2020年09月12日

核のごみを北海道に持ち込んでいいの?

 高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定に手を挙げそうな北海道後志(しりべし)管内の寿都町(すっつちょう)。
 町内に不安が広がり、道や隣接自治体との亀裂も深まっている。
 巨額の交付金で誘致を促す手法。
 このままでいいのだろうか。

 高レベル放射性廃棄物とは、原発で使用済みの核燃料を再処理し、燃料として利用可能なウランとプルトニウムを取りだした後に残される極めて危険な廃液だ。

 ガラス状に固めて封印し、地中深く埋設するという処分の方法は、法律で定められている。
 しかし、処分場を受け入れる自治体が決まらない。

 原子力発電環境整備機構(NUMO)が処分地の選定に取り掛かって20年、一貫して自治体に立候補してもらう方式を採っている。
 既存の資料により過去に起こった地震の有無などを調べる「文献調査」、
 ボーリングなどで実際に地下の様子を探る「概要調査」、
 その上で「精密調査」へと進む。

 文献調査に応じるだけで最大20億、概要調査に至れば計約90億円が、立地の成否に関係なく交付されることになっている。
 2007年に当時の高知県東洋町長が、交付金を求めて文献調査に名乗りを上げた。
 ところが、町民や県民、隣接県などからも猛反発を受けて頓挫した。
 それ以降、応募を表明する自治体は出なかった。

 寿都町も過疎の町。
 年間予算を上回る交付金を得たい気持ちはよくわかる。
 しかし原発関連施設の誘致を巡っては、住民は常に「経済」か「安心安全」かの選択を迫られ、引き裂かれ、事の成否にかかわらず地域に深い傷を残すことになる。
 交付金依存がいつまでも続くわけではない。
 このようなやり方は、もう改めるべきだ。

 高レベル廃棄物の最終処分計画は、青森県六ケ所村で建設中の再処理工場の稼働を見込んで立てられている。
 本格始動後は500キログラムのガラス固化体が年間1000本程度発生するという。
 しかし、巨額の国費を費やしながら、トラブルやミスが続いており、再処理を前提とする国の核燃料サイクル計画自体が頓挫した状態だ。
 再処理をやめれば、高レベル廃棄物は発生しない。
 ただし、既に出してしまった使用済み核燃料は残る。

 核燃料サイクル計画の断念を大前提に、核のごみの処分、あるいは管理方法を根本から見直すべきではないか。
 そのために、電力の大量消費地である大都市も、あらためて核のごみに向き合い、議論に加わる必要があるだろう。


東京新聞・社説、2020年8月24日 08時06分
核のごみ処分
根本から見直すべきだ

https://www.tokyo-np.co.jp/article/50741

[神恵内(かもえない)]原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査について、後志(しりべし)管内神恵内村の高橋昌幸村長は2020年9月11日、村役場で記者会見し、神恵内村商工会(上田道博会長)が村議会に提出した村の応募検討を求める請願について、15日開会の定例村議会で審議されるとの見通しを明らかにした。
 村長は、最終処分場について「国が推進しており、私自身は関心を持って見守っている」と述べ、議会の動きを注視する姿勢を示した。

 定例村議会は17日までの予定。
 村議会で採択されれば、村は応募の検討を始める見通し。
 高橋村長は、既に応募検討を表明している後志管内寿都町の片岡春雄町長への事前の相談について「していない」と述べた。

 村議でもある上田会長は11日、請願は8日に行ったと説明。
「議論はずっと前からあった。処分場ができれば雇用が生まれる」と答え、将来的に最終処分場誘致を望む考えも示した。


[写真]
高橋昌幸村長

北海道新聞、2020/09/11 15:03
核のごみ調査
応募請願を来週審議
神恵内村長「関心持ち見守る」
経産相「村内にも適地」

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/459250

神恵内村公式サイト
https://www.vill.kamoenai.hokkaido.jp/

 高レベル放射性廃棄物(核のごみ)最終処分場の選定に向けた文献調査に応募を検討している北海道寿都町が2020年9月10日に開いた住民説明会。
「核のごみ持ち込み是非の議論ではない」とする町側の説明に、町民からは批判が噴出し、議論はかみ合わなかった。
 だが、片岡春雄町長は反対意見を「説明不足」とする態度を崩さなかった。

「私は核のごみの賛否を問いたいのではない」

 住民説明会後、片岡町長は報道陣の取材にこう語り、「(意見を言った人の)多くが核のごみ(受け入れ)を否定していた。どうしたら納得してもらえるのか次の手立てを考えたい」と述べた。

 3時間に及ぶ議論では、片岡町長は「文献調査は処分場誘致につながらない。自治体や国が反対すれば止められる」との立場を強調。
 これに対し、町民からは「国の処分場選定事業の一環であり、誘致と切り離せない」などの反論が続き、議論は平行線をたどった。

 町民からは、文献調査の応募の判断について「どれだけの反対があれば断念するのか」と質問が出たが、片岡町長は「数字を示す前に勉強するのは悪いことではない。賛成反対の出口の議論はできない」と答えつつ、最終的には「51%反対すれば断念する」と述べた。

 また、梶山弘志経済産業相名の「知事と町長の意に反して(概要調査地を)選定しない」とする確約文書を巡って、手続きを途中で止められる根拠とした片岡町長に対し、町民は法的根拠をただした。
 片岡町長は「法的根拠はない。国を信用する」と述べ、反発の声が上がった。
 片岡町長は今後、経産省職員からの説明など、より明確な担保を求める方針を示した。

 さらに片岡町長は「(手続きを)途中で止められるとの確約があれば、皆さんも私の考えに近づく」と述べ、同じ会場で2回目の説明会を開くことも検討するとした。

 水産加工業に従事し、町民でつくる誘致に反対する市民団体の共同代表を務める吉野寿彦さんは「片岡町長とは話がずっとずれていた。論点がかみ合っていない」と不満を述べた。


[写真]
住民説明会後に記者会見する北海道寿都町の片岡春雄町長

毎日新聞、2020年9月12日 09時55分
北海道・寿都
核ごみ調査に住民の批判噴出
町長「51%反対で断念」

(山下智恵、高橋由衣)
https://mainichi.jp/articles/20200912/k00/00m/040/080000c
posted by fom_club at 13:23| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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