2020年07月08日

安田登「優雅な貧乏生活のはじまり」

 2ヶ月ほど続いた外出自粛生活もようやく終わりました。
 この2ヶ月間、近所に出かける以外は家で静かにしていたという人もいたでしょうし、そんなことは言っていられずふつうに通勤していた人もいたでしょう。
 私の職業は能楽師ですが、3月以降の舞台や講演、ワークショップがほぼゼロになりました。7月まではこれが続いているので、なんと4ヶ月間、無職です。
 収入ということ考えるとつらいのですが、これはこれで案外楽しいし、気楽です。
 街を歩いても人にぶつかることはないし、電車に乗ってもすいている。もう、以前のような生活に戻れないかもしれないと、いまはむしろそれが心配です。
 それに第二波、第三波がいつ襲ってくるかわからない。今回はひとり10万円の特別定額給付金や、持続化給付金などと政府もがんばりましたが、第二波、第三波のときには、それもどうなるかわからない。

 実はこんなときのために、10年以上も前から、「優雅な貧乏生活」という生き方を企画し、提案をしています。

 お金を使わず、しかし優雅に生活をしようということをすすめる生き方です。

 今回の新型コロナ騒動で突然、貧乏生活になってしまったので、すぐさま実践です。


 自粛期間中は、からだをあまり動かさなくなったので食事は二食で問題ない。
 朝はトースト一枚とコーヒー、夜だって一汁一菜プラス魚か肉少し。魚や肉はなければなくてもかまわない。まるで禅僧になったような気分です。

 優雅な貧乏生活で、最も大切なのは「優雅さ」です。
 こんな生活が長く続いたら、私のような舞台生活者は収入が完全に断たれるでしょう。
 ひょっとしたら生活保護を受けるようになるかもしれません。
 しかし、そんなときこそ大切なのが「優雅さ」なのです。

 たとえば街のカフェでコーヒーを飲む。安いところでも200円くらいはかかります。しかも、チェーン店のカフェではあまり優雅ではない。
こんな時に、優雅な貧乏仲間を集めての「優雅な貧乏茶会」をします。
『不思議な国のアリス』のお茶会のように、楽しく、でも、ちょっと変わったお茶会です(詳細は後日書きますので、今日はざっくりと)。

 まず、通販サイトでお稽古(けいこ)用の抹茶(まっちゃ)を購入します。100gで500円から1,000円。薄茶でお茶を点(た)てるときは1人前約2gなので、100gで50人分は使えます。1人分、10円から20円です。街中のコーヒーの10分の1から20分の1!
 お抹茶用の茶碗は、最初は100円ショップのものでいいでしょう。旅先で、ふと目に留まった茶碗などを買っておくのもいいですし、骨董市に出かけて探してもいい。なければドンブリでもかまいません。
 茶筅(ちゃせん)や茶杓(ちゃしゃく)も100円ショップで買うことができます。
 お茶を習ったことのある方ならば、それこそ作法に則(のっと)ってお茶を点てます。
 習ったことのない方のためには、あとでその方法を紹介します。
 むろん、我流でも問題はない。プライベートな茶会なので誰はばかることはありません。自分で「●●流」なんて作ってしまうのもいい。
 ただし、弟子を取ろうなんて思わないこと。弟子からの上納金で生きて行こうなんていうのは「優雅な貧乏生活」にはご法度(はっと)です。

 そして、あくまでも「優雅」に、そして丁寧に行う。
 お茶の点て方も、茶会も作法にのっとって行い、あとでみんなで俳句をひねったり、連句をしたりするのもいいでしょう。
 俳句の詠み方なども紹介しますね。

 むろん、自粛期間中はそんなことはできませんでした。
 なので、友人たちとオンライン茶会をしました。
 お茶の点て方を知っている人だけなら、みんなでシャカシャカお抹茶を点てるのもいいのですが、そうでない場合は各自好きなお茶を用意します。
 あ、これもお茶である必要はなく、コーヒーでも、紅茶でも、ジュースでも、コーラでもOKです。
 その他のものも好きでいいのですが、私が主催する場合は以下のものも用意してもらいます。むろん、なければなくてもかまいません。
(1)お茶(ジュースなどでも)
(2)好きなお菓子
(3)好きなアイテム
(4)五音のお題

 お茶会は次のような手順で行います。
 オンラインに入って来た順(私が最初)に、今日用意して「お菓子」について話をします。
 語り過ぎると嫌味になるし、少なすぎるとぶっきらぼう。この塩梅(あんばい)が難しい。
 しかし、そういうことを通して「優雅な貧乏生活」術を学んでいきます。
 参加者は、それに対してコメントをします。
 これも同じ。しゃべりすぎると嫌味だし、少なすぎると「そんなことには興味がない」ということを(そういうつもりがなくても)示すことになります。

 ひと通り終わったらお菓子をいただきます。
 オンラインのお茶会では、食べる音なども気になりますので、食べるときは音はミュートにします。
 でも、食べながら、お菓子についてお話をするのもいいですね。ただし、口の中に入れながらしゃべるのはダメです。

 次にお茶について話をします。
 茶器についても話してもいいでしょう。
 また、ひと通り終わったらミュートにしてお茶を飲みます。
 実際に飲んでみてのコメントもいいですね。

 次に用意したアイテムについて、話をします。
 ここから先は雑談のように自由に。ただし、オンライン飲み会との違いは、あまりしゃべらないこと。無音、無言を大切にします。オンラインで無言は難しいものです。不安になります。
 だから最初に「あまりしゃべらないようにしよう」と決めます。
 そして長居は無用。
 参加人数にもよりますが、1時間を目途に切り上げます。

 外出自粛期間中はこのようなオンラインお茶会を何度かしました。

 さて、これから「優雅な貧乏生活」についてお話をしていこうと思っていますが、「心・技・体」の3方面からお話していきます。
*************
(1)【心】心構え・生き方
(2)【技】具体的な方法・生活
(3)【体】作法・身体技法
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(1)の【心】は、貧乏をいかに優雅に楽しむかということについて、おもに江戸時代の俳人たちの心構えを紹介します。

(2)の【技】は、いまお話したお茶をはじめ、お金をかけずに優雅に生きるための具体的な方法を紹介します。
いま考えているのは以下のことです。
・お茶の点て方
・茶会のしかた
・一汁一菜のすすめ
・着物生活のすすめ
・四畳半を小宇宙として生きる
・オンライン版茶会の方法

(3)の【体】は、優雅に元気でいるためのインナーマッスル・エクササイズなどを紹介しようと思っています。

では、お楽しみに〜!

あさひてらす、2020.06.04
優雅な貧乏生活のはじまり
(安田登)
1956年千葉県銚子市生まれ、能楽師。
https://webzine.asahipress.com/posts/3643

posted by fom_club at 09:22| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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