2019年11月26日

子供に見せたくないなあ、首相

作家の室井佑月氏は、「即位の礼」などに関する安倍首相の振る舞いについて意見する

* * *

「即位の礼」に伴い安倍首相が、“テレビジャック”をした。
 ワイドショーではこの期間、どの番組をつけても安倍首相が映っていた。

 安倍首相夫妻が主催する晩餐(ばんさん)会、首相と各国元首ら62人とのマラソン会談。
 テレビでは途中から、主役が完全に入れ替わった。

 安倍首相のことも有り難がれって? 馬鹿らしい。
 通訳も入れて10分から30分の会談になんの意味があるというのだ?
 ようするに、天皇の威を借りた(天皇の名を出して税金も使った)、安倍首相のパフォーマンスを見せられたわけだ。

 開催が11月10日に延期されたパレードには、安倍首相らまで参加するという。
 平成のパレードから、自民党本部前を通るというルートに変えて。

 だいたいパレードが延期されたのは、台風被害に遭った人を考慮してだ。
 そういうことを考えれば、ラグビーや皇室行事に絡めたお祭り騒ぎ、この人はなんなんだろうかと思う。

 というか自分たちのことを右翼、もしくは保守だといっている人たちは、天皇の威を借りてしゃしゃり出てくる安倍首相に「不敬だ」と怒らないのか?
 天皇陛下万歳といいながら、皇居の敷居を思いっきり踏んでいるあの人に。

 というか、皇室を政治に利用することは許されないことである。
 それがいつの間にか許されているかのようになっているのが恐ろしい。
 安倍首相は堂々と皇室を利用している。

 皇室の儀式を国事行為とすることが、憲法の政教分離原則違反である、などと固いことをいうつもりはない。
 ほかの宗教と皇室は、国民の捉え方もちょっと違っている。

 災害が起こった場所の避難所を陛下が訪れれば、感動の涙を流す人がいる。

 海外の要人のおもてなしは下品な政治家夫婦にやらせるより、よほど安心して見ていられる。

 しかし国民の信頼が皇室にあればこそ、時の政権が皇室を自分たちのもののように扱うことは、絶対にあってはならないことなのだ。

 先の戦争は、天皇陛下を中心とする国家神道が利用された。
 天皇は神とされ、神である天皇に国民は従うべきだ、という同調圧力がすごかった。
 そうやって国民を支配した。

 安倍首相はまたその時代に戻したいのか?
 災害が頻繁に起こるこの国、貧しくなっていくこの国。
 為政者として、「国のために我慢しろ」とだけ国民にいっていればいいなら簡単だ。
 そこで国民が文句でもいおうものなら、国に仇(あだ)なす人間、反乱分子として扱えばいい。
「非国民」という罵(ののし)り言葉を使って。

 天皇陛下や上皇さまは、その時代への逆戻りを望んでおられないと思うがね。
 お言葉の数々に、「天皇陛下万歳!」といって自分たちを利用し、改憲を進めようとする人間たちへの反発が込められている。

 いっとくが、皇室を政治に利用することへの批判は皇室批判ではない。
 皇室を利用するものはそういう話にすり替えるが。


※ 週刊朝日  2019年11月15日号

AERA dot.、2019.11.7 07:00
首相の皇室利用
(室井佑月)
https://dot.asahi.com/wa/2019110600005.html

作家の室井佑月氏は、安倍首相の「責任は私にある」発言の意味を問う。

* * *

・ ハードディスクにドリルで穴を開けてその場をしのいだ政治資金規正法違反事件での小渕優子元経済産業相、
・ うちわの配布で問題になった松島みどり元法相、
・ 補助金交付団体からの政治献金問題の西川公也元農林水産相、
・ 業者への口利き疑惑を睡眠障害を理由に逃げた甘利明元経済再生相、
・ 大震災が東北で良かった発言の今村雅弘元復興相、
・ PKO日報隠蔽(いんぺい)問題の稲田朋美元防衛相、
・ 復興より議員が大事とのたまった桜田義孝元五輪相……。

 で、ここに加わった新メンバーは、
・ 香典公職選挙法違反疑惑の菅原一秀前経産相、
・ それと妻の公職選挙法違反疑惑の河井克行前法相。

 もちろん、疑惑の類でいえばもっとたくさんの政治家が引っかかる。
 このメンバーは安倍首相が、「任命責任は私にある」といって大臣を辞めた人たち。

 首相は「責任は私にある」って言葉、たぶん違う意味で覚えてるよね。
「私からもおわび申し上げる」くらいに思ってんじゃね?
 でもって、この言葉の後、これからもこの国のため邁進(まいしん)していく、みたいな言葉で収めるんだよ。

 はぁ?
 違うんじゃね?
 手柄を上げ、褒められた後、そういうならわかるけど。
 誰か〜、彼に「責任」というところに付箋(ふせん)貼った辞書を渡してやって〜。

 出るわ出るわの大臣の不祥事。
 でも大臣を辞め、首相が「責任は私に……」と一言いえば、疑惑は帳消しになってしまう

 そりゃあ、国民を舐(な)めてかかるのも仕方ないだろう。
 みんなそれで「ふざけるな!」と怒らないんだもの。

 11月1日付の産経新聞のデジタル版に「英語試験延期 自民・世耕参院幹事長『思いやりにあふれた決断』」という記事が載っていた。

 自民党の世耕弘成参院幹事長が、萩生田光一文部科学相が大学入学共通テストに導入される英語の民間検定試験の来年度からの実施を見送ると発表したことについて、「受験生の立場に立った思いやりにあふれた決断だと思っており、高く評価したい」と述べたとか。

 この仲間内だけでやってる感じ。
 みんなは気持ち悪くないのだろうか?
 仲間内だけでやってる感じではなく、もうほんとうに仲間内だけでやっている。
 受験生の立場に立った?
 そう考えているなら、民間検定試験なんて案は出てこない。

 この制度は共通テストの採点に、民間試験の2回分が採用される。
 裕福な家の子は何度も受けられ、地方の離島などに住んでいる子は不利になる。
 萩生田大臣がテレビに出て、そのことを指摘されると「身の丈に合わせて勝負してもらえば」と正直にいってしまった。
 人には生まれによってランクがある、て文科相がいったんだ。
 そういう考え方は、お仲間主義のなせる業だろう。

 そうそう、文科省の会議には民間業者が入ってたってね(非公開)。
 彼らもお仲間?
 お仲間どうし、一般の我々を犠牲にして、美味(おい)しい思いしようとひそひそ話したのかしら?


※ 週刊朝日  2019年11月22日号

AERA dot.、2019.11.14 07:00
お仲間ルール
(室井佑月)
https://dot.asahi.com/wa/2019111300009.html

作家の室井佑月氏は、ヤジを飛ばす安倍首相にあきれ、英語民間試験の延期について言及する。

* * *

 11月7日付の毎日新聞電子版に「やまぬ安倍首相のヤジ 今年だけで不規則発言20回超『民主主義の危機』」という記事があった。

「子供に見せたくないなあ、と思ってしまった。(中略)国会のテレビ中継である」

 という言葉からはじまっている。
 でもって記事を読み進めてわかったのだが、首相が国会でヤジを飛ばすのは、今年だけでも26回なのだそうだ。

 こんな恥ずかしい首相、いまだかつていた?
 もう十分に歴史に名が残るわ。
 なので、辞めてもらって結構だ。
 この国の子供の教育をがたがたにしてしまう前に。
 子供の教育によろしくない人が、教育改革をしようとしているってどうよ?

 最近では、2020年度から開始される大学入学共通テストの英語民間試験の導入が延期になった。
 萩生田光一文部科学相の教育格差を容認する発言が叩(たた)かれて。

 ほんとうは中止にすべきだろう。
 受験生の居住地域や家庭の経済状況によって格差が生まれてしまうテストなんて。
 けど、延期じゃ。

 だって、ベネッセの関連団体に、文科省の役人や教育再生実行会議の有識者メンバーが「天下って」いたり、ベネッセの人間が政治家のパーティーにせっせと参加したり(それだけじゃないだろうが)、お友達同士でお金の流れをもう決めているから。

 子供はこの国の宝だ。
 なのに、教育を金儲(もう)けの材料として考える人間がいる。
 ほんとうの悪だと思う。

 だいたい安倍首相が教育再生実行会議を立ち上げ、真っ先にやったことは、道徳の教科化だった。
 国を愛する心を教え、点数をつけたいといっていた。
 子供の心の中に手を突っ込んで、それが正しいか決めつけ、一斉におなじ方向に向けたがった。


 そんな考えの人たちが今回、大学入試の共通テストを変えて、子供に「思考力・判断力・表現力」を身につけさせたいって矛盾してないか?

「思考力・判断力・表現力」というものは、強制されて身につくものじゃないだろう。
 むしろ、親の生活が安定し、子供が勉強をしたいならどこまでもできるという、普段の生活の余裕から生まれるものな気がする。

 親に金銭的な余裕と心の余裕があれば、子はいろいろな体験をさせてもらえる。
 親が生活の中で本を読んだりする余裕があるなら、家には本があり、子供も読むようになる。

 英語に関していえば、子供を留学させる体力がなくなっている親が増えてきていることが問題だろう。

 教師の労働環境の劣悪さも改善できない。
 大学の研究費もそれで儲かるかどうかで判断する。
 国が教育にお金かけてくれないから、教える側も子供の親もカツカツで、余裕がない。
 それがいちばんの問題じゃ。

 格差が広がり、朝も夜も働いてぎりぎりの生活をしている人がいる。
 子にとって、親はもっとも身近な大人のモデル。
 生きるのに精いっぱいで、人は「思考力・判断力・表現力」を持てるのか?


※ 週刊朝日  2019年11月29日号

AERA dot.、2019.11.21 07:00
教育に悪い大人
(室井佑月)
https://dot.asahi.com/wa/2019112000010.html

posted by fom_club at 18:04| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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