬間、米国が急速に衰退するかもしれない。北大西洋条約機構(NATO)や東アジアにおける安全保障体制、あるいは世界中の体制が崩壊する可能性がある。
そのため、いまの米国には、ロシアや中国のような「敵」よりも、「同盟国」への支配力を維持することがますます重要になっている。西側諸国に残された産業力はドイツや台湾、韓国、日本など、米国の周縁部にあるからだ。
武器購入や投資を強制する動きは、米国による新たな搾取の試みだ。ガザやイランといった中東周辺への介入や攻撃によって、米国が依然として強大であると思い込ませ、「敗北」をごまかそうとしているのではないか。
ポピュリズムが生まれる共通要因
(トランプ大統領が支持されたように)ポピュリズムが生まれる世界共通の要因は、エリート層への反発と言える。健全で真の民主主義は、万人に初等教育が行き渡り、識字が普及した成果だった。
しかしその後、高等教育が発展して新たな教育の階層化が起こると、高学歴層にエリート的な意識が芽生え、社会の分断を生んだ。
さらに、エリート層で構成される国の統治者が自由貿易へかじを切ったことで所得の格差が生じ、先進国の労働者階級の崩壊を招いたのだ。これこそが、ポピュリズムの土台となったと言える。
もう一つの要因として明らかなのは移民だ。ほとんどの先進国が低出生率・人口減少に直面している中で、経済的には移民が必要とされている。その半面、アイデンティティーの危機と呼ばれるほどの問題となった。
ポピュリストや右派政党はリスクを強調し、移民の停止を主張する。一つの見方ではあるが、私としては、西側諸国は特に出生率に関してもっと深い議論がなされるべきだと考える。
かつて農民社会だった先進国は、産業革命を経て非常に豊かになり、信じられないほどの長寿を実現した。人類はある意味で驚くべき成功を収めたのだ。同時に、まるで歴史が止まってしまったかのような感覚もある。なぜこれほどまでに子どもを持つことが難しくなっているのか。非常に説明が困難で、重要な問題だ。
さらに、社会は目標を失い、空虚さを感じている。ニヒリズム(虚無主義)をもたらせば、人や物事を破壊したいという衝動、ひいては戦争を望む姿勢につながる。
統治者が安易に戦争を選ぶ時
米国がウクライナ戦争から手を引こうとしている一方で、欧州は戦争を続けたがっている。欧州のエリート層のロシアに対する恐怖心は病的で、妄想のようにも見える。ロシアへの制裁で(欧州の)社会は一体性を失い、経済的な困難も抱えている。
しかしそれだけが戦争に執着させるのではない。国を統治する立場にある人が、何をすべきか分からない時、最も安易に選ばれるのが戦争だ。エリート層は歴史の中で迷子になっている。今後(の世界)は戦争と気候変動、二重の危機に直面することになるかもしれない。
私自身、気候に問題があるという身体的な経験がある。気候変動は危険を伴っており、何か対策を講じるべきだ。ただ、(対策の有効性に対しては)非常に懐疑的な見方もしている。
例えば北極海航路に目を向けると、ロシアにとっては有利に働く可能性さえある。気候変動が国や地域によって意味が全く異なるグローバルな問題であることが、国際協調を難しくしているのだ。
気候変動対策の成果を出すには本来、国同士の合意や協力が必要で、困難な対策を課すことのできる強い国家があることが前提だが、グローバル化自体が、国家を不要な存在として忘れようとするものだった。
米国がトランプ政権の下で「気候変動など問題ではない」と振る舞っているように、私たちが既に直面しているのは「至った合意を守ることもできない」という現実だ。私の専門分野ではないが、国際社会は気候変動を止めることはできず、適応していくしかないと予測している。
※ エマニュエル・トッド(Emmanuel Todd)氏(1951年生まれ)
仏歴史人口学者。2016年の米大統領選でのトランプ氏当選や英国の欧州連合(EU)離脱を予見した。ウクライナ情勢などを分析する「西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか」(2024年11月、文芸春秋)に続き、2025年9月には「西洋の敗北と日本の選択」(文春新書)を刊行した。
[写真‐1]
インタビューに答える歴史人口学者のエマニュエル・トッドさん=東京都千代田区で2025年10月22日
[写真‐2]
記念撮影するハーバード大学の卒業生ら=米マサチューセッツ州ケンブリッジで2025年5月29日
[写真‐3]
米ホワイトハウスの執務室で発言するトランプ大統領=2026年1月30日
毎日新聞、2026/2/7 06:56
「トランプ氏は敗北の大統領」
エマニュエル・トッド氏が見る世界
(聞き手・高橋由衣)
https://mainichi.jp/articles/20260205/k00/00m/030/275000c
2026年02月07日
匿名の政治系YouTubeチャンネルで生計を立てる
衆院選の投開票が近づく中、ネット上には政治系の動画があふれる。中には真偽不明な内容や扇情的な言葉も目立つ。どんな人が動画を作っているのか。動画チャンネルを立ち上げ、月90万円近い収入を得たこともあるという男性がその一端を語った。
「稼げなかったら、やっていませんよ」
匿名の政治系YouTube(ユーチューブ)チャンネルで生計を立てる東京都日野市の男性(39)は淡々と語った。
参院選は「チャンス」 応援チャンネル立ち上げ
投稿を始めたのは昨年2025年5月。自身も支持する参政党の応援チャンネルを立て続けに、二つ立ち上げた。参政党の人気の高まりを感じ、7月の参院選が「チャンス」と考えた。
写真やAI(人工知能)の音声を使い、「有名企業が支持を表明した」「特定の記者の取材を拒否した」といった内容の3〜10分の動画を、毎日投稿した。数十万回再生される動画が相次いだ。
すぐに広告収入が入り、参院選を挟んだ3ヶ月の収益は約220万円に上った。「選挙期間は注目度も高いし、ネタにも困らない。稼ぎ時ですね」と振り返る。
再生数は2億7千万回→17億4千万回
政治系動画の存在感は年々増している。選挙・政治情報サイト「選挙ドットコム」によると、政治系YouTubeの再生回数は2024年10月の衆院選時は2億7千万回だったが、昨年の参院選は17億4千万回に増えた。
男性は小学生の子ども2人と会社員の妻と暮らす。西日本の政令指定都市の市役所職員だったが、自由な時間と収入増を求めて6年前に退職。ネットビジネスのコンサル業などを試したが振るわず、借金を背負った。その中で手を伸ばしたのが、政治系動画だった。
「高市さん、熱い」 次は首相の動画作り
しかし、参院選が終わり、しばらくすると、再生数が伸び悩んだ。運営する二つのチャンネルのうち、一つは毎月10万〜30万円の広告収入が続いたが、もう一つは、数万円に落ち込んだ。
そこで注目したのが、高市早苗首相だった。下がらない内閣支持率に、どこかで見かけた「選挙が近い」との情報。
「高市さん、熱い」
稼げると踏み、昨年2025年12月にチャンネルを立ち上げた。「やはりお金が第一目的。保守なので、高市さんも悪くはないかな」と思った。
男性は自民党を支持していない。高市首相は「責任ある積極財政」や、旧姓の通称使用拡大なども打ち出す。しかし、男性は「政策はあまり詳しくは知りません」と明かす。
動画には、手早く、刺激的にといった、参政党の応援チャンネルで学んだ「コツ」を盛り込んだ。
正確性に危うさ、「事実確認おろそかに」
動画のネタは、X(旧ツイッター)やYouTubeで「バズっている(よく見られている)」で探す。生成AIにネタの内容やSNSでの反応などを読み込ませて、ニュース風の動画の台本をつくるよう指示。自身で修正、加筆し、AI音声に読み上げさせる。「著作権違反かもしれない」が、ネット上で「拾った」写真をあてはめる。3分の動画なら、早ければ30分ほどで完成する。
サムネイル(表紙画像)やタイトルには、「売国議員を駆除へww」「マスコミ敗北w」などと扇情的な言葉を並べた。
視聴者のコメントで人気を集めるのは、「国賊議員を落選させろ!」「掃きだめのテレビ局」といった中傷とも受け取れる言葉。男性は「動画は、『自分に都合のいい考えを聞きたい、特定の人をバカにしてスカッとしたい』という視聴者のニーズに合わせているだけ。中立の解説は見られない」と語る。すでに20万回再生された動画もある。
育てたチャンネル 200万円で売買契約
一方で、明確な危うさもはらむ。男性が1月下旬に投稿した動画は、高市首相が今回の衆院選で自民党の特定の議員を「非公認にしようとしている」とする内容だった。数万回再生され、「高市に感謝」「これだけで選挙の大義」といったコメントが約300件寄せられた。
しかし、自民党は同じ日に、これらの議員の公認を発表していた。
男性に情報の根拠を尋ねると、「バズっている他の動画をまねて、表現を変えて投稿する時もあるので、情報の正確性は批判されてもしょうがない。目の前の利益と作業時間を考えたら、事実確認もおろそかになってしまう」と語った。
次に男性が目を付けたのが、チャンネルの売却による収益化だ。
「十分稼いだし、毎日投稿し続けるのも面倒になった」
更新を続けてきた、参政党を応援する二つのチャンネルを売ることにした。
1月にアカウント売買を仲介するサイトに掲載すると、翌日には問い合わせがあった。1週間で、二つ合わせて約200万円の売買契約が成立した。
「YouTubeは、はやり廃りが激しく、同じチャンネルで稼ぎ続けられる保証はない。伸びている時に売った方がいい」と話す。
YouTubeチャンネルの販売 規約で禁止
チャンネルの販売は、YouTubeの利用規約で禁止されているが、男性は規約違反を「知らなかった」という。
この仲介サイトで、昨年2025年7月の参院選から今年2026年1月までの7ヶ月間に、売買が成立したYouTubeの政治系チャンネルは36件。実際の売却価格は非公開だが、売り手の希望価格の平均は100万円を超え、最高額は1千万円近くだった。
だが、衆院選が公示された後の1月末、男性に思わぬ事態が起きた。YouTubeから売却予定の二つのチャンネルの広告収益を停止すると通知された。「関連チャンネルが原因」とだけ伝えられ、明確な理由は分からない。
チャンネルは売り物にならなくなり、手に入るはずだった約200万円も泡と消えた。高市首相のチャンネルも収益を止められる恐れがあり、いまは投稿していない。
収入はなくなったが、男性は今後もYouTuberを続けるつもりだ。
「手痛いですね。稼げるチャンネルを、また始めないと」
政治系も含め、すでに次のジャンルを考え始めている。新たな収益源を求めて。
政治サイト編集長「選挙中の収益化、議論を」
YouTubeでの政治系動画をAI(人工知能)で分析する政治情報サイト「選挙ドットコム」の鈴木邦和(1989年生まれ)編集長は「選挙期間中の収益化については、今後議論していく必要がある」と語る。
選挙ドットコムの調査によると、2025年7月の参院選の期間中に投稿された政治系動画の再生数は約17億回。うち約9割が、政党や政治家ではない「第三者」が配信する動画だった。演説やニュース、新聞報道を切り取って短くまとめた「切り抜き型」が約4割を占め、鈴木編集長は「支持政党の考えを広めたいといった純粋な応援目的のチャンネルもあると思うが、収益目的も少なくないだろう」とみる。
また、再生数に応じて、広告収入を得る現状の仕組みでは、情報の正確性よりも再生数が重視される場合もあるという。特定の思想を持つ視聴者が多ければ、その層が好む動画が多く作成される傾向もあり、鈴木編集長は「視聴者のリテラシーの向上も必要だ」と指摘する。
[コメント‐1]雨宮処凛(作家・反貧困活動家)
動画チャンネルで月90万円近い収入、参院選を挟んだ3ヶ月で収益は約220万円、という数字にため息をつきました。
さらに生成AIを使っての動画制作、サムネ(イル、表紙画像)やタイトルにあえて並べる扇情的な言葉。
「動画は『自分に都合のいい考えを聞きたい、特定の人をバカにしてスカッとしたい』という視聴者のニーズに合わせているだけ」という言葉や、育てたチャンネルを売買という実態に、虚しさが突き上げてきました。真面目に各政党の公約を読み、一票を投じることが馬鹿馬鹿しくなるような現実。
収益化により、選挙が、民意が大きく歪められていることに対して、法や制度はあまりにも周回遅れと言わざるを得ません。
[コメント‐2]津田正太郎(慶応義塾大学教授・メディアコム研究所)
この記事で取り上げられている人物が高市総理に目をつけたというあたりに「アテンション(注目)獲得を生業とするメディアが宿命的に抱える問題」が凝縮されていると思いました。この人物がもつ思想信条の影響も皆無ではないかもしれないが、とにかく再生回数を上げられる政治家に注目する。注目を集めることが利益に直結する以上、世間の流れに抗うのではなく、世間の流れを読み、その流れを加速させるコンテンツを作ることが求められるわけです。
これは政治系YouTubeに限った話ではなく、広告や売上からの利益で運営される商業メディアの多くが辿った流れです。ただ、誹謗中傷をやりすぎると訴えられるリスクがある一方、いい加減な情報ばかりを流していると信頼されなくなり、ビジネスとしての成長の足枷になる可能性もでてきます。そのため、ある程度の規模にまで成長し、長期的な運営を目指すメディアにとっては、「注目さえ集められれば嘘でもなんでも構わない」というやり方はリスクが大きくなります。
対して、個人単位で運営され、長期的に維持するつもりもない政治系YouTuberにはそうした縛りはありません。信頼を必要とする大きなマーケットで勝負する必要はなく、特定の層に訴えかける内容であればいい。それによって得られる「3ヶ月の収益が220万円」という額は、組織メディアの運営には全く足りませんが、一個人にとっては大きな額です。視聴者との長期的なつながりをつくる意識もなく、チャンネル自体を売れるうちに売るという発想にもなる。
そのため、「一定のクオリティをもったコンテンツが個人でも安価に作成、配信できる」「再生回数が経済的利益になる」「政治が注目を集められる『コンテンツ』になる」といった条件が揃うと、このような事態はどうやっても生じてくるのではないでしょうか。
[コメント‐3]佐藤優(作家・元外務省主任分析官)
この記事の冒頭から、日本社会を蔽っているニヒリズムが伝わってきます。
<衆院選の投開票が近づく中、ネット上には政治系の動画があふれる。中には真偽不明な内容や扇情的な言葉も目立つ。どんな人が動画を作っているのか。動画チャンネルを立ち上げ、月90万円近い収入を得たこともあるという男性がその一端を語った。「稼げなかったら、やっていませんよ」匿名の政治系YouTube(ユーチューブ)チャンネルで生計を立てる東京都日野市の男性(39)は淡々と語った>
(2月5日「朝日新聞」デジタル版)
マルクスが『資本論』で資本の運動は、
G(貨幣)――W(商品)――G’[ G+g] (gは利潤)
と説きましたが、カネが増える(価値増殖ができる)ならば、売る商品(この場合は動画)はどんなものでもいいのです。こういうことをする人の人格は、まさに資本を体現するものです。
私はこういうことはできません。
なぜならば、こういうことをするといくら金になっても、私が信じる(キリスト教の)神が怒ると思うからです。
政治に取り組む場合、程度の差はあれ超越的理念(神でも仏でも理想社会でもいいです)を持っている人はこういうことをしません。
私の友人であるフランスの家族人類学者エマニュエル・トッド氏が危惧する宗教ゼロ(超越的理念を完全に失った社会)の現実が、日本ではこういう形で現れているのだと思います。
[コメント‐4]たかまつなな(笑下村塾代表)
この記事にあるように、再生数を稼ぐために政治的な話題を利用し、根拠不明な情報を拡散する動画が増えている現状には、強い危機感を覚えます。特に若者が、こうした扇情的な情報に触れることで、健全な政治意識を育む機会が失われることを懸念しています。
「稼げなかったら、やっていませんよ」という男性の言葉は、政治が金儲けの手段と化し、その過程で事実が軽視される実態を浮き彫りにしています。
根拠不明な投稿や、政治的目的のない収益目的の動画は、社会の分断を深め、民主主義を危うくする問題です。
一方で、差別など誰かを傷つけるものでない限り、特定の政治的メッセージのある投稿を妨げることがあってはなりません。多様な意見が表明されることは民主主義にとって不可欠であり、表現の自由は守られるべきです。その前提として、発信される情報の信頼性が担保されていることが重要です。
私たちは、情報を受け取る側として、その情報が誰によって、どのような目的で発信されているのかを冷静に見極める「情報リテラシー」を向上させる必要があります。
プラットフォーム側も、収益化の仕組みや規約違反への対応を厳格化し、健全な情報空間を守る責任があります。
若者が自ら考え、多角的な視点から社会問題に向き合えるよう、私も主権者教育の活動を続けていきます。
[写真‐1]
政治系YouTube投稿者の男性が、収益や視聴者層を確認するパソコン画面=2026年1月29日午後4時18分、東京都内
[写真‐2]
スマホにあるユーチューブのアプリケーション
[写真‐3]
政治系YouTube投稿者の男性が売りに出した参政党の応援チャンネルには、170万円の買値がついた=2026年1月29日午後4時15分、東京都内
[写真‐4]
選挙ドットコムの鈴木邦和編集長
朝日新聞、2026年2月5日 5時00分
参政から高市氏にネタ変更
選挙で稼ぐYouTuber、思わぬ暗転
(平川仁)
https://digital.asahi.com/articles/ASV232C7ZV23UTIL01NM.html
「稼げなかったら、やっていませんよ」
匿名の政治系YouTube(ユーチューブ)チャンネルで生計を立てる東京都日野市の男性(39)は淡々と語った。
参院選は「チャンス」 応援チャンネル立ち上げ
投稿を始めたのは昨年2025年5月。自身も支持する参政党の応援チャンネルを立て続けに、二つ立ち上げた。参政党の人気の高まりを感じ、7月の参院選が「チャンス」と考えた。
写真やAI(人工知能)の音声を使い、「有名企業が支持を表明した」「特定の記者の取材を拒否した」といった内容の3〜10分の動画を、毎日投稿した。数十万回再生される動画が相次いだ。
すぐに広告収入が入り、参院選を挟んだ3ヶ月の収益は約220万円に上った。「選挙期間は注目度も高いし、ネタにも困らない。稼ぎ時ですね」と振り返る。
再生数は2億7千万回→17億4千万回
政治系動画の存在感は年々増している。選挙・政治情報サイト「選挙ドットコム」によると、政治系YouTubeの再生回数は2024年10月の衆院選時は2億7千万回だったが、昨年の参院選は17億4千万回に増えた。
男性は小学生の子ども2人と会社員の妻と暮らす。西日本の政令指定都市の市役所職員だったが、自由な時間と収入増を求めて6年前に退職。ネットビジネスのコンサル業などを試したが振るわず、借金を背負った。その中で手を伸ばしたのが、政治系動画だった。
「高市さん、熱い」 次は首相の動画作り
しかし、参院選が終わり、しばらくすると、再生数が伸び悩んだ。運営する二つのチャンネルのうち、一つは毎月10万〜30万円の広告収入が続いたが、もう一つは、数万円に落ち込んだ。
そこで注目したのが、高市早苗首相だった。下がらない内閣支持率に、どこかで見かけた「選挙が近い」との情報。
「高市さん、熱い」
稼げると踏み、昨年2025年12月にチャンネルを立ち上げた。「やはりお金が第一目的。保守なので、高市さんも悪くはないかな」と思った。
男性は自民党を支持していない。高市首相は「責任ある積極財政」や、旧姓の通称使用拡大なども打ち出す。しかし、男性は「政策はあまり詳しくは知りません」と明かす。
動画には、手早く、刺激的にといった、参政党の応援チャンネルで学んだ「コツ」を盛り込んだ。
正確性に危うさ、「事実確認おろそかに」
動画のネタは、X(旧ツイッター)やYouTubeで「バズっている(よく見られている)」で探す。生成AIにネタの内容やSNSでの反応などを読み込ませて、ニュース風の動画の台本をつくるよう指示。自身で修正、加筆し、AI音声に読み上げさせる。「著作権違反かもしれない」が、ネット上で「拾った」写真をあてはめる。3分の動画なら、早ければ30分ほどで完成する。
サムネイル(表紙画像)やタイトルには、「売国議員を駆除へww」「マスコミ敗北w」などと扇情的な言葉を並べた。
視聴者のコメントで人気を集めるのは、「国賊議員を落選させろ!」「掃きだめのテレビ局」といった中傷とも受け取れる言葉。男性は「動画は、『自分に都合のいい考えを聞きたい、特定の人をバカにしてスカッとしたい』という視聴者のニーズに合わせているだけ。中立の解説は見られない」と語る。すでに20万回再生された動画もある。
育てたチャンネル 200万円で売買契約
一方で、明確な危うさもはらむ。男性が1月下旬に投稿した動画は、高市首相が今回の衆院選で自民党の特定の議員を「非公認にしようとしている」とする内容だった。数万回再生され、「高市に感謝」「これだけで選挙の大義」といったコメントが約300件寄せられた。
しかし、自民党は同じ日に、これらの議員の公認を発表していた。
男性に情報の根拠を尋ねると、「バズっている他の動画をまねて、表現を変えて投稿する時もあるので、情報の正確性は批判されてもしょうがない。目の前の利益と作業時間を考えたら、事実確認もおろそかになってしまう」と語った。
次に男性が目を付けたのが、チャンネルの売却による収益化だ。
「十分稼いだし、毎日投稿し続けるのも面倒になった」
更新を続けてきた、参政党を応援する二つのチャンネルを売ることにした。
1月にアカウント売買を仲介するサイトに掲載すると、翌日には問い合わせがあった。1週間で、二つ合わせて約200万円の売買契約が成立した。
「YouTubeは、はやり廃りが激しく、同じチャンネルで稼ぎ続けられる保証はない。伸びている時に売った方がいい」と話す。
YouTubeチャンネルの販売 規約で禁止
チャンネルの販売は、YouTubeの利用規約で禁止されているが、男性は規約違反を「知らなかった」という。
この仲介サイトで、昨年2025年7月の参院選から今年2026年1月までの7ヶ月間に、売買が成立したYouTubeの政治系チャンネルは36件。実際の売却価格は非公開だが、売り手の希望価格の平均は100万円を超え、最高額は1千万円近くだった。
だが、衆院選が公示された後の1月末、男性に思わぬ事態が起きた。YouTubeから売却予定の二つのチャンネルの広告収益を停止すると通知された。「関連チャンネルが原因」とだけ伝えられ、明確な理由は分からない。
チャンネルは売り物にならなくなり、手に入るはずだった約200万円も泡と消えた。高市首相のチャンネルも収益を止められる恐れがあり、いまは投稿していない。
収入はなくなったが、男性は今後もYouTuberを続けるつもりだ。
「手痛いですね。稼げるチャンネルを、また始めないと」
政治系も含め、すでに次のジャンルを考え始めている。新たな収益源を求めて。
政治サイト編集長「選挙中の収益化、議論を」
YouTubeでの政治系動画をAI(人工知能)で分析する政治情報サイト「選挙ドットコム」の鈴木邦和(1989年生まれ)編集長は「選挙期間中の収益化については、今後議論していく必要がある」と語る。
選挙ドットコムの調査によると、2025年7月の参院選の期間中に投稿された政治系動画の再生数は約17億回。うち約9割が、政党や政治家ではない「第三者」が配信する動画だった。演説やニュース、新聞報道を切り取って短くまとめた「切り抜き型」が約4割を占め、鈴木編集長は「支持政党の考えを広めたいといった純粋な応援目的のチャンネルもあると思うが、収益目的も少なくないだろう」とみる。
また、再生数に応じて、広告収入を得る現状の仕組みでは、情報の正確性よりも再生数が重視される場合もあるという。特定の思想を持つ視聴者が多ければ、その層が好む動画が多く作成される傾向もあり、鈴木編集長は「視聴者のリテラシーの向上も必要だ」と指摘する。
[コメント‐1]雨宮処凛(作家・反貧困活動家)
動画チャンネルで月90万円近い収入、参院選を挟んだ3ヶ月で収益は約220万円、という数字にため息をつきました。
さらに生成AIを使っての動画制作、サムネ(イル、表紙画像)やタイトルにあえて並べる扇情的な言葉。
「動画は『自分に都合のいい考えを聞きたい、特定の人をバカにしてスカッとしたい』という視聴者のニーズに合わせているだけ」という言葉や、育てたチャンネルを売買という実態に、虚しさが突き上げてきました。真面目に各政党の公約を読み、一票を投じることが馬鹿馬鹿しくなるような現実。
収益化により、選挙が、民意が大きく歪められていることに対して、法や制度はあまりにも周回遅れと言わざるを得ません。
[コメント‐2]津田正太郎(慶応義塾大学教授・メディアコム研究所)
この記事で取り上げられている人物が高市総理に目をつけたというあたりに「アテンション(注目)獲得を生業とするメディアが宿命的に抱える問題」が凝縮されていると思いました。この人物がもつ思想信条の影響も皆無ではないかもしれないが、とにかく再生回数を上げられる政治家に注目する。注目を集めることが利益に直結する以上、世間の流れに抗うのではなく、世間の流れを読み、その流れを加速させるコンテンツを作ることが求められるわけです。
これは政治系YouTubeに限った話ではなく、広告や売上からの利益で運営される商業メディアの多くが辿った流れです。ただ、誹謗中傷をやりすぎると訴えられるリスクがある一方、いい加減な情報ばかりを流していると信頼されなくなり、ビジネスとしての成長の足枷になる可能性もでてきます。そのため、ある程度の規模にまで成長し、長期的な運営を目指すメディアにとっては、「注目さえ集められれば嘘でもなんでも構わない」というやり方はリスクが大きくなります。
対して、個人単位で運営され、長期的に維持するつもりもない政治系YouTuberにはそうした縛りはありません。信頼を必要とする大きなマーケットで勝負する必要はなく、特定の層に訴えかける内容であればいい。それによって得られる「3ヶ月の収益が220万円」という額は、組織メディアの運営には全く足りませんが、一個人にとっては大きな額です。視聴者との長期的なつながりをつくる意識もなく、チャンネル自体を売れるうちに売るという発想にもなる。
そのため、「一定のクオリティをもったコンテンツが個人でも安価に作成、配信できる」「再生回数が経済的利益になる」「政治が注目を集められる『コンテンツ』になる」といった条件が揃うと、このような事態はどうやっても生じてくるのではないでしょうか。
[コメント‐3]佐藤優(作家・元外務省主任分析官)
この記事の冒頭から、日本社会を蔽っているニヒリズムが伝わってきます。
<衆院選の投開票が近づく中、ネット上には政治系の動画があふれる。中には真偽不明な内容や扇情的な言葉も目立つ。どんな人が動画を作っているのか。動画チャンネルを立ち上げ、月90万円近い収入を得たこともあるという男性がその一端を語った。「稼げなかったら、やっていませんよ」匿名の政治系YouTube(ユーチューブ)チャンネルで生計を立てる東京都日野市の男性(39)は淡々と語った>
(2月5日「朝日新聞」デジタル版)
マルクスが『資本論』で資本の運動は、
G(貨幣)――W(商品)――G’[ G+g] (gは利潤)
と説きましたが、カネが増える(価値増殖ができる)ならば、売る商品(この場合は動画)はどんなものでもいいのです。こういうことをする人の人格は、まさに資本を体現するものです。
私はこういうことはできません。
なぜならば、こういうことをするといくら金になっても、私が信じる(キリスト教の)神が怒ると思うからです。
政治に取り組む場合、程度の差はあれ超越的理念(神でも仏でも理想社会でもいいです)を持っている人はこういうことをしません。
私の友人であるフランスの家族人類学者エマニュエル・トッド氏が危惧する宗教ゼロ(超越的理念を完全に失った社会)の現実が、日本ではこういう形で現れているのだと思います。
[コメント‐4]たかまつなな(笑下村塾代表)
この記事にあるように、再生数を稼ぐために政治的な話題を利用し、根拠不明な情報を拡散する動画が増えている現状には、強い危機感を覚えます。特に若者が、こうした扇情的な情報に触れることで、健全な政治意識を育む機会が失われることを懸念しています。
「稼げなかったら、やっていませんよ」という男性の言葉は、政治が金儲けの手段と化し、その過程で事実が軽視される実態を浮き彫りにしています。
根拠不明な投稿や、政治的目的のない収益目的の動画は、社会の分断を深め、民主主義を危うくする問題です。
一方で、差別など誰かを傷つけるものでない限り、特定の政治的メッセージのある投稿を妨げることがあってはなりません。多様な意見が表明されることは民主主義にとって不可欠であり、表現の自由は守られるべきです。その前提として、発信される情報の信頼性が担保されていることが重要です。
私たちは、情報を受け取る側として、その情報が誰によって、どのような目的で発信されているのかを冷静に見極める「情報リテラシー」を向上させる必要があります。
プラットフォーム側も、収益化の仕組みや規約違反への対応を厳格化し、健全な情報空間を守る責任があります。
若者が自ら考え、多角的な視点から社会問題に向き合えるよう、私も主権者教育の活動を続けていきます。
[写真‐1]
政治系YouTube投稿者の男性が、収益や視聴者層を確認するパソコン画面=2026年1月29日午後4時18分、東京都内
[写真‐2]
スマホにあるユーチューブのアプリケーション
[写真‐3]
政治系YouTube投稿者の男性が売りに出した参政党の応援チャンネルには、170万円の買値がついた=2026年1月29日午後4時15分、東京都内
[写真‐4]
選挙ドットコムの鈴木邦和編集長
朝日新聞、2026年2月5日 5時00分
参政から高市氏にネタ変更
選挙で稼ぐYouTuber、思わぬ暗転
(平川仁)
https://digital.asahi.com/articles/ASV232C7ZV23UTIL01NM.html
社会に巣くう差別や不条理を告発してきた鎌田慧
── ルポライターとしての50年以上にわたる業績の集大成『鎌田慧セレクション─現代の記録─』(全12巻、皓星社 こうせいしゃ)の刊行が続いています。現在は第9巻『追い詰められた家族』が出たところで、過労などで自殺した人たちに迫った「家族が自殺に追い込まれるとき」(1999年)などが収められています。
鎌田: 2024年9月に刊行が始まり、2ヶ月に1巻ずつ出ています。全部終わるのは今年2026年7月の予定です。いろいろなジャンルで書いてきたので、これを読んだ人が何か新しい視点を持ってくれればいいと思います。最終巻が出る前月の6月に88歳になります。完成するまでは生きていますよ。
── 第6巻『鉄鋼産業の闇』に収録した71年発表の「死に絶えた風景」について、「最も愛着の深い作品」とあとがきで書いていますね。北九州市の新日鉄(現日本製鉄)八幡製鉄所で1週間、日雇い工として働いた体験と筑豊炭鉱の失業者との交流を描いています。
鎌田: 働いた体験を初めてルポルタージュにした作品でした。仕事は製鉄所の構内で流れてくるコンベヤーから振るい落とされた鉄鋼石を、ベルトの下にはいつくばってスコップで掘り出し、コンベヤーに戻すこと。正規雇用の本工(社員労働者)はやらない仕事です。本工の下には下請け労働者がいて、本工が下請け工を、下請け工が孫請け工や日雇い工を監督する重層的な構造ができていました。差別構造があると労働者は分断されます。差別構造は支配の鉄則だと実感しました。
「自分の視点は社会と経済を深層から見ること」
── 八幡製鉄所では「労働下宿」と呼ばれる下宿に滞在していました。
鎌田: 下請けの親方と契約して、下宿している労働者を毎日何人というふうに親方に「人材派遣」する下宿です。労働者の賃金からピンハネし、労働者の引き抜きをめぐって争いが絶えず、暴力団も絡んでいました。下宿では6畳に7人、一つの布団に2人、もう1人は押し入れに寝ていました。この圧迫感がつらくて、僕は1週間で下宿を逃げ出しました。「せっかく話し相手ができたと思ったのに」と言った同僚の表情が忘れられません。僕の負い目になりました。ただ、この1週間の体験を書いたことで、物書きとしての自分の視点を獲得したと思います。それは社会と経済を深層から見ることでした。
「洗礼」となった「75日間」
── 「死に絶えた風景」には、港湾労働者が「炭坑もんはズルイたい」と炭鉱離職者を非難していたという記述があります。生活保護をもらいながら安い賃金で働くから、自分たちも低賃金になってしまうという意味ですね。
鎌田: 当時すでに、小さな穴の中で反目しあうように仕向けられていたわけです。これは今、移民を入れると低賃金構造が固定化されるから移民を入れないでと、外国人労働者に反発する人たちの思いと同じですね。賃金を上げろと言うべき相手は企業なのに。
── 鎌田さんがルポライターになったきっかけは何ですか。
鎌田: 僕は高校卒業後に上京して働いた印刷所で、労働組合ができたのを嫌った社長が偽装倒産をし、全員解雇したので解雇撤回闘争をしたことがあるんです。僕が20歳になる1958年で、ちょうど労働争議が頻発していた時代でした。仲間とともに会社に75日間籠城(ろうじょう)し、会社と和解しました。この間、他の組合の労働者はカンパをくれたり、一緒に泊まり込んでくれたりして僕たちを支援してくれました。
この75日間の体験は田舎から出てきた僕にとって現実の断面に頭をがんとぶつけたようで、社会的な洗礼を受けました。その後、僕もいろいろな組合の争議やストライキの応援に行くようになり、労働者のことを書きたいと思ったのがルポライターになった根っこになっています。1960年に早稲田大学に入り、日本の基幹産業である鉄鋼業に興味があったので卒業後、鉄鋼新聞社に入社しました。
「同調化」させる資本主義
── その後、月刊誌の編集者を経て30歳でフリーとなり、製鉄所の日雇い工に続いてトヨタ自動車の期間工として働きます。第5巻『自動車工場の闇』には、その経験を記した「自動車絶望工場」(1973年)を収めました。
鎌田: 川崎市の工員を取材中、「ベルトコンベヤーは結構ゆっくりなんだね」と言ったら、「見てるのとやってるのとではスピードが違う」と反論されたことがありました。実際に自動車工場で働いてみると、想像を超える作業量でした。だからやっぱり、やってみなければ分からないんですね。僕が強く感じたのはコンベヤーに縛られているということでした。
(自動車の)生産台数は決まっているので、何かあって生産台数が下がると、その遅れを取り戻すためにコンベヤーのスピードが速くなります。コンベヤーが止まるまで、労働者はコンベヤーに縛りつけられ、止まることはできません。操作する側に同調しなければならない。僕は資本主義のキーワードは「同調化」だと思いました。厳密に管理されて、それに従わなければ外れてしまうのです。
「期間工の下に派遣労働者の層ができ、最近はスポットワークや外国人も。構造が多重化して労働条件が悪化している」
── 「自動車絶望工場」のころと現代とを比べると、どんな違いがありますか。
鎌田: 当時書きたかったのは労働の非人間性でした。しかも、ベルトコンベヤーの労働の中でも、より負担の大きい仕事が期間工に行き、本工は同じようにひどいけれど少しは楽な仕事を担当するという差別構造がありました。でも、あのころは期間工の下には誰もいなかったのが、今はその下に派遣労働者という層ができています。最近は単発・短時間の仕事「スポットワーク」も現れ、さらに外国人労働者がいて、労働構造が多重化することで労働条件が悪化しています。
── 「支配の鉄則」である差別構造は今も変わらないのですね。
鎌田: 2004年に労働者派遣法が改定され、製造業をはじめ派遣可能な業種や職種が大幅に広がりました。これにより、期間工よりさらに短期契約の使い捨て自由な派遣労働者が大量に利用されるようになりました。
人材派遣はもともと港湾労働者の手配を暴力団組織が仕切っていたのが始まりなんです。僕が滞在した労働下宿もそう。労働者を下宿が非合法に供給していました。そんなやり方が2004年の改定で合法化され、企業はいつでも必要な量の労働者を必要な時にだけ「調達」できるようになりました。どれだけ大量のワーキングプアが生まれたか分かりません。
カネで押し切る原発のやり方
さまざまな取材を鮮明に記憶する鎌田さん。今も『東京新聞』の週1回のコラム「本音のコラム」のほか、毎週1、2本の締め切りを抱えている。現在は介護が必要になった妻と2人暮らし。
「ヘルパーはもちろん、近所の人たちが自宅の鍵を持っていて、なんやかんやと助けてくれます」
(鎌田さん)
── 鎌田さんは社会運動もしてきました。特に2011年の東京電力福島第1原発(福島県)事故後に作家の故・大江健三郎さんらと始めた「さようなら原発運動」では、脱原発を求める800万筆超の署名を集めました。
鎌田: 1970年代から各地の原発建設反対運動を取材してきました。僕が原発を許せないのは、原発が危険ということはもとより、いやだと言う人たちをカネで説得した国のやり方です。カネで押し切られた人、孤立しても拒絶し続けた人たちの姿を見てきました。
2001年の「原発列島を行く」で「(日本は)大事故が発生する前に原発からの撤退を完了しているだろうか」と書きましたが、その10年後に事故が起き、「しまった」と思いました。自分は撤退させるために何をしてきたのか、と。だから今も運動を続けています。
── しかし、最近では東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)も北海道電力泊原発(北海道)も再稼働の方向です。労働現場の差別構造もなくなりません。むなしくなることはありませんか。
鎌田: それはないですね。なぜかというと、僕は自分で体験したことを主観で書いているから。物事が思うように改善されなくても、自分がうまく書いていなかったからだとか、書き足りなかったのかなとか、もう少し別の方法はなかったかと思うことはありますが、やっていられないと思うことはありません。客観的な評論家とは違いますからね。
── 若い人たちがこれから生き抜いていくために大事なことは何でしょう。
鎌田: いろいろな人の話を聞くことですね。何でも聞いてみなければ分かりません。僕も知らないことが取材でようやく分かったということがたくさんあります。そもそも人の意見をちゃんと聞くのが民主主義だと思うけれど、そのシステムが今はなくなっていますね。原発にしても、核のごみの行方もいまだに決まっていないのに、これからどうするのかとか、賛成派と反対派が一緒に1項目ずつ議論できるような場があればと思います。
※「週刊エコノミスト」2026年1月27日号掲載
[写真‐1]「大事なのは人の話を聞くこと。何でも聞いてみなければ分かりません」
[写真‐2]鎌田慧さんの作品を収めた全12巻の『鎌田慧セレクション』皓星社提供
[写真‐3]『反骨 鈴木東民の生涯』で1990年、第9回新田次郎文学賞を受賞した鎌田慧さん(右)。左は同時に受賞した早坂暁さん、中央は佐江衆一さん(共同通信)
週刊エコノミスト Online、2026年1月19日
半世紀の仕事を全12巻に――鎌田慧さん
(聞き手=井上志津・ライター)
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20260127/se1/00m/020/005000c
※ 鎌田慧(かまた さとし、1938年青森県生まれ、ルポライター)
県立弘前高校卒業後に上京、印刷工などを経て早稲田大学第一文学部に入学し、1964年卒業。鉄鋼新聞社、月刊誌編集部を経てフリーに。1970年『ドキュメント 隠された公害:イタイイタイ病を追って』を刊行。主な著書に『自動車絶望工場:ある季節工の日記』『日本の原発地帯』『死刑台からの生還』『教育工場の子どもたち』など。1990年『反骨 鈴木東民の生涯』で第9回新田次郎文学賞、1991年に『六ヶ所村の記録』で第45回毎日出版文化賞受賞。
※ 『鎌田慧セレクション』全12巻、皓星社
丹念な取材に基づくルポで、社会に巣くう差別や不条理を告発してきた鎌田さん。『鎌田慧セレクション─現代の記録─』の第1巻『冤罪を追う』では、1950年に香川県財田村(現・三豊市財田町)で起きた強盗殺人事件の冤罪事件「財田川事件」を追った「死刑台からの生還」(1983年)などを収録。第2巻『真犯人出現と内部告発』では1970年発表の第1作「隠された公害」などを収めた。
中でも、「死に絶えた風景」など初期の作品は、高度成長期の日本で自ら労働者として働くからこそ見えてくる社会のひずみを克明に描き、大きな反響を呼んだ。そのまなざしは第3巻、第4巻で扱った原発や、第7巻の炭鉱、第8巻の学校教育にも向けられ、今後刊行予定の第10巻では成田闘争と国鉄民営化、第11巻では沖縄がテーマ。第12巻はエッセーなどを収めた拾遺となる。
鎌田: 2024年9月に刊行が始まり、2ヶ月に1巻ずつ出ています。全部終わるのは今年2026年7月の予定です。いろいろなジャンルで書いてきたので、これを読んだ人が何か新しい視点を持ってくれればいいと思います。最終巻が出る前月の6月に88歳になります。完成するまでは生きていますよ。
── 第6巻『鉄鋼産業の闇』に収録した71年発表の「死に絶えた風景」について、「最も愛着の深い作品」とあとがきで書いていますね。北九州市の新日鉄(現日本製鉄)八幡製鉄所で1週間、日雇い工として働いた体験と筑豊炭鉱の失業者との交流を描いています。
鎌田: 働いた体験を初めてルポルタージュにした作品でした。仕事は製鉄所の構内で流れてくるコンベヤーから振るい落とされた鉄鋼石を、ベルトの下にはいつくばってスコップで掘り出し、コンベヤーに戻すこと。正規雇用の本工(社員労働者)はやらない仕事です。本工の下には下請け労働者がいて、本工が下請け工を、下請け工が孫請け工や日雇い工を監督する重層的な構造ができていました。差別構造があると労働者は分断されます。差別構造は支配の鉄則だと実感しました。
「自分の視点は社会と経済を深層から見ること」
── 八幡製鉄所では「労働下宿」と呼ばれる下宿に滞在していました。
鎌田: 下請けの親方と契約して、下宿している労働者を毎日何人というふうに親方に「人材派遣」する下宿です。労働者の賃金からピンハネし、労働者の引き抜きをめぐって争いが絶えず、暴力団も絡んでいました。下宿では6畳に7人、一つの布団に2人、もう1人は押し入れに寝ていました。この圧迫感がつらくて、僕は1週間で下宿を逃げ出しました。「せっかく話し相手ができたと思ったのに」と言った同僚の表情が忘れられません。僕の負い目になりました。ただ、この1週間の体験を書いたことで、物書きとしての自分の視点を獲得したと思います。それは社会と経済を深層から見ることでした。
「洗礼」となった「75日間」
── 「死に絶えた風景」には、港湾労働者が「炭坑もんはズルイたい」と炭鉱離職者を非難していたという記述があります。生活保護をもらいながら安い賃金で働くから、自分たちも低賃金になってしまうという意味ですね。
鎌田: 当時すでに、小さな穴の中で反目しあうように仕向けられていたわけです。これは今、移民を入れると低賃金構造が固定化されるから移民を入れないでと、外国人労働者に反発する人たちの思いと同じですね。賃金を上げろと言うべき相手は企業なのに。
── 鎌田さんがルポライターになったきっかけは何ですか。
鎌田: 僕は高校卒業後に上京して働いた印刷所で、労働組合ができたのを嫌った社長が偽装倒産をし、全員解雇したので解雇撤回闘争をしたことがあるんです。僕が20歳になる1958年で、ちょうど労働争議が頻発していた時代でした。仲間とともに会社に75日間籠城(ろうじょう)し、会社と和解しました。この間、他の組合の労働者はカンパをくれたり、一緒に泊まり込んでくれたりして僕たちを支援してくれました。
この75日間の体験は田舎から出てきた僕にとって現実の断面に頭をがんとぶつけたようで、社会的な洗礼を受けました。その後、僕もいろいろな組合の争議やストライキの応援に行くようになり、労働者のことを書きたいと思ったのがルポライターになった根っこになっています。1960年に早稲田大学に入り、日本の基幹産業である鉄鋼業に興味があったので卒業後、鉄鋼新聞社に入社しました。
「同調化」させる資本主義
── その後、月刊誌の編集者を経て30歳でフリーとなり、製鉄所の日雇い工に続いてトヨタ自動車の期間工として働きます。第5巻『自動車工場の闇』には、その経験を記した「自動車絶望工場」(1973年)を収めました。
鎌田: 川崎市の工員を取材中、「ベルトコンベヤーは結構ゆっくりなんだね」と言ったら、「見てるのとやってるのとではスピードが違う」と反論されたことがありました。実際に自動車工場で働いてみると、想像を超える作業量でした。だからやっぱり、やってみなければ分からないんですね。僕が強く感じたのはコンベヤーに縛られているということでした。
(自動車の)生産台数は決まっているので、何かあって生産台数が下がると、その遅れを取り戻すためにコンベヤーのスピードが速くなります。コンベヤーが止まるまで、労働者はコンベヤーに縛りつけられ、止まることはできません。操作する側に同調しなければならない。僕は資本主義のキーワードは「同調化」だと思いました。厳密に管理されて、それに従わなければ外れてしまうのです。
「期間工の下に派遣労働者の層ができ、最近はスポットワークや外国人も。構造が多重化して労働条件が悪化している」
── 「自動車絶望工場」のころと現代とを比べると、どんな違いがありますか。
鎌田: 当時書きたかったのは労働の非人間性でした。しかも、ベルトコンベヤーの労働の中でも、より負担の大きい仕事が期間工に行き、本工は同じようにひどいけれど少しは楽な仕事を担当するという差別構造がありました。でも、あのころは期間工の下には誰もいなかったのが、今はその下に派遣労働者という層ができています。最近は単発・短時間の仕事「スポットワーク」も現れ、さらに外国人労働者がいて、労働構造が多重化することで労働条件が悪化しています。
── 「支配の鉄則」である差別構造は今も変わらないのですね。
鎌田: 2004年に労働者派遣法が改定され、製造業をはじめ派遣可能な業種や職種が大幅に広がりました。これにより、期間工よりさらに短期契約の使い捨て自由な派遣労働者が大量に利用されるようになりました。
人材派遣はもともと港湾労働者の手配を暴力団組織が仕切っていたのが始まりなんです。僕が滞在した労働下宿もそう。労働者を下宿が非合法に供給していました。そんなやり方が2004年の改定で合法化され、企業はいつでも必要な量の労働者を必要な時にだけ「調達」できるようになりました。どれだけ大量のワーキングプアが生まれたか分かりません。
カネで押し切る原発のやり方
さまざまな取材を鮮明に記憶する鎌田さん。今も『東京新聞』の週1回のコラム「本音のコラム」のほか、毎週1、2本の締め切りを抱えている。現在は介護が必要になった妻と2人暮らし。
「ヘルパーはもちろん、近所の人たちが自宅の鍵を持っていて、なんやかんやと助けてくれます」
(鎌田さん)
── 鎌田さんは社会運動もしてきました。特に2011年の東京電力福島第1原発(福島県)事故後に作家の故・大江健三郎さんらと始めた「さようなら原発運動」では、脱原発を求める800万筆超の署名を集めました。
鎌田: 1970年代から各地の原発建設反対運動を取材してきました。僕が原発を許せないのは、原発が危険ということはもとより、いやだと言う人たちをカネで説得した国のやり方です。カネで押し切られた人、孤立しても拒絶し続けた人たちの姿を見てきました。
2001年の「原発列島を行く」で「(日本は)大事故が発生する前に原発からの撤退を完了しているだろうか」と書きましたが、その10年後に事故が起き、「しまった」と思いました。自分は撤退させるために何をしてきたのか、と。だから今も運動を続けています。
── しかし、最近では東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)も北海道電力泊原発(北海道)も再稼働の方向です。労働現場の差別構造もなくなりません。むなしくなることはありませんか。
鎌田: それはないですね。なぜかというと、僕は自分で体験したことを主観で書いているから。物事が思うように改善されなくても、自分がうまく書いていなかったからだとか、書き足りなかったのかなとか、もう少し別の方法はなかったかと思うことはありますが、やっていられないと思うことはありません。客観的な評論家とは違いますからね。
── 若い人たちがこれから生き抜いていくために大事なことは何でしょう。
鎌田: いろいろな人の話を聞くことですね。何でも聞いてみなければ分かりません。僕も知らないことが取材でようやく分かったということがたくさんあります。そもそも人の意見をちゃんと聞くのが民主主義だと思うけれど、そのシステムが今はなくなっていますね。原発にしても、核のごみの行方もいまだに決まっていないのに、これからどうするのかとか、賛成派と反対派が一緒に1項目ずつ議論できるような場があればと思います。
※「週刊エコノミスト」2026年1月27日号掲載
[写真‐1]「大事なのは人の話を聞くこと。何でも聞いてみなければ分かりません」
[写真‐2]鎌田慧さんの作品を収めた全12巻の『鎌田慧セレクション』皓星社提供
[写真‐3]『反骨 鈴木東民の生涯』で1990年、第9回新田次郎文学賞を受賞した鎌田慧さん(右)。左は同時に受賞した早坂暁さん、中央は佐江衆一さん(共同通信)
週刊エコノミスト Online、2026年1月19日
半世紀の仕事を全12巻に――鎌田慧さん
(聞き手=井上志津・ライター)
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20260127/se1/00m/020/005000c
※ 鎌田慧(かまた さとし、1938年青森県生まれ、ルポライター)
県立弘前高校卒業後に上京、印刷工などを経て早稲田大学第一文学部に入学し、1964年卒業。鉄鋼新聞社、月刊誌編集部を経てフリーに。1970年『ドキュメント 隠された公害:イタイイタイ病を追って』を刊行。主な著書に『自動車絶望工場:ある季節工の日記』『日本の原発地帯』『死刑台からの生還』『教育工場の子どもたち』など。1990年『反骨 鈴木東民の生涯』で第9回新田次郎文学賞、1991年に『六ヶ所村の記録』で第45回毎日出版文化賞受賞。
※ 『鎌田慧セレクション』全12巻、皓星社
丹念な取材に基づくルポで、社会に巣くう差別や不条理を告発してきた鎌田さん。『鎌田慧セレクション─現代の記録─』の第1巻『冤罪を追う』では、1950年に香川県財田村(現・三豊市財田町)で起きた強盗殺人事件の冤罪事件「財田川事件」を追った「死刑台からの生還」(1983年)などを収録。第2巻『真犯人出現と内部告発』では1970年発表の第1作「隠された公害」などを収めた。
中でも、「死に絶えた風景」など初期の作品は、高度成長期の日本で自ら労働者として働くからこそ見えてくる社会のひずみを克明に描き、大きな反響を呼んだ。そのまなざしは第3巻、第4巻で扱った原発や、第7巻の炭鉱、第8巻の学校教育にも向けられ、今後刊行予定の第10巻では成田闘争と国鉄民営化、第11巻では沖縄がテーマ。第12巻はエッセーなどを収めた拾遺となる。
鎌田慧、『戦争は嫌だ』の一票にしたい
「台湾有事で中国が戦艦を使い、武力の行使も伴うものであれば、存立危機事態になりうる」
高市首相の国会答弁はこれまでの政府見解を突破してしまった。
たちまち中国の強い反発を招き、日本は経済的打撃を受けているのだが、首相は虚勢を維持したまま、選挙戦に突入した。
さらに今度は「日本が逃げ帰れば日米同盟が潰(つぶ)れる」とテレビ番組で主張している。
「台湾有事」で米軍が攻撃された場合、日本が対応しなければ日米同盟の維持はできない、との認識だ。
しかし、80歳過ぎの日本人のほとんどは、もう戦争は金輪際イヤだと、考えている。それが政治への期待であり、選挙への期待だ。
しかし、高市首相の暴言が支持され、自分への信任投票だ、と位置づけた今回の不意打ち解散は、自民党、日本維新、参政党などを活気づけている。
その中心的な主張が排外主義であり、スパイ防止法などという、人を排除する思想である。
国際的な連帯の思想が弱まり、ナショナリズムと排外主義への意識が強まると、柔らかな平和への心が失われる。
軍事費増強の歯止めがなくなり、武器輸出で儲(もう)けようとする企業が現れる。
連立政権を支える日本維新の会は、高市政治の「アクセル役」を自任し、国民民主党も参政党も日本保守党も「スパイ防止法」設置に熱心だ。
戦争は嫌だ、の一票にしたい。
東京新聞・本音のコラム、2026年2月3日 12時00分
戦争反対の一票を
(鎌田慧、ルポライター)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/466210
恥ずかしげもなく権力を振りかざして勝手放題、米国の大統領はまるで世界の嫌われ者だ。
それでも脅し(ブラフ)の発言が抵抗されると、あっさり朝令暮改、したたかな計算がある。
翻ってこの国の首相。
「私が首相でいいのか国民の皆さまに決めて頂く」と殊勝のようだが、傲慢(ごうまん)がまとわりついている。
マスコミ報道の「支持率」が背景だ。
根拠のない突然の衆議院解散は国会の私物化というべきだ。
総選挙は1年半前に終わったばかり。
465人の国会議員が「解雇」される。
投開票まで16日間だけ。
選挙に850億円以上の経費がかかる「人気投票」だ。
雪でポスター掲示板を立てられない地域もある。
最高裁裁判官の国民審査が期日前投票に間に合わないと指摘される。
選挙事務で地方公務員に過労死も出かねない。
抜き打ち解散は、人気があるうちに地盤を固めたいだけの我利我利(がりがり)選挙。
働け働け働けの強要だ。
高市首相の欲望は、「今後国論を二分するような大胆な政策に果敢に挑戦したい」に尽きる。
国論を二分するような政策を、討論ではなく多数決で押し切りたい。
それは民主主義とは言えない。
憲法改悪はまだ無理にしても、防衛費の拡大、殺傷武器輸出の承認、非核三原則の撤廃、日本版「CIA」の創設、「スパイ防止法」の制定など、軍事国家へ転身させる選挙にしてはならない。
東京新聞・本音のコラム、2026年1月27日 12時00分
抜け駆け選挙の狙い
(鎌田慧、ルポライター)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/464691
※ 辺見庸のつぶやき(ブログ)
憲法改悪発議要件確保へ
たしか3分の2だった。
憲法改悪の発議要件。
いよいよくる。
平和憲法は笑いながら死ぬ。殺される。
(2026年02月05日)
憲法改悪阻止のための投票へ
高市らの悪辣な謀(たばか)りであるこの度の選挙は、反動政権の実質的追認になりかねない。
そう思い、当初はボイコットをきめていたが、事態の緊急性に鑑み、急遽投票に行くことにした。
車椅子で。
生涯たった三度目くらいの投票参加である。ハハハ。
(2026年02月06日)
凶の影
車椅子で期日前投票に行く。
高市政権と闘いそうな候補者を探す。
みんな怪しい。
消去法で残った、冴えないおっさんに投票。
ここにもミニマムなセイジ≠ェある。
何も変わらない。いや、変わるだろう。事態はどんどん悪化している。
この政権の醸しているもの、それは「凶」である。
凶を皆が持ち上げ、ほとんど倒錯的に高市に縋りついている。
凶の影が日ごとに大きく、濃くなっている。
(2026年02月06日)
高市首相の国会答弁はこれまでの政府見解を突破してしまった。
たちまち中国の強い反発を招き、日本は経済的打撃を受けているのだが、首相は虚勢を維持したまま、選挙戦に突入した。
さらに今度は「日本が逃げ帰れば日米同盟が潰(つぶ)れる」とテレビ番組で主張している。
「台湾有事」で米軍が攻撃された場合、日本が対応しなければ日米同盟の維持はできない、との認識だ。
しかし、80歳過ぎの日本人のほとんどは、もう戦争は金輪際イヤだと、考えている。それが政治への期待であり、選挙への期待だ。
しかし、高市首相の暴言が支持され、自分への信任投票だ、と位置づけた今回の不意打ち解散は、自民党、日本維新、参政党などを活気づけている。
その中心的な主張が排外主義であり、スパイ防止法などという、人を排除する思想である。
国際的な連帯の思想が弱まり、ナショナリズムと排外主義への意識が強まると、柔らかな平和への心が失われる。
軍事費増強の歯止めがなくなり、武器輸出で儲(もう)けようとする企業が現れる。
連立政権を支える日本維新の会は、高市政治の「アクセル役」を自任し、国民民主党も参政党も日本保守党も「スパイ防止法」設置に熱心だ。
戦争は嫌だ、の一票にしたい。
東京新聞・本音のコラム、2026年2月3日 12時00分
戦争反対の一票を
(鎌田慧、ルポライター)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/466210
恥ずかしげもなく権力を振りかざして勝手放題、米国の大統領はまるで世界の嫌われ者だ。
それでも脅し(ブラフ)の発言が抵抗されると、あっさり朝令暮改、したたかな計算がある。
翻ってこの国の首相。
「私が首相でいいのか国民の皆さまに決めて頂く」と殊勝のようだが、傲慢(ごうまん)がまとわりついている。
マスコミ報道の「支持率」が背景だ。
根拠のない突然の衆議院解散は国会の私物化というべきだ。
総選挙は1年半前に終わったばかり。
465人の国会議員が「解雇」される。
投開票まで16日間だけ。
選挙に850億円以上の経費がかかる「人気投票」だ。
雪でポスター掲示板を立てられない地域もある。
最高裁裁判官の国民審査が期日前投票に間に合わないと指摘される。
選挙事務で地方公務員に過労死も出かねない。
抜き打ち解散は、人気があるうちに地盤を固めたいだけの我利我利(がりがり)選挙。
働け働け働けの強要だ。
高市首相の欲望は、「今後国論を二分するような大胆な政策に果敢に挑戦したい」に尽きる。
国論を二分するような政策を、討論ではなく多数決で押し切りたい。
それは民主主義とは言えない。
憲法改悪はまだ無理にしても、防衛費の拡大、殺傷武器輸出の承認、非核三原則の撤廃、日本版「CIA」の創設、「スパイ防止法」の制定など、軍事国家へ転身させる選挙にしてはならない。
東京新聞・本音のコラム、2026年1月27日 12時00分
抜け駆け選挙の狙い
(鎌田慧、ルポライター)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/464691
※ 辺見庸のつぶやき(ブログ)
憲法改悪発議要件確保へ
たしか3分の2だった。
憲法改悪の発議要件。
いよいよくる。
平和憲法は笑いながら死ぬ。殺される。
(2026年02月05日)
憲法改悪阻止のための投票へ
高市らの悪辣な謀(たばか)りであるこの度の選挙は、反動政権の実質的追認になりかねない。
そう思い、当初はボイコットをきめていたが、事態の緊急性に鑑み、急遽投票に行くことにした。
車椅子で。
生涯たった三度目くらいの投票参加である。ハハハ。
(2026年02月06日)
凶の影
車椅子で期日前投票に行く。
高市政権と闘いそうな候補者を探す。
みんな怪しい。
消去法で残った、冴えないおっさんに投票。
ここにもミニマムなセイジ≠ェある。
何も変わらない。いや、変わるだろう。事態はどんどん悪化している。
この政権の醸しているもの、それは「凶」である。
凶を皆が持ち上げ、ほとんど倒錯的に高市に縋りついている。
凶の影が日ごとに大きく、濃くなっている。
(2026年02月06日)
原子力空母の上でぴょんぴょん跳ねたあの映像
昨年2025年12月24日の朝日新聞で高橋純子(1971年生まれ)編集委員(※1)が一橋大教授の佐藤文香(1972年生まれ)さんに、「心がとてもザラついたのはなぜだろう?」という問いをぶつけていた。同じ思いを持っていた私は興味深く読んだ。ザラついたのは、高市早苗首相が、米海軍横須賀基地の原子力空母の上でぴょんぴょん跳ねたあの映像だった。
佐藤さんはそれを女性たちの媚(こ)びの記憶による羞恥心だとした上で、「ジェンダーの囮(おとり)」と呼ばれる幻惑効果を説明してくれた。男性が占めるポジションに女性が就くことで、民主主義や平等が実現したかのような幻想を抱く現象だという。なるほど平等は実現していないのに高市さんが首相になることで、あたかも実現したかのように錯覚した人がいるかもしれない。さらに(男性的な)米国の支配と(女性的な)日本の被支配の構造をストレートに可視化してしまったともいう。
国会議員の女性比率が高くなると平和的な政策が推進されるが、首相や大統領に女性が就くと、タカ派的な政策が採用される傾向があるという。批判を避けるために、より男性的になるからである。
軍事は「国民を特定のジェンダー役割の中に上手に配置すること」に支えられているという分析には深く納得した。男性には、女性や子どもを保護する役割を与える。そのとき守るべき祖国を、外国に侵される女性身体としてイメージさせる。男らしさすなわち軍事、女らしさすなわち銃後の守りをかためる母・妻・娘というわけだ。「そのような日本の『秩序』を破壊する大きな一手が夫婦別姓であると、反対派はイメージしているのかもしれません」という。なるほど、なぜ自民党が若年層や経済界が切望している選択的夫婦別姓に頑強に反対するのか、理由がわかった。軍国主義国家に向かっているからである。
日本の軍国主義は帝国憲法発布から敗戦まで続いた。自民党憲法改正草案の内容も、夫婦同姓や教育勅語も古来の伝統などではなく、明治時代の軍国主義下に成立したものである。それを見過ごしてはならない。その価値観は男女の平等どころか、男性による女性の搾取をさらに助長するからである。
和田静香(1965年生まれ)著『中高年シングル女性、ひとりで暮らすわたしたちのこと』(岩波新書、2025年12月)が刊行された。多くの女性へのインタビューで構成されていて、実態がわかる。今後ますます増えていく中高年女性の生活の困難が見えるだけでなく、予想を上回る男性の暴力に気づく。兄からの性暴力で家に居られなくなった女性、夫の暴力から逃れようとしてもシェルターが見つからなかった女性。そして全く改善される見込みのない非正規労働の多さは、まさに女性は夫に養われるべきだ、という家族観を社会が引きずっているゆえである。この家族観は「特定のジェンダー役割の中に上手に配置する」ことによる軍国主義への道である。(※2)
その中で女性の分断も生まれている。役割配置もいかなる搾取も許さない女性たちがいる一方、男性と同様に名誉、地位、経済力という自己利益のために他者を利用し搾取する女性も増えている。ジェンダーの囮に誘われて他者をおとしめる側に自分が立っていないか、私は絶えず自分を顧みようと思う。女性の人権獲得への闘いは、これからである。
※ 田中優子(たなか ゆうこ、1952年横浜市生まれ)
法政大学名誉教授・元総長。江戸文化研究者、エッセイスト。
[写真]
米空母ジョージ・ワシントンの上で演説するトランプ米大統領(右)と高市首相=2025年10月、神奈川県横須賀市で
東京新聞・時代を読む、2026年1月4日 07時14分
女性の闘いは終わらない
(田中優子、法政大学名誉教授・元総長)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/459753
(※1)記者コラム「多事奏論」編集委員・高橋純子
消音にしているはずのテレビから、キャピッ、キャピキャピッと音がする。画面の中で高市早苗首相が、トランプ米大統領の隣ではしゃいでいた。米海軍横須賀基地、原子力空母の上らしい。ながめているうち、身の内の深い深いところに沈めていた記憶がせりあがってきて、口の中が苦くなる。ああ、かつての私も、たぶん、こんな風に、「権力者」の隣でキャピキャピ音をたてていたのだろう。
笑顔を絶やさず、ぴょんぴょん跳ねてかわいらしさ=従順さをアピールし、おべんちゃらをちゃらちゃら、腕を組まれても肩に手を置かれてもはねのけることはしない。程度の差こそあれ、この日本で女としてつつがなく生きるということは「そういうこと」だと思い込んでいた。思い込まされていた。恥じ入るしかないマイ黒歴史。
今回、首相の振る舞いを目の当たりにし、自らの古傷をうずかせている私と同世代かちょっと上くらいの女性は少なくなく、首相を支持する/しないを超えて、ニュースを見られない、精神的につらいと一様にげんなりしている。「そういうこと」はおかしいと気づき、あらがい、闘い、必死に克服してきたはずなのに、なんでまたこんなことに――。
首相たるもの、外交の場でへつらうな。毅然(きぜん)としてくれ。これらは首相の性別とはまったく関係のない一般的な要望だ。ところが、へつらいをへつらいと指摘すると「女性首相の仕事をおとしめるな」「『毅然』は『男らしい』ふるまいで、その強要が女性の社会進出を遅らせてきたのだ」などという批判が飛んでくる。は? 首相として当然されるべき批判や論評を、女性に対しては控えろと? それこそ女性差別では? トランプ氏をノーベル平和賞に推薦だなんて鳥肌もののへつらいである。だいたい、説明も議論も一切ないまま勝手に決めて、答弁すら拒否するなんておかしいだろう。
米国と日本。戦勝国と敗戦国。男と女。入れ子状態の抑圧を一日でもろに可視化させた首相。ツイてるね ノッてるね 仕事が早いね Yeah! セカイノマンナカデ サキホコルニッポン ガイコウ ‼
入れ子状態の抑圧ということでは、沖縄のことを考えずにいられない。日本の米軍専用施設の7割が集中し、日米地位協定によって「守られている」米兵らによる性暴力被害が絶えない沖縄の女性は、首相の振る舞いをどう見ただろう。
「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」共同代表の高里鈴代さんに電話すると、開口一番「もうニュース見たくないですよ。怒ってますよ」。石破茂前首相は、結局何もできなかったけれど、沖縄を「見ていた」。しかし、米軍基地ではじける笑顔を見せる高市氏の視野に沖縄が入っているとは思えない。「沖縄に冷酷だった安倍・菅政権がよみがえってきた。そんな感じがします」
今年は、米兵3人が小学生をレイプした沖縄少女暴行事件から30年。米国 ― 日本 ― 沖縄、そして女性。社会の矛盾やゆがみのしわ寄せは、最も弱いところにいく。そのしわの上で踏ん張って闘ってきた1940年生まれの高里さんは「このあいだ骨折しちゃって、言葉もすっと出てこなくなった」と言いつつ、毎週水曜日、米軍普天間飛行場の辺野古移設に抗議するため辺野古へ通い続ける。
世界の真ん中がどこにあるかは知らないが、自国の最南端の県に負担を押しつけ、住民の犠牲を養分にして咲く花は、よほどグロテスクに違いない。
[写真]
米軍の空母ジョージ・ワシントンで演説するトランプ大統領(右)と高市早苗首相=2025年10月28日午後4時19分、神奈川県横須賀市
朝日新聞、2025年11月8日 7時00分
跳ねる高市首相によみがえるわが黒歴史
入れ子状態の抑圧はいまも
(編集委員・高橋純子)
https://digital.asahi.com/articles/ASTC57VV9TC5UPQJ00KM.html
こんにちは。今年も残すところあと18日となりましたがみなさまいかがお過ごしですか? 私は働きもせずにたらふく食って、下っ腹をなでつつ小唄をうたってます。♪働いて働いて働いて働いて働いて働いてまいります〜。ちなみに「まいります」は「いやーまいったまいった降参」の意。「働いて」は高市早苗首相より1回多くしてみました。
はてさて今年の新語・流行語大賞。「働いて×5」は全く流行していないし、「ワーク・ライフ・バランスを捨てる」とセットだったことを忘れたとは言わせない。過労死弁護団が撤回を申し入れたことを知らぬはずはなかろうに、それでも大賞に選ばれた。なんでだろう〜(2003年)。忖度(そんたく)(2017年)? そだねー(2018年)。
そんなことより(New‼)――。首相の無鉄砲な働きぶりにより、中国との緊張が急速に高まっている。2025年11月7日の衆院予算委員会、台湾有事をめぐる「どう考えても存立危機事態になりうる」は即座に、中国から抗議を受ける前に、自ら撤回すべきだった。従来の政府見解を踏み越え、隣国との間に無用のあつれきを生むことは容易に想像できただろう。しかももくろみが外れて頼みの米国からの支持も得られなかったようで、まったく何をやってるんだか、ダメよ〜ダメダメ(2014年)で目も当てられない。サナエあれば憂いあり。ありすぎ。
何より今回問われるべきは
自国防衛の最大級のリスクは、政治リーダーが暗愚であることだ。国会質疑や記者会見は「試験」であると同時に「筋トレ」でもあり、質問に答えたり批判に耳を傾けたりすることで筋肉は鍛えられる。トレーニングに耐えられなかったり、どうにも筋力がつかなかったりした場合はご退場願うしかない。
ところが今回、「質問した野党議員が悪い」だの「中国を利するから首相を批判すべきでない」だの、ウルトラトンチンカンな言説が飛び交っている。「中国にはっきりものを言ってくれてカッコイイ」なーんて、首相の勇ましさが広く好感されているようだが、この種の世論はいったん芽吹かせると大変にやっかいだ。この先、中国に融和的な姿勢を示そうものなら「弱腰外交」「媚中(びちゅう)」批判が湧くだろう。将来にわたって外交の手足を縛ることにもなりかねない。この道はいつか来た道? 首相の罪は深い。
今回何より問わねばならないのは、日本国憲法という背骨が、高市早苗という政治家に通っているかということだ。それは、過去に侵略戦争を行い、隣国に多大なる被害を与えた敗戦国であるという歴史をちゃんと背負って立っているのかという問いでもある。この国は、日本国憲法をいわば「詫(わ)び証文」として国際社会に復帰した。どんなにニッポンヲトリマクコクサイカンキョウハ キビシサヲマシテイル としても、ゆるがせにはできない、してはならない国家の基礎である。
「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」
「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて」
「国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ」
首相にはぜひ日本国憲法前文を読んで読んで読んで読んで読んで読んで読んで読んで読んで読んでいただきたい。身の内にたたき込んでほしい。どんなに嫌悪しようとも、この憲法のもとの首相であるのだから。その縛りを解くことなど、絶対に許されない。絶対に許さない。
[写真]
「新語・流行語大賞」の年間大賞に選ばれ、選考委員のやくみつるさんから贈られた絵を手に笑顔を見せる高市早苗首相=2025年12月1日午後2時3分、東京都千代田区
朝日新聞、2025年12月13日 7時00分
サナエあれば憂いありあり
恒久平和誓う憲法を首相は読んで×10
(編集委員・高橋純子)
https://digital.asahi.com/articles/ASTDB0J8LTDBUPQJ002M.html
(※2)深沢潮のつぶやき(X)
和田静香さん著『中高年シングル女性、ひとりで暮らすわたしたちのこと』(岩波新書)、読了しました。
ひとりで暮らしはていないし、こどももいるから私の話ではないのかもと思って読みはじめたのですが、まったくそんなことはありませんでした。
共感し、気付くと頷いていました。
社会構造の中で、不可視化されてきた人たちの話です。
女性として生きることの困難があぶり出されており、どの位相で生きていても逃れられない、女性が担うケアの話にも触れています。
シングルマザーの方々のお話に、かつての自分のことが重なり、胸が締め付けられました。
「ゆるい連帯」―−「家族」という血縁以外の繋がりの大事さを感じます。
そしてまた党派やイデオロギーによってのみではなく、近い価値観で寄り添うこと。
とくに同じ痛みを分かち合うことのできる仲間の存在が中高年には不可欠だとしみじみ思いました。
和田静香さん、この本を書いてくださり、ありがとうございました。
https://x.com/fukazawaushio/status/2009464846866329749
佐藤さんはそれを女性たちの媚(こ)びの記憶による羞恥心だとした上で、「ジェンダーの囮(おとり)」と呼ばれる幻惑効果を説明してくれた。男性が占めるポジションに女性が就くことで、民主主義や平等が実現したかのような幻想を抱く現象だという。なるほど平等は実現していないのに高市さんが首相になることで、あたかも実現したかのように錯覚した人がいるかもしれない。さらに(男性的な)米国の支配と(女性的な)日本の被支配の構造をストレートに可視化してしまったともいう。
国会議員の女性比率が高くなると平和的な政策が推進されるが、首相や大統領に女性が就くと、タカ派的な政策が採用される傾向があるという。批判を避けるために、より男性的になるからである。
軍事は「国民を特定のジェンダー役割の中に上手に配置すること」に支えられているという分析には深く納得した。男性には、女性や子どもを保護する役割を与える。そのとき守るべき祖国を、外国に侵される女性身体としてイメージさせる。男らしさすなわち軍事、女らしさすなわち銃後の守りをかためる母・妻・娘というわけだ。「そのような日本の『秩序』を破壊する大きな一手が夫婦別姓であると、反対派はイメージしているのかもしれません」という。なるほど、なぜ自民党が若年層や経済界が切望している選択的夫婦別姓に頑強に反対するのか、理由がわかった。軍国主義国家に向かっているからである。
日本の軍国主義は帝国憲法発布から敗戦まで続いた。自民党憲法改正草案の内容も、夫婦同姓や教育勅語も古来の伝統などではなく、明治時代の軍国主義下に成立したものである。それを見過ごしてはならない。その価値観は男女の平等どころか、男性による女性の搾取をさらに助長するからである。
和田静香(1965年生まれ)著『中高年シングル女性、ひとりで暮らすわたしたちのこと』(岩波新書、2025年12月)が刊行された。多くの女性へのインタビューで構成されていて、実態がわかる。今後ますます増えていく中高年女性の生活の困難が見えるだけでなく、予想を上回る男性の暴力に気づく。兄からの性暴力で家に居られなくなった女性、夫の暴力から逃れようとしてもシェルターが見つからなかった女性。そして全く改善される見込みのない非正規労働の多さは、まさに女性は夫に養われるべきだ、という家族観を社会が引きずっているゆえである。この家族観は「特定のジェンダー役割の中に上手に配置する」ことによる軍国主義への道である。(※2)
その中で女性の分断も生まれている。役割配置もいかなる搾取も許さない女性たちがいる一方、男性と同様に名誉、地位、経済力という自己利益のために他者を利用し搾取する女性も増えている。ジェンダーの囮に誘われて他者をおとしめる側に自分が立っていないか、私は絶えず自分を顧みようと思う。女性の人権獲得への闘いは、これからである。
※ 田中優子(たなか ゆうこ、1952年横浜市生まれ)
法政大学名誉教授・元総長。江戸文化研究者、エッセイスト。
[写真]
米空母ジョージ・ワシントンの上で演説するトランプ米大統領(右)と高市首相=2025年10月、神奈川県横須賀市で
東京新聞・時代を読む、2026年1月4日 07時14分
女性の闘いは終わらない
(田中優子、法政大学名誉教授・元総長)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/459753
(※1)記者コラム「多事奏論」編集委員・高橋純子
消音にしているはずのテレビから、キャピッ、キャピキャピッと音がする。画面の中で高市早苗首相が、トランプ米大統領の隣ではしゃいでいた。米海軍横須賀基地、原子力空母の上らしい。ながめているうち、身の内の深い深いところに沈めていた記憶がせりあがってきて、口の中が苦くなる。ああ、かつての私も、たぶん、こんな風に、「権力者」の隣でキャピキャピ音をたてていたのだろう。
笑顔を絶やさず、ぴょんぴょん跳ねてかわいらしさ=従順さをアピールし、おべんちゃらをちゃらちゃら、腕を組まれても肩に手を置かれてもはねのけることはしない。程度の差こそあれ、この日本で女としてつつがなく生きるということは「そういうこと」だと思い込んでいた。思い込まされていた。恥じ入るしかないマイ黒歴史。
今回、首相の振る舞いを目の当たりにし、自らの古傷をうずかせている私と同世代かちょっと上くらいの女性は少なくなく、首相を支持する/しないを超えて、ニュースを見られない、精神的につらいと一様にげんなりしている。「そういうこと」はおかしいと気づき、あらがい、闘い、必死に克服してきたはずなのに、なんでまたこんなことに――。
首相たるもの、外交の場でへつらうな。毅然(きぜん)としてくれ。これらは首相の性別とはまったく関係のない一般的な要望だ。ところが、へつらいをへつらいと指摘すると「女性首相の仕事をおとしめるな」「『毅然』は『男らしい』ふるまいで、その強要が女性の社会進出を遅らせてきたのだ」などという批判が飛んでくる。は? 首相として当然されるべき批判や論評を、女性に対しては控えろと? それこそ女性差別では? トランプ氏をノーベル平和賞に推薦だなんて鳥肌もののへつらいである。だいたい、説明も議論も一切ないまま勝手に決めて、答弁すら拒否するなんておかしいだろう。
米国と日本。戦勝国と敗戦国。男と女。入れ子状態の抑圧を一日でもろに可視化させた首相。ツイてるね ノッてるね 仕事が早いね Yeah! セカイノマンナカデ サキホコルニッポン ガイコウ ‼
入れ子状態の抑圧ということでは、沖縄のことを考えずにいられない。日本の米軍専用施設の7割が集中し、日米地位協定によって「守られている」米兵らによる性暴力被害が絶えない沖縄の女性は、首相の振る舞いをどう見ただろう。
「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」共同代表の高里鈴代さんに電話すると、開口一番「もうニュース見たくないですよ。怒ってますよ」。石破茂前首相は、結局何もできなかったけれど、沖縄を「見ていた」。しかし、米軍基地ではじける笑顔を見せる高市氏の視野に沖縄が入っているとは思えない。「沖縄に冷酷だった安倍・菅政権がよみがえってきた。そんな感じがします」
今年は、米兵3人が小学生をレイプした沖縄少女暴行事件から30年。米国 ― 日本 ― 沖縄、そして女性。社会の矛盾やゆがみのしわ寄せは、最も弱いところにいく。そのしわの上で踏ん張って闘ってきた1940年生まれの高里さんは「このあいだ骨折しちゃって、言葉もすっと出てこなくなった」と言いつつ、毎週水曜日、米軍普天間飛行場の辺野古移設に抗議するため辺野古へ通い続ける。
世界の真ん中がどこにあるかは知らないが、自国の最南端の県に負担を押しつけ、住民の犠牲を養分にして咲く花は、よほどグロテスクに違いない。
[写真]
米軍の空母ジョージ・ワシントンで演説するトランプ大統領(右)と高市早苗首相=2025年10月28日午後4時19分、神奈川県横須賀市
朝日新聞、2025年11月8日 7時00分
跳ねる高市首相によみがえるわが黒歴史
入れ子状態の抑圧はいまも
(編集委員・高橋純子)
https://digital.asahi.com/articles/ASTC57VV9TC5UPQJ00KM.html
こんにちは。今年も残すところあと18日となりましたがみなさまいかがお過ごしですか? 私は働きもせずにたらふく食って、下っ腹をなでつつ小唄をうたってます。♪働いて働いて働いて働いて働いて働いてまいります〜。ちなみに「まいります」は「いやーまいったまいった降参」の意。「働いて」は高市早苗首相より1回多くしてみました。
はてさて今年の新語・流行語大賞。「働いて×5」は全く流行していないし、「ワーク・ライフ・バランスを捨てる」とセットだったことを忘れたとは言わせない。過労死弁護団が撤回を申し入れたことを知らぬはずはなかろうに、それでも大賞に選ばれた。なんでだろう〜(2003年)。忖度(そんたく)(2017年)? そだねー(2018年)。
そんなことより(New‼)――。首相の無鉄砲な働きぶりにより、中国との緊張が急速に高まっている。2025年11月7日の衆院予算委員会、台湾有事をめぐる「どう考えても存立危機事態になりうる」は即座に、中国から抗議を受ける前に、自ら撤回すべきだった。従来の政府見解を踏み越え、隣国との間に無用のあつれきを生むことは容易に想像できただろう。しかももくろみが外れて頼みの米国からの支持も得られなかったようで、まったく何をやってるんだか、ダメよ〜ダメダメ(2014年)で目も当てられない。サナエあれば憂いあり。ありすぎ。
何より今回問われるべきは
自国防衛の最大級のリスクは、政治リーダーが暗愚であることだ。国会質疑や記者会見は「試験」であると同時に「筋トレ」でもあり、質問に答えたり批判に耳を傾けたりすることで筋肉は鍛えられる。トレーニングに耐えられなかったり、どうにも筋力がつかなかったりした場合はご退場願うしかない。
ところが今回、「質問した野党議員が悪い」だの「中国を利するから首相を批判すべきでない」だの、ウルトラトンチンカンな言説が飛び交っている。「中国にはっきりものを言ってくれてカッコイイ」なーんて、首相の勇ましさが広く好感されているようだが、この種の世論はいったん芽吹かせると大変にやっかいだ。この先、中国に融和的な姿勢を示そうものなら「弱腰外交」「媚中(びちゅう)」批判が湧くだろう。将来にわたって外交の手足を縛ることにもなりかねない。この道はいつか来た道? 首相の罪は深い。
今回何より問わねばならないのは、日本国憲法という背骨が、高市早苗という政治家に通っているかということだ。それは、過去に侵略戦争を行い、隣国に多大なる被害を与えた敗戦国であるという歴史をちゃんと背負って立っているのかという問いでもある。この国は、日本国憲法をいわば「詫(わ)び証文」として国際社会に復帰した。どんなにニッポンヲトリマクコクサイカンキョウハ キビシサヲマシテイル としても、ゆるがせにはできない、してはならない国家の基礎である。
「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」
「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて」
「国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ」
首相にはぜひ日本国憲法前文を読んで読んで読んで読んで読んで読んで読んで読んで読んで読んでいただきたい。身の内にたたき込んでほしい。どんなに嫌悪しようとも、この憲法のもとの首相であるのだから。その縛りを解くことなど、絶対に許されない。絶対に許さない。
[写真]
「新語・流行語大賞」の年間大賞に選ばれ、選考委員のやくみつるさんから贈られた絵を手に笑顔を見せる高市早苗首相=2025年12月1日午後2時3分、東京都千代田区
朝日新聞、2025年12月13日 7時00分
サナエあれば憂いありあり
恒久平和誓う憲法を首相は読んで×10
(編集委員・高橋純子)
https://digital.asahi.com/articles/ASTDB0J8LTDBUPQJ002M.html
(※2)深沢潮のつぶやき(X)
和田静香さん著『中高年シングル女性、ひとりで暮らすわたしたちのこと』(岩波新書)、読了しました。
ひとりで暮らしはていないし、こどももいるから私の話ではないのかもと思って読みはじめたのですが、まったくそんなことはありませんでした。
共感し、気付くと頷いていました。
社会構造の中で、不可視化されてきた人たちの話です。
女性として生きることの困難があぶり出されており、どの位相で生きていても逃れられない、女性が担うケアの話にも触れています。
シングルマザーの方々のお話に、かつての自分のことが重なり、胸が締め付けられました。
「ゆるい連帯」―−「家族」という血縁以外の繋がりの大事さを感じます。
そしてまた党派やイデオロギーによってのみではなく、近い価値観で寄り添うこと。
とくに同じ痛みを分かち合うことのできる仲間の存在が中高年には不可欠だとしみじみ思いました。
和田静香さん、この本を書いてくださり、ありがとうございました。
https://x.com/fukazawaushio/status/2009464846866329749
2026年02月06日
He would meet her at the White House on March 19
TOKYO, Feb 6 (Reuters) - U.S. President Donald Trump gave his "total endorsement" of Japanese Prime Minister Sanae Takaichi ahead of a national election there on Sunday, adding he would meet her at the White House on March 19.
Japan's first female premier, whose coalition is widely expected to win, according to opinion polls, is seeking a public mandate for spending plans that have rattled investors, and a defence build-up that could further strain relations with China.
Takaichi's Liberal Democratic Party and its partner, the Japan Innovation Party, known as Ishin, could capture around 300 seats in the 465-seat lower house of parliament, the polls show, well up from the razor-thin majority they now control.
TAKAICHI POISED FOR WIN DESPITE MARKET JITTERS
"Prime Minister Takaichi is someone who deserves powerful recognition for the job she and her Coalition are doing," Trump posted on his Truth Social platform on Thursday.
"Therefore, as President of the United States of America, it is my Honor to give a Complete and Total Endorsement of her, and what her highly respected Coalition is representing."
Takaichi's election promise to help households cope with rising prices by suspending the 8% sales tax on food has shaken investor confidence in an economy with the heaviest debt burden in the world.
In recent weeks, investors have fled Japanese government bonds and sent the yen into crisis mode on concerns about how Tokyo would pay for the estimated 5 trillion yen ($30 billion) hit to annual revenue.
However, with other parties touting deeper tax cuts and broader spending, a comprehensive victory for the LDP, which has ruled Japan for most of the postwar era, could end up being the least-worst option for financial markets, analysts have said.
One of 64-year-old Takaichi's first engagements after she was elevated to prime minister in October was to host Trump in Tokyo.
She gave him a putter used by his former golfing buddy, the late Japanese Prime Minister Shinzo Abe. Lauded by Trump for breaking Japan's glass ceiling, Takaichi pledged billions of dollars in investments in a meeting analysts said helped underline the strength of the Japan-U.S. alliance.
TRUMP HAS ASKED TAKAICHI NOT TO ANGER CHINA
Weeks later, however, she touched off the biggest diplomatic dispute with China in over a decade by publicly outlining how Tokyo might respond to a Chinese attack on Taiwan.
Trump, who is seeking to maintain a fragile trade truce with China, asked Takaichi in a private phone call in November not to further aggravate Beijing, sources told Reuters.
A resounding victory could hand Takaichi new clout in the dispute with China, current and former Japanese officials said, though Beijing has shown no signs of backing down.
Takaichi's plans to strengthen Japan's defences will likely also draw more anger from Beijing, which has cast her endeavours as an attempt to revive Japan's past militarism.
While the row with China is starting to weigh on the world's fourth-largest economy, it has hardly dented Takaichi's high approval ratings. She has even become an unlikely idol for some voters, who have been buying up the bag she carries and the pink pen she scribbles with in parliament.
Turnout among young supporters, who tend to vote less than older cohorts, could help determine the margin of a Takaichi victory. Record snowfall in some parts of the country could also crimp turnout.
If the polls have it all wrong, and Takaichi loses her majority, she has said she will resign.
Takaichi "has already proven to be a strong, powerful and wise Leader, and one that truly loves her country," Trump said in his endorsement.
The U.S. president has increasingly sought to shape foreign elections. He backed Argentine President Javier Milei, highlighting U.S. financial support as a factor in Milei’s 2025 legislative success. On Thursday, he endorsed Hungarian Prime Minister Viktor Orban for a vote there in April.
Analysts say such interventions signal a growing pattern of aligning with right-wing leaders abroad.
Reporting by John Geddie in Tokyo, Costas Pitas, Bhargav Acharya and Nandita Bose; Editing by Susan Heavey and Michelle Nichols
[photo]
Japanese Prime Minister Sanae Takaichi gestures as U.S. President Donald Trump speaks, aboard the aircraft carrier USS George Washington, during a visit to U.S. Navy's Yokosuka base in Yokosuka, Japan, October 28, 2025.
Reuters, February 6, 20262:52 AM GMT+9 Updated 4 hours ago
Trump endorses Japan's Takaichi ahead of Sunday election
By John Geddie and Costas Pitas
https://www.reuters.com/world/asia-pacific/trump-endorses-japanese-pm-takaichi-ahead-sunday-election-2026-02-05/
[Just FYR] Reuters, February 6, 20267:04 AM GMT+9 Updated 9 hours ago
Japan election: What to look for in Sunday vote
By John Geddie
https://www.reuters.com/world/china/japan-election-what-look-sunday-vote-2026-02-05/
Japan's first female premier, whose coalition is widely expected to win, according to opinion polls, is seeking a public mandate for spending plans that have rattled investors, and a defence build-up that could further strain relations with China.
Takaichi's Liberal Democratic Party and its partner, the Japan Innovation Party, known as Ishin, could capture around 300 seats in the 465-seat lower house of parliament, the polls show, well up from the razor-thin majority they now control.
TAKAICHI POISED FOR WIN DESPITE MARKET JITTERS
"Prime Minister Takaichi is someone who deserves powerful recognition for the job she and her Coalition are doing," Trump posted on his Truth Social platform on Thursday.
"Therefore, as President of the United States of America, it is my Honor to give a Complete and Total Endorsement of her, and what her highly respected Coalition is representing."
Takaichi's election promise to help households cope with rising prices by suspending the 8% sales tax on food has shaken investor confidence in an economy with the heaviest debt burden in the world.
In recent weeks, investors have fled Japanese government bonds and sent the yen into crisis mode on concerns about how Tokyo would pay for the estimated 5 trillion yen ($30 billion) hit to annual revenue.
However, with other parties touting deeper tax cuts and broader spending, a comprehensive victory for the LDP, which has ruled Japan for most of the postwar era, could end up being the least-worst option for financial markets, analysts have said.
One of 64-year-old Takaichi's first engagements after she was elevated to prime minister in October was to host Trump in Tokyo.
She gave him a putter used by his former golfing buddy, the late Japanese Prime Minister Shinzo Abe. Lauded by Trump for breaking Japan's glass ceiling, Takaichi pledged billions of dollars in investments in a meeting analysts said helped underline the strength of the Japan-U.S. alliance.
TRUMP HAS ASKED TAKAICHI NOT TO ANGER CHINA
Weeks later, however, she touched off the biggest diplomatic dispute with China in over a decade by publicly outlining how Tokyo might respond to a Chinese attack on Taiwan.
Trump, who is seeking to maintain a fragile trade truce with China, asked Takaichi in a private phone call in November not to further aggravate Beijing, sources told Reuters.
A resounding victory could hand Takaichi new clout in the dispute with China, current and former Japanese officials said, though Beijing has shown no signs of backing down.
Takaichi's plans to strengthen Japan's defences will likely also draw more anger from Beijing, which has cast her endeavours as an attempt to revive Japan's past militarism.
While the row with China is starting to weigh on the world's fourth-largest economy, it has hardly dented Takaichi's high approval ratings. She has even become an unlikely idol for some voters, who have been buying up the bag she carries and the pink pen she scribbles with in parliament.
Turnout among young supporters, who tend to vote less than older cohorts, could help determine the margin of a Takaichi victory. Record snowfall in some parts of the country could also crimp turnout.
If the polls have it all wrong, and Takaichi loses her majority, she has said she will resign.
Takaichi "has already proven to be a strong, powerful and wise Leader, and one that truly loves her country," Trump said in his endorsement.
The U.S. president has increasingly sought to shape foreign elections. He backed Argentine President Javier Milei, highlighting U.S. financial support as a factor in Milei’s 2025 legislative success. On Thursday, he endorsed Hungarian Prime Minister Viktor Orban for a vote there in April.
Analysts say such interventions signal a growing pattern of aligning with right-wing leaders abroad.
Reporting by John Geddie in Tokyo, Costas Pitas, Bhargav Acharya and Nandita Bose; Editing by Susan Heavey and Michelle Nichols
[photo]
Japanese Prime Minister Sanae Takaichi gestures as U.S. President Donald Trump speaks, aboard the aircraft carrier USS George Washington, during a visit to U.S. Navy's Yokosuka base in Yokosuka, Japan, October 28, 2025.
Reuters, February 6, 20262:52 AM GMT+9 Updated 4 hours ago
Trump endorses Japan's Takaichi ahead of Sunday election
By John Geddie and Costas Pitas
https://www.reuters.com/world/asia-pacific/trump-endorses-japanese-pm-takaichi-ahead-sunday-election-2026-02-05/
[Just FYR] Reuters, February 6, 20267:04 AM GMT+9 Updated 9 hours ago
Japan election: What to look for in Sunday vote
By John Geddie
https://www.reuters.com/world/china/japan-election-what-look-sunday-vote-2026-02-05/
山本一郎、リベラル勢力解体ショー
自民単独で300議席獲得視野という衝撃
2026年2月8日投開票の衆院選は、中盤戦に入りメディア各社の情勢調査が出揃いました。その結果を見て、全国1億2000万人の有権者が一斉に椅子から転げ落ちたのではないでしょうか。
なんすか、その自由民主党圧勝は。
もちろん、情勢分析はあくまで予測であって、投票箱のふたを開けてみないことには結果などだれにも分からないわけですが。
特に朝日新聞が「自由民主党単独で300議席獲得も視野」というメガトン級の選挙予測を報じたときは、見える世界の景色が装いを変えました。
単独過半数の233議席どころか、300という数字は憲法改正の発議に必要な3分の2を単独で超えかねない勢いを意味します。そうなると連立を組む日本維新の会さんは、果たして高市政権の進めたい政策を推進するうえで本当に必要なのかという話にすらなってしまいますが、維新さんとしては大丈夫なのでしょうか。
現在、各自治体での期日前投票の出口調査も粛々と進んでいますが、今冬は記録的な豪雪に見舞われた地域も多く、調査員の確保すらままならないところもあるほど難航しています。
それでも見えてきた傾向として、2025年自民党総裁選で高市早苗さんが党員・党友さん票の多数を都市部から集めたという逸話どおり、人口集積地域で特に強い支持を得ていることが挙げられます。
中道を支えるのは高齢者だけ
今回の選挙では全年代層で自民党がトップの得票となっていますが、これは自民党支持層をきちんと固めたうえで、無党派層からの支持も40%を超える地域があるからです。特に子育て政策を推してるわけでもないのに都市部に住む子育て勤労層30代40代に強い高市早苗さんは、そういう人が支持したくなる「イメージ」をもっているんでしょう。
この都市部での異様な強さをテコに、比例代表でも70議席を目指すという調査結果が出ています。実際には60議席台前半に落ち着くかもしれませんが、それでも驚異的な数字であることに変わりはありません。
一方、目下派手に伸び悩んでいるのが中道改革連合です。これから旧公明党さんの支持団体である創価学会さんに檄が飛び、各選挙区で本格的に中道候補の皆さんに票が集まっていくものと予測されます。勝負はこれからです。
ところが、肝心の旧立憲民主党さんの支持者のうち、中道に投票している層は5割ちょっとしかいません。残りの4割は仏敵でしょうか。しかも中道全体の支持層を見ると、高齢者支持の多い立憲さんと、やはり高齢者支持の多い公明党さんとが合わさって、ただただ高齢者からの支持が多い中道さんになってしまいました。
この層、特に重視する政策が「物価高」と「年金・社会保障」でほとんど説明がついてしまい、社会の活力に繋がる「出生・子育て教育」や「科学技術・産業育成」は下位に沈んでいます。意図したわけではないのでしょうが、そういう政党に仕上がってしまったのかもしれません。組織の尻にはムチが入っているのでしょうが、支持がなかなか広がっていかない状況です。
誰も見いだせていない「選挙の意義」
常設パネルなどでも情報を取っていますが、小サンプルながら見えてきた傾向として、職場や学校、地域などで政治の話をしない風潮が非常に強まっています。それもあってか、かつて公明党さんの必殺技だったフレンド票の30代以下の掘り起こしに苦労しているものと見られます。
投票先を決めていない若い人がいたとしても、その人に、会って話してみないことには票は掘り起こせませんからね。投票先をまだ決めていない若者に出会うことができず、また、彼らが政治的な話題をしたがらないという状況で票を集めることは至難なのでしょう。
そして、今回の選挙で野党が中盤まで苦戦を強いられている大きな理由は「争点が分からない」ことにあります。先日、プレジデントオンラインに高市早苗さんへの白紙委任状を求める選挙であると書かせていただきましたが、まさにその構図がそのまんま現実のものとなっています。
国民生活の根幹にある争点は「物価高」のはずですが、これは年金問題も円安も賃上げもマンション価格高騰も全部セットになった複合的な問題です。全部盛りのスペシャル二郎みたいなもので、国民有権者からすると政策のどこをどう変えれば生活が楽になるのか、非常に分かりづらいのです。
しかもマスコミがこぞってこの物価高の解決策として消費税減税を争点に掲げたものだから、話はますます分かりづらい財源の問題へと移ってしまいました。
正直、消費税を減税したところで見た目の手取りは増えますが、本当に物価が下がるかどうかは分かりません。消費税がなくなるのだから、食品にかかる消費税8%分価格が下がる、とはならないのがいまの物価高のむつかしいところで、それには当然「財源」が必要ですから、有権者が「そんなうまい話はないのではないか」と思うのも致し方ないと思うのです。
加えて自民党も維新さんも野党の皆さんも、みんな揃って消費税減税を主張するものですから、全員仲良く埋没してしまいました。それならまあなんか頑張ってる風の高市さんでいいじゃないか、と消極的支持の地滑り的発生が起きているものと見られます。
国民民主、参政乱立で自民有利に
そんな中、唯一空気を読まず消費税減税に反対と言い始めたチームみらいさんが、都知事選での石丸伸二現象や参政党ブームと同じように「他とは違う、既存政党ではない何か」という捉えられ方をして、無党派を中心に支持を集めています。もっとも、チームみらいさんは急場での擁立だったからか、経歴のおかしい候補者や選挙協力者がガッツリ紛れていて、さっさと処理しないと面倒なことになってしまいます。党組織としても未熟で、幹事業務が機能してないんじゃないかとすら感じます。
チームみらい単体は、特に比例票で国民民主党やれいわ新選組、旧立憲民主党、日本共産党、参政党各党から、都市部在住の40代以下男性の支持を奪うことで、いきなり台風の目になりました。
自民党からあまり票が流れていないのは、今回の高市早苗さんや自由民主党は実際の業績や実績を評価している有権者によって支えられているからで、既存政党が嫌で自民党には投票したくないという人は今回も帰ってきていないため、チームみらいさんには向かわない、というのが実態ではないかと考えられます。
本来なら争点になるべき医療費も含めた「年金・社会保障」問題だけでなく、前回参院選であれだけブームになった「外国人問題」もすっかり下火になっています。この問題に依存してネットで煽り選挙戦を戦ってきた参政党さんは沈没してしまいました。
また、ガソリン減税や103万・106万の壁という看板政策を高市早苗政権にあっさり丸飲みされてしまった国民民主党さんは、再び「手取りを増やす」というスローガンで挑んだものの、拠って立つ争点が消えてしまったことで埋没し、現有勢力を維持するのも難しい公算となっています。
国民民主党さんが主張していた政策を早々に高市政権に丸飲みされてしまい、特に手柄が無くなって、国民民主党さんを選ぶ理由が無くなってしまったことや、手取りを増やすというスローガンはウケたもののさすがに飽きられてしまった面はあります。保守系野党として野党第一党を目指すためには、玉木雄一郎さんの人気と手取りを増やす政策一本から、もっと幅広な政策での主張が有権者に浸透するような政党への脱皮が求められているとも言えます。
個別の選挙区を見れば、福井1区では連合さんが組織内候補を中道さんから立てようとして、国民民主党さんに対抗馬をぶつけられてブチ切れておりましたが、基本的に高市政権の選挙戦術は、過去の安倍晋三政権時に官房長官だった菅義偉さんと同様、「野党を分断する」という大原則に立ち返っています。
与党のはずの維新さんもなぜか含めて、中道さん、国民さん、参政党さん、その他泡沫政党といった各党が乱立するほど自民党が相対的に票を集め圧勝する、という構図が出来上がっているのです。
国民民主党さんや参政党さんからすれば、とにかく小選挙区で勝てなくてもきちんと候補者を多く擁立し、そこで得られる比例代表に「国民民主党」「参政党」と書いてもらって比例で議席の上積みを目指す作戦に出るわけですが、実際のところ、それは同じく小選挙区に立っているまだ勝てそうな中道改革連合さんの候補者の票を削る効果に直結します。
高市人気の高さは別として、これら小選挙区での候補者乱立が、結果として野党票・政権批判票の分断を促し、自由民主党候補を利する結果に終わってしまっているとも言えます。
そのために「野党は大同団結するべき」とは旧立憲・安住淳さんもお話されていたのですが、中道さんの結党前後の流れを見る限り、これは「俺たちが勝つために、国民民主党は独自路線をあきらめろ」と言っているに等しく、保守系野党で議席獲得を目指す国民民主党さんからすれば初めから乗りようのなかったディールであったと思います。
その点で、先にも述べた通り高齢者に支持のあった旧立憲と旧公明党両党が合併するよりは、まず何よりも若者や都市部・勤労層に人気のある国民民主党さんのほうに寄らないといけなかったのでは、と感じるところです。
大阪以外の維新は悲惨
選挙区情勢でさらに悲惨なのは、大阪以外の維新さんです。いや、全国平均で言えばまあまあ維新さん支持は多いんですよ。なんですが、せっかく各ブロックに前職がいて実績もある議員なのに、自民党に突き放され派手に落選したうえ、供託金ラインに届かないので比例復活もできないという議席すら出てきかねません。
申し訳ない話ですが、せっかく与党なのですから、旧公明党さんのようにこの小選挙区はくださいと大阪以外でもちゃんと議席を確保し、比例で1議席2議席取って最低でも勢力拡大を目指してやっていけるよう手配するべきだっただろうと思います。自分の知る限りでは、電撃解散後もそのような細やかな話し合いは自民維新間では無かったと認識しています。
常識的には、せっかく与党なのだから、いくら電撃解散の超短期決戦だったとしても選挙区調整や選挙協力の在り方は現場ですり合わせをしておいたほうが良かったんじゃないかと。常識的には、ですが。
しかも維新さんは大阪府知事、大阪市長のダブル選挙までやってしまいました。こちらは当然両方勝つとしても、国政選挙で議席を減らすと代表の吉村洋文さんの責任問題になります。個人的にそこまで吉村さんが悪いとも思いませんが、伸び悩んで選挙で負けて、誰かが責任を取れと言われれば吉村さんら執行部が腹を切るしか方法はないでしょう。
下手すると、吉村さんも大阪府知事の任期を終えたら目的も無くなって政治から引退しちゃうかもしれません。とはいえ、維新さんとしては、国会議員ではない吉村さんが代表である以上、結局は議員として藤田文武さんや遠藤敬さんを窓口に立てざるを得ず、そこへなぜか阿部圭史さんが出てきていろいろかき回されるという事態になっています。維新さん大丈夫なのかと、連立を組む側としては心配になってしまうでしょう。
客観的に見て、官邸入りした遠藤敬さんも維新さんの交渉窓口として責任を果たした藤田文武さんも、いずれも維新さんとしては得難い優秀な人物であることは間違いありません。他方で、どうしても維新の会さんの求める政策は副都心構想にせよ議員定数削減にせよ、社会保障と経済発展に課題を抱える日本において切り札となるような政策とはとても言えるものではなく、また、大阪以外の維新さん候補に投票をしたくなるような政策パッケージではないのでなかなか困難な状態になっています。
NHK公開討論不参加の高市首相
で、選挙戦が始まるや、総理・高市早苗さん固有の爆弾とも言えるリウマチ等ご持病の話が再燃し、NHKでの党首・代表の公開討論への参加を見合わせるという話ですったもんだしました。ずっと具合が悪そうにしていたのに、選挙に勝つために全国遊説で飛ばれることになって、非常に可哀想な面もあります。まあ、ご自身が解散したのだから頑張らざるを得ないのでしょうけれども……。
これで支持率が急落したらだるいなと思っていたのですが、有権者の受け止めはかなり冷静で、途中から頑張っている高市さんがいじめられて可哀想的なモードになって、国のトップの健康問題という本来なら資質が疑われるようなことでも好意的に受け止められて「マジか」と思う次第であります。
ただ、“おんな大将”として1月31日に「円安でホクホク状態」と川崎市で発言してしまったり、経済政策で火種を作って表に出すと野党の皆さんから集中砲火を浴びて失言から失速するんじゃないかという懸念もあるのでしょう。
人気のある高市さんは遊説先のホールや公会堂など室内で思う存分しゃべっていただきたい、という判断になるわけです。高市さんの政治家としての想いが強いのは大変素晴らしいことですが、時と場合を選ぶことも大事なのではないかとは思います(意味深)。
みずほが出したレポートの破壊力
そんな中、高市経済政策は素晴らしいと太鼓を叩いていたはずのみずほフィナンシャルグループで、2月2日にエコノミストがこの発言をこき下ろすレポート『高市演説を受けて〜危うい現状認識〜』を書いてネットでバズってしまいました。
個人的にはそう言われてもしょうがないだろと思うぐらいマーケット的にはコンセンサスが得られる内容でしたが、選挙期間中に太鼓を叩いてくれていたはずのみずほで高市政権の看板政策を正面から否定され、しかも各種メディアで報じられたことからみんなブチ切れて顔真っ赤であります。まあ、タイトルが煽り過ぎだわな。
マーケットや経済学の人たちは「正しいことを正しいと言って何が悪い」という考えが多いんですが、トランプ関税もそうですが政治的には人気者が国民からの支持を得て微妙な経済政策をブチ上げてもマーケットは静かに反撃するか、周辺の分かってる人がスクラム組んで羽交い絞めにして現実的な政策に落とし直すしかないわけです。
マーケット的に当たり前のことを書かれただけでも、公職選挙の期間中なら普段市場の情報等を見ない一般の有権者が「あの『みずほ銀行』が高市政権の経済政策を全否定!」みたいな報道のされ方をしてしまうわけで、タイミングが悪かったですね。何より、ネットでも「親中派のみずほ銀行が反高市で選挙妨害している」みたいな陰謀論も多数飛び交う始末であります。
そして何より一番嫌なのは、一連の騒ぎの結果、高市さん本人というよりも周辺が噴き上がって政策転換に抵抗しそうな雰囲気がマキシマムなことで、世の中うまくいかないものだなと思うわけです。
これを機に、周辺にいる変な自称経済評論家は全部切って政策転換したほうがという気もしますが、なにぶんアベノミクス後継の「責任ある積極財政」は高市政権の看板政策になってしまったので、旗を降ろすにも降ろし方に段取りがあります。
複数年度会計とかそういうイケてる話は残しながら、意味不明な部分は削ろうぜという話が進むといいんですが、こう、何と言いますか、他人に強く言われると絶対曲げないというか、そういう素敵な感じでありまして、まあその。
れいわ、共産、社民の終焉が見えてくる
他方で、あれだけ騒いだ政治とカネの問題は、当該本人が選挙に出て勝ってしまえば、もう禊みそぎは済んだだろうということになりつつあります。
また、長年自民党と公明党さんの間で懸案であった政治資金規正法の改正についても、圧倒的に分厚い白紙委任状が高市さんの手に渡れば「有権者はそんなことは求めていない。カネの問題は終わった、働く議員が集まって働いて働いて働いてまいります」ということで場流れすることになるでしょう。
それどころか、自民党と維新さんとで3分の2以上になれば、文字通り憲法改正議論も進むでしょうし、参議院とのねじれ現象を解決するためにも与野党での再編は待ったなしになります。そんな日本政治でいいのかと言われる人も少なくないかもしれませんが、そんな日本政治になると思うので、当面は諦めましょう。
そうなると、「ネオ55年体制3.0」とでも呼ぶべき、自民党内での権力闘争が主な政治事項となり、2027年の地方統一選挙を挟んで、岸田文雄さんの時に大勝して以来の参院選(2028年)がやってきます。
そこまで支持率が続けば衆参ダブル選挙かもしれませんが、少なくとも衆議院選挙は3年はやらないだろうと見込めば、野党側、特に泡沫政党側は数年間冷たいごはんを食べ続けて生き残れるのかという問題が発生します。
れいわ新選組さんや日本共産党さんは社民党さんと並んで存続の危機でしょうし、有権者の支持を集めるために生き残りをかけた再編になる一方、大正義高市自民と組んで貴重な参議院の議席を献上する運びもあるかもしれません。
その意味では、戦後反自民党の受け皿となってきた旧社会党や日本共産党をはじめとした、いわゆる左派・リベラル勢力の終わりを迎える選挙になるんじゃないでしょうか。議席を失った左翼勢力が再編しても、当面選挙もなく政治的に外野に置かれるということであれば、そもそも政党として成り立ちません。
所属する地方議員がしっかり地方に根を張って、捲土重来のため3年頑張れるかというのが「リベラル勢力の解体的危機」に対抗できる唯一の方法論となることでしょう。中道改革連合さんも、ハコとして維持できるのかという議論もあるでしょうし。
リベラルに決定的に足りなかった知見
左派・リベラル勢力は、いわゆるジェンダー問題や反貧困のような若者特有の教条主義的な活動を除けば、労働組合を含めて本当に高齢化してしまいました。個別に見ていけば大事なこともたくさん主張していると思うのですが、肝心の、生きていくための政策、経済とか生産性とか税制とか外交政策とか、そういう政権担当能力を構成する知見が不足しているのがリベラル勢力の特徴と言えます。
原発事故が起きたら全部原発止めちゃうとかさ。思い返せば安倍晋三政権の反安保法制で名声を高めたSEALDs以降、若者も含めて政治参加を実現できた国民運動的なものは影を潜め、政治的な成功を収めることはありませんでした。このことは特筆されるべきです。
また今回の選挙は「高市」か「NO高市」かという信認選挙の様相を呈しており、具体的で有効な政策が争点として不在のまま、印象と感情でなんとなく消極的支持が与党側に流れるという元祖ポピュリズム選挙のような状態になってしまっています。
で、これから日本はどうなるんだっけ
選挙戦を間近で拝見している私ですら、これってどういう選挙なんだっけと思ってしまうぐらい、国家観や社会をどうするか、成長戦略は、私たちの老後は、子育ては、少子化や外国人の皆さんをどうするのかといった、日本が進むべき道筋の具体論があまり見えてこない選挙になっています。
あえてそれを言わないで争点を全部潰したのは高市政権の戦術ではありましたが、そこで明確な対立軸を打ち出せなかったのは野党側というよりもむしろ既存マスコミだったのではないかとすら思います。「物価高」という争点の設定は、あまりにも大雑把すぎたのではないでしょうか。
2月8日の夜、開票速報を見ながら私たちは何を思うのでしょう。勝った負けたの数字を追いながらも、ふと『で、これから日本はどうなるんだっけ』という問いだけが宙に浮く。そんな選挙を、私たちは選んでしまったのかもしれません。
投開票日当日は非常に寒く、雪の降る地域も多いとのことですので、期日前投票も含め、皆さまお気をつけて投票所まで足をお運びください。
PRESIDENT Online、2026/02/05 7:00
もう誰も高市早苗を止められない……
衆院選"自民爆勝"で日本人が払わされる「危うい」経済政策の高い代償
若者がピンとこない「リベラル勢力解体ショー」
(山本 一郎、情報法制研究所 事務局次長・上席研究員)
https://president.jp/articles/-/108648
2026年2月8日投開票の衆院選は、中盤戦に入りメディア各社の情勢調査が出揃いました。その結果を見て、全国1億2000万人の有権者が一斉に椅子から転げ落ちたのではないでしょうか。
なんすか、その自由民主党圧勝は。
もちろん、情勢分析はあくまで予測であって、投票箱のふたを開けてみないことには結果などだれにも分からないわけですが。
特に朝日新聞が「自由民主党単独で300議席獲得も視野」というメガトン級の選挙予測を報じたときは、見える世界の景色が装いを変えました。
単独過半数の233議席どころか、300という数字は憲法改正の発議に必要な3分の2を単独で超えかねない勢いを意味します。そうなると連立を組む日本維新の会さんは、果たして高市政権の進めたい政策を推進するうえで本当に必要なのかという話にすらなってしまいますが、維新さんとしては大丈夫なのでしょうか。
現在、各自治体での期日前投票の出口調査も粛々と進んでいますが、今冬は記録的な豪雪に見舞われた地域も多く、調査員の確保すらままならないところもあるほど難航しています。
それでも見えてきた傾向として、2025年自民党総裁選で高市早苗さんが党員・党友さん票の多数を都市部から集めたという逸話どおり、人口集積地域で特に強い支持を得ていることが挙げられます。
中道を支えるのは高齢者だけ
今回の選挙では全年代層で自民党がトップの得票となっていますが、これは自民党支持層をきちんと固めたうえで、無党派層からの支持も40%を超える地域があるからです。特に子育て政策を推してるわけでもないのに都市部に住む子育て勤労層30代40代に強い高市早苗さんは、そういう人が支持したくなる「イメージ」をもっているんでしょう。
この都市部での異様な強さをテコに、比例代表でも70議席を目指すという調査結果が出ています。実際には60議席台前半に落ち着くかもしれませんが、それでも驚異的な数字であることに変わりはありません。
一方、目下派手に伸び悩んでいるのが中道改革連合です。これから旧公明党さんの支持団体である創価学会さんに檄が飛び、各選挙区で本格的に中道候補の皆さんに票が集まっていくものと予測されます。勝負はこれからです。
ところが、肝心の旧立憲民主党さんの支持者のうち、中道に投票している層は5割ちょっとしかいません。残りの4割は仏敵でしょうか。しかも中道全体の支持層を見ると、高齢者支持の多い立憲さんと、やはり高齢者支持の多い公明党さんとが合わさって、ただただ高齢者からの支持が多い中道さんになってしまいました。
この層、特に重視する政策が「物価高」と「年金・社会保障」でほとんど説明がついてしまい、社会の活力に繋がる「出生・子育て教育」や「科学技術・産業育成」は下位に沈んでいます。意図したわけではないのでしょうが、そういう政党に仕上がってしまったのかもしれません。組織の尻にはムチが入っているのでしょうが、支持がなかなか広がっていかない状況です。
誰も見いだせていない「選挙の意義」
常設パネルなどでも情報を取っていますが、小サンプルながら見えてきた傾向として、職場や学校、地域などで政治の話をしない風潮が非常に強まっています。それもあってか、かつて公明党さんの必殺技だったフレンド票の30代以下の掘り起こしに苦労しているものと見られます。
投票先を決めていない若い人がいたとしても、その人に、会って話してみないことには票は掘り起こせませんからね。投票先をまだ決めていない若者に出会うことができず、また、彼らが政治的な話題をしたがらないという状況で票を集めることは至難なのでしょう。
そして、今回の選挙で野党が中盤まで苦戦を強いられている大きな理由は「争点が分からない」ことにあります。先日、プレジデントオンラインに高市早苗さんへの白紙委任状を求める選挙であると書かせていただきましたが、まさにその構図がそのまんま現実のものとなっています。
国民生活の根幹にある争点は「物価高」のはずですが、これは年金問題も円安も賃上げもマンション価格高騰も全部セットになった複合的な問題です。全部盛りのスペシャル二郎みたいなもので、国民有権者からすると政策のどこをどう変えれば生活が楽になるのか、非常に分かりづらいのです。
しかもマスコミがこぞってこの物価高の解決策として消費税減税を争点に掲げたものだから、話はますます分かりづらい財源の問題へと移ってしまいました。
正直、消費税を減税したところで見た目の手取りは増えますが、本当に物価が下がるかどうかは分かりません。消費税がなくなるのだから、食品にかかる消費税8%分価格が下がる、とはならないのがいまの物価高のむつかしいところで、それには当然「財源」が必要ですから、有権者が「そんなうまい話はないのではないか」と思うのも致し方ないと思うのです。
加えて自民党も維新さんも野党の皆さんも、みんな揃って消費税減税を主張するものですから、全員仲良く埋没してしまいました。それならまあなんか頑張ってる風の高市さんでいいじゃないか、と消極的支持の地滑り的発生が起きているものと見られます。
国民民主、参政乱立で自民有利に
そんな中、唯一空気を読まず消費税減税に反対と言い始めたチームみらいさんが、都知事選での石丸伸二現象や参政党ブームと同じように「他とは違う、既存政党ではない何か」という捉えられ方をして、無党派を中心に支持を集めています。もっとも、チームみらいさんは急場での擁立だったからか、経歴のおかしい候補者や選挙協力者がガッツリ紛れていて、さっさと処理しないと面倒なことになってしまいます。党組織としても未熟で、幹事業務が機能してないんじゃないかとすら感じます。
チームみらい単体は、特に比例票で国民民主党やれいわ新選組、旧立憲民主党、日本共産党、参政党各党から、都市部在住の40代以下男性の支持を奪うことで、いきなり台風の目になりました。
自民党からあまり票が流れていないのは、今回の高市早苗さんや自由民主党は実際の業績や実績を評価している有権者によって支えられているからで、既存政党が嫌で自民党には投票したくないという人は今回も帰ってきていないため、チームみらいさんには向かわない、というのが実態ではないかと考えられます。
本来なら争点になるべき医療費も含めた「年金・社会保障」問題だけでなく、前回参院選であれだけブームになった「外国人問題」もすっかり下火になっています。この問題に依存してネットで煽り選挙戦を戦ってきた参政党さんは沈没してしまいました。
また、ガソリン減税や103万・106万の壁という看板政策を高市早苗政権にあっさり丸飲みされてしまった国民民主党さんは、再び「手取りを増やす」というスローガンで挑んだものの、拠って立つ争点が消えてしまったことで埋没し、現有勢力を維持するのも難しい公算となっています。
国民民主党さんが主張していた政策を早々に高市政権に丸飲みされてしまい、特に手柄が無くなって、国民民主党さんを選ぶ理由が無くなってしまったことや、手取りを増やすというスローガンはウケたもののさすがに飽きられてしまった面はあります。保守系野党として野党第一党を目指すためには、玉木雄一郎さんの人気と手取りを増やす政策一本から、もっと幅広な政策での主張が有権者に浸透するような政党への脱皮が求められているとも言えます。
個別の選挙区を見れば、福井1区では連合さんが組織内候補を中道さんから立てようとして、国民民主党さんに対抗馬をぶつけられてブチ切れておりましたが、基本的に高市政権の選挙戦術は、過去の安倍晋三政権時に官房長官だった菅義偉さんと同様、「野党を分断する」という大原則に立ち返っています。
与党のはずの維新さんもなぜか含めて、中道さん、国民さん、参政党さん、その他泡沫政党といった各党が乱立するほど自民党が相対的に票を集め圧勝する、という構図が出来上がっているのです。
国民民主党さんや参政党さんからすれば、とにかく小選挙区で勝てなくてもきちんと候補者を多く擁立し、そこで得られる比例代表に「国民民主党」「参政党」と書いてもらって比例で議席の上積みを目指す作戦に出るわけですが、実際のところ、それは同じく小選挙区に立っているまだ勝てそうな中道改革連合さんの候補者の票を削る効果に直結します。
高市人気の高さは別として、これら小選挙区での候補者乱立が、結果として野党票・政権批判票の分断を促し、自由民主党候補を利する結果に終わってしまっているとも言えます。
そのために「野党は大同団結するべき」とは旧立憲・安住淳さんもお話されていたのですが、中道さんの結党前後の流れを見る限り、これは「俺たちが勝つために、国民民主党は独自路線をあきらめろ」と言っているに等しく、保守系野党で議席獲得を目指す国民民主党さんからすれば初めから乗りようのなかったディールであったと思います。
その点で、先にも述べた通り高齢者に支持のあった旧立憲と旧公明党両党が合併するよりは、まず何よりも若者や都市部・勤労層に人気のある国民民主党さんのほうに寄らないといけなかったのでは、と感じるところです。
大阪以外の維新は悲惨
選挙区情勢でさらに悲惨なのは、大阪以外の維新さんです。いや、全国平均で言えばまあまあ維新さん支持は多いんですよ。なんですが、せっかく各ブロックに前職がいて実績もある議員なのに、自民党に突き放され派手に落選したうえ、供託金ラインに届かないので比例復活もできないという議席すら出てきかねません。
申し訳ない話ですが、せっかく与党なのですから、旧公明党さんのようにこの小選挙区はくださいと大阪以外でもちゃんと議席を確保し、比例で1議席2議席取って最低でも勢力拡大を目指してやっていけるよう手配するべきだっただろうと思います。自分の知る限りでは、電撃解散後もそのような細やかな話し合いは自民維新間では無かったと認識しています。
常識的には、せっかく与党なのだから、いくら電撃解散の超短期決戦だったとしても選挙区調整や選挙協力の在り方は現場ですり合わせをしておいたほうが良かったんじゃないかと。常識的には、ですが。
しかも維新さんは大阪府知事、大阪市長のダブル選挙までやってしまいました。こちらは当然両方勝つとしても、国政選挙で議席を減らすと代表の吉村洋文さんの責任問題になります。個人的にそこまで吉村さんが悪いとも思いませんが、伸び悩んで選挙で負けて、誰かが責任を取れと言われれば吉村さんら執行部が腹を切るしか方法はないでしょう。
下手すると、吉村さんも大阪府知事の任期を終えたら目的も無くなって政治から引退しちゃうかもしれません。とはいえ、維新さんとしては、国会議員ではない吉村さんが代表である以上、結局は議員として藤田文武さんや遠藤敬さんを窓口に立てざるを得ず、そこへなぜか阿部圭史さんが出てきていろいろかき回されるという事態になっています。維新さん大丈夫なのかと、連立を組む側としては心配になってしまうでしょう。
客観的に見て、官邸入りした遠藤敬さんも維新さんの交渉窓口として責任を果たした藤田文武さんも、いずれも維新さんとしては得難い優秀な人物であることは間違いありません。他方で、どうしても維新の会さんの求める政策は副都心構想にせよ議員定数削減にせよ、社会保障と経済発展に課題を抱える日本において切り札となるような政策とはとても言えるものではなく、また、大阪以外の維新さん候補に投票をしたくなるような政策パッケージではないのでなかなか困難な状態になっています。
NHK公開討論不参加の高市首相
で、選挙戦が始まるや、総理・高市早苗さん固有の爆弾とも言えるリウマチ等ご持病の話が再燃し、NHKでの党首・代表の公開討論への参加を見合わせるという話ですったもんだしました。ずっと具合が悪そうにしていたのに、選挙に勝つために全国遊説で飛ばれることになって、非常に可哀想な面もあります。まあ、ご自身が解散したのだから頑張らざるを得ないのでしょうけれども……。
これで支持率が急落したらだるいなと思っていたのですが、有権者の受け止めはかなり冷静で、途中から頑張っている高市さんがいじめられて可哀想的なモードになって、国のトップの健康問題という本来なら資質が疑われるようなことでも好意的に受け止められて「マジか」と思う次第であります。
ただ、“おんな大将”として1月31日に「円安でホクホク状態」と川崎市で発言してしまったり、経済政策で火種を作って表に出すと野党の皆さんから集中砲火を浴びて失言から失速するんじゃないかという懸念もあるのでしょう。
人気のある高市さんは遊説先のホールや公会堂など室内で思う存分しゃべっていただきたい、という判断になるわけです。高市さんの政治家としての想いが強いのは大変素晴らしいことですが、時と場合を選ぶことも大事なのではないかとは思います(意味深)。
みずほが出したレポートの破壊力
そんな中、高市経済政策は素晴らしいと太鼓を叩いていたはずのみずほフィナンシャルグループで、2月2日にエコノミストがこの発言をこき下ろすレポート『高市演説を受けて〜危うい現状認識〜』を書いてネットでバズってしまいました。
個人的にはそう言われてもしょうがないだろと思うぐらいマーケット的にはコンセンサスが得られる内容でしたが、選挙期間中に太鼓を叩いてくれていたはずのみずほで高市政権の看板政策を正面から否定され、しかも各種メディアで報じられたことからみんなブチ切れて顔真っ赤であります。まあ、タイトルが煽り過ぎだわな。
マーケットや経済学の人たちは「正しいことを正しいと言って何が悪い」という考えが多いんですが、トランプ関税もそうですが政治的には人気者が国民からの支持を得て微妙な経済政策をブチ上げてもマーケットは静かに反撃するか、周辺の分かってる人がスクラム組んで羽交い絞めにして現実的な政策に落とし直すしかないわけです。
マーケット的に当たり前のことを書かれただけでも、公職選挙の期間中なら普段市場の情報等を見ない一般の有権者が「あの『みずほ銀行』が高市政権の経済政策を全否定!」みたいな報道のされ方をしてしまうわけで、タイミングが悪かったですね。何より、ネットでも「親中派のみずほ銀行が反高市で選挙妨害している」みたいな陰謀論も多数飛び交う始末であります。
そして何より一番嫌なのは、一連の騒ぎの結果、高市さん本人というよりも周辺が噴き上がって政策転換に抵抗しそうな雰囲気がマキシマムなことで、世の中うまくいかないものだなと思うわけです。
これを機に、周辺にいる変な自称経済評論家は全部切って政策転換したほうがという気もしますが、なにぶんアベノミクス後継の「責任ある積極財政」は高市政権の看板政策になってしまったので、旗を降ろすにも降ろし方に段取りがあります。
複数年度会計とかそういうイケてる話は残しながら、意味不明な部分は削ろうぜという話が進むといいんですが、こう、何と言いますか、他人に強く言われると絶対曲げないというか、そういう素敵な感じでありまして、まあその。
れいわ、共産、社民の終焉が見えてくる
他方で、あれだけ騒いだ政治とカネの問題は、当該本人が選挙に出て勝ってしまえば、もう禊みそぎは済んだだろうということになりつつあります。
また、長年自民党と公明党さんの間で懸案であった政治資金規正法の改正についても、圧倒的に分厚い白紙委任状が高市さんの手に渡れば「有権者はそんなことは求めていない。カネの問題は終わった、働く議員が集まって働いて働いて働いてまいります」ということで場流れすることになるでしょう。
それどころか、自民党と維新さんとで3分の2以上になれば、文字通り憲法改正議論も進むでしょうし、参議院とのねじれ現象を解決するためにも与野党での再編は待ったなしになります。そんな日本政治でいいのかと言われる人も少なくないかもしれませんが、そんな日本政治になると思うので、当面は諦めましょう。
そうなると、「ネオ55年体制3.0」とでも呼ぶべき、自民党内での権力闘争が主な政治事項となり、2027年の地方統一選挙を挟んで、岸田文雄さんの時に大勝して以来の参院選(2028年)がやってきます。
そこまで支持率が続けば衆参ダブル選挙かもしれませんが、少なくとも衆議院選挙は3年はやらないだろうと見込めば、野党側、特に泡沫政党側は数年間冷たいごはんを食べ続けて生き残れるのかという問題が発生します。
れいわ新選組さんや日本共産党さんは社民党さんと並んで存続の危機でしょうし、有権者の支持を集めるために生き残りをかけた再編になる一方、大正義高市自民と組んで貴重な参議院の議席を献上する運びもあるかもしれません。
その意味では、戦後反自民党の受け皿となってきた旧社会党や日本共産党をはじめとした、いわゆる左派・リベラル勢力の終わりを迎える選挙になるんじゃないでしょうか。議席を失った左翼勢力が再編しても、当面選挙もなく政治的に外野に置かれるということであれば、そもそも政党として成り立ちません。
所属する地方議員がしっかり地方に根を張って、捲土重来のため3年頑張れるかというのが「リベラル勢力の解体的危機」に対抗できる唯一の方法論となることでしょう。中道改革連合さんも、ハコとして維持できるのかという議論もあるでしょうし。
リベラルに決定的に足りなかった知見
左派・リベラル勢力は、いわゆるジェンダー問題や反貧困のような若者特有の教条主義的な活動を除けば、労働組合を含めて本当に高齢化してしまいました。個別に見ていけば大事なこともたくさん主張していると思うのですが、肝心の、生きていくための政策、経済とか生産性とか税制とか外交政策とか、そういう政権担当能力を構成する知見が不足しているのがリベラル勢力の特徴と言えます。
原発事故が起きたら全部原発止めちゃうとかさ。思い返せば安倍晋三政権の反安保法制で名声を高めたSEALDs以降、若者も含めて政治参加を実現できた国民運動的なものは影を潜め、政治的な成功を収めることはありませんでした。このことは特筆されるべきです。
また今回の選挙は「高市」か「NO高市」かという信認選挙の様相を呈しており、具体的で有効な政策が争点として不在のまま、印象と感情でなんとなく消極的支持が与党側に流れるという元祖ポピュリズム選挙のような状態になってしまっています。
で、これから日本はどうなるんだっけ
選挙戦を間近で拝見している私ですら、これってどういう選挙なんだっけと思ってしまうぐらい、国家観や社会をどうするか、成長戦略は、私たちの老後は、子育ては、少子化や外国人の皆さんをどうするのかといった、日本が進むべき道筋の具体論があまり見えてこない選挙になっています。
あえてそれを言わないで争点を全部潰したのは高市政権の戦術ではありましたが、そこで明確な対立軸を打ち出せなかったのは野党側というよりもむしろ既存マスコミだったのではないかとすら思います。「物価高」という争点の設定は、あまりにも大雑把すぎたのではないでしょうか。
2月8日の夜、開票速報を見ながら私たちは何を思うのでしょう。勝った負けたの数字を追いながらも、ふと『で、これから日本はどうなるんだっけ』という問いだけが宙に浮く。そんな選挙を、私たちは選んでしまったのかもしれません。
投開票日当日は非常に寒く、雪の降る地域も多いとのことですので、期日前投票も含め、皆さまお気をつけて投票所まで足をお運びください。
PRESIDENT Online、2026/02/05 7:00
もう誰も高市早苗を止められない……
衆院選"自民爆勝"で日本人が払わされる「危うい」経済政策の高い代償
若者がピンとこない「リベラル勢力解体ショー」
(山本 一郎、情報法制研究所 事務局次長・上席研究員)
https://president.jp/articles/-/108648
田中龍作、自民党に勝たせたら独裁国家
高市首相の後援会「早世会」の後援会長は、旧統一協会幹部だそうだ。
「世」という漢字が後援会名に入っている議員・候補者は皆、旧統一教会関係だそうだ。
世は、世界日報の一文字。
これで、高市首相は、よくも旧統一教会のことは知らない、関係は全くないと臆面もなく述べたものだ。
ここでもウソを述べ、その上、カルトと密接な関係を築いている。
高市首相の名は、旧統一教会の内部文書TM(トル―マザー)報告書に32回も出てきて、彼女について「自民党総裁に選ばれることが天の最大の願い」とまで書かれている。
旧統一教会とベッタリの関係だ。
カルトが国政に絡むことは、その国にとって由々しきことだ。
「愛国保守」を名乗る極右の高市首相が、どうしてここまで反社のカルトと結びついているのだろうか。
高市首相や、他の旧統一教会と密接な関係の議員に投票することは、この国をカルトに明け渡す同義だ。
[参考]弁護士宮武嶺の社会派リベラルブログ Everyone Says I Love You、2026-02-05
【#高市早苗は統一教会】高市早苗首相の後援会長が統一教会の幹部。高市早苗首相が統一教会に挨拶状。高市早苗首相のパーティ券を統一教会が購入【#高市モームリ】
安倍晋三と自民党政治と統一教会、卑怯で間抜けな極右政治家高市早苗
https://raymiyatake09.hatenablog.com/
ステトスコープ・チェロ・電鍵、2026/02/05 15:23
高市首相 旧統一教会とベッタリ
http://nuttycellist.blog77.fc2.com/blog-entry-19858.html
スターをひとめ見ようとする人たちで会場は身動きが取れないほど一杯になった。
移動するのにも押し合いへし合いしなければならないのだ。
「オマエなんだよ!さっきから押しやがって」
田中の前を行くオヤジはすっかりケンカ腰だった。
人気者だった安倍首相の街宣をしのぐ人出である。
これだけでも驚きだ。
高市首相がきょう2026年2月3日、所沢駅西口で柴山昌彦候補(埼玉8区)の応援演説をした。
人気が上すべりでなく投票に結び付けば、新聞テレビの予想通り自民単独で過半数を取ることになる。
前回2024年の総選挙で落選の憂き目を見た裏金議員や壺議員は議席を取り戻すことになる。
初当選者も少なからず出てくるだろう。
大量の自民党候補者が国会議員になるのだ。
彼らは高市首相を神様のように崇めたてるようになる。
総理総裁は選挙に勝つことが何よりだ。
強固な党内基盤に支えられて高市首相は何だってできるようになる。
スパイ防止法、憲法改悪にとどまらない。
司法や行政を壟断(ろうだん)できるのだ。
安倍政権以上の独裁となる・・・想像するだに恐ろしい。
田中は現場で韓国のテレビ局KBSにインタビューされた。
記者は流暢な日本語で「どんな選挙になりますか?」と聞かれた。
田中は「自民党に勝たせたら独裁国家になる。崖っぷちの選挙だ」と答えた。
公明党・創価学会に精通した知人のジャーナリストは、自民圧勝に首を傾げる。
学会は原田会長の号令のもと中道に投票する。
自民党に流れたとしても、ごく僅かというのだ。
昨年2025年末、公明党が自民党との連立を解消した時、自民党は40〜50議席を失うとする試算があった。
「自民圧勝」なんて夢物語なのである。
選挙の行方は学会票の行方にかかっていると言えよう。
仏が勝てば高市早苗は神になり損なう。
◇ ◇ ◇
[読者の皆様へ]
田中はシリアやベネズエラなど世界の独裁国家の恐ろしさを見てきただけに、今回の選挙には並々ならぬ危機感を抱いております。
高市自民に選挙を勝たせてはならないのです。
独裁国家になればもっと貧困が蔓延(はびこ)ります。
言論の自由はなくなります。
捜査機関は拷問さえできるようになります。
新聞テレビと違って、高市独裁に警鐘を鳴らすのが田中龍作ジャーナルです。
その取材活動をお支え下さい。大赤字となっております。
[写真‐1]
高市首相の腕は自在に動いていた。NHK日曜討論をドタキャンするような傷を負ったようには見えなかった。=3日、所沢市
[写真‐2]
街宣会場は人で埋まり身動きがとれなかった。安倍首相の時でも少しは動けたのだが。=3日、所沢市
[写真‐3]
女性は早苗ポーチと日章旗を手に声援を送り続けた。=3日、所沢市
田中龍作ジャーナル、2026年2月3日 21:35
高市早苗は神様になるのか
https://tanakaryusaku.jp/2026/02/00033200
「高市さんは『仲間感』を出すのがうまい」
「過剰に騒がれているかも」
終盤戦に入った2026年2月8日投開票の衆院選で、選挙結果に影響するのが無党派層、とりわけ若年層の動向とされる。
若者に広がる「高市人気」は本当なのか。各党の公約をどう受け止めているのか。
若者の政治参加を推進する島根大のグループ「ポリレンジャー」に所属する1、2年生5人の本音を聞いた。
昨年2025年10月に発足した高市早苗政権は高支持率を維持している。
中でも若年層は割合が高く、18歳〜20代の支持率が90%を超えたとする世論調査もある。
「推し活」に絡めて「サナ活」という造語も生まれた。
この現象に宮崎花さん(20)=福岡県出身=は「言葉が分かりやすく、人間的なところが受け入れられているのではないか」とみる。
従来の政治家は、自分たちとかけ離れた「記号的存在」に見えていたという。
交流サイト(SNS)で政策を発信する高市首相を見て「(政治家を)一人の人間として捉える動きが強まった」と話す。
湯木諒さん(20)=兵庫県出身=は政策の具体論より、理想論が先行している傾向があるとし「気軽に政治を見たい人には刺さると思う。ネットの意見を取り入れながら共同体をつくり『仲間だぜ感』を演出するのがとてもうまい」と分析する。
政権発足間もない段階で解散に踏み切った点について瀬尾夏葵さん(20)=広島県出身=は「友人たちと話していると『成果は何も出ていない』との声が上がる。過剰に騒がれている感じはする」と見つめ、SNSの動画拡散が「若者=高市支持」の雰囲気をつくりだしているとみる。
ほとんどの党が公約に掲げる消費税減税に対しては実効性を疑問視し、将来負担増を懸念する声が上がった。
石井詩乃さん(19)=岡山県出身=は「各党の主張は怪しいと思っている。私たちにツケが回ってくるのではないか」と嘆息。
杉本暖仁さん(19)=熊本県出身=は「減税の言葉だけ聞くとうれしいが、本当に踏み切った時、何を代替財源にするのか(各党の主張が)いまいち納得できない」とした。
[写真]高市政権や衆院選の争点について語る学生たち=松江市西川津町、島根大松江キャンパス
[図解]座談会で出た学生の主な発言
山陰中央新報デジタル、2026/2/5 17:59
衆院選2026
若者の「高市人気」は本当? 島根大生が語る本音
「言葉が分かりやすい」
「過剰に騒がれているかも」
(白築昂、新藤正春)
https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/944041
「世」という漢字が後援会名に入っている議員・候補者は皆、旧統一教会関係だそうだ。
世は、世界日報の一文字。
これで、高市首相は、よくも旧統一教会のことは知らない、関係は全くないと臆面もなく述べたものだ。
ここでもウソを述べ、その上、カルトと密接な関係を築いている。
高市首相の名は、旧統一教会の内部文書TM(トル―マザー)報告書に32回も出てきて、彼女について「自民党総裁に選ばれることが天の最大の願い」とまで書かれている。
旧統一教会とベッタリの関係だ。
カルトが国政に絡むことは、その国にとって由々しきことだ。
「愛国保守」を名乗る極右の高市首相が、どうしてここまで反社のカルトと結びついているのだろうか。
高市首相や、他の旧統一教会と密接な関係の議員に投票することは、この国をカルトに明け渡す同義だ。
[参考]弁護士宮武嶺の社会派リベラルブログ Everyone Says I Love You、2026-02-05
【#高市早苗は統一教会】高市早苗首相の後援会長が統一教会の幹部。高市早苗首相が統一教会に挨拶状。高市早苗首相のパーティ券を統一教会が購入【#高市モームリ】
安倍晋三と自民党政治と統一教会、卑怯で間抜けな極右政治家高市早苗
https://raymiyatake09.hatenablog.com/
ステトスコープ・チェロ・電鍵、2026/02/05 15:23
高市首相 旧統一教会とベッタリ
http://nuttycellist.blog77.fc2.com/blog-entry-19858.html
スターをひとめ見ようとする人たちで会場は身動きが取れないほど一杯になった。
移動するのにも押し合いへし合いしなければならないのだ。
「オマエなんだよ!さっきから押しやがって」
田中の前を行くオヤジはすっかりケンカ腰だった。
人気者だった安倍首相の街宣をしのぐ人出である。
これだけでも驚きだ。
高市首相がきょう2026年2月3日、所沢駅西口で柴山昌彦候補(埼玉8区)の応援演説をした。
人気が上すべりでなく投票に結び付けば、新聞テレビの予想通り自民単独で過半数を取ることになる。
前回2024年の総選挙で落選の憂き目を見た裏金議員や壺議員は議席を取り戻すことになる。
初当選者も少なからず出てくるだろう。
大量の自民党候補者が国会議員になるのだ。
彼らは高市首相を神様のように崇めたてるようになる。
総理総裁は選挙に勝つことが何よりだ。
強固な党内基盤に支えられて高市首相は何だってできるようになる。
スパイ防止法、憲法改悪にとどまらない。
司法や行政を壟断(ろうだん)できるのだ。
安倍政権以上の独裁となる・・・想像するだに恐ろしい。
田中は現場で韓国のテレビ局KBSにインタビューされた。
記者は流暢な日本語で「どんな選挙になりますか?」と聞かれた。
田中は「自民党に勝たせたら独裁国家になる。崖っぷちの選挙だ」と答えた。
公明党・創価学会に精通した知人のジャーナリストは、自民圧勝に首を傾げる。
学会は原田会長の号令のもと中道に投票する。
自民党に流れたとしても、ごく僅かというのだ。
昨年2025年末、公明党が自民党との連立を解消した時、自民党は40〜50議席を失うとする試算があった。
「自民圧勝」なんて夢物語なのである。
選挙の行方は学会票の行方にかかっていると言えよう。
仏が勝てば高市早苗は神になり損なう。
◇ ◇ ◇
[読者の皆様へ]
田中はシリアやベネズエラなど世界の独裁国家の恐ろしさを見てきただけに、今回の選挙には並々ならぬ危機感を抱いております。
高市自民に選挙を勝たせてはならないのです。
独裁国家になればもっと貧困が蔓延(はびこ)ります。
言論の自由はなくなります。
捜査機関は拷問さえできるようになります。
新聞テレビと違って、高市独裁に警鐘を鳴らすのが田中龍作ジャーナルです。
その取材活動をお支え下さい。大赤字となっております。
[写真‐1]
高市首相の腕は自在に動いていた。NHK日曜討論をドタキャンするような傷を負ったようには見えなかった。=3日、所沢市
[写真‐2]
街宣会場は人で埋まり身動きがとれなかった。安倍首相の時でも少しは動けたのだが。=3日、所沢市
[写真‐3]
女性は早苗ポーチと日章旗を手に声援を送り続けた。=3日、所沢市
田中龍作ジャーナル、2026年2月3日 21:35
高市早苗は神様になるのか
https://tanakaryusaku.jp/2026/02/00033200
「高市さんは『仲間感』を出すのがうまい」
「過剰に騒がれているかも」
終盤戦に入った2026年2月8日投開票の衆院選で、選挙結果に影響するのが無党派層、とりわけ若年層の動向とされる。
若者に広がる「高市人気」は本当なのか。各党の公約をどう受け止めているのか。
若者の政治参加を推進する島根大のグループ「ポリレンジャー」に所属する1、2年生5人の本音を聞いた。
昨年2025年10月に発足した高市早苗政権は高支持率を維持している。
中でも若年層は割合が高く、18歳〜20代の支持率が90%を超えたとする世論調査もある。
「推し活」に絡めて「サナ活」という造語も生まれた。
この現象に宮崎花さん(20)=福岡県出身=は「言葉が分かりやすく、人間的なところが受け入れられているのではないか」とみる。
従来の政治家は、自分たちとかけ離れた「記号的存在」に見えていたという。
交流サイト(SNS)で政策を発信する高市首相を見て「(政治家を)一人の人間として捉える動きが強まった」と話す。
湯木諒さん(20)=兵庫県出身=は政策の具体論より、理想論が先行している傾向があるとし「気軽に政治を見たい人には刺さると思う。ネットの意見を取り入れながら共同体をつくり『仲間だぜ感』を演出するのがとてもうまい」と分析する。
政権発足間もない段階で解散に踏み切った点について瀬尾夏葵さん(20)=広島県出身=は「友人たちと話していると『成果は何も出ていない』との声が上がる。過剰に騒がれている感じはする」と見つめ、SNSの動画拡散が「若者=高市支持」の雰囲気をつくりだしているとみる。
ほとんどの党が公約に掲げる消費税減税に対しては実効性を疑問視し、将来負担増を懸念する声が上がった。
石井詩乃さん(19)=岡山県出身=は「各党の主張は怪しいと思っている。私たちにツケが回ってくるのではないか」と嘆息。
杉本暖仁さん(19)=熊本県出身=は「減税の言葉だけ聞くとうれしいが、本当に踏み切った時、何を代替財源にするのか(各党の主張が)いまいち納得できない」とした。
[写真]高市政権や衆院選の争点について語る学生たち=松江市西川津町、島根大松江キャンパス
[図解]座談会で出た学生の主な発言
山陰中央新報デジタル、2026/2/5 17:59
衆院選2026
若者の「高市人気」は本当? 島根大生が語る本音
「言葉が分かりやすい」
「過剰に騒がれているかも」
(白築昂、新藤正春)
https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/944041
2026年02月05日
橋本愛、戦争しない・させない
潮騒のメモリーズ〜『あまちゃん』
https://www.youtube.com/watch?v=PPGmO1LTY5I
『あまちゃん』の挿入歌、潮騒のメモリー(作詞:宮藤官九郎、作曲:大友良英)
2026年2月3日、女優の橋本愛(30)が自身のThreads (スレッズ)を更新し、2月8日に投開票を控えた衆議院選について思いを綴り、話題を集めている。
橋本は同日に《本当にしんどい》と感情を吐露するポストを投稿。
そして次の投稿で《どうしてまっとうなことを言葉にするのにこんなにも勇気が必要なんだろう
戦争しない・させない、差別しない・させない
選挙行かなきゃ
微力だろうと 0 じゃない、1 は既に 1 以上の最大数の規模を孕んでいるから》と思いを明かした。
この橋本の投稿に対し、SNSやネットニュースのコメント欄ではさまざまな反響が上がっている。
《有名な方がどんどん投票を呼び掛けて、投票に行くことが当たり前という世の中になってもらいたいです》
《橋本愛さんは若い時からしっかりと物事を考えて自分の意見を言葉にしていて立派です》
《橋本愛ちゃん、聡くて嘘がなくて、ほんとに好きな俳優さんだよ……全力で支持します》
橋本といえば、2023年から隔月ほどのペースで『週刊文春』に寄稿している『橋本愛 私の読書日記』という書評連載が度々話題を集めていることで知られる。
昨年2025年10月には同誌で『ヘイトスピーチ 「愛国者」たちの憎悪と暴力』(安田浩一、文春新書)を書評し、“排外主義者”について以下のような見解を述べていた。
《自覚的に排外的な行動をとる者もいれば、加害の自覚のない者や、自らのストレス発散や仲間を得ること、自己陶酔などの“手段”に重きを置く者などさまざまだが、彼らは自分の言動で、人を“殺せる”ことを知っている。それを望んでいる、あるいは、どうなろうとも関心も責任感もない。「殺すな」という私たちの叫びは、「殺せ」というシュプレヒコールにかき消されそうになる》
(『週刊文春』‘25年10月16日号)※
執筆のモチベーションについて、橋本は《私は「誰かを救いたい」から書いているんじゃなくて、「誰も傷つけたくない」が一番の原動力になっています》(『CINRA』2026年1月23日公開)と語っていた。
「橋本さんは20代後半に、自らの無知ゆえに自分の言動で人を傷つけてしまったことがあり、それを猛省したという出来事があったのだとか。それ以来『知ることから逃げない』と決め、役者の仕事でも“極限まで役柄の背景や人生を知ること”に務めているそう。演じる脚本や企画書に関しても、気になる表現などがあると積極的に自分の懸念を制作側に伝えることもあるといいます。橋本さんの『戦争しない・させない、差別しない・させない』という言葉には、彼女の“誰も傷つけたくない”という願いが反映されているのかもしれません」
(芸能プロダクション関係者)
[写真]橋本愛
女性自身、2026/02/04 12:33
橋本愛
「戦争しない・させない」衆院選への思いにネット反響多数……
突き動かす“誰も傷つけたくない”信条
https://jisin.jp/entertainment/entertainment-news/2562845/
東北・北三陸の小さな町を舞台に、ヒロインの天野アキ(能年玲奈、現のん)が祖母に憧れて海女を目指し、やがて地元のアイドルになっていく物語。私が演じたのは、アキの高校の同級生で、ローカルアイドル「潮騒のメモリーズ」を一緒に結成するユイちゃんでした。
役が決まったときは、それほど出番が多くないと思い込んでいて、伸びやかにやれるかなと楽にとらえていたんです。でも演じるうちに、思ったよりもユイちゃんの役割が大きいことに気づいて、それからは役の重要さに震えていました(笑)。
当時の私はお仕事への意識も、役への向き合い方も今とは全然違っていました。丸裸のまま、動物的に演じていたような感じだったので、振り返ると「よくやれたな」と思います。恥ずかしいですね。どうお芝居していいかも分からない中で演じていたので、どのシーンも難しかったですが、気合いで乗り切っていたのを覚えています。
なかでも苦労したのが、ユイちゃんの笑顔の場面。アイドルを夢見る女の子らしく、作り笑顔で周囲に愛想を振りまくシーンが多かったんですよ。でも私自身は愛想を振りまくのが苦手なタイプなので「どうやったらいいの? うまく笑えてるかな?」といつも気になっていました。だからというワケではないのですが、ユイちゃんが途中でヤンキーになったところは、楽しく演じられました。「こっちのほうが楽だな」って(笑)。
ずっと変わらず周りの人に勇気を与え続けてくれるアキちゃんに対し、ユイちゃんは変わり続けることで人の心を打つ子でした。当初は地元でも有名な美少女として描かれていましたが、アイドルを夢見て上京しようとするも挫折。母親の失踪や父親の介護を抱え、ヤンキーになって荒れた生活を送ったりもします。状況がコロコロ変わり、逆境に立たされるユイちゃんを演じるのは難しかったけれど、その分、本当に楽しかったです。
※ 橋本愛(はしもと あい、1996年、熊本県出身)
俳優。主な出演作品に、ドラマ『同期のサクラ』『パレートの誤算〜ケースワーカー殺人事件』『35歳の少女』、映画『リトル・フォレスト』シリーズ『PARKSパークス』『ここは退屈迎えに来て』『私をくいとめて』など。NHKでは連続テレビ小説『あまちゃん』大河ドラマ『西郷どん』『いだてん〜東京オリムピック噺〜』『長閑の庭』などに出演している。
NHK・インタビュー
連続テレビ小説 あまちゃん(2013)足立ユイ役
https://www2.nhk.or.jp/archives/articles/?id=D0009121993_00000
https://www.youtube.com/watch?v=PPGmO1LTY5I
『あまちゃん』の挿入歌、潮騒のメモリー(作詞:宮藤官九郎、作曲:大友良英)
来てよ その火を 飛び越えて
砂に書いた アイ ミス ユー
北へ帰るの 誰にも会わずに
低気圧に乗って 北へ向かうわ
彼に伝えて 今でも好きだと
ジョニーに伝えて 千円返して
潮騒のメモリー
17才は 寄せては 返す 波のように
激しく
来てよ その火を 飛び越えて
砂に書いた アイ ミス ユー
来てよ タクシー捕まえて
波打ち際の マーメイド
早生まれの マーメイド
置いて行くのね さよならも言わずに
再び会うための 約束もしないで
北へ行くのね ここも北なのに
寒さこらえて 波止場で待つわ
潮騒の メモリー
私はギター Aマイナーの アルペジオ
やさしく
来てよ その火を 飛び越えて
夜空に書いた アイム ソーリー
来てよ その川 乗り越えて
三途の川の マーメイド
友達少ない マーメイド
砂に書いた アイ ミス ユー
北へ帰るの 誰にも会わずに
低気圧に乗って 北へ向かうわ
彼に伝えて 今でも好きだと
ジョニーに伝えて 千円返して
潮騒のメモリー
17才は 寄せては 返す 波のように
激しく
来てよ その火を 飛び越えて
砂に書いた アイ ミス ユー
来てよ タクシー捕まえて
波打ち際の マーメイド
早生まれの マーメイド
置いて行くのね さよならも言わずに
再び会うための 約束もしないで
北へ行くのね ここも北なのに
寒さこらえて 波止場で待つわ
潮騒の メモリー
私はギター Aマイナーの アルペジオ
やさしく
来てよ その火を 飛び越えて
夜空に書いた アイム ソーリー
来てよ その川 乗り越えて
三途の川の マーメイド
友達少ない マーメイド
2026年2月3日、女優の橋本愛(30)が自身のThreads (スレッズ)を更新し、2月8日に投開票を控えた衆議院選について思いを綴り、話題を集めている。
橋本は同日に《本当にしんどい》と感情を吐露するポストを投稿。
そして次の投稿で《どうしてまっとうなことを言葉にするのにこんなにも勇気が必要なんだろう
戦争しない・させない、差別しない・させない
選挙行かなきゃ
微力だろうと 0 じゃない、1 は既に 1 以上の最大数の規模を孕んでいるから》と思いを明かした。
この橋本の投稿に対し、SNSやネットニュースのコメント欄ではさまざまな反響が上がっている。
《有名な方がどんどん投票を呼び掛けて、投票に行くことが当たり前という世の中になってもらいたいです》
《橋本愛さんは若い時からしっかりと物事を考えて自分の意見を言葉にしていて立派です》
《橋本愛ちゃん、聡くて嘘がなくて、ほんとに好きな俳優さんだよ……全力で支持します》
橋本といえば、2023年から隔月ほどのペースで『週刊文春』に寄稿している『橋本愛 私の読書日記』という書評連載が度々話題を集めていることで知られる。
昨年2025年10月には同誌で『ヘイトスピーチ 「愛国者」たちの憎悪と暴力』(安田浩一、文春新書)を書評し、“排外主義者”について以下のような見解を述べていた。
《自覚的に排外的な行動をとる者もいれば、加害の自覚のない者や、自らのストレス発散や仲間を得ること、自己陶酔などの“手段”に重きを置く者などさまざまだが、彼らは自分の言動で、人を“殺せる”ことを知っている。それを望んでいる、あるいは、どうなろうとも関心も責任感もない。「殺すな」という私たちの叫びは、「殺せ」というシュプレヒコールにかき消されそうになる》
(『週刊文春』‘25年10月16日号)※
執筆のモチベーションについて、橋本は《私は「誰かを救いたい」から書いているんじゃなくて、「誰も傷つけたくない」が一番の原動力になっています》(『CINRA』2026年1月23日公開)と語っていた。
「橋本さんは20代後半に、自らの無知ゆえに自分の言動で人を傷つけてしまったことがあり、それを猛省したという出来事があったのだとか。それ以来『知ることから逃げない』と決め、役者の仕事でも“極限まで役柄の背景や人生を知ること”に務めているそう。演じる脚本や企画書に関しても、気になる表現などがあると積極的に自分の懸念を制作側に伝えることもあるといいます。橋本さんの『戦争しない・させない、差別しない・させない』という言葉には、彼女の“誰も傷つけたくない”という願いが反映されているのかもしれません」
(芸能プロダクション関係者)
[写真]橋本愛
女性自身、2026/02/04 12:33
橋本愛
「戦争しない・させない」衆院選への思いにネット反響多数……
突き動かす“誰も傷つけたくない”信条
https://jisin.jp/entertainment/entertainment-news/2562845/
午後0:06 ・ 2025年10月11日、安田浩一のX
読みながら震えた。発売中の『週刊文春』。女優の橋本愛さんによる「私の読書日記」である。なんと、2015年に私が書いた『ヘイトスピーチ・「愛国者」たちの憎悪と暴力」(文春新書・現在は電子書籍で発売中)が取り上げられていた。しかも、その「日記」の中身が単なる書評の域を超え、完璧なヘイトスピーチ批判となっている。橋本さんは私の本を引用しつつ「ヘイトスピーチは、単なる不快語や罵詈雑言とは違い、不均衡・不平等な力関係を背景に行われる『暴力』そのものである」と断じ、「汚く、下劣で、殺意に満ちたもの」だとした。その上で法整備などを怠ってきた国の対応や、差別煽動に手を貸してきたメディアの責任を問う。ここまで踏み込んで書いてくれた橋本さんに心から感謝したい。
東北・北三陸の小さな町を舞台に、ヒロインの天野アキ(能年玲奈、現のん)が祖母に憧れて海女を目指し、やがて地元のアイドルになっていく物語。私が演じたのは、アキの高校の同級生で、ローカルアイドル「潮騒のメモリーズ」を一緒に結成するユイちゃんでした。
役が決まったときは、それほど出番が多くないと思い込んでいて、伸びやかにやれるかなと楽にとらえていたんです。でも演じるうちに、思ったよりもユイちゃんの役割が大きいことに気づいて、それからは役の重要さに震えていました(笑)。
当時の私はお仕事への意識も、役への向き合い方も今とは全然違っていました。丸裸のまま、動物的に演じていたような感じだったので、振り返ると「よくやれたな」と思います。恥ずかしいですね。どうお芝居していいかも分からない中で演じていたので、どのシーンも難しかったですが、気合いで乗り切っていたのを覚えています。
なかでも苦労したのが、ユイちゃんの笑顔の場面。アイドルを夢見る女の子らしく、作り笑顔で周囲に愛想を振りまくシーンが多かったんですよ。でも私自身は愛想を振りまくのが苦手なタイプなので「どうやったらいいの? うまく笑えてるかな?」といつも気になっていました。だからというワケではないのですが、ユイちゃんが途中でヤンキーになったところは、楽しく演じられました。「こっちのほうが楽だな」って(笑)。
ずっと変わらず周りの人に勇気を与え続けてくれるアキちゃんに対し、ユイちゃんは変わり続けることで人の心を打つ子でした。当初は地元でも有名な美少女として描かれていましたが、アイドルを夢見て上京しようとするも挫折。母親の失踪や父親の介護を抱え、ヤンキーになって荒れた生活を送ったりもします。状況がコロコロ変わり、逆境に立たされるユイちゃんを演じるのは難しかったけれど、その分、本当に楽しかったです。
※ 橋本愛(はしもと あい、1996年、熊本県出身)
俳優。主な出演作品に、ドラマ『同期のサクラ』『パレートの誤算〜ケースワーカー殺人事件』『35歳の少女』、映画『リトル・フォレスト』シリーズ『PARKSパークス』『ここは退屈迎えに来て』『私をくいとめて』など。NHKでは連続テレビ小説『あまちゃん』大河ドラマ『西郷どん』『いだてん〜東京オリムピック噺〜』『長閑の庭』などに出演している。
NHK・インタビュー
連続テレビ小説 あまちゃん(2013)足立ユイ役
https://www2.nhk.or.jp/archives/articles/?id=D0009121993_00000
高市首相悲願の憲法改正
春ねむり - もううんざりだよ†
https://www.youtube.com/watch?v=mPqhUZRiiss
衆院選(2026年2月8日投開票)の争点に憲法改正が浮上しつつある。
報道各社の情勢調査で与党優位の見方が強まっており、選挙後に「改憲勢力」の議席が大きく増える可能性もある。
高市早苗首相(自民党総裁)は改憲に強い意欲を見せており、連立を組む日本維新の会も同様だ。
野党は改正に慎重な中道改革連合と、前向きな国民民主党などで姿勢が異なる。
憲法を巡る与野党連携・対立が今後の政治を左右する展開もあり得る。
「300議席超」報道後に初言及
「憲法になぜ自衛隊を書いてはいけないのか。彼らの誇りを守り、しっかり実力組織として位置づけるためにも、当たり前の憲法改正もやらせてください」
首相は2日、新潟県上越市での応援演説終盤で、身ぶりを交えながら訴えた。
今回の衆院選で、首相が憲法への「自衛隊明記」に言及したのは初とみられる。
国会で憲法審査会長ポストを野党が握っているとして、「もう全然進まない。この状況を打開させてください」とも呼びかけた。
朝日新聞が2日付朝刊で、与党で「300議席超をうかがう」との選挙情勢を報じたばかりだった。
憲法改正の発議には衆参両院で総議員の3分の2以上の賛成が必要で、衆院では310議席になる。
憲法改正は、首相が政治の師と仰ぐ安倍晋三元首相が果たせなかった悲願だ。
安倍氏の路線継承を掲げる首相にとっても最大の政治目標であり、衆院選で大勝すれば現実味を帯びる。
首相周辺は「今まで通りの主張だ。何か変化があったわけではない」と説明するが、別の自民関係者は「焦点は与党で3分の2を確保できるかどうかだ」と鼻息が荒い。
連立相手代わり一転
自民は憲法改正を党是に掲げてきた。
第2次安倍政権では改憲勢力が衆参両院で3分の2を超え、安倍氏が「2020年改正憲法施行」を目指す意向を表明するなど、機運が高まった。
2018年には、
@ 自衛隊の明記
A 緊急事態対応
B 参院の合区解消
C 教育充実
――の4項目を「条文イメージ」としてまとめた。
ただ、国会の憲法審査会は他の委員会と異なり、与野党の幅広い合意を目指す「中山方式」をとってきた。
故中山太郎(1924-2023)氏が提唱した運営ルールで、政局と一定の距離を保ち、少数会派を尊重しながら合意形成を図るものだ。
安倍氏の改憲路線に異議を唱える立憲民主党の反対や公明党の慎重姿勢もあり、安倍政権では発議に至らなかった。
菅義偉、岸田文雄各政権でも議論は大きくは進まず、石破茂政権では少数与党に転落。
衆参両院で憲法審査会長ポストは野党に渡った。
しかし、高市政権の発足で状況は大きく変化した。
自民にとって連立相手が「ブレーキ役」の公明から、「アクセル役」の維新に代わったためだ。
維新は連立前の昨年2025年9月にまとめた提言書「21世紀の国防構想と憲法改正」で、「戦力不保持」を定めた憲法9条2項を削除し、集団的自衛権の全面容認や自衛権と国防軍・軍人の地位明記などを主張。
自民の「自衛隊明記」よりも踏み込んだ内容だ。
自民・維新両党が昨年10月に交わした連立政権合意書では、この提言を踏まえて両党で協議し、緊急事態条項については2026年度中に条文案の国会提出を目指すと明記した。
11月には憲法9条改正や緊急事態条項創設に向けた与党協議会を設置し、議論を始めている。
高市政権では元々、憲法改正の優先度は高いわけではなかった。
政権発足当初、自民幹部は「まずは実績を重ねて支持を集める。憲法改正はその後でもいい」と述べていた。
維新が連立に加わったとはいえ、発議に必要な衆参3分の2以上の議席には遠く届かないことも背景にあった。
だが、自民・維新が選挙で大勝すれば憲法審査会長ポストを奪還するなどし、条文起草に向けた動きが加速する可能性がある。
古くから首相を知る自民の閣僚経験者は「憲法改正を実現すれば歴史に名が残る。首相は届くのであれば手を伸ばすだろう」と述べた。
[写真]首相官邸に入る高市早苗首相=2026年1月26日午前11時55分
[図解]憲法に関する主な政党のスタンス
毎日新聞、2026/2/4 17:02
「実現すれば歴史に名」
高市首相悲願の憲法改正、焦点は"3分の2"
(遠藤修平)
https://mainichi.jp/articles/20260204/k00/00m/010/172000c
2月8日の衆院選投開票まで残すところ後わずかとなるなか、何かと波紋を呼ぶ出来事が続いている高市早苗首相(64)。
芸能界からも批判の声があがりはじめている。
2月8日投開票の衆院選で、新聞各社の情勢調査で優勢が報じられている高市早苗首相(64)率いる自民党。
最後の追い上げとして、高市氏も連日全国各地を飛び回り、2日は新潟県上越市に入り、新潟5区から立候補している自民党の鳥修一氏(65)の応援演説に駆けつけた。
冒頭、高市氏は批判を浴びている解散の意義について、自身が訴え続けてきた「積極財政の重要性」を説き、「初めて自民党の公約に私たちの長年願っていた責任ある積極財政という言葉が入ったんです」と強調。
続けて、「そして皆さんを守るための大切な取り組みにはお金をかけます。地元には陸上自衛隊の駐屯地もあります。本当に地域の皆様の守り神でもありますよ。やっぱり彼らは命がけで国防という尊い任務に当たっておられる」と述べ、こう語りかけた。
「憲法になぜ自衛隊を書いちゃいけないのですか?彼らの誇りを守り、しっかり実力組織として位置づけるためにも当たり前の憲法改正もやらせてください」
ここで会場からは拍手があがるなか、高市氏は「今、憲法審査会も会長は残念ながら野党です。違う党の方がやってらっしゃる。もう全然進まない。この状況を打開させてください。今申し上げたような形で必ず日本を安全で豊かで成長する国にしていく。そのための大転換を私は行ってまいりますんで」と、力強く憲法改正の重要性を訴えた。
自民党が公式HPで公開している憲法改正草案では、九条について、「自衛隊の明記」や「内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍の保持」などが記されている。
また、大規模災害や外部からの攻撃といった緊急事態の際に、内閣が法律と同一の効力を持つ「政令」を制定することができる「緊急事態条項」の新設なども盛り込まれている。
1月19日、衆院解散の意向を発表した会見で、「政府が提出しようとしている法律案、これもかなり賛否の分かれる大きなものでございます。だからこそ、国会が始まる前に国民の皆様の信を問いたい」と、選挙で信任を得られた際のビジョンを語っていた高市氏。
今回の演説で語った「憲法改正」が“賛否の分かれる大きなもの”かは明らかにされていないが、国民の間でも議論がわかれるテーマだけに、SNS上では賛否あわせて議論が沸騰。
そして、真っ向から異議を唱えたのが、シンガーソングライターの春ねむり(1995年生まれ、31歳)。
1月24日にYouTube上に高市氏や自民党を批判する楽曲を発表し、25日にはXで《「選任されたら重大な法案を通すけどその中身はみんなには選挙前には教えません!」って公言する政治家をファシストと呼ばない意味がわからない。典型的な民意ガン無視のファシストだよ!》と綴るなど、批判的なスタンスとして知られていた春。
2日午後10時過ぎにX上で、高市氏が憲法改正を訴えたニュース記事のリンクを引用した上でこう綴った。
《軍隊を持つことが禁じられている憲法を変えて、軍隊を持つことを可能にしたい理由、「戦争」しか考えられないけど(「自衛」は自衛隊でもできるから)………この人を当選させたい人は、いずれ徴兵されたり、戦争に行って人を殺したり、自分が殺されたりしたいのか?》
この投稿は、3日18時時点で4000件リポストされるなど、大きな反響を呼んでおり、
《政治家はいつも巨額が儲かる戦争をやりたがる。》
《憲法改正は必要ないと考えています。いまさら戦争をする軍隊はいらないでしょう》
といった賛成の声や、
《では他国の軍隊を持つ国は『戦争』がしたいから軍隊を持ってるんですかね? 軍隊=戦争にすぐ結びつける方が怖いわ》
《この方は『軍隊を持つことを否定してない憲法を制定している国は、戦争をしたがってるから』と思ってるのかな? 流石に雑すぎな気がするから違うと思うんすけど、そう読める》
と指摘する声など、さまざまな意見が寄せられている。
女性自身、2026/02/04 15:08
「戦争しか考えられない」
人気女性シンガー、高市首相の“憲法改正”訴えに唱えた疑問……
過去にも「民意ガン無視のファシスト」と猛批判
https://jisin.jp/domestic/2562743/
https://www.youtube.com/watch?v=mPqhUZRiiss
アップアップ 溺れかけてる タイタニック
逃げ出すriches で満員のボート
最低賃金じゃ乗れない降りろ
壊れたドアしがみついても 秒
読み 海の中死ぬの待つ people
So, that’s about it. システムの話
民主主義ぶったプルートクラシー
資本主義に絡め取られる議席
クソジジイしか出演しない喜劇
舞台の裏側 搾取される workers
企業体に有利な 法体系 sucker
建てたパビリオン 未払いの工賃
So occupied with 義務と労働
もううんざりだよ amen
声聞かせてよ say yeah
yay yay make it change
yay yay make it…
興味ない わからない 変わらない
カモられ てるのに 気づいて ない ない
だいじょぶ? 壺とか買わされてない?
カルト・パーティ マジで踊れない
Been in the power so you could have done pledge
流行語大賞 剥奪もん返せ
減税は難しいって言ってた詐欺師
三流 shitty 騙されんなまじだりい
たっかい位置で神輿担いでるやつが言ってる
身を切る改革とか日本人ファーストとか スケープゴート作る criminals
属性で人間を区別するゴミカス
手取り増やす夏も冬も来ないまま春がくる
首班指名逃げて言い訳するだせえやつ
どいつもこいつも結局自民の補完勢力
もううんざりだよ amen
声聞かせてよ say yeah
yay yay make it change
yay yay make it…
Go go go go go go vote
ナメられてんのわかる?
超 だるいけどベターを選ぶ
Go go go go go go vote
負けるわけないと思ってる
Show off
Get the better of them
「あるよ。ひとりにはひとり分。力が。」
わたしもそれを信じる
投票権すら人間を区別するシステムだ
持ってる特権を忘れないで
Go vote and make it happen
いつかくる未来のために
声聞かせてよ say yeah
もううんざりだよ amen
声聞かせてよ say yeah
yay yay make it change
yay yay make it…
逃げ出すriches で満員のボート
最低賃金じゃ乗れない降りろ
壊れたドアしがみついても 秒
読み 海の中死ぬの待つ people
So, that’s about it. システムの話
民主主義ぶったプルートクラシー
資本主義に絡め取られる議席
クソジジイしか出演しない喜劇
舞台の裏側 搾取される workers
企業体に有利な 法体系 sucker
建てたパビリオン 未払いの工賃
So occupied with 義務と労働
もううんざりだよ amen
声聞かせてよ say yeah
yay yay make it change
yay yay make it…
興味ない わからない 変わらない
カモられ てるのに 気づいて ない ない
だいじょぶ? 壺とか買わされてない?
カルト・パーティ マジで踊れない
Been in the power so you could have done pledge
流行語大賞 剥奪もん返せ
減税は難しいって言ってた詐欺師
三流 shitty 騙されんなまじだりい
たっかい位置で神輿担いでるやつが言ってる
身を切る改革とか日本人ファーストとか スケープゴート作る criminals
属性で人間を区別するゴミカス
手取り増やす夏も冬も来ないまま春がくる
首班指名逃げて言い訳するだせえやつ
どいつもこいつも結局自民の補完勢力
もううんざりだよ amen
声聞かせてよ say yeah
yay yay make it change
yay yay make it…
Go go go go go go vote
ナメられてんのわかる?
超 だるいけどベターを選ぶ
Go go go go go go vote
負けるわけないと思ってる
Show off
Get the better of them
「あるよ。ひとりにはひとり分。力が。」
わたしもそれを信じる
投票権すら人間を区別するシステムだ
持ってる特権を忘れないで
Go vote and make it happen
いつかくる未来のために
声聞かせてよ say yeah
もううんざりだよ amen
声聞かせてよ say yeah
yay yay make it change
yay yay make it…
衆院選(2026年2月8日投開票)の争点に憲法改正が浮上しつつある。
報道各社の情勢調査で与党優位の見方が強まっており、選挙後に「改憲勢力」の議席が大きく増える可能性もある。
高市早苗首相(自民党総裁)は改憲に強い意欲を見せており、連立を組む日本維新の会も同様だ。
野党は改正に慎重な中道改革連合と、前向きな国民民主党などで姿勢が異なる。
憲法を巡る与野党連携・対立が今後の政治を左右する展開もあり得る。
「300議席超」報道後に初言及
「憲法になぜ自衛隊を書いてはいけないのか。彼らの誇りを守り、しっかり実力組織として位置づけるためにも、当たり前の憲法改正もやらせてください」
首相は2日、新潟県上越市での応援演説終盤で、身ぶりを交えながら訴えた。
今回の衆院選で、首相が憲法への「自衛隊明記」に言及したのは初とみられる。
国会で憲法審査会長ポストを野党が握っているとして、「もう全然進まない。この状況を打開させてください」とも呼びかけた。
朝日新聞が2日付朝刊で、与党で「300議席超をうかがう」との選挙情勢を報じたばかりだった。
憲法改正の発議には衆参両院で総議員の3分の2以上の賛成が必要で、衆院では310議席になる。
憲法改正は、首相が政治の師と仰ぐ安倍晋三元首相が果たせなかった悲願だ。
安倍氏の路線継承を掲げる首相にとっても最大の政治目標であり、衆院選で大勝すれば現実味を帯びる。
首相周辺は「今まで通りの主張だ。何か変化があったわけではない」と説明するが、別の自民関係者は「焦点は与党で3分の2を確保できるかどうかだ」と鼻息が荒い。
連立相手代わり一転
自民は憲法改正を党是に掲げてきた。
第2次安倍政権では改憲勢力が衆参両院で3分の2を超え、安倍氏が「2020年改正憲法施行」を目指す意向を表明するなど、機運が高まった。
2018年には、
@ 自衛隊の明記
A 緊急事態対応
B 参院の合区解消
C 教育充実
――の4項目を「条文イメージ」としてまとめた。
ただ、国会の憲法審査会は他の委員会と異なり、与野党の幅広い合意を目指す「中山方式」をとってきた。
故中山太郎(1924-2023)氏が提唱した運営ルールで、政局と一定の距離を保ち、少数会派を尊重しながら合意形成を図るものだ。
安倍氏の改憲路線に異議を唱える立憲民主党の反対や公明党の慎重姿勢もあり、安倍政権では発議に至らなかった。
菅義偉、岸田文雄各政権でも議論は大きくは進まず、石破茂政権では少数与党に転落。
衆参両院で憲法審査会長ポストは野党に渡った。
しかし、高市政権の発足で状況は大きく変化した。
自民にとって連立相手が「ブレーキ役」の公明から、「アクセル役」の維新に代わったためだ。
維新は連立前の昨年2025年9月にまとめた提言書「21世紀の国防構想と憲法改正」で、「戦力不保持」を定めた憲法9条2項を削除し、集団的自衛権の全面容認や自衛権と国防軍・軍人の地位明記などを主張。
自民の「自衛隊明記」よりも踏み込んだ内容だ。
自民・維新両党が昨年10月に交わした連立政権合意書では、この提言を踏まえて両党で協議し、緊急事態条項については2026年度中に条文案の国会提出を目指すと明記した。
11月には憲法9条改正や緊急事態条項創設に向けた与党協議会を設置し、議論を始めている。
高市政権では元々、憲法改正の優先度は高いわけではなかった。
政権発足当初、自民幹部は「まずは実績を重ねて支持を集める。憲法改正はその後でもいい」と述べていた。
維新が連立に加わったとはいえ、発議に必要な衆参3分の2以上の議席には遠く届かないことも背景にあった。
だが、自民・維新が選挙で大勝すれば憲法審査会長ポストを奪還するなどし、条文起草に向けた動きが加速する可能性がある。
古くから首相を知る自民の閣僚経験者は「憲法改正を実現すれば歴史に名が残る。首相は届くのであれば手を伸ばすだろう」と述べた。
[写真]首相官邸に入る高市早苗首相=2026年1月26日午前11時55分
[図解]憲法に関する主な政党のスタンス
毎日新聞、2026/2/4 17:02
「実現すれば歴史に名」
高市首相悲願の憲法改正、焦点は"3分の2"
(遠藤修平)
https://mainichi.jp/articles/20260204/k00/00m/010/172000c
2月8日の衆院選投開票まで残すところ後わずかとなるなか、何かと波紋を呼ぶ出来事が続いている高市早苗首相(64)。
芸能界からも批判の声があがりはじめている。
2月8日投開票の衆院選で、新聞各社の情勢調査で優勢が報じられている高市早苗首相(64)率いる自民党。
最後の追い上げとして、高市氏も連日全国各地を飛び回り、2日は新潟県上越市に入り、新潟5区から立候補している自民党の鳥修一氏(65)の応援演説に駆けつけた。
冒頭、高市氏は批判を浴びている解散の意義について、自身が訴え続けてきた「積極財政の重要性」を説き、「初めて自民党の公約に私たちの長年願っていた責任ある積極財政という言葉が入ったんです」と強調。
続けて、「そして皆さんを守るための大切な取り組みにはお金をかけます。地元には陸上自衛隊の駐屯地もあります。本当に地域の皆様の守り神でもありますよ。やっぱり彼らは命がけで国防という尊い任務に当たっておられる」と述べ、こう語りかけた。
「憲法になぜ自衛隊を書いちゃいけないのですか?彼らの誇りを守り、しっかり実力組織として位置づけるためにも当たり前の憲法改正もやらせてください」
ここで会場からは拍手があがるなか、高市氏は「今、憲法審査会も会長は残念ながら野党です。違う党の方がやってらっしゃる。もう全然進まない。この状況を打開させてください。今申し上げたような形で必ず日本を安全で豊かで成長する国にしていく。そのための大転換を私は行ってまいりますんで」と、力強く憲法改正の重要性を訴えた。
自民党が公式HPで公開している憲法改正草案では、九条について、「自衛隊の明記」や「内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍の保持」などが記されている。
また、大規模災害や外部からの攻撃といった緊急事態の際に、内閣が法律と同一の効力を持つ「政令」を制定することができる「緊急事態条項」の新設なども盛り込まれている。
1月19日、衆院解散の意向を発表した会見で、「政府が提出しようとしている法律案、これもかなり賛否の分かれる大きなものでございます。だからこそ、国会が始まる前に国民の皆様の信を問いたい」と、選挙で信任を得られた際のビジョンを語っていた高市氏。
今回の演説で語った「憲法改正」が“賛否の分かれる大きなもの”かは明らかにされていないが、国民の間でも議論がわかれるテーマだけに、SNS上では賛否あわせて議論が沸騰。
そして、真っ向から異議を唱えたのが、シンガーソングライターの春ねむり(1995年生まれ、31歳)。
1月24日にYouTube上に高市氏や自民党を批判する楽曲を発表し、25日にはXで《「選任されたら重大な法案を通すけどその中身はみんなには選挙前には教えません!」って公言する政治家をファシストと呼ばない意味がわからない。典型的な民意ガン無視のファシストだよ!》と綴るなど、批判的なスタンスとして知られていた春。
2日午後10時過ぎにX上で、高市氏が憲法改正を訴えたニュース記事のリンクを引用した上でこう綴った。
《軍隊を持つことが禁じられている憲法を変えて、軍隊を持つことを可能にしたい理由、「戦争」しか考えられないけど(「自衛」は自衛隊でもできるから)………この人を当選させたい人は、いずれ徴兵されたり、戦争に行って人を殺したり、自分が殺されたりしたいのか?》
この投稿は、3日18時時点で4000件リポストされるなど、大きな反響を呼んでおり、
《政治家はいつも巨額が儲かる戦争をやりたがる。》
《憲法改正は必要ないと考えています。いまさら戦争をする軍隊はいらないでしょう》
といった賛成の声や、
《では他国の軍隊を持つ国は『戦争』がしたいから軍隊を持ってるんですかね? 軍隊=戦争にすぐ結びつける方が怖いわ》
《この方は『軍隊を持つことを否定してない憲法を制定している国は、戦争をしたがってるから』と思ってるのかな? 流石に雑すぎな気がするから違うと思うんすけど、そう読める》
と指摘する声など、さまざまな意見が寄せられている。
女性自身、2026/02/04 15:08
「戦争しか考えられない」
人気女性シンガー、高市首相の“憲法改正”訴えに唱えた疑問……
過去にも「民意ガン無視のファシスト」と猛批判
https://jisin.jp/domestic/2562743/
2026年02月04日
語られぬ「国論を二分」の政策
高市早苗首相が「国論を二分するような大胆な政策や改革」を掲げて始まった衆院選で、首相の持論はあまり主張されていない。
旧姓の通称使用拡大、スパイ防止法。
議論の行方に懸念を持つ当事者らは、語られぬ選挙戦に違和感を訴える。
「人権の問題も大切にしてほしい」
「納得しないうちに自分の存在に関わることが決まるのではと、漠然とした怖さを感じます」
選択的夫婦別姓の導入を望む沖縄県の砂川智江さん(48)はこう話す。
自民と日本維新の会が公約に掲げる「旧姓の通称使用の法制化」は、砂川さんが求めてきた「選択的夫婦別姓の導入」への機運を失わせる可能性が高いと聞くからだ。
砂川さんは2019年の結婚時、二つの問題に直面した。
一つ目は、未婚のシングルマザーとして成人まで育てた息子と姓が別々になること。
そして、40年以上生きた名前が変わることで、仕事や社会活動など築き上げてきた人生の連続性に揺らぎを感じたことだ。
夫もまた子どもがおり、同じ姓を望んでいた。
話し合いの末に砂川さんが改姓したが、「片方の希望しかかなえられないのは平等性に欠け、制度の欠陥だ」と痛感するようになった。
結婚直後は会社で戸籍名を使用したが、「自分という存在と名が一体化せず苦しかった」と話す。
現在は会社で旧姓を名乗り、身分証や国家資格の証明書などには旧姓が併記されている。
しかし、銀行などでは戸籍名で呼ばれ、署名を求められる。
「その場ではやり過ごしても、少しずつ削られていく」
こうした実感は、旧姓の通称使用が法制化されても根本的には解消されない。
米軍基地問題や子どもたちの将来など、さまざまな政策を見比べて投票するつもりだが、「選択的夫婦別姓や同性婚など人権の問題も大事にしてほしいです」と言う。
「選挙で勝ったらフリーハンドとならないように」
与党が制定を目指すスパイ防止法は、外国勢力によるスパイ活動を取り締まる目的とされるが、日本国内の人まで処罰されかねないとの危惧もある。
戦時中に一般市民の弾圧に使われた治安維持法と重ねあわせ、危険性を指摘する人もいる。
さいたま市の加藤ユリさん(79)は「スパイとは関係のない人を突然逮捕するようなことにはならないか」と懸念を打ち明ける。
加藤さんの父、故・金森熙隆(ひろたか)さんは戦時中の1942年、治安維持法違反容疑で逮捕された。
京都帝国大の医学部生だった父は当時、福井県での結核の実態調査を通じ、流行の背景に貧困があるとの結果をまとめていた。
特高警察はこれを、「社会主義実現のための予備活動」と主張。
金森さんは逮捕、約1年間勾留され、懲役2年執行猶予5年の有罪判決を受けた。
加藤さんは「戦時中、国は法律を拡大解釈し、市民の思想や信条の自由を弾圧した。今は昔と違うといわれても、スパイ防止法ができれば、市民が自由に声をあげられなくなりはしないか」と不安がる。
今回の突然の総選挙では、スパイ防止法に関する各党の議論が賛否を含めて深まっているとは感じられないと加藤さんは言う。
「過去の弾圧の歴史を踏まえれば、慎重な議論が必要な法律。選挙で勝ったらフリーハンドで信任されたと突き進まないよう議論をつくすべきだ」と話す。
語られない政策のほうが重要な意味を持つ
福岡工業大学の木下健准教授(政治学)の話
一般に政治家は、国論を二分するような争点を選挙で積極的に取り上げない。
支持層が離反するリスクを抑えるためだ。
ただ、むしろ語られない政策のほうが重要な意味を持つと考えるべきだ。
選挙後に何が実行されるかあいまいなまま政権運営を託すと、予期せぬ法案が十分な議論を経ずに推進、成立する事態を招きかねない。
有権者一人ひとりが何を重視するか考え、投票行動に反映させる必要がある。
対立する複数の主張を意識的に考えることも重要だ。
[コメント]隠岐さや香(東京大学教育学研究科教授=科学史)
高市首相が夫婦別姓に反対で、同性婚にも反対であることを知らない有権者がたくさんいます。
「日本で初めて女性の首相」だから当然夫婦別姓に賛成、同性婚も賛成だろうと推測してしまう人がいるらしいのです。
しかし、高市首相はむしろ、自民党の平均よりも右派であり、極右と呼べるような権威主義と家族主義を主張するからこそ、女性であっても警戒されずに総裁選で勝ち抜けた―― そのことはもっと知られてほしいです。
もともと、保守か極右の方が女性の政治家を誕生させやすいとはいいます。
これはよく知られた現象であり、右派の方が良心的であることを意味してはいません。
単に、普通に考えて極右や右派の女性政治家はそれ以外の条件の女性政治家よりも有利な立場にいるというだけです。
右派の女性政治家は、保守であればあるほど大半の男性政治家に脅威と思われず、邪魔されずに主張ができます。
「昭和な自分を叱るような怖い人ではない、この人は味方だ」と思わせることができるのです。
またその一方で、今日では多くの男女が、ジェンダー平等を表立って否定するのは後ろめたいと感じるようになっています。
そういう人にとっては、右派や極右の女性政治家というのは、とても都合が良い。
なぜなら「自分はちゃんと女性を応援している」と言い訳ができるようにしてくれるからです。
つまり、多くの女性やマイノリティが苦しむような選択肢を掲げる女性の政治家を応援することは、現代においては自分の手を汚さずに差別思想を実現するための最適解なのです。
このことにもっと多くの人が早く気づきますように。
なお、語られない「国論を二分する」政策については、かなり厳しい内容を覚悟しなければならないと思います。
[写真‐1]
第一声をあげる自民党の高市早苗総裁=2026年1月27日午前10時16分、東京都千代田区
[写真-2]
「My Name My Choice(私の名前は私が決める)」と書かれた横断幕を手に選択的夫婦別姓の実現を求める人たち=2025年3月8日午後3時28分、大阪市中央区
[写真-3]
治安維持法違反容疑で逮捕された父の手記を手に取る加藤ユリさん=2026年2月2日午前10時49分、さいたま市
朝日新聞、2026年2月4日 6時00分
語られぬ「国論を二分」の政策
当事者が抱える違和感の先にあるもの
(上地一姫、渡辺洋介)
https://digital.asahi.com/articles/ASV231PSRV23UTIL01MM.html
旧姓の通称使用拡大、スパイ防止法。
議論の行方に懸念を持つ当事者らは、語られぬ選挙戦に違和感を訴える。
「人権の問題も大切にしてほしい」
「納得しないうちに自分の存在に関わることが決まるのではと、漠然とした怖さを感じます」
選択的夫婦別姓の導入を望む沖縄県の砂川智江さん(48)はこう話す。
旧姓使用法制化
「同一戸籍・同一氏の原則を維持しながら、社会生活のあらゆる場面で旧姓使用に法的効力を与える制度を創設する」
=2025年10月、連立政権合意書
自民と日本維新の会が公約に掲げる「旧姓の通称使用の法制化」は、砂川さんが求めてきた「選択的夫婦別姓の導入」への機運を失わせる可能性が高いと聞くからだ。
砂川さんは2019年の結婚時、二つの問題に直面した。
一つ目は、未婚のシングルマザーとして成人まで育てた息子と姓が別々になること。
そして、40年以上生きた名前が変わることで、仕事や社会活動など築き上げてきた人生の連続性に揺らぎを感じたことだ。
夫もまた子どもがおり、同じ姓を望んでいた。
話し合いの末に砂川さんが改姓したが、「片方の希望しかかなえられないのは平等性に欠け、制度の欠陥だ」と痛感するようになった。
結婚直後は会社で戸籍名を使用したが、「自分という存在と名が一体化せず苦しかった」と話す。
現在は会社で旧姓を名乗り、身分証や国家資格の証明書などには旧姓が併記されている。
しかし、銀行などでは戸籍名で呼ばれ、署名を求められる。
「その場ではやり過ごしても、少しずつ削られていく」
こうした実感は、旧姓の通称使用が法制化されても根本的には解消されない。
米軍基地問題や子どもたちの将来など、さまざまな政策を見比べて投票するつもりだが、「選択的夫婦別姓や同性婚など人権の問題も大事にしてほしいです」と言う。
「選挙で勝ったらフリーハンドとならないように」
与党が制定を目指すスパイ防止法は、外国勢力によるスパイ活動を取り締まる目的とされるが、日本国内の人まで処罰されかねないとの危惧もある。
戦時中に一般市民の弾圧に使われた治安維持法と重ねあわせ、危険性を指摘する人もいる。
スパイ防止法
「もう今年、検討を開始して速やかに法案を策定することを考えている」
=高市首相、2025年11月の党首討論で
さいたま市の加藤ユリさん(79)は「スパイとは関係のない人を突然逮捕するようなことにはならないか」と懸念を打ち明ける。
加藤さんの父、故・金森熙隆(ひろたか)さんは戦時中の1942年、治安維持法違反容疑で逮捕された。
京都帝国大の医学部生だった父は当時、福井県での結核の実態調査を通じ、流行の背景に貧困があるとの結果をまとめていた。
特高警察はこれを、「社会主義実現のための予備活動」と主張。
金森さんは逮捕、約1年間勾留され、懲役2年執行猶予5年の有罪判決を受けた。
加藤さんは「戦時中、国は法律を拡大解釈し、市民の思想や信条の自由を弾圧した。今は昔と違うといわれても、スパイ防止法ができれば、市民が自由に声をあげられなくなりはしないか」と不安がる。
今回の突然の総選挙では、スパイ防止法に関する各党の議論が賛否を含めて深まっているとは感じられないと加藤さんは言う。
「過去の弾圧の歴史を踏まえれば、慎重な議論が必要な法律。選挙で勝ったらフリーハンドで信任されたと突き進まないよう議論をつくすべきだ」と話す。
語られない政策のほうが重要な意味を持つ
福岡工業大学の木下健准教授(政治学)の話
一般に政治家は、国論を二分するような争点を選挙で積極的に取り上げない。
支持層が離反するリスクを抑えるためだ。
ただ、むしろ語られない政策のほうが重要な意味を持つと考えるべきだ。
選挙後に何が実行されるかあいまいなまま政権運営を託すと、予期せぬ法案が十分な議論を経ずに推進、成立する事態を招きかねない。
有権者一人ひとりが何を重視するか考え、投票行動に反映させる必要がある。
対立する複数の主張を意識的に考えることも重要だ。
[コメント]隠岐さや香(東京大学教育学研究科教授=科学史)
高市首相が夫婦別姓に反対で、同性婚にも反対であることを知らない有権者がたくさんいます。
「日本で初めて女性の首相」だから当然夫婦別姓に賛成、同性婚も賛成だろうと推測してしまう人がいるらしいのです。
しかし、高市首相はむしろ、自民党の平均よりも右派であり、極右と呼べるような権威主義と家族主義を主張するからこそ、女性であっても警戒されずに総裁選で勝ち抜けた―― そのことはもっと知られてほしいです。
もともと、保守か極右の方が女性の政治家を誕生させやすいとはいいます。
これはよく知られた現象であり、右派の方が良心的であることを意味してはいません。
単に、普通に考えて極右や右派の女性政治家はそれ以外の条件の女性政治家よりも有利な立場にいるというだけです。
右派の女性政治家は、保守であればあるほど大半の男性政治家に脅威と思われず、邪魔されずに主張ができます。
「昭和な自分を叱るような怖い人ではない、この人は味方だ」と思わせることができるのです。
またその一方で、今日では多くの男女が、ジェンダー平等を表立って否定するのは後ろめたいと感じるようになっています。
そういう人にとっては、右派や極右の女性政治家というのは、とても都合が良い。
なぜなら「自分はちゃんと女性を応援している」と言い訳ができるようにしてくれるからです。
つまり、多くの女性やマイノリティが苦しむような選択肢を掲げる女性の政治家を応援することは、現代においては自分の手を汚さずに差別思想を実現するための最適解なのです。
このことにもっと多くの人が早く気づきますように。
なお、語られない「国論を二分する」政策については、かなり厳しい内容を覚悟しなければならないと思います。
[写真‐1]
第一声をあげる自民党の高市早苗総裁=2026年1月27日午前10時16分、東京都千代田区
[写真-2]
「My Name My Choice(私の名前は私が決める)」と書かれた横断幕を手に選択的夫婦別姓の実現を求める人たち=2025年3月8日午後3時28分、大阪市中央区
[写真-3]
治安維持法違反容疑で逮捕された父の手記を手に取る加藤ユリさん=2026年2月2日午前10時49分、さいたま市
朝日新聞、2026年2月4日 6時00分
語られぬ「国論を二分」の政策
当事者が抱える違和感の先にあるもの
(上地一姫、渡辺洋介)
https://digital.asahi.com/articles/ASV231PSRV23UTIL01MM.html
顕鏡寺の山号が石老山
時は平安時代の初め、都が平安京に移ったばかりのことでしょうか。
宮中に仕えていた三条貴承卿の若君「武庫郎」が八条殿の姫となさぬ仲となり、都を出奔し遠く東国へ落ち延びました。
相模の国へたどり着いた二人は、一夜の宿を借りた村人に相模川上流に雨露をしのぐことができる岩屋があることを教えてもらいます。
駒立て岩
武庫郎と八条殿の姫が住処を求めてこの地を彷徨った際、この岩の上で休息をとった云われています。
岩上には二人が乗っていた名馬の蹄や寝た跡が残されているそうです。
教えられた山中を捜し歩いた二人は手頃な岩窟を見出して、そこを住処とすることにしました。
やがて、二人は子を成し、生まれた男の子に住処の岩窟にちなんで「岩若丸」という名を与えます。
岩窟(道志岩窟)
武庫郎と八条殿の姫が暮らし、その息子や娘を育てたといわれる岩窟で、道志岩窟とも呼ばれます。
武庫郎(後の道志法師)の息子、岩若丸も出家後にこの岩屋で暮らしました。
岩窟の内部は、奥行き約5m、横幅約5m、高さ約2mほどの広さとなっています。
現在、顕鐘寺の寺宝とされる「福一満虚空蔵尊」が安置されており、子どもの夜泣きに効果があるという小児虫留加持もこの虚空蔵尊の霊験によるものだそうです。
この岩若丸が7歳になったとき、父親である武庫郎は出家し名を「道志法師」と改めました。
その「道志法師」が托鉢のため、10日ばかり家を空けたときのこと。
突然現れた天狗に母親である八条殿の姫が攫われてしまいました。
しかも、岩若丸は攫われた母親を探し回っている途中で、足を滑らせ谷底へ落ちてしまいます。
そんなことは知らぬ道志法師は托鉢から戻ってみると二人の姿が岩窟にありません、慌てて辺りを探すとすでに息絶えた息子・岩若丸を見つけます。
道志法師は嘆き悲しみ、「どうか、息子の命を助けてほしい」と天に祈りました。
するとその祈りが通じたのか、奇跡的に岩若丸は息を吹き返します。
息子が助かったものの、妻の八条殿の姫は姿を隠したまま。
道志法師は妻を捜すために諸国行脚の旅にでることにしました。
わが子には再会の証として持っていた“銀鏡”を二つに割ると一片を渡して、岩窟のことを教えてもらった村人に岩若丸の後事を託します。
成長した岩若丸は父母への思慕の念を捨てきれず、残された銀鏡を手掛かりに父母を探すため旅立ちました。
数多の苦難の末、岩若丸は父と母と巡り合うことのできたのでした。
後年、岩若丸は出家し「源海」を名乗り、生まれ育った岩窟に戻るとその地に寺を建て仏に仕え暮らしたとのことです。
顕鏡寺(山号:石老山)
岩若丸が源海法師として生まれ故郷であるこの地に戻った際に開山しました。
寺の名は岩若丸が父が旅立つ際に渡された銀鏡に由来するものだと云われています。
本尊は道志岩窟にある福一満虚空蔵尊になりますが、明治期に統合された津久井三十三観音霊場第14番札所・増原西福寺の本尊、十一面観世音菩薩や常楽寺の本尊、阿弥陀如来像をも受け継いでいます。
境内には神奈川県内で最も高いイチョウの大木や、巨大な杉の根が露出しあたかも蛇が寝そべっているようにも見えることからその名が付いた蛇大杉などがあります。
相武電鉄資料館、2014.10.12 初示/2018.9.18 改訂
石老山の伝説
https://sobu-erw.o.oo7.jp/02/03/05/g01_01/index.html
相模原市緑区にある石老山(せきろうざん、702.8mは、関東百名山の一つに選定され、気軽に登れるハイキングコースとして人気が高い。
そんな石老山だが、地元では、4年前の2015年に新天皇陛下が皇太子さまの時代に登られたことでも知られている。
その時の登山の様子を当時の関係者に聞いた。
石老山は相模湖の南東にある山。
約600万年前に、深さ数千mの海溝にたまってできた「礫岩(れきがん)」という種類の岩石が全山に分布し、巨岩・奇岩に富んでいることから、この山名がつけられたものと考えられている。
巨岩は標高570mにある融合平見晴台までに比較的多く見られ、点在するその姿を眺めながら歩くのが、登山者の楽しみの一つとなっている。
晴天の11月27日
2015(平成27)年の夏頃。
相模原市商業観光課担当課長(当時)の田中浩さん(56)のもとに、県から市秘書課を通じ、「皇太子さま(当時)が石老山に登りたいとおっしゃっている」という連絡があった。
複数の関係者の話では、山好きで知られる新天皇陛下は、公務などで中央自動車道を通る際に見える石老山への登山をかねがね希望されていたのだという。
石老山が所在する市の担当課として田中さんは、登山ルートや休憩場所など各所の手配に奔走。
数回にわたり現地視察にも赴いた。
そして、前日の雨が嘘のように晴れ渡った当日11月27日は、田中さんも先発隊として、陛下の前方を進んだ。
登山の拠点
国道412号「石老山入口バス停」方面から登ると、山腹に石老山を山号とする真言宗寺院・顕鏡寺がある。
同寺はこの登山の拠点となった。
陛下は当日、車で同寺に到着。
そこで着替えを済ませ、境内で準備体操をされた。岩木観定住職(82)が寺内へ案内する際に、廊下からの景観や同寺の歴史について話されたという。
岩木住職は「落ち着いていらして、穏やかな印象そのままの方だった」と回想する。
ガイドは2人で
市立博物館学芸員の生物担当として市域の動植物調査を行っている秋山幸也さん(51)は、案内役を務めた一人。
「話をいただいた時は大変な重責だと感じた」と秋山さんは振り返る。
「陛下は、登山をなによりも楽しまれている様子だった。周りの景色を眺めて、『あの山にはいつ、誰と登った』などと話されていた。健脚でかなり山に慣れていらっしゃる様子だった」
山の地質の話題では、プレートの名称が思い出せず秋山さんが言葉に詰まると、「フィリピン海ですか?」と助け舟を出された。
秋山さんは「そのお詳しさには驚いた」と当時を思い返す。
秋山さんが主に自然や生物を解説する一方で、郷土史のガイドを務めたのは、臨済宗寺院・正覚寺の山田正法住職(70)。
山田住職は石老山の縁起や相模湖築造と湖底に沈んだ勝瀬村の話などを説明した。
「山頂から下る途中の大明神展望台で北丹沢の尾根を見渡され、山の名前を順に述べられた。よくご存じだった」と山田住職は語る。
優しさに感激
下山後には、千木良にある割烹旅館『五本松』へ移動し、入浴後、客室で昼食を召し上がった。
主人の永井宏文さん(52)が用意したのは、この日のために考案した、地場のサトイモとゆずを使った記念メニューなど。
「地元の旬野菜や、津久井のうどんなども残さず召し上がり、『どれもおいしかったです』と言っていただいた」と永井さんは振り返る。
帰られる間際に、ちょっとした出来事があった。
見送りに並ぶ永井さん一家に一人ずつ陛下が言葉をかけ、車に乗ろうとされたその時、当時小学1年生だった永井さんの息子に向かって虫が飛んできて頬を刺した。
刺されたことに加え、張り詰めた緊張感の中で起こった予期せぬ事態に息子はショックで泣き出してしまった。
「そうしたら、後で宮内庁から電話をいただいた。陛下が心配してくださったのだと思う」と永井さんは述懐する。
陛下も楽しまれた地元の名峰・石老山。
この大型連休にも、多くの登山客が予想される。
市商業観光課では、「手軽に登れ、巨岩や奇岩といった見どころもあり、近隣の山々とはまた違った趣がある。足を運んでいただければ」と話している。
[写真]
石老山の山頂に到着された天皇陛下。左は秋山幸也・市博物館学芸員、右は山田正法・正覚寺住職=朝日新聞社提供
タウンニュース、2019.05.01
あの日、陛下は石老山へ
関係者語る 相模原の登山
https://www.townnews.co.jp/0302/2019/05/01/479901.html
宮中に仕えていた三条貴承卿の若君「武庫郎」が八条殿の姫となさぬ仲となり、都を出奔し遠く東国へ落ち延びました。
相模の国へたどり着いた二人は、一夜の宿を借りた村人に相模川上流に雨露をしのぐことができる岩屋があることを教えてもらいます。
駒立て岩
武庫郎と八条殿の姫が住処を求めてこの地を彷徨った際、この岩の上で休息をとった云われています。
岩上には二人が乗っていた名馬の蹄や寝た跡が残されているそうです。
教えられた山中を捜し歩いた二人は手頃な岩窟を見出して、そこを住処とすることにしました。
やがて、二人は子を成し、生まれた男の子に住処の岩窟にちなんで「岩若丸」という名を与えます。
岩窟(道志岩窟)
武庫郎と八条殿の姫が暮らし、その息子や娘を育てたといわれる岩窟で、道志岩窟とも呼ばれます。
武庫郎(後の道志法師)の息子、岩若丸も出家後にこの岩屋で暮らしました。
岩窟の内部は、奥行き約5m、横幅約5m、高さ約2mほどの広さとなっています。
現在、顕鐘寺の寺宝とされる「福一満虚空蔵尊」が安置されており、子どもの夜泣きに効果があるという小児虫留加持もこの虚空蔵尊の霊験によるものだそうです。
この岩若丸が7歳になったとき、父親である武庫郎は出家し名を「道志法師」と改めました。
その「道志法師」が托鉢のため、10日ばかり家を空けたときのこと。
突然現れた天狗に母親である八条殿の姫が攫われてしまいました。
しかも、岩若丸は攫われた母親を探し回っている途中で、足を滑らせ谷底へ落ちてしまいます。
そんなことは知らぬ道志法師は托鉢から戻ってみると二人の姿が岩窟にありません、慌てて辺りを探すとすでに息絶えた息子・岩若丸を見つけます。
道志法師は嘆き悲しみ、「どうか、息子の命を助けてほしい」と天に祈りました。
するとその祈りが通じたのか、奇跡的に岩若丸は息を吹き返します。
息子が助かったものの、妻の八条殿の姫は姿を隠したまま。
道志法師は妻を捜すために諸国行脚の旅にでることにしました。
わが子には再会の証として持っていた“銀鏡”を二つに割ると一片を渡して、岩窟のことを教えてもらった村人に岩若丸の後事を託します。
成長した岩若丸は父母への思慕の念を捨てきれず、残された銀鏡を手掛かりに父母を探すため旅立ちました。
数多の苦難の末、岩若丸は父と母と巡り合うことのできたのでした。
後年、岩若丸は出家し「源海」を名乗り、生まれ育った岩窟に戻るとその地に寺を建て仏に仕え暮らしたとのことです。
顕鏡寺(山号:石老山)
岩若丸が源海法師として生まれ故郷であるこの地に戻った際に開山しました。
寺の名は岩若丸が父が旅立つ際に渡された銀鏡に由来するものだと云われています。
本尊は道志岩窟にある福一満虚空蔵尊になりますが、明治期に統合された津久井三十三観音霊場第14番札所・増原西福寺の本尊、十一面観世音菩薩や常楽寺の本尊、阿弥陀如来像をも受け継いでいます。
境内には神奈川県内で最も高いイチョウの大木や、巨大な杉の根が露出しあたかも蛇が寝そべっているようにも見えることからその名が付いた蛇大杉などがあります。
相武電鉄資料館、2014.10.12 初示/2018.9.18 改訂
石老山の伝説
https://sobu-erw.o.oo7.jp/02/03/05/g01_01/index.html
相模原市緑区にある石老山(せきろうざん、702.8mは、関東百名山の一つに選定され、気軽に登れるハイキングコースとして人気が高い。
そんな石老山だが、地元では、4年前の2015年に新天皇陛下が皇太子さまの時代に登られたことでも知られている。
その時の登山の様子を当時の関係者に聞いた。
石老山は相模湖の南東にある山。
約600万年前に、深さ数千mの海溝にたまってできた「礫岩(れきがん)」という種類の岩石が全山に分布し、巨岩・奇岩に富んでいることから、この山名がつけられたものと考えられている。
巨岩は標高570mにある融合平見晴台までに比較的多く見られ、点在するその姿を眺めながら歩くのが、登山者の楽しみの一つとなっている。
晴天の11月27日
2015(平成27)年の夏頃。
相模原市商業観光課担当課長(当時)の田中浩さん(56)のもとに、県から市秘書課を通じ、「皇太子さま(当時)が石老山に登りたいとおっしゃっている」という連絡があった。
複数の関係者の話では、山好きで知られる新天皇陛下は、公務などで中央自動車道を通る際に見える石老山への登山をかねがね希望されていたのだという。
石老山が所在する市の担当課として田中さんは、登山ルートや休憩場所など各所の手配に奔走。
数回にわたり現地視察にも赴いた。
そして、前日の雨が嘘のように晴れ渡った当日11月27日は、田中さんも先発隊として、陛下の前方を進んだ。
登山の拠点
国道412号「石老山入口バス停」方面から登ると、山腹に石老山を山号とする真言宗寺院・顕鏡寺がある。
同寺はこの登山の拠点となった。
陛下は当日、車で同寺に到着。
そこで着替えを済ませ、境内で準備体操をされた。岩木観定住職(82)が寺内へ案内する際に、廊下からの景観や同寺の歴史について話されたという。
岩木住職は「落ち着いていらして、穏やかな印象そのままの方だった」と回想する。
ガイドは2人で
市立博物館学芸員の生物担当として市域の動植物調査を行っている秋山幸也さん(51)は、案内役を務めた一人。
「話をいただいた時は大変な重責だと感じた」と秋山さんは振り返る。
「陛下は、登山をなによりも楽しまれている様子だった。周りの景色を眺めて、『あの山にはいつ、誰と登った』などと話されていた。健脚でかなり山に慣れていらっしゃる様子だった」
山の地質の話題では、プレートの名称が思い出せず秋山さんが言葉に詰まると、「フィリピン海ですか?」と助け舟を出された。
秋山さんは「そのお詳しさには驚いた」と当時を思い返す。
秋山さんが主に自然や生物を解説する一方で、郷土史のガイドを務めたのは、臨済宗寺院・正覚寺の山田正法住職(70)。
山田住職は石老山の縁起や相模湖築造と湖底に沈んだ勝瀬村の話などを説明した。
「山頂から下る途中の大明神展望台で北丹沢の尾根を見渡され、山の名前を順に述べられた。よくご存じだった」と山田住職は語る。
優しさに感激
下山後には、千木良にある割烹旅館『五本松』へ移動し、入浴後、客室で昼食を召し上がった。
主人の永井宏文さん(52)が用意したのは、この日のために考案した、地場のサトイモとゆずを使った記念メニューなど。
「地元の旬野菜や、津久井のうどんなども残さず召し上がり、『どれもおいしかったです』と言っていただいた」と永井さんは振り返る。
帰られる間際に、ちょっとした出来事があった。
見送りに並ぶ永井さん一家に一人ずつ陛下が言葉をかけ、車に乗ろうとされたその時、当時小学1年生だった永井さんの息子に向かって虫が飛んできて頬を刺した。
刺されたことに加え、張り詰めた緊張感の中で起こった予期せぬ事態に息子はショックで泣き出してしまった。
「そうしたら、後で宮内庁から電話をいただいた。陛下が心配してくださったのだと思う」と永井さんは述懐する。
陛下も楽しまれた地元の名峰・石老山。
この大型連休にも、多くの登山客が予想される。
市商業観光課では、「手軽に登れ、巨岩や奇岩といった見どころもあり、近隣の山々とはまた違った趣がある。足を運んでいただければ」と話している。
[写真]
石老山の山頂に到着された天皇陛下。左は秋山幸也・市博物館学芸員、右は山田正法・正覚寺住職=朝日新聞社提供
タウンニュース、2019.05.01
あの日、陛下は石老山へ
関係者語る 相模原の登山
https://www.townnews.co.jp/0302/2019/05/01/479901.html
2026年02月03日
健康で文化的な最低限度の生活
[ゲスト:悠翔会 理事長・診療部長 佐々木淳先生]
入院すると痩せて帰ってくるって本当?
https://www.youtube.com/watch?v=c-kZubMM7Nw
「健康で文化的な最低限度の生活」は憲法で保障された私たちの生存権
介護はそれを保障する基本的インフラのひとつ。
医師としてこういうのも何だが、極言すれば、医療はなくても人は生きていけるが、介護がないと要介護者は生きられない。
食事、排泄、清潔などの基本的ケアが提供できなければ、生活が継続できないばかりか、誤嚥性肺炎や骨折などによる入院や死亡のリスクが増加する。
これは生命や生活をリスクに晒すだけでなく、高額な社会コストを生じる。
誤嚥性肺炎で1回入院すると入院医療費は平均118万円だ。
前回の介護報酬削減で特に訪問介護は閉鎖が増加。
いまやベーシックサービスであるはずの訪問介護のない基礎自治体が約20%。
これは過疎地だけの話ではない。
首都圏においても訪問介護の不在地域が出始めている。
介護をケチれば、社会全体が困窮する
介護が足りなくて困るのは、本人だけではない。
家族の介護負担が大きくなる。
介護離職だけで1兆円の経済損失とされるが、2030年には833万人の家族介護者のうち4割がビジネスケアラー、その経済生産性の低下により9兆円の経済損失が生じると経産省は試算している。
そもそも介護保険は、家族を介護に縛りつけない=介護の「社会化」を目的としていた。
そして国は2016年に介護離職ゼロを目指すといっていたはず。
しかし現実は逆行している。
一度介護離職すると復職は容易ではない。
生活の基盤を失う世帯も増加する。
選挙の争点にもなっている「手取りが増えない」の主犯は、社会保障費の増大ではなく経済成長の停滞=そもそも所得が伸びていないこと。
就労している家族に介護を担わせれば、経済成長の足かせになるどころか、離職者・非正規雇用者、そして社会保障サービスへの依存者を増やしかねない。
介護をケチれば、より高額な医療保険に流れる
介護報酬を削りに削り、介護福祉士やケアマネが他業界に移籍していく中、その不足を補っているのが医療保険サービスだ。
社会的入院はいまだに多い。
福井県のレセプトデータ分析によると、総医療費の最大10.9%が社会的入院。
一昨年2024年の国民医療費は48兆円、つまり最大5兆円がケアニーズのために消費されていることになる。
また、いわゆる「ホスピス型住宅」も急増、ここ数年でなんと15万床!に到達しようとしている。
健康保険で訪問看護に入れる患者を施設に収容する。
健康保険の場合、訪問看護提供には上限がない。
おむつ交換など、本来は介護職が担っていた仕事を時間外に複数人で行うことで高額な加算を請求する。
その高い利益率で、この新しい施設は急成長した。
新たに4つの上場企業が生まれた。
ケアの単価は患者一人、ひと月あたり90万円。
これも医療費からの支出だ。
介護が足りないと、その需要は割高な入院・訪問看護に流れる。
しかし、その「ケア」としての質は決して高くはない。
介護を守ることは、社会を守ること
繰り返しになるが、介護保険サービスは要介護者のみならず、私たちの社会全体を守るために必要不可欠なベーシックサービスだ。
介護にかかる費用は単なる「コスト」ではない。
家族が社会参加・就労を継続し、医療保険サービスの適正利用化のための投資であるはずだ。
その介護の提供体制が不安定になっているのは、評価=点数が低すぎるから。
国家資格を取らせながら、手取りはコンビニのバイトより少ないとか、少しおかしいのではないか。
介護の仕事は、単なる「お世話」ではない。
その人の状態を身体・精神・社会心理的側面からアセスメントし、併存する疾患や障害の特性もある程度理解した上で、個別化された目標に向かって、本人、家族、そして周囲の環境要因・社会資源も巻き込みながら、その自立と尊厳を守る。
特に人生の最終段階、医療によって予後延長が望めない状況においては、本人の生命力が最大限発揮できる環境を整えつつ、本人や周囲にとって納得のできる時間を確保できるよう、最期まで生活の継続を支援する。
本来、高度な専門性とスキルを求められる仕事だ。
現在の介護報酬は、その業務に伴うスキルや責任に対して、明らかに低すぎる。まずは正当な評価を行うべきだ。
生産性向上の限界と人材不足に向き合う
介護人材は非常に不足している。
今後、さらに介護需要は伸びるが、生産年齢人口は2040年までに1000万人以上減少する。
このような中で、介護の担い手を確保するためにとりうる手段は限られている。
生産性の向上と、外国人の活用だ。
規制改革推進会議の専門委員として、介護の生産性向上に関する規制緩和に積極的に取り組んできた。
深刻な人手不足の中、これは避けて通れない重要な課題だからだ。
しかし、生産性向上には一定以上の事業規模が必要だ。
施設における人員配置が1:3から1:2.9に緩和されれば、数千人のヘルパーを雇用する施設運営者であれば大きな効率化ができる。
しかし小規模事業所がこの恩恵にあずかるのは難しい。
加えて小規模事業者が担うのは、大規模化しにくい、より個別化が必要なケアだ。
お金にならない、大企業が拾わないケースに対応している。
このような領域では「効率化」は難しい。
生産性向上以前に、そもそも事業の持続可能性そのものが危うくなっている。
もちろん将来的には人型ロボットがケアの作業部分を担える時代が来るのだろう。
しかし、そうでもならない限りは、生産性向上が人手不足解消の切り札になるとは思えない。
人材不足のもう一つのカギは外国人に対する活躍の場の提供だ。
これは着々と進んできている。
素晴らしいケアをしてくれている外国人介護職を僕は何人も知っている。
残念ながらヘイトに近い外国人排斥の声も聞こえてくるが、介護サービスの担い手不足のみならず、日本の経済成長の足かせになっているのが労働人口不足だ
外国人が、日本で安心感を持って安定的な経済生活ができるように、そして日本の文化になじめるように支援していくことが重要なのではないか。
制度上の課題で改善の余地があるならそれは進めるべきだが、少なくとも外国人の活用について否定するのは違うだろう。
よりよい未来のための選択を
介護はコストではなく、社会投資。
私たちの社会を安定させ、経済成長を持続させるためのインフラ。
そして介護サービスの受益者は要介護高齢者だけではない、その家族も当事者だ。
離れて暮らす家族世帯も含め、家族の生活が介護で破綻しないように守ることが本来の介護保険制度の存在意義。
身内に高齢者がいないという人はいないだろう。
高齢者だけではない、がんの終末期でも、脳卒中で後遺症が残っても、そこから先を平穏に生きていくためのベーシックサービスだ。
安易な世代間対立を煽る政党は、そもそも本質を理解していないか、ただのポピュリストだ。
分断は何も生まない。「移民反対」についても同様だ。
外国人を追い出せというなら、誰がどう彼らの穴を埋めうるのか。
日本経済は、特に地域経済は外国人なしではすでに成立しえない。
そして移民反対を叫ぶ人たちの多くは、なぜか外資系で働く欧米人に対しては好意的だ。
移民反対というよりも、単なる人種差別なのではないか。
介護保険サービスを守るためには、それを支える介護専門職を支える必要がある。
そして、そのためにはしかるべき報酬が必要だ。
現状、経済損失で9兆円+医療保険の代替支出が5兆円=14兆円と、ほぼ介護保険の支出に匹敵する大規模な「損失」が生じている。
ということは、介護保険の予算規模を仮に2倍にしても、これらが解消されればトントンということになるのではないか。
しかし介護保険料をこれ以上上げるのは難しい。
自己負担の増加に耐えられる高齢世帯もそう多くはない。
予算規模拡大分は税金から入れていただくしかないのだろう。
そうなると消費税廃止などの議論とは共存できない。
むしろ正直に消費税「増税」の将来的な必要性について国民に説明できるリーダーのほうが望ましいのではないか。
(もちろん爆発的な経済成長で税率を上げなくてもなんとかなる、というのであればぜひそうしていただきたいが)
今日は上野千鶴子さんにお声がけいただき、ポリタスTVにて、介護保険の今後について討論に参加させていただき、主に上記のような内容をお話させていただいた。
介護業界で働く人は、おとなしい人が多いので、介護保険制度に対する締め付けが強くなっていくことに対して、医療ほど社会争点化されていないけれど、これは本当にちゃんと考えないといけない問題。
パネリストの中には政治的立ち位置が明確な方もおられたが、右とか左とかイデオロギーの前に、まずは自分たちの社会がどうあるべきなのか、それを持続可能なものにするためにはどの選択が最善なのか、冷静に考えるべきではないかと思う。
今週末は出張なので、番組収録を終えてから期日前投票に行ってきた。
未来の選択
ぜひみなさんも国民の権利を行使してください。
]、午後8:20 ・ 2026年2月2日
介護はケチると結局高くつく
(佐々木 淳、医療法人社団悠翔会 理事長・診療部長、1973年京都市生まれの医師)
https://x.com/junsasakimdt/status/2018283275484278790
ケア社会をつくる会 👇

総選挙後に介護保険はどうなる!?
各党の介護政策比較と現場の危機感
介護当事者や研究者による「ケア社会をつくる会」が総選挙を前に各政党にアンケートを実施。
回答を見ながら今後予想される展開を議論
https://www.youtube.com/watch?v=AgAuH_00Dpc
入院すると痩せて帰ってくるって本当?
https://www.youtube.com/watch?v=c-kZubMM7Nw
「健康で文化的な最低限度の生活」は憲法で保障された私たちの生存権
介護はそれを保障する基本的インフラのひとつ。
医師としてこういうのも何だが、極言すれば、医療はなくても人は生きていけるが、介護がないと要介護者は生きられない。
食事、排泄、清潔などの基本的ケアが提供できなければ、生活が継続できないばかりか、誤嚥性肺炎や骨折などによる入院や死亡のリスクが増加する。
これは生命や生活をリスクに晒すだけでなく、高額な社会コストを生じる。
誤嚥性肺炎で1回入院すると入院医療費は平均118万円だ。
前回の介護報酬削減で特に訪問介護は閉鎖が増加。
いまやベーシックサービスであるはずの訪問介護のない基礎自治体が約20%。
これは過疎地だけの話ではない。
首都圏においても訪問介護の不在地域が出始めている。
介護をケチれば、社会全体が困窮する
介護が足りなくて困るのは、本人だけではない。
家族の介護負担が大きくなる。
介護離職だけで1兆円の経済損失とされるが、2030年には833万人の家族介護者のうち4割がビジネスケアラー、その経済生産性の低下により9兆円の経済損失が生じると経産省は試算している。
そもそも介護保険は、家族を介護に縛りつけない=介護の「社会化」を目的としていた。
そして国は2016年に介護離職ゼロを目指すといっていたはず。
しかし現実は逆行している。
一度介護離職すると復職は容易ではない。
生活の基盤を失う世帯も増加する。
選挙の争点にもなっている「手取りが増えない」の主犯は、社会保障費の増大ではなく経済成長の停滞=そもそも所得が伸びていないこと。
就労している家族に介護を担わせれば、経済成長の足かせになるどころか、離職者・非正規雇用者、そして社会保障サービスへの依存者を増やしかねない。
介護をケチれば、より高額な医療保険に流れる
介護報酬を削りに削り、介護福祉士やケアマネが他業界に移籍していく中、その不足を補っているのが医療保険サービスだ。
社会的入院はいまだに多い。
福井県のレセプトデータ分析によると、総医療費の最大10.9%が社会的入院。
一昨年2024年の国民医療費は48兆円、つまり最大5兆円がケアニーズのために消費されていることになる。
また、いわゆる「ホスピス型住宅」も急増、ここ数年でなんと15万床!に到達しようとしている。
健康保険で訪問看護に入れる患者を施設に収容する。
健康保険の場合、訪問看護提供には上限がない。
おむつ交換など、本来は介護職が担っていた仕事を時間外に複数人で行うことで高額な加算を請求する。
その高い利益率で、この新しい施設は急成長した。
新たに4つの上場企業が生まれた。
ケアの単価は患者一人、ひと月あたり90万円。
これも医療費からの支出だ。
介護が足りないと、その需要は割高な入院・訪問看護に流れる。
しかし、その「ケア」としての質は決して高くはない。
介護を守ることは、社会を守ること
繰り返しになるが、介護保険サービスは要介護者のみならず、私たちの社会全体を守るために必要不可欠なベーシックサービスだ。
介護にかかる費用は単なる「コスト」ではない。
家族が社会参加・就労を継続し、医療保険サービスの適正利用化のための投資であるはずだ。
その介護の提供体制が不安定になっているのは、評価=点数が低すぎるから。
国家資格を取らせながら、手取りはコンビニのバイトより少ないとか、少しおかしいのではないか。
介護の仕事は、単なる「お世話」ではない。
その人の状態を身体・精神・社会心理的側面からアセスメントし、併存する疾患や障害の特性もある程度理解した上で、個別化された目標に向かって、本人、家族、そして周囲の環境要因・社会資源も巻き込みながら、その自立と尊厳を守る。
特に人生の最終段階、医療によって予後延長が望めない状況においては、本人の生命力が最大限発揮できる環境を整えつつ、本人や周囲にとって納得のできる時間を確保できるよう、最期まで生活の継続を支援する。
本来、高度な専門性とスキルを求められる仕事だ。
現在の介護報酬は、その業務に伴うスキルや責任に対して、明らかに低すぎる。まずは正当な評価を行うべきだ。
生産性向上の限界と人材不足に向き合う
介護人材は非常に不足している。
今後、さらに介護需要は伸びるが、生産年齢人口は2040年までに1000万人以上減少する。
このような中で、介護の担い手を確保するためにとりうる手段は限られている。
生産性の向上と、外国人の活用だ。
規制改革推進会議の専門委員として、介護の生産性向上に関する規制緩和に積極的に取り組んできた。
深刻な人手不足の中、これは避けて通れない重要な課題だからだ。
しかし、生産性向上には一定以上の事業規模が必要だ。
施設における人員配置が1:3から1:2.9に緩和されれば、数千人のヘルパーを雇用する施設運営者であれば大きな効率化ができる。
しかし小規模事業所がこの恩恵にあずかるのは難しい。
加えて小規模事業者が担うのは、大規模化しにくい、より個別化が必要なケアだ。
お金にならない、大企業が拾わないケースに対応している。
このような領域では「効率化」は難しい。
生産性向上以前に、そもそも事業の持続可能性そのものが危うくなっている。
もちろん将来的には人型ロボットがケアの作業部分を担える時代が来るのだろう。
しかし、そうでもならない限りは、生産性向上が人手不足解消の切り札になるとは思えない。
人材不足のもう一つのカギは外国人に対する活躍の場の提供だ。
これは着々と進んできている。
素晴らしいケアをしてくれている外国人介護職を僕は何人も知っている。
残念ながらヘイトに近い外国人排斥の声も聞こえてくるが、介護サービスの担い手不足のみならず、日本の経済成長の足かせになっているのが労働人口不足だ
外国人が、日本で安心感を持って安定的な経済生活ができるように、そして日本の文化になじめるように支援していくことが重要なのではないか。
制度上の課題で改善の余地があるならそれは進めるべきだが、少なくとも外国人の活用について否定するのは違うだろう。
よりよい未来のための選択を
介護はコストではなく、社会投資。
私たちの社会を安定させ、経済成長を持続させるためのインフラ。
そして介護サービスの受益者は要介護高齢者だけではない、その家族も当事者だ。
離れて暮らす家族世帯も含め、家族の生活が介護で破綻しないように守ることが本来の介護保険制度の存在意義。
身内に高齢者がいないという人はいないだろう。
高齢者だけではない、がんの終末期でも、脳卒中で後遺症が残っても、そこから先を平穏に生きていくためのベーシックサービスだ。
安易な世代間対立を煽る政党は、そもそも本質を理解していないか、ただのポピュリストだ。
分断は何も生まない。「移民反対」についても同様だ。
外国人を追い出せというなら、誰がどう彼らの穴を埋めうるのか。
日本経済は、特に地域経済は外国人なしではすでに成立しえない。
そして移民反対を叫ぶ人たちの多くは、なぜか外資系で働く欧米人に対しては好意的だ。
移民反対というよりも、単なる人種差別なのではないか。
介護保険サービスを守るためには、それを支える介護専門職を支える必要がある。
そして、そのためにはしかるべき報酬が必要だ。
現状、経済損失で9兆円+医療保険の代替支出が5兆円=14兆円と、ほぼ介護保険の支出に匹敵する大規模な「損失」が生じている。
ということは、介護保険の予算規模を仮に2倍にしても、これらが解消されればトントンということになるのではないか。
しかし介護保険料をこれ以上上げるのは難しい。
自己負担の増加に耐えられる高齢世帯もそう多くはない。
予算規模拡大分は税金から入れていただくしかないのだろう。
そうなると消費税廃止などの議論とは共存できない。
むしろ正直に消費税「増税」の将来的な必要性について国民に説明できるリーダーのほうが望ましいのではないか。
(もちろん爆発的な経済成長で税率を上げなくてもなんとかなる、というのであればぜひそうしていただきたいが)
今日は上野千鶴子さんにお声がけいただき、ポリタスTVにて、介護保険の今後について討論に参加させていただき、主に上記のような内容をお話させていただいた。
介護業界で働く人は、おとなしい人が多いので、介護保険制度に対する締め付けが強くなっていくことに対して、医療ほど社会争点化されていないけれど、これは本当にちゃんと考えないといけない問題。
パネリストの中には政治的立ち位置が明確な方もおられたが、右とか左とかイデオロギーの前に、まずは自分たちの社会がどうあるべきなのか、それを持続可能なものにするためにはどの選択が最善なのか、冷静に考えるべきではないかと思う。
今週末は出張なので、番組収録を終えてから期日前投票に行ってきた。
未来の選択
ぜひみなさんも国民の権利を行使してください。
]、午後8:20 ・ 2026年2月2日
介護はケチると結局高くつく
(佐々木 淳、医療法人社団悠翔会 理事長・診療部長、1973年京都市生まれの医師)
https://x.com/junsasakimdt/status/2018283275484278790
ケア社会をつくる会 👇
総選挙後に介護保険はどうなる!?
各党の介護政策比較と現場の危機感
介護当事者や研究者による「ケア社会をつくる会」が総選挙を前に各政党にアンケートを実施。
回答を見ながら今後予想される展開を議論
https://www.youtube.com/watch?v=AgAuH_00Dpc
平野啓一郎、リアルトーク in NY
芥川賞作家の平野啓一郎氏が2026年2月2日夜、X(旧ツイッター)を更新。衆院選(8日投開票)について、私見をつづった。
各メディアの情勢調査ではおおむね自民有利が伝えられている。
そうしたなか、平野氏は「今回は、社民、共産、中道に投票してほしい。それぞれの党に思うところはあるだろうが、幾ら何でも国会の左右のバランスが悪すぎる」と書き出した。
そして「自民が大勝すれば自滅の道が目に見えている。中道は今の公約にも執行部にも賛同できないが、選挙後の責任問題で党内リベラルの巻き返しに期待するという意味で」と述べた。
日刊スポーツ、2026年2月3日8時50分
芥川賞作家が警鐘
「自民が大勝すれば自滅の道が目に見えている」
「中道は賛同できないが…」
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/202602030000110.html
※ 昨年2025年から米ニューヨークで暮らす小説家、平野啓一郎(1975年生まれ)さんが月に1回、現地での暮らしぶりを自身で撮影した写真とともにつづる毎日新聞連載の「リアルトーク in NY」から:
ニューヨークで年を越したのは、初めての経験だった。
日本でも、クリスマスはビジネス的に大きなイヴェントだが、こちらは期間が長く、ハロウィンが終わると、街中の店頭のディスプレイは、もうずっとクリスマス仕様だった。
ニューヨークは多様性の尊重から、クリスマスというイヴェントを祝うことが自粛されるようになったという話が、何年か前にネットで話題となったが、実際はそうでもなく、サンタクロースの格好をした人もいれば、ロックフェラー・センターの前には大きなクリスマス・ツリーも飾られている。
ただ、「メリー・クリスマス」という言葉は耳にせず、どこでも専ら「ハッピー・ホリデイズ」だった。
そういう意味では、個々の宗教的な習慣と、社会的に共有されるべきコミュニケーションのコードとは、意識的に分けられている、ということなのだろう。
日本人がアメリカに来て、慣れないことの一つは今も昔もチップで、現在マンハッタンでは、飲食店では最低会計の18%、一般的には20%くらいを渡すことになっている。
ただでさえ物価が高く、特にレストランでの食事は高額なので、チップの高騰には不平もよく聞かれるが、ともあれ目安がわかっているので、すぐに慣れることではある。
厄介なのは、それ以外のチップの相場で、これは私も人に訊(き)かないとまだよくわからない。
クリスマス前後には、アパートのドアマンやポーター、スーパーと呼ばれる管理人にチップを渡す習慣があり、その時期になると、彼らの名前の一覧が張り出されたり、郵便受けに投函(とうかん)されていたりする。
私の住んでいるアパートは割と大きなビルなので、ドアマンの人数もパートの人を合わせると二桁くらいいる。
こちらで世話になった不動産会社の担当者に、全員にチップを渡すべきなのかと尋ねると、あまり知らない人には渡す必要がなく、親切な人には多めに渡した方が良いとのことだった。
その際にも、「メリー・クリスマス」ではなく「ハッピー・ホリデイズ」と言うようにと忠告された。
目安としては、ドアマンの場合、大体、40ドルから100ドルくらい、スーパーには最低100ドルとのことだったが、これは住んでいる建物やエリアにもよるだろう。
ただ、特にドアマンに対するチップはかなり幅があり、実際に誰に幾ら渡すかは難しかった。
今のところ、ドアの開け閉めくらいで、あまり込み入った用事を頼んだこともなく、判断材料は、顔を合わせる頻度程度である。そうすると、彼らもシフトに従って働いているので、誰が特に、というわけでもない。
深夜の勤務帯の人などで、あまりよく知らないし、渡さなくてもいいか、と思った人もいたが、たまたま彼が黒人で、そうすると、差別的な人間と見做(みな)されるのではないかと考えたりもして、結局、常勤のドアマンには全員に一律の額を渡した。
来年の今頃(いまごろ)は、もう少し個人的に誰とどの程度親しいという関係も出来ているかもしれない。
引っ越してきてまだ半年であり、チップを渡しに行った際には、「あれ、ここに住んでました?」と、私たち家族のことをよく認識していない人もいた。
そういう人には、チップを渡す必要もなかったのだろうが、しかし、例えば急に私が部屋で倒れて、子供が救急車などを呼べずに、ドアマンを頼らなければならない緊急事態の際などには、やはり存在が認識されていて、好感を持ってもらっておくことは大事なのではないか、などといろいろな状況を考えた。
実際に彼らにチップを渡すと、感謝の言葉だけでなく握手を求められて、驚くほど喜ばれ、その後の愛想も良くなった。
私がチップを渡す時に伝えた感謝の言葉は、ややぎこちなく過剰なくらい丁寧だった気もする。
こういう時に裸で現金を差し出すのは、こちらでもやはり失礼らしく、小さな封筒を準備した。
彼らは、その時期には一日に何回も、そうして住民からチップを受け取るはずだし、計算すると大変な額に上るが、さりとてこのやりとりも、まったく儀式的というわけではない、意外と感情的なものだった。
私はあまりしないが、日本で高い旅館に泊まって、心付けを渡す時などは、お互いにもっとさりげないというか、大袈裟(おおげさ)にすると、渡す方、受け取る方のどちらにとっても、品がない、という感覚があるように思う。
率直に言うと、日々の生活の中でチップの制度は煩わしく、ない方が簡単である。
ヨーロッパでは、国にもよるだろうが、そういう方向に進んでいる。
チップが労働者の重要な収入源になっていることは理解しているが、本来ならば雇用主が十分な賃金を支払うべきだろう。
アメリカ人でも、最早(もはや)単なる義務となっている以上、チップの制度は廃止すべきだという人もいる。
しかし、この時期のかなりの額の出費は、家計にとっては痛手だが、ドアマンやポーターといった人たちに、感謝の気持ちを伝えるという意味では、こういうチップは悪くないのではないかとも感じた。
特にマンハッタンのように、古株もいれば、方々からの人の出入りも多いという街の場合、前者の場合は長年の付き合いとして、後者の場合はコミュニティへの参加のきっかけとして、これもまた機能している習慣の一つなのだろう。
[写真‐1]クリスマスシーズンのニューヨーク=2025年12月24日
[写真‐2]朝のニューヨーク=2025年12月15日
毎日新聞、2026/1/18 10:00
悩ましい? ドアマンへの年末のチップ
平野啓一郎さんの判断は
https://mainichi.jp/articles/20260117/k00/00m/040/093000c
新たにニューヨーク市長に選ばれたゾーラン・マムダニ(Zohran Kwame Mamdani、民主社会主義者、1991年生まれ)について訊(き)かれることが多い。
市長選の翌日、私は、いつも子供のスクール・バス乗り場で顔を合わせる4、5人の保護者と言葉を交わしたが、そのうち、投票権のある2人は、どちらもマムダニに投票したと言っていた。因(ちな)みに、マムダニの得票率は、50・8パーセント、2位のクオモが41・3パーセントだった。
リベラルが多いニューヨークでも、実際には、トランプ支持者も少なくなく(彼自身もニューヨーカーだ!)、また民主党支持者の間でも、主流派と「民主社会主義democratic socialism」を掲げるマムダニとの間には距離があり、政治の話題には気を遣う。
マムダニの選挙運動の特徴は、ミレニアル/Z世代を中心とする十万人もの若者のボランティアで、160万戸以上の戸別訪問と200万回以上の電話作戦という徹底した「ドブ板」と、ネット活用のウマさとが、相乗効果を上げた結果だった。
日本で選挙でのネットの影響力というと、デマだのヘイトだのと、残念な話になりがちだが、マムダニの動画はスタイリッシュで、まず単純に見やすく、ファクトに基づく主張が明確で、街角や商店で、気さくに人びとと政策を語り合う姿に好感が持たれる。
編集のテンポ感、温度感、情報量も、今日のネット・ユーザーに対してフレンドリーである。
これに比べると、街宣車の上に立って、声を嗄(か)らしながらマイクで叫び、有権者を見つけるなり突進して握手をして回る日本の選挙運動の動画は、“熱気”の表現に偏重していて暑苦しい。
選挙カーでひたすら名前を連呼するというあのスタイルも、そろそろ見直してはどうか。
私の周囲は、それなりの年齢の人たちが大半で、投票はしたものの、マムダニ旋風の熱気に煽(あお)られているというより、期待しつつ、様子を見ようという雰囲気だった。
保護者の一人は、何となく言い訳するように、マムダニに投票した理由として、まず彼が正直であること、そして、考え方が正しいことを挙げ、それはやはり大切なことだと言った。
それに、私も含め、その場にいた皆が同意した。
なぜ、言い訳するような口調なのかと言えば、この間、マムダニの政策が非現実的であると攻撃され続けていたからである。
今日、人がこの社会で最も恐れていることは、他人からバカだと思われることである。
そして、そう思われないためには、「現実主義」を標榜(ひょうぼう)するのが一番で、結果、単なる「現状追認主義」に堕してしまうというのは、よく見られる光景である。
リベラルなメディアや政党が、「中道」を標榜すれば支持を拡大できるなどと信じたがるのは、その典型だろう。
もし、現実が万事うまくいっているのであれば、それも良かろう。
しかし、うまくいっていない現実を追認し続けるのは、それこそ非現実的であり、賢明とは言えまい。
マムダニは例えば、公共交通は「公共財」との考えから、バスの無料化を公約としている。
これなどは、財源論で嘲笑的な批判を浴びてきたが、試算では、利用者はニューヨーク市全体で23パーセント増加すると予想され、その分、貧困層支援だけでなく、経済活動も活性化し、また、乗用車の利用が減る分、渋滞も緩和され、結果として定期運行と速度アップ、排気ガス/騒音の削減といった効果が期待できるという。
運営するMTA(都市圏交通公社)は現在も赤字だが、歳入減は一般財源から補塡(ほてん)する予定で、ニューヨーク市の年間1150億ドルの総支出から見れば、問題のない規模だとしている。
矢作弘(やはぎ ひろし、1947年生まれ)『社会主義都市ニューヨークの誕生』学芸出版社、2025年12月参照。
その他、子供の保育無償化、市所有のスーパー、家賃管理/凍結とアフォーダブル(手ごろな価格)な住宅の提供など、政策はいずれも生活に密着した内容で、数字的な根拠も示されている。
その詳細を見ていると、やはりこれは、トライすべきであり、成功させるべきだと感じられる。
大企業と富裕層への課税強化もマムダニの政策であり、これまた「金持ちがニューヨークからいなくなる」と批判がなされてきたが、前掲書によると、「タックス・フライト(税の高い州から安い州に移動する)」ということは、現実的には起きないらしい。
それはそうだろう。
個人にせよ企業にせよ、ニューヨークに住む、拠点を置くということの意味は多層的である。
税制のためだけに、テキサスやフロリダに去るということを自ら納得し、家族を説得するのは容易ではない。
この間、リベラルは、イデオロギーに凝り固まり、庶民の生活を置き去りにしてきたと散々批判されてきたが、マムダニの勝利は、まさにその生活にフォーカスした結果と言え、この辺りは、日本のリベラルも大いに学ぶべきである。
とはいえ、マムダニ自身はリベラルな姿勢も鮮明にしており、それはそれで見るべき点だが。
ニューヨークだけでなく、ボストン、シアトル、デトロイト、ニューオリンズ、……と、他の都市でも若い進歩的な市長が誕生し、また再選されている。
新しい政治思潮に注目すべき時である。
[写真‐1]
ブロンクスの植物園。自由の女神や高層ビルなどのミニチュアが飾り付けられている=米ニューヨークで
[写真‐2]
ミッドタウンの「カルティエ」。建物がプレゼントのようにデコレーションされている=米ニューヨークで
[写真‐3]
12月初めのセントラルパークの貯水池=米ニューヨークで
[写真‐4]
クリスマスシーズンのブロンクスの植物園。施設内にはクリスマスツリーが飾られている=米ニューヨークで
毎日新聞、2025/12/15 07:00
マムダニ旋風と新しい政治思潮
平野啓一郎さんが見たNY市長選
https://mainichi.jp/articles/20251214/k00/00m/040/103000c
各メディアの情勢調査ではおおむね自民有利が伝えられている。
そうしたなか、平野氏は「今回は、社民、共産、中道に投票してほしい。それぞれの党に思うところはあるだろうが、幾ら何でも国会の左右のバランスが悪すぎる」と書き出した。
そして「自民が大勝すれば自滅の道が目に見えている。中道は今の公約にも執行部にも賛同できないが、選挙後の責任問題で党内リベラルの巻き返しに期待するという意味で」と述べた。
日刊スポーツ、2026年2月3日8時50分
芥川賞作家が警鐘
「自民が大勝すれば自滅の道が目に見えている」
「中道は賛同できないが…」
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/202602030000110.html
※ 昨年2025年から米ニューヨークで暮らす小説家、平野啓一郎(1975年生まれ)さんが月に1回、現地での暮らしぶりを自身で撮影した写真とともにつづる毎日新聞連載の「リアルトーク in NY」から:
ニューヨークで年を越したのは、初めての経験だった。
日本でも、クリスマスはビジネス的に大きなイヴェントだが、こちらは期間が長く、ハロウィンが終わると、街中の店頭のディスプレイは、もうずっとクリスマス仕様だった。
ニューヨークは多様性の尊重から、クリスマスというイヴェントを祝うことが自粛されるようになったという話が、何年か前にネットで話題となったが、実際はそうでもなく、サンタクロースの格好をした人もいれば、ロックフェラー・センターの前には大きなクリスマス・ツリーも飾られている。
ただ、「メリー・クリスマス」という言葉は耳にせず、どこでも専ら「ハッピー・ホリデイズ」だった。
そういう意味では、個々の宗教的な習慣と、社会的に共有されるべきコミュニケーションのコードとは、意識的に分けられている、ということなのだろう。
日本人がアメリカに来て、慣れないことの一つは今も昔もチップで、現在マンハッタンでは、飲食店では最低会計の18%、一般的には20%くらいを渡すことになっている。
ただでさえ物価が高く、特にレストランでの食事は高額なので、チップの高騰には不平もよく聞かれるが、ともあれ目安がわかっているので、すぐに慣れることではある。
厄介なのは、それ以外のチップの相場で、これは私も人に訊(き)かないとまだよくわからない。
クリスマス前後には、アパートのドアマンやポーター、スーパーと呼ばれる管理人にチップを渡す習慣があり、その時期になると、彼らの名前の一覧が張り出されたり、郵便受けに投函(とうかん)されていたりする。
私の住んでいるアパートは割と大きなビルなので、ドアマンの人数もパートの人を合わせると二桁くらいいる。
こちらで世話になった不動産会社の担当者に、全員にチップを渡すべきなのかと尋ねると、あまり知らない人には渡す必要がなく、親切な人には多めに渡した方が良いとのことだった。
その際にも、「メリー・クリスマス」ではなく「ハッピー・ホリデイズ」と言うようにと忠告された。
目安としては、ドアマンの場合、大体、40ドルから100ドルくらい、スーパーには最低100ドルとのことだったが、これは住んでいる建物やエリアにもよるだろう。
ただ、特にドアマンに対するチップはかなり幅があり、実際に誰に幾ら渡すかは難しかった。
今のところ、ドアの開け閉めくらいで、あまり込み入った用事を頼んだこともなく、判断材料は、顔を合わせる頻度程度である。そうすると、彼らもシフトに従って働いているので、誰が特に、というわけでもない。
深夜の勤務帯の人などで、あまりよく知らないし、渡さなくてもいいか、と思った人もいたが、たまたま彼が黒人で、そうすると、差別的な人間と見做(みな)されるのではないかと考えたりもして、結局、常勤のドアマンには全員に一律の額を渡した。
来年の今頃(いまごろ)は、もう少し個人的に誰とどの程度親しいという関係も出来ているかもしれない。
引っ越してきてまだ半年であり、チップを渡しに行った際には、「あれ、ここに住んでました?」と、私たち家族のことをよく認識していない人もいた。
そういう人には、チップを渡す必要もなかったのだろうが、しかし、例えば急に私が部屋で倒れて、子供が救急車などを呼べずに、ドアマンを頼らなければならない緊急事態の際などには、やはり存在が認識されていて、好感を持ってもらっておくことは大事なのではないか、などといろいろな状況を考えた。
実際に彼らにチップを渡すと、感謝の言葉だけでなく握手を求められて、驚くほど喜ばれ、その後の愛想も良くなった。
私がチップを渡す時に伝えた感謝の言葉は、ややぎこちなく過剰なくらい丁寧だった気もする。
こういう時に裸で現金を差し出すのは、こちらでもやはり失礼らしく、小さな封筒を準備した。
彼らは、その時期には一日に何回も、そうして住民からチップを受け取るはずだし、計算すると大変な額に上るが、さりとてこのやりとりも、まったく儀式的というわけではない、意外と感情的なものだった。
私はあまりしないが、日本で高い旅館に泊まって、心付けを渡す時などは、お互いにもっとさりげないというか、大袈裟(おおげさ)にすると、渡す方、受け取る方のどちらにとっても、品がない、という感覚があるように思う。
率直に言うと、日々の生活の中でチップの制度は煩わしく、ない方が簡単である。
ヨーロッパでは、国にもよるだろうが、そういう方向に進んでいる。
チップが労働者の重要な収入源になっていることは理解しているが、本来ならば雇用主が十分な賃金を支払うべきだろう。
アメリカ人でも、最早(もはや)単なる義務となっている以上、チップの制度は廃止すべきだという人もいる。
しかし、この時期のかなりの額の出費は、家計にとっては痛手だが、ドアマンやポーターといった人たちに、感謝の気持ちを伝えるという意味では、こういうチップは悪くないのではないかとも感じた。
特にマンハッタンのように、古株もいれば、方々からの人の出入りも多いという街の場合、前者の場合は長年の付き合いとして、後者の場合はコミュニティへの参加のきっかけとして、これもまた機能している習慣の一つなのだろう。
[写真‐1]クリスマスシーズンのニューヨーク=2025年12月24日
[写真‐2]朝のニューヨーク=2025年12月15日
毎日新聞、2026/1/18 10:00
悩ましい? ドアマンへの年末のチップ
平野啓一郎さんの判断は
https://mainichi.jp/articles/20260117/k00/00m/040/093000c
新たにニューヨーク市長に選ばれたゾーラン・マムダニ(Zohran Kwame Mamdani、民主社会主義者、1991年生まれ)について訊(き)かれることが多い。
市長選の翌日、私は、いつも子供のスクール・バス乗り場で顔を合わせる4、5人の保護者と言葉を交わしたが、そのうち、投票権のある2人は、どちらもマムダニに投票したと言っていた。因(ちな)みに、マムダニの得票率は、50・8パーセント、2位のクオモが41・3パーセントだった。
リベラルが多いニューヨークでも、実際には、トランプ支持者も少なくなく(彼自身もニューヨーカーだ!)、また民主党支持者の間でも、主流派と「民主社会主義democratic socialism」を掲げるマムダニとの間には距離があり、政治の話題には気を遣う。
マムダニの選挙運動の特徴は、ミレニアル/Z世代を中心とする十万人もの若者のボランティアで、160万戸以上の戸別訪問と200万回以上の電話作戦という徹底した「ドブ板」と、ネット活用のウマさとが、相乗効果を上げた結果だった。
日本で選挙でのネットの影響力というと、デマだのヘイトだのと、残念な話になりがちだが、マムダニの動画はスタイリッシュで、まず単純に見やすく、ファクトに基づく主張が明確で、街角や商店で、気さくに人びとと政策を語り合う姿に好感が持たれる。
編集のテンポ感、温度感、情報量も、今日のネット・ユーザーに対してフレンドリーである。
これに比べると、街宣車の上に立って、声を嗄(か)らしながらマイクで叫び、有権者を見つけるなり突進して握手をして回る日本の選挙運動の動画は、“熱気”の表現に偏重していて暑苦しい。
選挙カーでひたすら名前を連呼するというあのスタイルも、そろそろ見直してはどうか。
私の周囲は、それなりの年齢の人たちが大半で、投票はしたものの、マムダニ旋風の熱気に煽(あお)られているというより、期待しつつ、様子を見ようという雰囲気だった。
保護者の一人は、何となく言い訳するように、マムダニに投票した理由として、まず彼が正直であること、そして、考え方が正しいことを挙げ、それはやはり大切なことだと言った。
それに、私も含め、その場にいた皆が同意した。
なぜ、言い訳するような口調なのかと言えば、この間、マムダニの政策が非現実的であると攻撃され続けていたからである。
今日、人がこの社会で最も恐れていることは、他人からバカだと思われることである。
そして、そう思われないためには、「現実主義」を標榜(ひょうぼう)するのが一番で、結果、単なる「現状追認主義」に堕してしまうというのは、よく見られる光景である。
リベラルなメディアや政党が、「中道」を標榜すれば支持を拡大できるなどと信じたがるのは、その典型だろう。
もし、現実が万事うまくいっているのであれば、それも良かろう。
しかし、うまくいっていない現実を追認し続けるのは、それこそ非現実的であり、賢明とは言えまい。
マムダニは例えば、公共交通は「公共財」との考えから、バスの無料化を公約としている。
これなどは、財源論で嘲笑的な批判を浴びてきたが、試算では、利用者はニューヨーク市全体で23パーセント増加すると予想され、その分、貧困層支援だけでなく、経済活動も活性化し、また、乗用車の利用が減る分、渋滞も緩和され、結果として定期運行と速度アップ、排気ガス/騒音の削減といった効果が期待できるという。
運営するMTA(都市圏交通公社)は現在も赤字だが、歳入減は一般財源から補塡(ほてん)する予定で、ニューヨーク市の年間1150億ドルの総支出から見れば、問題のない規模だとしている。
矢作弘(やはぎ ひろし、1947年生まれ)『社会主義都市ニューヨークの誕生』学芸出版社、2025年12月参照。
その他、子供の保育無償化、市所有のスーパー、家賃管理/凍結とアフォーダブル(手ごろな価格)な住宅の提供など、政策はいずれも生活に密着した内容で、数字的な根拠も示されている。
その詳細を見ていると、やはりこれは、トライすべきであり、成功させるべきだと感じられる。
大企業と富裕層への課税強化もマムダニの政策であり、これまた「金持ちがニューヨークからいなくなる」と批判がなされてきたが、前掲書によると、「タックス・フライト(税の高い州から安い州に移動する)」ということは、現実的には起きないらしい。
それはそうだろう。
個人にせよ企業にせよ、ニューヨークに住む、拠点を置くということの意味は多層的である。
税制のためだけに、テキサスやフロリダに去るということを自ら納得し、家族を説得するのは容易ではない。
この間、リベラルは、イデオロギーに凝り固まり、庶民の生活を置き去りにしてきたと散々批判されてきたが、マムダニの勝利は、まさにその生活にフォーカスした結果と言え、この辺りは、日本のリベラルも大いに学ぶべきである。
とはいえ、マムダニ自身はリベラルな姿勢も鮮明にしており、それはそれで見るべき点だが。
ニューヨークだけでなく、ボストン、シアトル、デトロイト、ニューオリンズ、……と、他の都市でも若い進歩的な市長が誕生し、また再選されている。
新しい政治思潮に注目すべき時である。
[写真‐1]
ブロンクスの植物園。自由の女神や高層ビルなどのミニチュアが飾り付けられている=米ニューヨークで
[写真‐2]
ミッドタウンの「カルティエ」。建物がプレゼントのようにデコレーションされている=米ニューヨークで
[写真‐3]
12月初めのセントラルパークの貯水池=米ニューヨークで
[写真‐4]
クリスマスシーズンのブロンクスの植物園。施設内にはクリスマスツリーが飾られている=米ニューヨークで
毎日新聞、2025/12/15 07:00
マムダニ旋風と新しい政治思潮
平野啓一郎さんが見たNY市長選
https://mainichi.jp/articles/20251214/k00/00m/040/103000c

