2020年01月24日

傀儡政権の系譜

 今から60年前の1月19日、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」が日米地位協定とともに締結された。
 日本側で文書に署名したのは岸信介(総理大臣)、藤山愛一郎(外務大臣)、石井光次郎(法務大臣)、足立正(日本商工会議所会頭)、朝海浩一郎(駐米特命全権大使)だ。

 1951年9月にサンフランシスコのプレシディオ(第6兵団が基地として使っていた)で署名された日米安保条約を失効させて、新たな条約として批准されたもの。
 1951年のものを旧安保条約、1960年のものを新安保条約とも呼ぶ。
 旧安保条約が署名されたその日、同じサンフランシスコのオペラハウスで「対日平和条約」が結ばれている。

 日本に限らず、アメリカが結ぶ軍事同盟の大きな理由はふたつある。
 相手国を侵略の拠点にすること、そして相手国を支配し続けることだ。

 イギリスやハリー・トルーマン以降のアメリカはソ連/ロシアを侵略する動きを見せているが、これは本ブログで繰り返し書いてきた長期戦略に基づいている。
 その最終目標は世界支配だ。

 これは制海権を握っていたイギリスが考えた戦略で、ユーラシア大陸の周辺部を支配して物流をコントロール、内陸国を締め上げていくというもの。

 これをまとめ、1904年に公表したのが地政学の父とも呼ばれている地理学者のハルフォード・マッキンダー(Halford John Mackinder、1861 - 1947、ハートランド Heartland 理論を提唱)。
 ジョージ・ケナン(George Frost Kennan、1904 - 2005)の「封じ込め政策(Containment Policy)」やズビグネフ・ブレジンスキー(Zbigniew Kazimierz Brzezinski、1928 - 2017)の「グランド・チェスボード Grand Chessboard」もこの戦略に基づいているが、その後、この戦略が放棄された兆候は見られない。

 それに対抗してロシアはシベリア横断鉄道を建設した。
 ロシアが建設しているパイプライン、中国が推進している一帯一路もそうした対抗策だと言えるだろう。

 NATOの場合、加盟国には秘密工作部隊が設置されている。
 中でも有名な組織がイタリアのグラディオ Operation Gladio。
 1960年代から80年頃まで「極左」を装って爆弾攻撃を続けた。
 狙いは左翼勢力に対する信頼をなくさせ、社会不安を高めて治安体制を強化することにあり、「緊張戦略」とも呼ばれている。

 そうした秘密工作部隊は各国の情報機関が管理、その上にはアメリカやイギリスの情報機関が存在している。
 手先として右翼団体が利用された。

 イタリアでグラディオの存在が浮上したのは1972年のこと。
 イタリア北東部の森にあった兵器庫を子供が発見し、カラビニエッリと呼ばれる準軍事警察が捜査を開始するものの、途中で止まってしまう。

 再開されたのは1984年。
 事件は右翼団体ONがイタリアの情報機関SIDと共同で実施していたことが判明する。
 SIDは1977年に国内を担当するSISDEと国外を担当するSISMIに分割され、情報の分析を担当するCESISが創設されていた。

 ジュリオ・アンドレオッチ首相(Giulio Andreotti、1919 - 2013)は1990年7月、SISMIの公文書保管庫の捜査を許可せざるをえなくなり、同年10月に首相は「いわゆる『パラレルSID』グラディオ事件 'Parallel SID‘ – The Gladio Case」というタイトルの報告書を公表した。
 グラディの存在と活動を公式に認めたのである。

 グラディオの創設に関わっていたフランチェスコ・コッシガ(Francesco Cossiga、1928 - 2010)は大統領を辞任するが、2007年に興味深いことを話している。
 2001年9月11日に引き起こされた世界貿易センターと国防総省本部庁舎への攻撃はCIAとモサドがアラブ諸国を非難するために計画、実行したことを欧米の民主勢力は知っていると書いたのである。
(“Osama-Berlusconi? ≪Trappola giornalistica≫,” Corriere, 30 novembre 2007)

 アメリカと軍事同盟を結んでいる日本にも秘密工作部隊が存在しているのかどうかは不明だが、あっても驚かない。

 1945年4月にフランクリン・ルーズベルト米大統領が急死、5月にドイツが降伏たが、その直後にウィンストン・チャーチル英首相はソ連への奇襲攻撃を目論んでいる。
 そして作成されたのがアンシンカブル作戦(Operation Unthinkable)。
 これは参謀本部の反対で実現せず、アメリカでの原爆実験の成功で核攻撃へ彼の気持ちは移っていく。

 アメリカでも好戦派がソ連に対する核攻撃計画を作成しはじめるが、そうした流れの中、1950年代に沖縄の軍事基地化が進んだ。
 沖縄を先制核攻撃の出撃拠点にしようとしたわけである。

 沖縄で基地化が推進されていた1955年から57年にかけて時期に琉球民政長官を務めたライマン・レムニッツァー(Lyman Louis Lemnitzer、1899 - 1988)はアレン・ダレスたちとナチスの高官を保護する「サンライズ作戦(Operation Sunrise)」を実行した軍人で、1960年に統合参謀本部議長となった。

 1954年にソ連を攻撃するための作戦を作成したSAC(戦略空軍総司令部)を指揮していたカーティス・ルメイもダレスやレムニッツァーの仲間で、1961年に大統領となったジョン・F・ケネディと対立する。

 ダレスたち好戦派は1957年初頭にソ連を核攻撃する目的で「ドロップショット作戦(Operation Dropshot)」を作成。​
 テキサス大学のジェームズ・ガルブレイス教授(James K. Galbraith、1952年生まれ)によると​、攻撃は1963年後半に実行されることになっていた。

 しかし、その前にはケネディ大統領という大きな障害があった。
 この障害が排除されたのは1963年11月22日。
 テキサス州ダラスで大統領は暗殺されたのである。

 NATOにしろ日米安保条約にしろ、その目的は侵略と支配であり、防衛の要素があるとしても、侵略と支配を前提にしての話だ。


櫻井ジャーナル、2020.01.20 18:21:33
日米安保の目的は日本を支配し、ユーラシア大陸に対する軍事的拠点にすること
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202001190000/

 日米安保条約改定調印から60年が経過し、安倍内閣は2020年1月19日、外務省飯倉公館で記念行事を開いた。
 60年前の1月19日、岸信介首相は国内の猛反対を無視して米国ワシントンで改定日米安保条約に調印した。
 当時の米国大統領がアイゼンハワー。
 19日の行事には開かれた式典に、安倍内閣はアイゼンハワー元大統領の孫娘まで招いた。
 1957年に岸信介首相は訪米し、アイゼンハワー大統領とゴルフをした。
 安倍首相は自分がトランプ大統領と4回ゴルフをしたことを自慢するかのように話した。

 私たちは日本の現実を冷静に見つめる必要がある。
 主権者の多数が暴政だと判断する安倍政治が長期政権になっているのは、日本の支配者米国がこの内閣を支配し、利用しているからだ。
 日本は第二次大戦で敗北した。
 それ以来、日本は米国に支配され続けてきた。
 米国に隷従する政権は長期政権となり、米国にものを言う政権は短命に終らされてきた。
 この厳然たる事実を冷静に見つめなければならない。

 1957年に岸信介氏が首相の地位に上り詰めた背景に米国の介入があった。
 岸信介氏は1945年9月15日にA級戦犯容疑で逮捕、収監された。
 その岸氏は、満州時代の盟友・東条英機が絞首刑で処刑された翌日の1948年12月24日に不起訴処分で釈放された。

 そして、わずか9年も経たずして岸氏は日本の首相に就任し、日米安保条約改定を強行した。
 東条英機氏は絞首刑に処せられたが、岸信介氏はGHQによって助命され、首相の地位に上り詰めた。
 その背後に、米国と岸氏との間の取引があったと見られる。
 米国のエージェントとして活動することと引き換えに助命され、さらに、首相の地位にまで押し上げられたと考えられる。

 1956年12月に鳩山一郎首相が日ソ国交回復を花道に辞任した際、米国は岸信介氏の首相就任を望んだ。
 春名幹男氏(1946年生まれ)は著書『秘密のファイル CIAの対日工作』(新潮文庫)に英国外交秘密文書に記された事実を明らかにしている。

 英国外交文書に、当時の米国国務省北東アジア部長のハワード・パーソンズ氏の言葉を引用した以下の記述がある。

「アメリカは、岸が石橋にブレーキをかけることができるだろう、と期待している。いずれ、最後には岸が首相になれるだろうし、『ラッキーなら石橋は長続きしない』とパーソンズは言った。」

 この「予言」通り、1956年12月23日に発足した石橋湛山内閣はわずか2ヶ月後の1957年2月23日に総辞職し、岸信介氏に政権を禅譲した。
 石橋首相は軽い脳梗塞で2ヶ月の療養が必要と診断されたことを受けて首相を辞任した。
 石橋湛山氏は昭和初期に『東洋経済新報』で、暴漢に狙撃され「帝国議会」への出席ができなくなった当時の濱口雄幸首相に対して退陣を勧告する社説を書いたことがあった。
 この言説との整合性を重んじて首相の地位を辞した。

 石橋首相の体調異変の背景に米国の画策があったのではないかと疑われる。
 石橋湛山氏は米国に対しても堂々とものを言う稀有の政治家であった。
 米国はこのような日本の首相を潰す。
 他方で、米国の命令に服従する日本の為政者を徹底支援する。

 米国が岸信介氏に求めたことは日米安保条約の片務性の解消だった。
 改定安保条約第5条に米国の義務が定められたが、日本は米軍のための軍事出動ができない。
 この点を踏まえて改定安保条約では、「第6条 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される」が定められた。
 日本の基地を米軍が自由に利用できる権利が付与された。
 米国には1948年のバンデンバーグ決議が存在する。
 地域的・集団的防衛協定における「相互主義」を定めたものだ。
 日本が米国のために軍事出動を行わないなら、米国は日本のために軍事出動を行わないというものだ。
 この状況下で、米国は日本の再軍備を強要し、集団的自衛権の行使を容認するように圧力をかけ続けてきた。

 その命令に従ったのが岸信介氏の孫である安倍晋三氏である。


植草一秀「知られざる真実」2020年1月22日(水)
岸信介内閣から安倍晋三内閣至る傀儡政権の系譜
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2020/01/post-548505.html

 トランプ大統領の弾劾裁判の審理が、いよいよきょう2020年1月22日の日本時間午前3時から米国上院で始まった。
 米CNNがその実況中継を延々と続けている。
 それを見た私は思った。
 これは米国の民主主義が試される歴史的な裁判だと。
 与野党が正面から対決している。
 この弾劾裁判の行方は11月の米国大統領選の帰趨を左右する事は間違いない。
 そして、私は思った。
 この裁判はトランプ側が勝つのではないかと。
 ここまで与野党の言い分が真正面から対立している以上、トランプ大統領の言い分が強く見えて来るからだ。
 トランプ大統領は弾劾されずに終わるのではないか。
 そうすれば、トランプ大統領が再選される可能性は一気に高まる。
 そして、再選後のトランプ大統領は、ますます「トランプ大統領らしく」なる。
 「トランプ大統領らしくなる」とはどういうことか。

 それについて、興味深い論説を見つけた。
 きょう1月22日の日経新聞が17日付の英ファイナンシャル・タイムズ紙を引用し、ワシントン・コメンテーターのエドワード・ルース氏の次の言葉を紹介していた。
 すなわち、トランプ大統領は強権をふるう指導者を好み、うらやむというのだ。
 それは、習近平主席やプーチン大統領といった強権的な指導者に対する惜しみない賛辞を見れば明らかだと言う。
 なるほど、いまでこそ少しトーンが違って来たが、トランプ大統領は金正恩委員長が嫌いではない。

 つまり再選後はこれら強権的な指導者と仲良くして民主主義を後回しにすることになるかもしれないのだ。
 そこで私が思ったのは安倍首相のことだ。
 トランプ大統領が再選されれば、安倍首相が賛辞を贈る前に、トランプ大統領が命令するだろう。
 シンゾー、もう少し私とつき合えと。
 その時こそ、安倍続投が決まる時だ。
 なにしろ、米国大統領に命じられて、それに反対できる政党はなく、政治家はいない。
 私は安倍首相はその時を待っているに違いないと思っている。
 トランプ大統領の再選を願っているに違いないと思っている。
 ひょっとして、密かにトランプ大統領に勝ってくださいと伝えているかも知れないのだ。

 見てるがいい。
 安倍首相は11月の大統領選まで、自分の進退については一切を語らないだろう。
 そのことで日本の政局は振り回されるだろう。

 何としてでもトランプ大統領の再選を阻みたい。
 その為には、きょうから始まる弾劾裁判で米国民主党の追及にしたいしたい。
 しかし、どうみても米国民主党は迫力不足だ。
 なんとかならないものか。


天木直人のブログ、2020-01-22
米国大統領選が決める事になる安倍政権のこれから
http://kenpo9.com/archives/6468

posted by fom_club at 13:53| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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