2019年10月13日

但し書き操作 and/or 緊急放流

 台風19号による大雨の影響で各地のダムでは貯水量が急激に増え、決壊で下流に深刻な被害が及ぶことを防ぐため、放流を検討。
 放流後は下流の水位が急上昇する恐れがあり、警戒を呼びかけた。

 神奈川県は、相模川上流の城山ダム(相模原市緑区)で、2019年10月12日午後9時半から緊急放流を始めた。
 県は「危険な状況になった」と判断した。

 国土交通省関東地方整備局は13日午前1時ごろにかけて、管内5つのダムで緊急放流を実施する可能性があると発表。

・ 荒川の二瀬ダム(埼玉県秩父市)、
・ 渡良瀬川の草木ダム(群馬県みどり市)、
・ いずれも鬼怒川にある川俣ダム(栃木県日光市)や川治ダム(同)、
・ 神流川(かんながわ)の下久保ダム(埼玉県神川町など)
で、緊急放流の約3時間前には放流時間を発表するとした。

 東京都は多摩川の上流にある小河内(おごうち)ダム(奥多摩町)で、放流量を当初の想定よりも増やして対応した。

 ダムの緊急放流をめぐっては、昨年の西日本豪雨の際、愛媛県のダムで緊急放流があった後、下流で河川氾濫(はんらん)が発生。
 浸水が広がり、9人が死亡している。


[写真]
関東の主な河川と緊急放流の可能性があるダム ☟

関東の主なダム.JPG

朝日新聞、2019年10月12日20時45分
各地ダムで放流検討
水位急上昇に要警戒、地図で確認を

https://www.asahi.com/articles/photo/AS20191012002708.html

命を守る行動を」という呼びかけは、東日本大震災後、正常性バイアスに対抗するために考え出されたフレーズの筈なんだけど、自己責任を求めてるように聞こえてしまうようになったというのは、この8年で社会の病み方が相当進んだ、ってことなんだろな。
7:13 - 2019年10月12日

「多摩川の河川水位が上昇する恐れがありますので、多摩川に近づかないようにしてください」と警告している。
 が、今、氾濫が発生している#世田谷区玉川 は緊急放流している #小河内ダム の下流。
 近づくなというよりも、住民に避難を呼びかけたのか?

 小河内ダム。
「当初、毎秒579立方メートル程度と見込んでおりましたが(略)10月12日(土)18時以降、毎秒729立方メートル程度となる見込み(略)発電放流と合わせて毎秒750立方メートル(略)…

7:17 - 2019年10月12日

「命を守る行動」をしたいのは山々だが、原発を止めず、戦争を準備し、福祉を切り捨てる政府が「命を粗末にする行動」をするので困惑している。
7:48 - 2019年10月12日

 ダムヲタクがいろいろ書き散らしているが、「但し書き操作」は、ダム治水の破綻で、下流の皆さん死んでも責任取りませんというもの。
 河川計画の破綻であって、完全に行政災害。
 ダムを造るのは構わないが、ダムに見合った下流の治水事業をしなければ、ダムは容易に殺人ダムに変わる。

10:36 - 2019年10月12日

 ねえ、ねえ、「但し書き操作」って「緊急放流」のことでしょ。
 ダムから放流したら、したら下流は氾濫するのを(もしかしたら下流の地域住民が死んじゃう)分かって行うことでしょ。
 無知蒙昧のヤッホーくん、死ぬまで馬齢を重ねていたいヤッホーくん、どうして上級国民はそうするの?教えてだってぇ。

 昨年2018年7月7日、愛媛県肱川(ひじかわ)水系では、野村ダムより下流約80キロメートル全流域で幹線道路路面から2〜5mの浸水の大洪水となり、数多くの集落が壊滅的打撃を受けました
 年が明けて2019年1月22日には、野村小学校体育館にて“「野村ダム・鹿野川ダムの操作に関わる情報提供等に関する検証等の場」とりまとめ等の説明会“が野村小学校で開催され、激しい市民の怒りの発露の場となり、予定の21時を大きく過ぎて22時台にまで時間が延びましたが、これによって国交省と愛媛県は逃げ切りを図っているようです。

 この連載で指摘しました様に肱川水系は、過去70年の治水事業が徹底したダム偏重であり、野村ダムから下流域80kmでは、無堤地区、暫定堤防、暫暫定堤防といった、事実上の無治水地区が流域の大部分を占めており、治水がなされていたのは、鹿野川ダム湖と大洲市西大洲のごく一部(数キロメートル程度)という一級河川とは考えられない極めて異常な河川事業の集大成であったといえます。

 行政が問題を「ダム操作」に限定して逃げ切りを図っていますが、これは、ダム管理事務所の職員を矢面に立たせて県と国交省は逃げを図る工作に過ぎません。

必要な説明から逃げ、安全性だけ流布した結果の産物

 ダムは、治水、利水などの用途、重力式、アーチ式、アースダムなどの形式を問わず、一部の流水ダム(穴あきダム)や砂防ダムを除き、堤体を越水すればダムは制御機能が失われるだけでなくダム崩壊を極めて高い確率で起こします。
 全面ダム崩壊を起こせばダム津波によって下流域は壊滅しますし、部分崩壊でも鉄砲水で下流域には甚大な打撃をもたらしますので、洪水がダムの限界を超える場合には、ダムは「但し書き操作」(異常洪水時防災操作のこと。特例操作や緊急放流とも呼ばれる)を行ない、そこにダムが存在しないのと等価の洪水を一挙に引き起こします。
 とくに肱川水系のようなタンデム配置のダムの場合、上流側のダムが崩壊すれば下流側のダムも連鎖崩壊してカスケードダム津波を起こしますので、ダム操作者は、有無を言わさず但し書き操作を行わねばなりません。
 下流域の避難を考慮するにしてもその時間調整は、精々十数分程度でしょう。

 これは、玄倉川水難事件や、飛騨川バス転落事故でも見られたことで、限界を超えたダムは、人為的に但し書き操作を遅らせることはほぼ不可能です。
 BWR(沸騰水型原子炉)と全く同じく、ダムにはこの点での受動安全性が欠けており、原子炉は破裂する前にベントによって内圧を下げますし、ダムは限界に達すれば但し書き操作によって一挙に流下流量をダムがない状態と同じにします。

 原子炉では、シビアアクシデントの制圧に失敗した場合、市民が逃げようと逃げざろうと、限界に達すればベントをして、放射能入りの蒸気を外界へ大量に放出せねば原子炉が破裂して破滅的な放射能漏洩を起こします。
 後者が福島第一2号炉で起きたことです。
 不幸中の幸いにも、合衆国の設計が優秀だったためにチェルノブイル核災害ほどには至りませんでしたが、福島核災害を世界最悪級の核災害にしたといえます。

 ダムの場合は、市民が逃げようと逃げざろうと、限界を超える前に「但し書き操作」に入り、調節機能を放棄しますが、それによって生ずる洪水は、ダム崩壊によるダム津波を下回ります。
 肱川水系では、これが生じた訳です。

 ダム防災と原子力防災は、その構造が極めて酷似していますので、対比して考えると双方の理解が進みます。

 ダムが限界を超え、ダム崩壊を起こさぬようダムを守ることが下流域の市民の命を守ることであって、それが、「但し書き操作」を行う倫理的基盤となっています。

 これが、ダムを守る=下流域の市民を守る=但し書き操作は市民を守るために行ったという論理です。

 このような説明が事前になされていれば、自治体や市民は長い年数をかけて対応することも出来ましょうが、日常的にダムがあれば安全安心という作為的なPA活動=ヒノマルダムPA(*)が行われた結果、自治体、市民ともにダム安全神話に幻惑され、ダム下流で洪水が起きるなど夢想だにしていなかった事実があります。
(*)PA=Public Acceptance=パブリックアクセプタンス:社会的受容
 原子力発電所、ダム、高速道路や、新ワクチンなどその事業が社会(多くは地域社会)に大きな影響を与える場合、事前に社会的合意を得ること。
 民主社会において重要な手続きである。
 しかし日本においては、PAと称して、詭弁、ごまかし、嘘、便宜供与、恫喝など、「嘘と札束と棍棒」によって市民を分断し、服従させる手法がまかり通っている。
 これは本来のPAを換骨奪胎した日本独自の異常なものである。
 筆者はこれらを(親方)ヒノマルPAとして本来のPAと区別している

 このダム安全神話を流布し、ヒノマルダムPAによって市民、流域自治体を欺してきた責任は100%、河川管理者と治水事業管掌者すなわち愛媛県と国土交通省にあります。
 また、ヒノマルダムPAに長年加担してきた学識者=田舎御用名士にも最大級の重責があります。

「野村ダム・鹿野川ダムの操作に関わる情報提供等に関する検証等の場」においても、”住民が高い自覚(意識?)を持って避難しなければならない”という意味合いの暴言が飛び出し、住民の怒りの火に油を注ぐことになりました。
 検証会では「情報の受け手、住民が、情報を生かせていない」(*)として、被害を住民と流域自治体に責任転嫁するものとなっています。
(*)野村ダム・鹿野川ダムの操作に関わる情報提供等に関する検証等の場(とりまとめ)抜粋(他多数資料に同じ表現がある)

 現場を矢面に立たせて裏で住民に責任転嫁、分断する手法は、福島核災害において大規模に行われている手法であって、ヒノマルPAの濫用とともに常套手段と言って良いでしょう。
。。。


ハーバー・ビジネス・オンライン、2019.04.05
ダム偏重政策が招いた「肱川大水害」
今こそダム建設継続より肱川の河道改修に全力を投じよ

(牧田寛)
https://hbol.jp/189521

 西日本を襲った歴史的な豪雨災害。
 2018年6月28日から7月8日にかけて西日本を中心に北海道や中部地方を含む全国的に広い範囲で記録された台風7号および梅雨前線等の影響による集中豪雨
 今回、被害が大きくなった大きな要因に「代々の自民党政権による人災がある」と一刀両断にするのは、河川政策の専門家で日本初の流域治水条例をつくった嘉田由紀子・前滋賀県知事
 倉敷市真備地区が堤防決壊で水没、死者50人の被害を出した原因についてこう話す。

「水没した真備地区はもともと、ハザードマップ(被害予測地図)で2〜5mの浸水が予想された危険区域でした。『これだけ危ないですよ』という具合に、浸水リスクを住民に十分に知らせ、避難を促すワークショップを開催するなど、避難行動を“自分ごと化”することができていなかったのでは。また、行政として最も防がないといけない堤防決壊への対策、堤防補強も不十分だったのではないでしょうか」

 ハザードマップが物語る浸水リスクを受け止めて対策を打たないといけなかったのだが、それが不十分であったというわけだ。
 諸悪の根源は、
「ダム建設を最優先にして堤防補強を後回しにしてきた、歴代自民党政権の河川政策にある」
と嘉田氏は指摘する。

「滋賀県知事になる頃から『矢板やコンクリートで周りを囲む、アーマーレビー工法で鎧型堤防にして補強すべき』と国に提案してきたのですが、歴代の自民党政権は『鎧型堤防は当てにならない。堤防補強よりもダム建設だ』と言ってきたのです。
 この河川政策が、今回の豪雨災害でも大きな被害をもたらしました。倉敷市真備地区では高梁川の支流の小田川などで堤防が決壊しています。本来は、この地区の堤防補強が最優先課題だったのです」

。。。

――なぜ歴代自民党政権は優先順位逆転の河川政策を止めず、堤防補強を後回しにしてきたのですか。

嘉田氏: ダム建設をめぐる政官業のトライアングル、自民党国会議員と国交官僚とゼネコンの癒着の産物です。
 ダム建設で儲かるゼネコン、献金を受ける自民党、そして巨額の予算を確保できる国交官僚の利害が一致、優先順位が逆転した河川政策が未だに続いているのです。
「ダムさえできれば、住民は枕を高くして寝ていれる」という“ダム安全神話”を国交省はばらまいてきたのです。
 その結果、限られた河川予算が有効に使われず、浸水危険区域の堤防補強が後回しになってしまった。
 今こそ、治水効果が限定的な不要不急のダム建設を凍結、緊急に進めるべき堤防補強予算を増やすべきです」

 ちなみに国交省の緊急点検で強化が必要と判定された約2200kmのうち、現段階で工事が終了したのは半分にも満たない。

 石井国交大臣こそ、堤防決壊で多数の死者を出した倉敷市真備地区の豪雨災害を直視、公明党が連立を組む歴代自民党政権が続けて来た河川政策を反省・謝罪した上で、方針転換をする責務があるはずだ。
 しかし実際には、国民の生命財産が脅かされている現状から目を背け、米国益実現となるカジノ実施法案の審議に6時間も張りついていたのだ。

 3年前にも同じ水害が起きていた。
 2015年9月10日に堤防が決壊、2人が死亡、30人が重軽傷を負った鬼怒川水害のことだ。
「10年に1回程度の大雨に耐えられない」と判断され、堤防強化が予定されていたものの、その工事を終える前に破堤してしまったのだ。

 代替策がなかったわけではない。
 堤防を安価で強化する方法はいくつかあるからだ。
 堤防の真ん中に「ソイルセメント(土とセメントが混じったもの)」を入れる工法や、真ん中に鋼矢板を入れる工法もある。
 そうすると、1m当たり50万〜100万円でできる。

 こうした方法を導入すれば、危ない堤防を安価で早く強化することができた。
 国民の生命財産を守ることからすれば、国交省は安価で迅速な堤防強化策を認めるべきなのに、その姿勢を改めようとしなかったのだ。

『ダムが国を滅ぼす』の著者で河川工学の専門家、今本博健・京都大学名誉教授もこう話す。

「ダム建設よりも堤防強化の方が重要であることを実証したのが鬼怒川の水害でした。早急にやるべき堤防強化の優先順位を低くして、ダムやスーパー堤防を優先したということです。国交省の弛みとしか言いようがない。長期間にわたって国交省の河川官僚が予算獲得できる巨大事業にこだわったためといえます」

 今本氏は、京都大学の土木の後輩である太田昭宏国交大臣(当時)にも助言しようとしたことがあった。

ダム偏重の河川行政に対する問題意識もなかった。太田大臣に『河川行政を改めてほしい』と思い、支持団体幹部を通じて面談を申し込んだが、拒否されました
(今本氏)

 2012年12月に第2次安倍政権が発足して以来、国交大臣は2代連続で公明党が独占している。
 初代が今本氏との面談を拒否した太田大臣(2012年12月〜2015年10月)、2代目がカジノ実施法案も担当する石井大臣(2015年10月〜現在)である。
 歴代自民党政権の河川政策を主に引き継いでいるのが公明党の大臣であり、国民の生命と財産をおろそかにいている現況を作っているといえる。


ハーバー・ビジネス・オンライン、2018.07.17
「西日本の豪雨災害は、代々の自民党政権による人災」
河川政策の専門家、嘉田由紀子・前滋賀県知事が指摘

(横田一)
https://hbol.jp/189521

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