2019年10月16日

菅原一秀経済産業大臣

菅原一秀経産相による取材拒否事件

 10月12日付のハーバービジネスオンライン『「秘書給与ピンハネ」疑惑の菅原経産相会見、ジャーナリスト2名が「永劫に」出入禁止に』を読んで、大変に驚きました(*)。
 野澤泰志・経済産業省大臣官房広報室長が、フリージャーナリスト2名に対し、大臣会見取材の「永劫」禁止を申し渡したという記事です。
 政権交代しても禁止という、ジャーナリストとしての職業生命にかかわる措置です。

 驚いたのは、それが内閣制度の根幹にかかわるからです。
 記者クラブ以外の記者について、取材を禁じるというならば、それは言論や報道の自由にかかわる問題です。
 憲法でいえば、第21条「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」に関する問題です。
 それは、社会にとって重要なことですが、筆者の専門外になります。

 憲法でいえば、第66条「内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する」に関する問題です。
 第21条にかかわる問題であることも否定しませんが、政府とすればこちらの方が重大なはずです。

 内閣制度の根幹にかかわる最大のポイントは、野澤室長が「経済政策に関する質問に限る」と、菅原経産相の統一教会問題を取材する2名のジャーナリストに述べ、会見取材を禁止する措置を取ったことです。
 菅原一秀経済産業大臣に対する質問内容を限定し、そこから外れる対象を取材するジャーナリストに対して、会見の取材を禁じたわけです。

国務大臣は国政全般に関与する

 内閣制度の根幹は、複数の国務大臣で構成する「内閣」が、行政権を有することにあります。
 アメリカ合衆国で行政権を有するのは、大統領という個人です。
 けれども、日本では、内閣総理大臣が行政権を有するのでなく、すべての国務大臣で構成する「内閣」という合議体の組織が、行政権を有します。
 憲法65条「行政権は、内閣に属する」と同66条「内閣は」「首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する」に根拠を有します。

 これは、首相を含むすべての国務大臣で、政府を運営することを意味します。
 国務大臣である以上、あらゆる国政の課題について、見解を求められたとき、それを説明する責任が国務大臣にあるわけです。
 そこに、首相と他の国務大臣に、説明責任の差はありません。
 合議体の構成員であることに違いはないからです。

 菅原経産相も、国務大臣です。
 安倍晋三首相から、内閣の一員たる国務大臣に指名され、その主担当として経済産業省を管理することになっています。
 これは、内閣法第3条「各大臣は」「主任の大臣として、行政事務を分担管理する」との定めに基づきます。
 正式には、国務大臣兼経済産業大臣なのです。

 菅原経産相の会見取材を「経済政策」に限ることは、経済産業大臣としての取材は受けるけれども、国務大臣としての取材は受けないことを意味します。
 それでも、菅原経産相が他の場所で定期会見をするならばいいのですが、それはありません。
 よって、菅原経産相のみ、国務大臣としての説明責任を果たさないことになります。

菅原国務大臣の統一教会関係は秘書給与ピンハネよりも重大な問題

 行政権が内閣に属することは、その構成員である国務大臣の資質が、国政全般に直結する重大な問題であることを意味します。
 内閣は全会一致を大原則としますので、問題を担当する大臣でなくても、憲法・法令上はそれに決定的な影響を与える権限を有するからです。

 週刊文春で報じられた秘書給与ピンハネ疑惑は、国会議員の資質を問う重大な問題です。
 公設秘書は特別職の国家公務員ですから、その給与をピンハネすることは、税金をピンハネすることと同じで、税金の徴収と支出の決定権をもつ国会議員としての資質が疑われます。

 一方、統一教会との関係疑惑は、国務大臣の資質を問う重大な問題です。
 なぜならば、統一教会は、法令上の問題を様々に引き起こしている宗教団体だからです。
 全国霊感商法対策弁護士連絡会ホームページよると、統一教会とは次のような団体です。
 世界平和統一家庭連合は、統一教会と称していた頃から、信者の人権を抑圧し、霊感商法的手口による反社会的行為による違法な資金獲得とその資金の韓国文鮮明ファミリーへの献金を継続してきました。
 私達は、全ての政治家に対し、反社会的団体である家庭連合やそのダミー団体から支援を受けたり、連携していると見られかねない活動をひかえるよう要請致します。
 支援を受けるべきでない理由は、
@ 家庭連合が反社会的団体であること、
A その反社会的活動の是正が困難になること、
B 反社会的団体の違法活動にお墨付きを与えかねないこと、です。

 家庭連合(統一教会)が、一般市民に対し、正体を隠して近づき、先祖因縁や霊界の恐怖を煽って脅迫的行為を行う、いわゆる霊感商法による被害は、当連絡会が集計した相談だけでも、1987(昭和62)年から2018(平成30)年12月までの31年間に合計約3万4197件、被害合計は約1213億円余りにのぼっており、現在もなお同様の被害相談が継続して寄せられています。
 家庭連合の法的責任を認めた民事裁判例も多数にのぼります。
 このような手口が許されないことは昨年6月8日参議院本会議で全議員が賛成して採択された消費者契約法第4条3項6号の法律改正により、法律上も明確にされております。
 同条3項6号は「霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力」を振りかざして、重大な不幸が生じるなどと「不安をあおり」契約させることを取消事由とする旨定めました。

 そして、統一教会の関係者が国務大臣となることの問題についても、弁護士連絡会は次のように厳しく指摘しています。
 政治家、特に与党の国会議員は政府の大臣や政務官という行政の一翼を担う立場に立つこともありますから、これらの政治家が家庭連合からの支援を受けることは、規制する側が規制される側と通じることになりますので、甚だ不適切な関係です。

 つまり、菅原国務大臣による2ジャーナリストの会見取材の拒否は、国務大臣としての資質を問うジャーナリストを締め出し、菅原大臣が説明責任から逃げることを意味します。

菅原大臣はマラソン会見で首相候補を目指せ

 国務大臣としての資質を問われたくないという、菅原大臣の気持ちは、理解できます。
 反社会的と批判される団体と親密な関係にあるならば、それを隠したいと思うのは、人情です。

 だったら、菅原大臣の取る道は一つ、国務大臣も国会議員も、辞職すればいいのです。
 一私人であれば、法令に触れない限り、反社会的な団体と親密にしたり、加入したり、活動家になったりすることも、褒められた行為ではありませんが、自己責任で可能です。

 どうしても、国務大臣の座にとどまりたいならば、会見取材拒否をすぐに撤回することです。
 経済産業大臣としてだけでなく、国務大臣としても、会見で説明責任を果たすべきです。

 そして、統一教会との縁をスッパリと切ることです。
 いろいろと恩義や経緯もあるとは思います。
 そのことも、洗いざらい会見で説明し、再出発することです。
 そうすれば、統一教会のために活動しているのではなく、国民のために活動していると、誰からも認めてもらえるでしょう。

 菅原大臣は、いっそのこと、韓国の゙国(チョ・グク)法務大臣に倣い、長時間のマラソン会見で統一教会との関係を説明してはいかがでしょうか。
 2ジャーナリストを含む、すべてのジャーナリストに開かれたマラソン会見で疑惑を晴らせば、新たに国民的な人気を集め、小泉進次郎環境大臣をしのいで、菅原大臣が次の首相候補に躍り出るかも知れませんよ。


[写真-1、2]
菅原一秀経済産業相

ハーバー・ビジネス・オンライン 、2019.10.16
内閣制度と矛盾する菅原経産相の取材拒否。
マラソン会見でもして説明責任を果たせ。

<文/田中信一郎(たなかしんいちろう、千葉商科大学准教授)>
https://hbol.jp/204221/

(*)
経産省、ジャーナリスト2名を「永劫に」出禁に

 経済産業省は10月10日、2名のジャーナリストについて、大臣会見の取材を「永劫に」禁じる旨を通告した。
 直接には、同日発売の『週刊文春』で「秘書給与ピンハネ」疑惑(文春オンライン)を報じられている菅原一秀経産相の会見に関する処分だが、同省・野澤泰志広報室長は、政権が変わろうとも「永劫に」と通告した。
 大臣が誰であろうと今後永久に経産省での会見の取材ができない、事実上の「永久出入禁止」である。

経産省は取材内容を事前検閲、取材交渉を放棄

 取材禁止を通告されたのは、藤倉善郎(私)と鈴木エイト氏の2名。
 それぞれ「やや日刊カルト新聞」の総裁と主筆の立場であるとともに、フリージャーナリストとしても活動している。

 今回、経産省側が問題視したのは、9月11日に経産省内で行われた菅原経産相の就任記者会見での2名による取材活動だ。

 2名はもともと菅原氏と統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の関連や公職選挙法違反疑惑を取材していた。
 しかし、菅原氏側は、取材申し入れを無視したり、地元事務所に取材を申し入れに来た2名に対して菅原氏側が警察に110番通報したり「建造物侵入罪」として虚偽告訴を行うなどしてきた。

 9月11日に安倍内閣の改造で菅原氏が経産相に就任したことを受け、2名は同日の経産省内での就任会見について取材を申し入れた。
 窓口となった経産省広報室では、当初から野澤広報室長が対応した。
 野澤室長は取材を申し入れた私に対して会見での質問内容を確認した。

「統一教会との関係。それから、取材中のジャーナリストに対して虚偽告訴をしている件について大臣の認識を尋ねたい」

 私がそう告げると、野澤室長は「経済政策に関する質問に限る」「会見は夜遅くなるためセキュリティの都合上、事前パスを持つ方(記者クラブ加盟社)に限る」とした。
 ならば後日の夜間ではない定例会見なら取材できるのかと尋ねると、「検討する」として明言を避けた。

 これに対して私は「大臣の姿勢を尋ねるのは就任会見こそふさわしく、後日の定例会見で質問する方が会見の趣旨から外れる」「取材内容の事前検閲は不当」「セキュリティの都合はそちらの都合であり、取材を拒む理由にならない」と答え、再検討を求めた。野澤室長は再検討を了承し電話を切った。

 その後、野澤室長からは「関係方面に調整中だが、会見時間も迫ってきているので今日は難しいということで」と連絡をしてきた。
 私は「すでに(会見場である経産省に)向かっているので大丈夫。ギリギリまで検討してください」と答え、野澤室長は了承して電話を切った。

 これ以降、野澤室長からの連絡は途絶え、二度と電話はかかってこなかった。

 しかし会見時間が迫っている。
 私は鈴木氏とともに経産省に到着し、守衛の許可を得て入館した。
 身分証を見せ、取材交渉のやり取りの相手であった野澤室長の名を入館申込書に記入すると、入館パスを渡された。

 会見室では特に入室チェックもなく入れたので、菅原経産相の会見を取材した。
 私がスチルと動画の撮影を行い、鈴木氏がペン取材。
 鈴木氏は質疑の際に挙手したが当ててもらえず、質問することはできなかった。

事実誤認と主観で強権を振るう広報室長

 10月10日に発売された『週刊文春』が、菅原経産相について「秘書給与ピンハネ」「有権者買収」のほか運転手への暴力など複数の疑惑を報じた。
 翌11日に菅原経産相の定例会見が予定されていたため、私は改めて経産省に電話で会見取材を申し入れたが、折返しかかってきた野澤室長からの電話が、冒頭で書いた通りの「永劫に」取材禁止との通告だった。

 電話で野澤室長は、通告の理由として9月11日の取材について「取材は難しいと伝えたにもかかわらず、約束を守らず会見場に強引に入ってきて取材した」という趣旨を告げてきた。
 しかし前述の通り、「取材は難しい」という野澤室長に対してこちらは再検討を要求し、野澤室長は了承して再検討のため電話を切っている。
 こちらは何も約束していないし、取材不可との結論も言い渡されていない。
 経産省への入館も会見室への入室も、一切「強引に」など行っておらず、通常通り受付で氏名を書いて入室している。

 野澤室長に「事実誤認である」と告げると、野澤室長の主張は「約束を守らず会見場に強引に入ってきて取材した」から「取材についての合意形成がないまま取材した」に変わった。
 主張を変えるならまず、事実に反することを根拠にした処分通告について撤回し謝罪してからだと告げると、それには応じず、こちらが食い下がっていることについて「遺憾です」「失礼だ」などと言い出した。

「合意形成がなかったのはそちらが『検討中』のまま連絡を絶ったからで、そちらの不手際である」と告げたが、野澤室長は連絡を断った理由も、自らの不手際と指摘されたことへの見解も答えなかった。
 そのうち野澤氏は、9月11日に「検討する」と答えたのはその日の会見の取材についてではなく、後日の会見の取材に対応するかについての「つもり」だったと言い出した。

 9月11日の野澤室長からの最後の電話の該当部分を原文通りに書き起こす。

野澤「先ほどの話なんですけども、ちょっと関係者で調整がついてなくてですね、ずっとお待たせしてしまうのも申し訳ないと思ってですね、今日はちょっと難しいということをまずお伝えしようと思いまして」

藤倉「いえいえ。ギリギリまでご確認お願いできればと思います。もう向かってますので」

野澤「はあ。わかりました。ええ」

藤倉「よろしくお願いいたします」

野澤「はい。すいません。どうも。失礼します」

 これで電話は終わっている。野澤室長自身が「今日はちょっと難しい」と、その日の会見についてのやりとりであることをはっきり口にしている。

 野澤室長に「電話は録音してある」と告げ、「つもり」などという主観ではなく客観的事実に基づいて判断するように求めた。
 本当に後日の会見に関して交渉しているつもりであのようなやり取りをしていたのだとすれば、それは野澤室長のコミュニケーション能力の問題だと告げると、「そう捉えてもらって構わない」と言い返してきた。
 ならば、それを棚に上げての取材禁止という処分は横暴だと告げたが、処分は撤回されなかった。

 野澤室長は、私と鈴木氏2名が入館に際して野澤室長の名を勝手に使ったと主張した。
 入館の際に行き先部署の担当者名を記入する欄があったので、私たちは取材についてやり取りしていた野澤氏の名を記入している。
 それを元に、「この人を入館させてよいか」と担当者に確認してから入館パスを出すのか、担当者名を書きさえすれば入館させるのか。
 それは経産省側の入館の仕組みの問題であり、私たち2名が不当な手段で入館したことにならない。

 その旨を告げると、野澤氏は「入館の経緯は詳らかに知らないが」「こちらに不手際があったにせよ」といった趣旨のことを言い出した。
 経緯を確認せず、自らの不手際は棚に上げると、恥ずかしげもなく言い切っている。

 取材禁止について、こちらが「いつまでなのか」「あなたが退職しようが死のうが政権が変わろうがずっとか」と取材禁止の期間を尋ねると、野澤室長は「永劫です」と答えた。

 「永劫」とは仏教用語だ。大谷大学のウェブサイトにある木村宣彰教授(仏教学)のコラムでは、こう説名されている。

〈仏教が説く時間のうちで最も長いのが「劫」であり〉

〈仏典では、四十里四方の大石を、いわゆる天人の羽衣で百年に一度払い、その大きな石が摩滅して無くなってもなお「一劫」の時間は終わらないと譬えている〉

〈終わりのないくらいの長い歳月を「永劫」という〉
(いずれも大谷大学ウェブサイトより)

[動画]
 野澤室長による出入禁止通告の電話の音声は、こちらにノーカットで公開中である。
 菅原一秀経産相の会見取材について「永劫にお断り」と出禁通告されました

取材を無視し刑事告訴で威嚇中の菅原大臣


 そもそも私と鈴木氏は、なぜ菅原経産相への取材にこだわるのか。
 もちろん国民の知る権利や取材・報道の自由がその根底にあるが、そういった抽象的な話は主要な問題ではない。
 現状、菅原経産相と統一教会との関係やジャーナリスト2名(これも私と鈴木氏だが)に対する虚偽告訴問題について、菅原経産相本人に直接認識を尋ねる唯一の機会が経産省での大臣会見だからだ。

 菅原一秀経産相については、大臣就任以前から鈴木エイト氏が本サイト連載〈政界宗教汚染〜安倍政権と問題教団の歪な共存関係〉の中で統一教会との関係をリポートしてきた。

 一連の取材との関連で、菅原経産相側は鈴木氏や私の取材を無視し、警察を使って取材妨害や威嚇を繰り返し、菅原氏への取材ではないものについてまで取材妨害を行ってきた。

 参院選中の武見敬三候補(東京選挙区・自民)の演説会で藤倉・鈴木氏の入場を阻む菅原氏と秘書(7月17日、鈴木エイト撮影)

◆ 公職選挙法違反疑惑を指摘のジャーナリストを国会議員事務所が警察に虚偽通報か(鈴木エイト氏)

◆ 菅官房長官登壇の選挙演説会で会場を仕切る菅原一秀衆議院議員がジャーナリストを不当排除(鈴木エイト氏)

◆「建造物侵入罪」濫用で狭められる報道の自由(藤倉善郎)

◆ 統一教会と関係の深い議員が多数入閣。その一人、菅原一秀の経産相抜擢に見る、「菅政権」への布石(鈴木エイト氏)

 菅原経産相側は、私や鈴木氏からの取材申し入れの電話に出ずに居留守を使い、仕方がないので地元事務所に取材の申し入れをしに行くと、「こちらでお待ち下さい」と奥のソファに通しておきながら警察に110番通報したり「建造物侵入罪」だとして刑事告訴したりしている。
 私と鈴木氏は練馬警察署の取り調べを受け、警察は「検察に送致(書類送検)する」としている。
 菅原氏には公開質問状を2度送ったが無視されている。

 その菅原氏が経産相に就任した。
 本人の自宅前には警備のポリボックスが設置され警官が常駐するようになった。
 自宅や事務所で待ち伏せ「突撃取材」を試みようとすれば、その都度、警察沙汰になる。

 となれば定例記者会見が、正常な状態で菅原氏に質問できる唯一の機会だ。
 それが、前述の通り「永劫に」取材禁止とされた。

 私と鈴木氏はこれまでカルト集団の取材を中心に行っており、取材を拒否される場面は少なくない。
 しかし将来について事前に「出入禁止」と通告してきたことがあるのは、幸福の科学だけだ。
 今回の経済産業省は、7年ぶり2例目にあたる。

 幸福の科学からの通告は2012年。
 藤倉総裁が週刊新潮で幸福の科学学園の実態をリポートしたことが理由だ。
 私とともに「やや日刊カルト新聞」で活動している鈴木氏も、何もしていないのに巻き添えを食って同様の扱いとなった。

 幸福の科学の広報職員に、私は「未来永劫ですか?」と尋ねた。
 職員は「とりあえず、今後ずっとということです」と答えた。
 普通だ。

 これに対して今回、経産省の野澤広報室長は「永劫だ」と言い切った。
 前述の通り、「永劫」は仏教用語。
 経産省官僚のほうが幸福の科学よりも宗教的である。

都合が悪い質問をさせないための権力の横暴

 もともと官公庁での記者会見を取材できるのが原則として記者クラブ加盟社のみという問題があった。
「記者会見オープン化」が叫ばれ、民主党政権時代には、官公庁ごとで違いはあったとは言え、多少は非加盟社やフリーランサーが取材できる範囲は広まった。

 安倍政権になってからこれが後退したかどうかについては、現場取材を旨としており通常は記者会見の取材をしていない私は把握できていない。
 しかし官邸での菅義偉官房長官の記者会見をめぐって東京新聞・望月衣塑子記者への嫌がらせや質問妨害が取り沙汰されているように、記者クラブ加盟社の記者に対してすら公正とは言えない記者会見の例がある。

 私も鈴木氏も、経産省による今回の私と鈴木氏への「永久出禁」通告を不当だと考えているし、当然、菅原経産相の会見を取材したい。
 しかしもっと重要なことがある。
 前述の経産省の一連の対応を思い返してほしい。

 記者会見での質問内容を経産省側が事前検閲し、明確に取材拒否の理由のひとつとしている。
 そして経産省側は取材交渉を一方的に放棄して連絡を断った。
 大臣就任会見の取材拒否には「夜間のセキュリティ上の都合」という理由もあったが、後日の夜間ではない定例会見の取材についても許可しなかった。
 質問内容がネックであることは明らかだ。

 私や鈴木氏に限らずほかのメディアやフリーランサーも、大臣に都合が悪い質問を予定しているなら取材できないということだ。
 私たち2名に対してだけ問題なのではなく、国民の知る権利や取材・報道の自由全般がまるごと踏みにじられている。

 ましてや菅原経産相は今週発売の週刊文春によって「令和版疑惑のデパート」として複数の疑惑が取り沙汰され、それ以前から「12の不祥事を持つ男」(9月27日文春オンライン)とまで言われてきた人物。
 私や鈴木氏が菅原経産相に質問したいのは、統一教会との関係や、その関連で取材申し入れに来ただけの私たちを虚偽告訴した問題についての菅原経産相の認識だ。
 それは私たちがカルト問題をメインに取材している者だからで、政策の問題や大臣としての適性など、菅原経産相の問題について取材者が質問すべきことは山ほどある。

 オープンで公正な会見が行われていなければ、こうした具体的な局面で、疑惑まみれの大臣への取材すら強権的に阻まれる。
 今回の一件は、これが理屈上の話ではなく実際に起こっているという実例だ。

 国民の知る権利との兼ね合いを言えば、私や鈴木氏という特定の個人だけが「国民の代表」なのではない。
 記者クラブ加盟社、非加盟社、フリーランサーの全てのメディアやジャーナリストが全体として国民の知る権利に寄与する。
 単独で独自ネタを追う現場取材とは違い、複数メディアが一同に介しての記者会見は特に、その会見が全体として「国民の知る権利」に寄与できていれば最低限の役割は果たせる。
 それが会見を取材する報道機関やジャーナリストの仕事だろう。

 ジャーナリストたちには、それぞれの問題意識から最も重要だと思うことを菅原経産相に質問してみてほしい。
 もし試みても阻まれるなら、その異常さを広く国民に伝えてほしい。

 疑惑・不祥事まみれの大臣が、自らの疑惑をどう認識しているのか。
 あるいは、そんな大臣が国家権力ぐるみでいかにして護られているのか。
 それこそが、いま国民に知らせるべき最も重要な事柄だと思う。

 菅原経産相の定例会見は毎週火曜日と金曜日。
 国会内で行われるため雑誌記者やフリーランサーがそもそも入れない会見も多いが、経産省内での会見も行われている。

 一般紙などが加盟する記者クラブ「経済産業記者会」は事実上、会見を取り仕切る権限を持っていないようで、非加盟社やフリーランサーが会見取材を申し入れても経産省広報室に回される。


ハーバー・ビジネス・オンライン 、2019.10.12
「秘書給与ピンハネ」疑惑の菅原経産相会見、ジャーナリスト2名が「永劫に」出入禁止に
<取材・文・撮影/藤倉善郎>
https://hbol.jp/203942/

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