2019年10月22日

即位礼

 天皇陛下が国内外に即位を宣言する「即位礼正殿の儀」がきょう2019年10月22日、行なわれる。
 陛下と上皇さまから「費用は極力簡素に」との意向が示されたため政府は費用削減に取り組んだ。
 しかし費用総額は平成の代替わり時の前回と比べて3割増の163億円に上る見通しだ。

 政府が前もってこの日を「国民の祝日」とし、国事行為として巨額の公費を投じて全国的な祝賀ムードを演出することの意味を冷静に考える必要がある。

 この儀式で天皇陛下は天孫降臨神話に由来する玉座に立ち「お言葉」を述べる。
 首相ら三権の長は仰ぎ見る形で万歳を三唱する。
 新憲法下で初めて行われた前回、国民主権や政教分離の原則に反しており憲法違反―との指摘があった。
 しかし今回、十分な憲法論議がないまま前例を踏襲することとなった。

 前回は、明治後半期に制定し戦後廃止された登(とう)極(きょく)令(れい)を基に催された。
 皇室典範では皇位継承時に「即位の礼を行う」とだけ規定されているためだ。

 来月行われる大嘗祭(だいじょうさい)とともに即位儀式は、室町時代から江戸時代途中までの220年余りは、京都の混迷や天皇家の財政難のため滞った。
 しかし明治に入り、天皇を元首とする国家づくりのために国の一大イベントとなり、大規模化した。
 それを政府は前回同様、今回も踏襲することを早々と打ち出した。

 大戦前の即位儀式は、天皇の権威を内外にアピールし、国民の崇拝意識を高め国威を発揚する狙いがあった。

 沖縄は天皇の権威の犠牲になる歴史を歩んだ。
 琉球併合に至る過程で、明治政府は、中国皇帝が琉球国王を任命する冊封をまねて天皇も任命権があるかのように振る舞い、天皇の命令に従わない琉球を「処分」した。
 沖縄戦では皇民化教育の下で動員された多くの住民が犠牲になった。
 戦後は米国による軍事占領を望む「天皇メッセージ」が米側に伝えられ、米国統治下に置かれた。

 こうした歴史を考慮してか、上皇さまは沖縄への思いが深いといわれる。

 一方で、天皇個々の思いや行動とは別に、権威を高めることにより国民統合の仕組みとして機能する象徴天皇制の在り方を考える必要がある。
 権威の高まりは時の権力者に利用される危うい面もある。

 豊見山和行琉球大教授は「象徴天皇制が持っている仕組みや機能が、一面では政治的問題や軍事基地の矛盾を見えなくしてはいないか」と本紙の識者座談会で述べた。
 沖縄の民意を無視して新基地建設を進める政府の圧政を埋め合わせているとの見方は説得力がある。

 即位儀式が持つ政治的意味を、主権者である国民の目線と、天皇制から犠牲を強いられてきた沖縄の目線の、両方で冷静に捉える必要がある。
 象徴と言いながら過度に権威を高める手法は警戒すべきだ。


琉球新報・社説、2019年10月22日 06:01
天皇即位の儀式
権威高める手法に警戒を

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1012326.html

国民主権・政教分離原則に背く

 政府は22日から、天皇の「即位の礼」関係の諸儀式を行ないます。
 政府は新天皇の即位を「国民こぞって祝う」として22日を休日にしました。
 さらにこれと一体のものとして11月14日には、皇室祭祀(さいし)である大嘗祭(だいじょうさい)を、27億円もの公費を投じて行おうとしています。
 一連の儀式には、日本国憲法の国民主権原理、政教分離の原則に抵触する問題点があります。

戦前のままの儀式

 即位の礼は5月に即位した天皇が、それから一定の期間をおいて、内外に向けて即位を宣言し、大がかりなお披露目をするというものです。(表1)

「即位の礼正殿の儀」「祝賀御列の儀」(台風の甚大な被害を考慮して延期)「饗宴の儀」は憲法が定める天皇の行為である「国事行為」とされました。

 即位を天皇家の祖先神とされる天照大神(アマテラスオオミカミ)やその他の神々に奉告(ほうこく=神に告げること)するという明らかな宗教行事である「即位の礼当日賢所(かしこどころ)大前の儀」「即位の礼当日皇霊殿(こうれいでん)神殿に奉告の儀」は「皇室行事」であり、「大礼関係の儀式」という区分で行われます。

 来日した海外元首らをもてなす「内閣総理大臣夫妻主催晩さん会」は政府主催行事です。

 問題なのは、明治憲法下の絶対主義的天皇制のもとで公布された旧皇室典範と登極令(とうきょくれい)を踏襲した前回1989年から1990年にかけての「平成の代替わり」での儀式が、今回も行われることです。

 旧皇室典範(1889年=明治22年制定)や登極令(1909年=明治42年制定)が定めた儀式は、天皇の神格化と国家神道を徹底する立場から、明治期につくられたものです。
 そのいずれもが、現行憲法のもとで廃止・失効しています。

 政府は、前回の「代替わり」のさいの儀式について「憲法の趣旨に沿い、かつ、皇室の伝統等を尊重したもの」と説明しましたが、実際の儀式は日本国憲法の国民主権、政教分離の原則に反するものとなりました。
 また、これらの儀式は明治期につくられたもので、「皇室の伝統」ともいえないものでした。

 日本国憲法は「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」(第1条)と、天皇の存在理由を「国民の総意」に求めています。
 政府は今回の「代替わり」にあたって、憲法原則にふさわしい儀式のあり方を、開かれた議論のなかで決めるべきでした。

中核の「正殿の儀」

「即位の礼」の中心儀式とされるのが「即位礼正殿の儀」です。

「神話」にもとづいてつくられた、神によって天皇の地位が与えられたことを示す「高御座」(たかみくら)という玉座から、国民を見下ろすようにして「おことば」をのべ、「国民の代表」である内閣総理大臣が天皇を仰ぎ見るようにして寿詞(よごと=臣下が天皇に奏上する祝賀の言葉)をのべ、万歳三唱するという儀式の形態自体が、「主権者はだれか」という深刻な疑念を呼ぶものです。

「即位の礼正殿の儀」は、戦前の登極令の「即位礼当日紫宸殿(ししんでん)の儀」の名前をかえただけのものです。
 登極令の儀式の次第と、安倍晋三首相が委員長を務める政府の「式典委員会」が決めた式次第を対照してみると、両者がまったく同じものであることがはっきりします。(表2)

 さらに、11月の「大嘗祭」は、天皇が神と一体になり、それによって民を支配していく権威を身につけるという儀式で、明らかな神事です。
 宗教上の儀式とみられることから、政府は「国事行為として行うことは困難」(1989年12月21日閣議口頭了解)としましたが、事実上の国家行事として多額の公費(宮廷費)がつぎ込まれました。
 これは、国民主権とも政教分離の原則とも相いれないものです。

 天皇の「代替わり」儀式を憲法にふさわしいものへと変えていくために、今後も努力が求められています。

日本共産党の対応

 日本共産党は綱領で天皇条項を含め「現行憲法の前文をふくむ全条項をまも」ることを明確にしています。
 そのうえで、「天皇条項については、『国政に関する権能を有しない』などの制限規定の厳格な実施を重視し、天皇の政治利用をはじめ、憲法の条項と精神からの逸脱を是正する」という立場をとっています。

 今回の「代替わり」儀式についても、日本国憲法の国民主権と政教分離の原則と相いれないあり方の是正を繰り返し求めました。
 にもかかわらず、見直されることなく、こうした儀式となったことをふまえ、「即位礼正殿の儀」「饗宴の儀」には出席しないという態度を表明しました。

恩赦について

 政府は「即位礼正殿の儀」にあわせておよそ55万人を対象に、資格の制限を取り除く「復権」などの恩赦(裁判によらず行政権で刑の言い渡しの取り消しなどをする)を行ないます。

 日本共産党は、恩赦を即位の礼と結び付けて行うことは、天皇は「国政に関する権能を有しない」とした憲法第4条とのかかわりで大きな問題が出てくるとして「賛成できない」(志位和夫委員長)と表明しました。


[表1、2]

20191022.jpg

しんぶん赤旗、2019年10月22日(火)
「即位の礼」儀式
憲法に抵触

(竹腰将弘)
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-10-22/2019102204_03_0.html

 案の定、朝からNHKがずっと特別番組を流している。
 雨音すら聞こえない渋谷のスタジオで「奉祝」気分を盛り上げようとする空気と、その画面の周辺でずっと流れ続ける被災地での災害情報。
 そのあまりの対照ぶりに違和感を覚える視聴者は少なくないはずだ。

 NHKの「奉祝」番組で、朝から解説が何故か岩田明子で、何故かコメンテーターに起用の坂下千里子が「偶然天皇皇后が乗る車を見かけたことがある。その時、日本人でよかったと思った」と発言しているのを聞いて、今日はテレビを見ない場所にいようと決めた。

 つい74年前まで、天皇が神聖不可侵な存在で、私たちは天皇に命を捧げる人権なき「臣民」でしかなかったこと。忘れるわけにはいきません。
 政治と宗教の接近には、「なにかを信仰する自分」あるいは「なにも信仰しない自分」の人間性を守るために、警戒が必要です。


posted by fom_club at 19:09| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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