(2001年9月11日)
https://www.youtube.com/watch?v=ZKC7pKUpudk
9.11 ユナイテッド93便 最後の瞬間
https://www.youtube.com/watch?v=lCMnM9tjuL0
9.11 米・同時多発テロ 崩れる直前「バリバリという音を聞いた」
https://www.youtube.com/watch?v=JVznokyl5X0
日本の援助隊が到着 出迎えの拍手に込められた期待
(2017/09/22)
https://www.youtube.com/watch?v=JRawN5r598w
メキシコ中部地震で大きな被害を受けた各種建築物の現状
https://www.youtube.com/watch?v=c0NtI0oCw5g
「ホナミ、出動するぞ」
消防隊員に促され、山口穂菜美さん(21)は防火服をまとった。
だが行き先は火事現場ではない。
さらに、交信用のマイクとイヤホンが付いたヘッドセットを装着。
救命処置をする機材を積んだ消防車に乗り込んだ。
2025年9月。山口さんは米ワシントン州レイシー(Lacey)のレイシー消防局で研修中だった。
「80代の女性が心臓発作を起こした」という通報が入り、緊張が走る。
道中で女性の娘から電話が入った。
ヘッドセットから聞こえた声はうわずっている。
容体が悪化しているようだった。
ほどなく高齢女性の自宅に到着。
同乗していた隊員に指示され、すぐに脈をとって血圧測定をした。
高齢女性はその後病院へ搬送され無事だった。
「飼い犬が心配そうに鳴き続け、娘さんも泣き出していました。処置は1時間ほどでしたが、一瞬のようでもありました」
適切な応急処置が命を救う―― そう実感した。
消防局に戻ると、ティム・フルズ大隊長が話しかけてきた。
「私たちが力を発揮できるのは消防士のユニホームに市民の信頼があるから。それを忘れないでね」
米国では消防士や救急救命士への信頼が厚い。
2001年9月の米同時多発テロでは崩壊した世界貿易センターのビルで市民が階段を逃げ下りてくる中、消防士は駆け上がって救助に向かった。
消防士343人が死亡したとされる。
消防士への追悼行事は各地で今も続いている。
消防局では隊員一人ひとり人がヘルメットをかぶり、酸素ボンベを担ぐなど、出動時と同じ格好でランニングマシンに黙々と向き合う。
マシンは平たんではなく、段差があるタイプ。
重装備で階段を上っているイメージだ。
これほどハードなトレーニングをこなすのは「あの日を忘れない」という思いを体に刻み込むためだ。
そんな隊員の姿を見て、山口さんは思った。
「自分がその立場だったら役割を担えるだろうか。彼らは恐怖がなかったわけでも、英雄になりたかったからでもない。勇気や使命感を超えた『人を助けたい』っていう自然な気持ちから、きっと行動したのでは」
阪神大震災を学んで
海外で災害が起きたらすぐ現地に駆けつけ、緊急の援助活動をする。
山口さんは将来、そんな仕事ができればと思っている。
山口さんは現在、立命館大文学部3年。生まれは神戸市垂水区だ。
この道に進む決意をしたのは、阪神大震災が大きい。
震災当時は生まれていなかったが、今はこう考えている。
「親はまだ結婚していなかったけれど、無事でなければ自分はこの世に生まれていなかった。それから世界中の人たちの助けがあって、今の神戸がある。その恩返しをしたい気持ちもあるんです」
震災時、神戸市兵庫区の父の実家は倒壊は免れたが、家財が散乱するなどしたという。
「西隣の長田区の空が真っ赤でな。(会社の)同僚の安否確認に苦労してな……」
父はそれ以上語らなかった。
記憶に鮮明なのが、中学1年だった2017年9月、メキシコ中部で起きた大地震(マグニチュード(M)7.1)だった。
国際緊急援助隊が現地で救助活動をするテレビの映像を見て、心を揺さぶられた。
国際緊急援助隊はJDR(Japan Disaster Relief Team)と呼ばれ、被災した国などから要請されると政府が派遣を決める。
任務に応じて、各省庁や国際協力機構(JICA)の隊員による救助チーム、医師や看護師らがメンバーの医療チームなどがある。
その後、神戸市の「人と防災未来センター」で阪神大震災の教訓を学び、中学で避難や炊き出しの訓練をする中で「生かされた命」だと気づいた。
大学生になり、JDRのような仕事に就きたいと考えるようになった。
大学の奨学金を受けて、短期留学で全米救急医療技術者登録機構や野外での救助方法に関する米国の資格の取得を目指した。
ワシントン州シアトルでも学んだ。
救急救命への意識の高さに関心があったからだ。
市民が心停止の現場に居合わせると率先して心肺蘇生などの救助活動をしており、シアトルを含む同州キング郡での心肺蘇生の実施率は75%だった。
「日本では2021年の時点で57.5%とまだ低い。改善のヒントがほしかったんです」
それが初期の救急救命にこだわる理由だった。
国内での80時間超のオンライン講座や米国での研修を受け、救急車が現場に到着するまでの応急手当てができるなどの資格を得た。
夢に向かっていく山口さん。
だが、葛藤を抱えていた。
(続)
[写真]
米国での研修終了後、消防車両の前で、レイシー消防局の隊員たちと一緒にほっとした表情で写真に納まる山口穂菜美さん(中央)。「多くの助言や学びがあった貴重な時間でした」と語った=米ワシントン州レイシーで2025年9月(山口さん提供)
毎日新聞、2026/1/18
海外災害支援目指す21歳(その1)
神戸から、命の恩返し
(取材・文 高尾具成)
https://mainichi.jp/articles/20260118/ddm/001/040/086000c
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