[参考]
☆ 立命館大学広報課・キラリと輝く学生+Rな人
能登半島地震の足湯ボランティアから学ぶ地域 一人ひとりとのつながり
HONAMI YAMAGUCHI
https://www.ritsumei.ac.jp/features/r_na_hito/entry/?post=278
☆ 京都学生FAST
京都府内の大学生消防防災サークルで構成された京都府公認の学生ネットワーク。
「京都学生FAST」に参加している大学サークルは13大学あり、約280名の学生がそれぞれの大学で活動しています。
<「京都学生FAST」事業の3つの目指すところ>
1. 「学生のまち京都」の強みを活かし、若いチカラと発想で防災を盛り上げる!
2. 学生にとって防災(消防団等)を身近なものにする!
3. 将来の地域防災リーダーとして活躍する若い人材を育てる!
・「京都学生FAST」啓発リーフレット
表面: https://www.pref.kyoto.jp/shobo/documents/tirashiomote.jpg
裏面: https://www.pref.kyoto.jp/shobo/documents/tirashiura.jpg
京都府公式サイト
https://www.pref.kyoto.jp/shobo/kyotogakuseifast.html
https://www.facebook.com/kyotogakuseifast/
災害は世界中どこでも起きるし、いつ起こるかは分からない。
海外の現場に赴いて救急救命や医療などの活動をする仕事を目指している山口穂菜美さん(21)は、立命館大入学後に自らにこんな問いかけをしていた。
「被災地に行ったとしても、自分は『誰かのため』になる活動ができるのだろうか」
大学1年だった2023年秋、キャンパスのある京都市の消防団の門をたたいた。
地域防災に関わることで、自分はどんな社会貢献ができるのか考えたかったからだ。
市内で200を超す消防団の一つ「北消防団紫竹(しちく)分団」に加わった。
だが、活動は簡単ではなかった。
訓練では重さ約8キロのホースを持って走り、60メートルほど先の的に向けて放水する。
判断力や集中力も不可欠だ。
筋力トレーニングに励みながら、街に出ては拍子木を打ち鳴らし「火の用心」を呼びかけてきた。
同じ頃、「京都学生FAST」という学生サークルを知り、参加した。
FASTは「Fire And Safety Team」の略だ。
消防防災のため「大学と地域の懸け橋に」という理念を掲げて、佛教大など京都の4大学が参画して発足した。
京都府が公認する団体だ。
今は13大学約200人に増え、山口さんはその代表を務める。
だが入った当時、肝心の立命館大の活動実態がなかった。
佛教大のメンバーに教えを請い、一人で学校周辺の防火を呼びかけて回った。
能登入りに迷い
翌24年の元日、能登半島地震が起きると気がせいた。
「自分は防災サークルの部員で、消防団員でもある。培ってきたことを役立てる時なのに……」
そう考えたが、現地に入ってのボランティア活動には迷いがあった。
石川県の馳浩知事の発言が気になっていた。
「民間のボランティア、個人的なですね、能登への通行をやめてください」
一緒に石川へ入ろうとした友人は見送りを決めていた。
離れて暮らす母に電話して相談すると、反対されなかった。
山口さんは能登へ向かう決意をしたが、母は娘の心の揺れを察したのだろう。
山口さんが能登へ出発する前日、京都に立ち寄り夕食に誘った。
母は「被災者の助けになってあげて」と思ってくれていたようだったが、被災地やボランティアについてほとんど触れなかった。
「気をつけてね。風邪ひかんように」
手渡された袋には、寝袋とカイロが入っていた。
山口さんは吹っ切れたような気がした。
「ただ『何か役に立ちたい』っていう素直な気持ちに従おう」
地震から1ヶ月半余りがたった2月、神戸市のNGO「CODE海外災害援助市民センター」が募る「やさしや足湯隊」のボランティアの一員として、他大学の学生らと一緒に能登半島北部の石川県輪島市の避難所へ向かった。
※ 「CODE海外災害援助市民センター」は、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災をきっかけに「困ったときはお互いさま」の心で海外の被災地支援を行っています。災害時の支えあい・学びあいを通して地球の市民どうしのつながりを築いています(神戸市兵庫区中道通2-1-10 Tel 078-578-7744)。
https://code-jp.org/
被災地の多くの場所で電気やガスが復旧しておらず、断水も続いていた。
給水所から運んできた水をガスボンベで温めた。
たらいに張った湯に被災者の足を浸してもらい、手をさすったり握りしめたりしながら一対一で話を聞く。
血行が良くなり体が温まると緊張がほぐれ、被災者との間に人間関係が徐々にできていく。
でも大事なのはそれからだった。
「余震が続き、安心して眠れんのよ」
心身の悩みや被災地の課題を、何気なくぽつりぽつりとつぶやくのだ。
一人ひとりがさらけ出す言葉を「つぶやきカード」に記載し、支えにつながるすべを話し合った。
「遠い所から来てくれて気の毒な」
「気の毒」は方言で「ありがとう」の意味。山口さんは被災者の言葉に救われた思いがした。
みんなのため 動く
活動を終え、京都での日常生活に戻ると、能登とのギャップの大きさを感じた。
被災者の姿が心に浮かび、気になって仕方がなかった。
「できることをやろう」と奮起した。
大学では能登の現状や、災害時の備えなど防災活動を呼びかける月刊新聞を作成して配布した。
すると、少しずつ仲間も増えた。
その後再び被災地を訪れ、かき氷をふるまったり、地域の祭りに参加したりした。
実際に活動して気付いたことがあった。
「被災者は十人十色。だから支える側も多彩でちょうどいい。『誰かのため』って、現地に行くだけでも必ず誰かの何かしらのプラスになる」
それでも、気になることがあった。
2024年9月の能登豪雨の後も被災地へ。
京都に帰ると、「偽善じゃないの?」という周囲の冷ややかな視線を感じた。
もちろん応援してくれる友人はいたが、批判されている空気に包まれていることも度々あった。
そういう時は自分に言い聞かせた。
災害の場所が変われば、立場が入れ替わる。
「困った時に助け合うのはお互いさま。そして、何よりも無力ではない自分でいたい」
被災者が力に
心の支えになったのが、1枚の写真だった。
撮影地は2025年3月の輪島市門前町深見。
背景の山は、地震と豪雨による土石流で斜面が崩落し、海岸線は隆起している。
仮設住宅に暮らすおばあちゃんを真ん中に、山口さんとボランティア仲間の学生が笑顔で体を寄せ合っている。
「仮設住宅に飾るから一緒に」
おばあちゃんにそう提案されて撮った。
ボランティアとして、山口さんはおばあちゃんの自宅近くに足を運び、土砂に埋もれていた家財を一緒に捜した。
自転車を見つけ、運び出した時だった。
おばあちゃんがこう言った。
「小さいのに力持ちやなあ。あんたなら人を助ける仕事に絶対に就けるわ」
京都に戻ってから弱気や迷いが生じても、この写真を見つめると力をもらえた。
「おばあちゃんが『大丈夫や』って私を応援してくれている」
能登でのボランティア活動で、被災者が自分を成長させてくれた気がした。
そして目標がはっきりと定まった。
「被災地ではさまざまな支援者がいて、それぞれができることを黙々とこなしていました。目指していた姿に触れたような思いがしました」
こうした経験の積み重ねが、後に米国で研修を受ける動機につながった。
近ごろ、新たに取り組んでいることがある。
学生サークル「京都学生FAST」の仲間と、防災を学ぶボードゲームを作った。
いざ災害の時、各自が判断する力を付けてもらうためだ。
京都市内外の公共施設などへ出向き、このボードゲームを使って学ぶ機会を設けている。
2025年12月、青森県東方沖を震源とする最大震度6強の地震が起きた時には、交流サイト(SNS)を駆使した。
政府は、その後に発生する恐れがある巨大地震への警戒を求めて「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表した。
山口さんは、多くの外国籍の住民に情報が伝わるよう、英文とイラストで高台避難などをSNSで呼びかけた。
世界各地の災害現場での緊急援助活動に長年取り組んできた大学の先輩らに、自身の活動について相談した。
「ボランティア活動は被災者への押しつけには決してならない。お互いの思いが共有されていれば、これほど強いものはないと思う。自分のため、相手のためではなく『私たちみんなのため』というのが当てはまるのかな」
「本当に『誰かのため』になるのか」という自問に対し、最近、その答えが少し分かるようになってきた。
「自分は生かされている。人を助ける仕事に就くという挑戦は簡単じゃない。けれど『阪神大震災で亡くなった人たちも見守ってくれている』と思えたんです。情熱を失わず、その気持ちに正直に生きていきたい」
[写真‐1]
能登半島地震で隆起した海岸で、その後の能登豪雨による土砂と一緒に流された家財などを被災住民とともに捜し出し掘り起こす山口穂菜美さん(右端)=石川県輪島市門前町深見で2025年3月(山口さん提供)
[写真‐2]
「京都学生FAST」が考案した手作りの防災ボードゲームを始める前に「レッツ防災!」と声を掛け合う山口穂菜美さん(中央)=京都市北区で2025年12月
毎日新聞、2026/1/18
海外災害支援目指す21歳(その2)
ただ、役に立ちたい
https://mainichi.jp/articles/20260118/ddm/003/040/076000c
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