2019年11月22日

木内みどりの発熱中

 木内みどりさん。
 はやすぎる。
 寂しいじゃないですか!
 世の中が変わって行く姿を見て欲しかった。
 一銭の得にもならない、本業を考えればリスクでしかない。そのような活動にも積極的に関わってくださった。
 自由を愛する本物の表現者。
 感謝しかありません。

・・・山本太郎「住まいは権利!」

 原子力の専門家・京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんに初めてお会いしたのが去年の2013年9月1日。
 東京・日比谷公会堂で「さよなら原発1000万人集会」のイベントがあって、わたしは司会を務めていた。

 会の呼びかけ人、大江健三郎さん・澤地久枝さん・落合恵子さん・内橋克人さん・鎌田慧さんに加えて、この日のゲストが小出裕章さんで、前半に大江健三郎さんが45分講演、後半に小出裕章さんが45分の講演をしてくださった。

「日本の知性」と「日本の良心」、おふたりはこの国の「宝」だと思った。

 2011年3月11日の福島第一原子力発電所の事故以降、私はテレビ・新聞の報道を信じられなくなり、インターネット上の情報を渡り歩いて、2011年4月初めに大阪・毎日放送「たね蒔きジャーナル」の小出裕章さんの発言に辿り着いた。

 ベント、サプレッションチェンバー、タービン建屋…… 聞きなれない単語ばかりのお話に慣れていった頃、ふと、気がついた。

 小出さんの声を聴いているとそこだけ「きれいな酸素」があるようで身体がホッと安らいでいる。

 目に見えない匂わない「放射能」に怯えるばかりの毎日。
 テレビ・新聞は本当のことを知らせてくれないという不安から憂鬱を抱えた時間の中で、小出さんの声を聴く時間が増えていった。
 iPhoneに「たね蒔きジャーナル」の全部と小出さんが各地でなさった講演(主催者や参加者が講演終了後すぐにYouTubeにupしてくれる) を入れ、なんどもなんども繰り返し繰り返し聴きつづけてきた。

 小出さんのお話を初めて聴いた2011年4月から2年半経過した頃、司会を依頼された2013年9月1日の日比谷公会堂での集会、この日のゲストが小出裕章さんと聞いて、飛びあがるほどうれしかった。

 会える。

 登壇者と司会者だからご挨拶もするし簡単な打ち合わせもする…。

 当日、当たり前のようにご挨拶して、当たり前のように、司会進行させていった、冷静に。

 でも、心の中でこの方とはもうお会いできないかもしれない、これが最初で最後かも……と思い、記念にと、舞台袖の司会者じゃなければ撮れない位置から、パソコン越しの小出さんの姿を撮った。

 会が終了後、幾人かがその流れで国会前まで歩いていって短いスピーチをすることになった。
 主催スタッフ、鎌田さん落合さんに交じって小出さんもいらっしゃる。

 前になったり横になったりしながら、ふと、信号待ちで小出さんとお喋り、最高にうれしかった。
 一緒にいた友人の写真家・田村玲央奈さんが撮ってくれた1枚。

 混雑した国会前エリアではぐれそうになりながらスタッフが言いました。

「ちょっと一杯やりませんか?」

 ええぇっ!

 歩き出した先に小出さんもいらっしゃる。
 えっ、一緒っ?

 ドキドキドキドキ。

 溜池山王まで混雑の中歩いていって、小さなイタリアンレストランで小さなテーブルを囲んだ。
 ワインといろいろ。
 たのしい軽い会話が続く中、心に溢れる言葉を、ついに、言っちゃった。

「わたし、小出裕章さんオタクです。毎日毎日、聴いています。真似できるほどです」

 小出さんは少し困ったような顔をして笑っていた。

 この記念日から、1年。

 いろんなイベントの司会をやり、新聞にコラムを書いたり、脱原発を表明する候補の応援に都知事選、沖縄名護市長選、鹿児島2区衆議院議員補欠選挙と走り回り、脱原発関連ドキュメントの宣伝にナレーション。

 こんなわたしでも役に立つと思って誘ってくださってるのだからと、怖がらず参加していたら、「NUCLEAR HOTSEAT」(*1)というカリフォルニアの核廃絶グループと繋がり、ロンドンの「JANUK」(*2)というグループと繋がり、ついには、ロンドンの日本大使館前で抗議スピーチを英語でしてしまう展開に。

 こんな展開にわたし自身が驚いている。
 今は亡き父母が知ったらなんて言うかしら……。

 でも、今は、非常事態。
 できることはしなければ。

 事故は、起きた。
 人類史上初の放射性物質ばら撒き・汚染水流しっぱなしの最悪の事故。

 何が原因かわかっていない、事故現場にだれも行けない入れない、どの時点のだれの判断が良くなかったのか明らかにしない・させない。
 だれひとり責任をとらない無責任なこの国の在りように世界が怒り始めていると思う。

 ばら撒かれてしまった毒物は未来永劫、無毒化できない。
 ここからどこかに移動させても、見えなくさせてもそこには、在る。

 1年前より事態はさらに悪化、深刻になっていると思う。

 福島のあちこちに山積みされているフレコンバッグ。
 除染の名の下、集められて詰められた土の中から雑草が袋を突き破って繁っている。
 厄介なものを「ないこと」にして目の前からどけることしかしない愚かな私たち。

 誰でもみな、裸で生まれてきて裸で死んでいく、確実に。

 なにも持ってはいけない、お金も名誉も土地も家も伴侶もこどもも。
 ひとりで生まれ生きて、ひとりで死んでいく。

 だからこそ、原発・核廃絶を目指して生きて在る間に少しは役にたちたい。

 小出裕章さんは今も毎日、惜しげもなく「きれいな酸素」をくださっている。


[YouTube -1]
2013.09.01「0901日曜首相官邸前抗議」木内みどりさん〈総理官邸前〉
https://www.youtube.com/watch?v=OJgZ30BbelY

[YouTube -2]
木内みどりさん英で政府批判 「また事故起きる」(英語スピーチ)(*3)
https://www.youtube.com/watch?v=u1ps6NyVOEk

マガジン9、2014年9月3日up
「木内みどりの発熱中」
第1回
9月1日はわたしにとって
特別な記念日。

http://www.magazine9.jp/article/kiuchi/14440/

(*1)
http://nuclearhotseat.com/

(*2)
http://januk.org/english/about.html

(*3)木内みどりさん英で政府批判 「また事故起きる」
[ロンドン=石川保典] 脱原発を訴える女優の木内みどりさんが2014年4月11日、ロンドンで行われた脱原発集会でスピーチし、日本政府が同日の閣議決定で事実上、原発ゼロを撤回し、原発再稼働を進めるとした政府のエネルギー基本計画を批判した。
 木内さんは東京電力福島第一原発事故後、脱原発運動に積極的に参加。
 この日、在英日本人でつくる反原発団体や英国の反核グループが毎週金曜日に日本大使館前で行っている集会に招かれた。

 木内さんは英語で、
「私の人生は福島の事故後に完全に変わり、脱原発のためにできることはすべて行おうと決心した。誰も事故の責任を取らず、原因を追及もしない日本に対し私は怒っている」
と述べた。基本計画にも触れ、
「国民が事故のことを忘れたり、事故から逃げていてはまた事故が起きる」
と訴えた。

 木内さんは反核を訴える英国の著名なファッションデザイナー、キャサリン・ハムネットさんと31年前に日本の雑誌で対談した際にもらったという反核メッセージのTシャツを着て参加。
 ハムネットさんも集会で、
「再稼働は、日本や世界の民主主義に対する破壊行為だ」
と批判した。


東京新聞・朝刊、2014年4月12日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2014041202000110.html

posted by fom_club at 09:18| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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