2019年10月20日

カトリーヌ・ドヌーヴ「真実」

Les Parapluies de Cherbourg 〜 Soundtrack by Michel Legrand (1964)
https://www.youtube.com/watch?v=Br17Cb1_3oU

シェルブールの雨傘(ミシェル・ルグラン)
https://www.youtube.com/watch?v=Rq0yhizu0y8

Belle de Jour (1967)
https://www.youtube.com/watch?v=P5oqTzcpfZw

Les demoiselles de Rochefort - Chanson des jumelles (1967)
https://www.youtube.com/watch?v=qBc0CIFMzA0

「シェルブールの雨傘」
「昼顔」
「ロシュフォールの恋人たち」……
 映画史に名を刻むカトリーヌ・ドヌーヴ Catherine Deneuve (née le 22 octobre 1943) が、「万引き家族」でカンヌ国際映画祭最高賞を受賞した是枝裕和監督とタッグを組んだ。
 しかも、本人と同じ国民的大女優という役で!
 ドヌーヴの魅力に「完全にやられちゃいました」と言う是枝監督のインタビューをお届けする。

* * *

 その映画「真実」は、母と娘のこじれた関係に光を当てた物語。
 社会からはじき出された人びとでつながる疑似家族を描いた前作から一転、「前向きになれる明るい作品を目指した」と是枝監督。
 主演のドヌーヴや娘役のジュリエット・ビノシュ Juliette Binoche (née le 9 mars 1964) にインタビューし、彼女たちの生の言葉を脚本に生かしただけに、リアルな人間像にニヤリとさせられる楽しい作品となっている。
 是枝監督にとっては初の海外作品だ。

 映画は、国民的大女優ファビエンヌ(ドヌーヴ)がパリの自宅で新作映画のインタビューを受けているところから始まる。
 そこへ米国ニューヨークで脚本家をしている娘リュミール(ビノシュ)が、夫のハンク(イーサン・ホーク)と娘のシャルロット(クレモンティーヌ・グルニエ)を連れてやってくる。

 名目はファビエンヌの自伝本『真実』の出版をお祝いするためだったが、リュミールは事前に原稿を読ませてもらう約束をほごにされておかんむり。
 実際読んでみると、事実とはまったく異なる内容で……。

 プライドが高く自分勝手で毒舌、高飛車で平気でうそをつくファビエンヌ。
 娘に「この本のどこに“真実”があるのよ!」と言われても、「私は女優よ。本当の話なんてしない。それに事実なんて面白くないわよ」とうそぶいたり、主演が取れるようにと願掛けしてアルコールを断っているテレビ俳優のハンクに向かって「当分(主演は)こないから(飲んでも)平気よ」とワインを注ぎ入れたり。
 陰で共演女優をくさすのもお手の物。
 そんな嫌みで一癖も二癖もあるファビエンヌを演じるドヌーヴの魅力が全開だ。

 そもそも是枝監督にとってドヌーヴは、「オードリー・ヘプバーン Audrey Hepburn(1929 - 1993)やマリリン・モンロー Marilyn Monroe(1926 - 1962)のようなアイコン的存在。特別な存在ではあるけど、(起用するのに)現実味のない役者だった」と言う。だが、

「あれだけ意欲的にいろんな作品に出て、いろんな監督と組んでいる役者はいない。常に新作を見て新しいことに取り組む意欲を持っている。彼女を主役に考えたのは物語の役にぴったりだったことはありますが、どうせ海外で撮るなら一番遠い相手と組んでみようかなと思ったんです。そのほうがドキドキするのではないかと思いました」

 そう、作品のクリエーティビティーを上げるには「冒険すること」が必要なのだ。
 是枝監督は「ここのところ自分に飽きていた」と振り返る。

「僕は自分で脚本を書いて編集も演出もしているから、書ける人間が似てくる。そうすると、ストーリーも似るし世界観も似てくるんです。自分の描ける世界がどんどん見えてきてしまう。新しい出会いがあったほうがまた新鮮な気持ちで映画に向き合えます。今回は撮影はフランス、言葉も違う。役者もみな初めてで技術陣もみな『初めまして』だったので、すごく新鮮で楽しめました」

 実際、ドヌーヴとの撮影はドキドキどころかハラハラが日常茶飯事だった。

 多くのフランスの映画関係者が「ドヌーヴはすごい女優」と実力を認める一方、「撮るには覚悟がいる」と言った。
 毎日何かしら理由をつけて遅刻してくる。
 機嫌が悪いと顔に出る。
 セリフが言えない時のための予防線を張る……。

 マルチェロ・マストロヤンニの娘が亡くなり葬式に出た翌日の撮影にやってきた時は、

「『昨日お葬式で寝られなかったからお酒と睡眠薬を飲んじゃって、まだ頭がぼーっとしてセリフが全然入ってないの』と本当に消え入りそうな声で言うんです。事あるごとに『昨晩寝られなかったのよね』『風邪気味で午前中に病院へ行って点滴を打ってきたの』と必ずそういう言い訳から入って、『だから今日はできないかも』と前振りをするんです。それが可愛いんですけど(笑)。しかもうまくお芝居ができると子どものようにうれしそうで」

 遅刻をしてきてもデートのある日は、「今日は8時半にディナーの約束があるから8時に終わるわよね」と屈託なく主張する。しかも不思議なことに、「いつもセリフが入ってなくて10テイクくらい撮るのに、そういう時は1テイクでOKを出す」と是枝監督は笑う。

「基本、遅刻しても帳尻を合わせてくるんです。そこはさすがです。“神テイク”が必ずある。それで、『間に合ったわ、じゃあね〜』と喜々として帰っていく。スタッフと、これは毎日デートの約束を入れてもらったほうが現場はスムーズなんじゃないかと話していたくらい(笑)。そういうちゃっかりしたところがあるんですが、本能のままだから憎めない。結果的に、彼女が遅刻しようが何だろうが振り回されつつ、みんな受け入れざるをえないくらいファンになるんですよ。僕ももう完全にやられちゃいました」

 近寄り難い大女優──。
 そんなイメージが是枝監督のドヌーヴ話を聞いているうちにいい意味で崩れていく。
 身近な存在に思えてくる。
 でも、自己中なファビエンヌにはやはりドヌーヴ本人が入っているような気が……。

「ドヌーヴはファビエンヌよりももっともっとチャーミングですよ。すごく毒舌家で、そこは(樹木)希林さんとよく似ています。毒舌が芸になっている。すごく鋭くて辛辣(しんらつ)だけど、笑えるんです。悪口を言っている時はまぁ楽しそうですね(笑)」

 是枝監督のキャリアは20年以上。
 さすがに監督を振り回す俳優は子役くらいしかいないだけに、今回のドヌーヴとの出会いは最初の思惑通り、「新鮮な気持ちを取り戻せた」と言う。

「カトリーヌ・ドヌーヴという存在は僕をハラハラさせるには十分でした。これだけ主演女優に振り回されながらも自分が納得できる映画ができたし、ドヌーヴの魅力も引き出せたと思っています」

 それにしても、ドヌーヴほどのクセモノを料理してしまったら、次は一体どんな高みを目指すのだろうか。

「また別の役者とやる覚悟はありますけど、ドヌーヴを超える人は世界にいない気がしますね(笑)。でも、この映画を撮ったことで、撮れるものならハリウッドで1本撮ってみたい、という欲も出てきました。今後アジアの役者たちと国境を超えてコラボレーションしてみたいというアイデアも頭の中にあります」

※ 週刊朝日  2019年10月25日号


dot.asahi、2019.10.17 11:30
カトリーヌ・ドヌーヴの“神テイク”とは?
是枝監督が明かす

(聞き手/ライター・坂口さゆり)
https://dot.asahi.com/wa/2019101600070.html?page=3

Le nouveau film du Japonais Hirokazu Kore-eda, La Vérité (The Truth) avec Catherine Deneuve, Juliette Binoche et Ethan Hawke ouvrira, en compétition et en première mondiale, la 76e Mostra de Venise le 28 août, ont annoncé jeudi les organisateurs du festival. Heureux de cette bonne nouvelle, le réalisateur, palme d’or 2018 pour Une affaire de famille, a aussitôt réagi via un communiqué. ≪J’apprends avec une joie immense que mon nouveau film est sélectionné et fera l’ouverture de la compétition de la Mostra. Je suis extrêmement honoré≫, a-t-il expliqué.

Dans son message, Kore-eda a aussi précisé: ≪Nous avons tourné ce film en dix semaines l’automne dernier à Paris, le casting est prestigieux et le film est une petite histoire de famille dans une maison. J’ai essayé de faire vivre mes personnages dans ce petit univers, avec leurs mensonges, leur fierté, leurs regrets, leur tristesse, leur joie et de leurs réconciliations≫.

Catherine Deneuve et Juliette Binoche, une relation mère-fille

≪Pour son premier film tourné hors de son pays, Kore-eda a eu le privilège de pouvoir travailler avec deux stars du cinéma français, a déclaré le directeur de la Mostra Alberto Barbera. La rencontre entre l’univers personnel de l’auteur japonais le plus important du moment et deux actrices aussi aimées que Catherine Deneuve et Juliette Binoche a donné lieu à une réflexion poétique sur la relation mère-fille et le métier complexe d’actrice.≫

Souvent qualifié de cinéaste de la famille, Kore-eda a obtenu la consécration en 2018 en remportant la palme d’or à Cannes pour Une affaire de famille, son treizième long-métrage. Grand habitué du festival français, il y avait présenté Nobody knows en 2004, Tel père, tel fils (Like Father, Like Son) en 2013 (prix du Jury) et Notre petite sœur (Our Little Sister) en 2015. Il était en compétition à la 74e Mostra de Venise en 2017 avec The Third Murder.

La 76e édition du festival international de cinéma de Venise se tiendra du 28 août au 7 septembre. Le jury de la compétition principale est présidé par la réalisatrice argentine Lucrecia Martel avec, à ses côtés, huit personnalités issues du monde du cinéma et de la culture. Il remettra huit prix le 7 septembre, dont le célèbre Lion d’Or.


[VIDÉO]
Le nouveau film du réalisateur japonais, palme d’or en 2018 pour Une affaire de famille, ouvrira le 28 août la compétition du 76e festival cinématographique de Venise.

Le Figaro et AFP agence, Publié le 18 juillet 2019 à 23:4
La Vérité de Kore-eda, avec Catherine Deneuve et Juliette Binoche, inaugurera la Mostra 2019
https://www.lefigaro.fr/cinema/la-verite-de-kore-eda-avec-catherine-deneuve-et-juliette-binoche-inaugurera-la-mostra-2019-20190718

Catherine Deneuve : interview (15 mn • sept. 2019) pour les films "Fête de famille" et "La vérité".
https://www.youtube.com/watch?v=hJJkdVZPlpc

The Truth / La Vérité (2019) - Trailer (English Subs)
https://www.youtube.com/watch?v=EEVedePfqlY

公式サイト
https://gaga.ne.jp/shinjitsu/
https://gaga.ne.jp/shinjitsu/interview/

posted by fom_club at 18:24| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

菅原文太「絶対に戦争をしないこと」

「マガジン9」の更新日は毎週水曜日。だから、原稿はいつも火曜日に書く。でも、火曜日に仕事がある日は、月曜日になるべく下書きを作っておく。今回も、そのパターン。
 で、月曜日(2014年12月1日)、少し下調べをしようと思ってパソコンを開いたら、なんと、菅原文太さんの訃報。
 11月28日に亡くなっていたという。
 書こうと思っていたことが、一瞬で頭から飛び去ってしまった。

 文太さんは、ぼくらの青春の時代像の最も重要なおひとり。
 先日11月10日亡くなった高倉健さんとは違う意味で、揺れ動く時代を映し出した人だった。

 健さんがヤクザという様式美のカッコよさを体現したとすれば、文太さんは力でその様式を破壊しようとした。
 だから、健さんはあくまで日本刀で切り結び、文太さんは銃弾と血でカタをつける。
 健さんが「死んでもらいます」であれば、文太さんは「弾はまだ残っとるがよ」なのだ。

 ともあれ、ぼくらの青春のおふたりが、たった1ヶ月のうちに去ってしまった…。

 文太さんには、ぼくはことのほか思い入れがある。
 それには、つい最近の出来事も影響している。
 沖縄でのことだ。

 11月1日、いまからたった1ヶ月前、文太さんは沖縄にいた。
 沖縄県知事選での翁長雄志候補の応援のためだった。
 この日、那覇の野球場は1万3800人という人で溢れかえっていた。
 翁長候補支援の「うまんちゅ1万人大集会」だった。

 その大観衆の前で演説に立ったのが、文太さん。
 動画が残っている。ぜひご覧いただきたい。
 市民ネットTV局・デモクラTVの「沖縄タイムス・新沖縄通信」第11号(デモクラTVのアーカイブでいつでも視聴可)の約22分あたりに、その演説が収録されている。ぜひ、観てほしい。あまりのカッコよさに、震えがくる。

菅原文太氏のスペシャルゲストあいさつ
https://www.youtube.com/watch?v=8PFTMiaHXAc

 いまから考えると、これはまさに、文太さんの「遺言」だったと思う。
 壮絶な、鬼気迫る演説である。

 演台に現れた文太さんは、背広がややダブついているように見える。
 かなり病気が進行していた状況だったのだろうか…。
 それを考えただけで、文太さんの決意がしのばれる。
 胸が熱くなる。

 少しだけ、文太さんの演説を引用しよう。
沖縄の風土も、本土の風土も、海も山も空気も風も、すべて国家のものではありません。そこに住んでいる人たちのものです。
 辺野古もしかり。勝手に他国へ売り飛ばさないでくれ。
 そうは言っても、アメリカにも良心に篤い人々はいます。中国にもいる、韓国にもいる。その良心ある人々は、国は違っても同じ人間だ。みな、手を結び合おうよ

 他国を貶めることで“愛国心”を煽り、それを政権の求心力にするような安倍首相への痛烈な批判である。
 “国家”のためには“国民”の犠牲も厭わない。
 それが安倍政権のやり方だ。

 冗談じゃない、国民あってこその国家ではないか。

 文太さんが言いたかったのは、きっとそういうことだ。
 だからこそ、「いま最も危険な政府」と安倍政権を断罪したのだ。
 こうも言っている。
 政治の役割はふたつあります。ひとつは国民を飢えさせないこと、安全な食べ物を食べさせること。もうひとつは、これがもっとも大事です、絶対に戦争をしないこと

 安全な食べ物…。
 むろん、福島原発事故を念頭に置いての発言だろう。
 子どもたちに安全な食べ物を、という当たり前のことが果たして守られているか。
 福島は終わっていない。
 積極的に反原発の発言をし、運動にも加わってきた文太さんの想いだ。

 そして、沖縄はどうか。
 米軍基地の新設を“粛々と進める”などという安倍政権の姿勢に、戦争の臭いを嗅ぎ取った文太さんの、日本人全員へのメッセージが「絶対に戦争をしないこと」なのだ。

 文太さんはこの演説で、『仁義なき戦い』のセリフを引いて、ドキリとするような言葉を吐いた。
 仲井真さん、弾はまだ一発、残っとるがよ

 これは、最終的な闘いの宣言である。
 仲井真知事が「いま最も危険な政府」である安倍政権へひれ伏したことへの、怒りの戦闘宣言である。

 文太さんの言葉を受けて、沖縄の人たちはきっちりと投票でその意志を示した。
 翁長さんを、10万票もの大差で仲井真さんに圧勝させたのだ。
「残っていた弾」を、これ以上ない形で使ったのだ。

 選挙である。

 本土でも沖縄に負けないような結果を示さなければならない。
 ぼくは痛切にそう思う。
 ぼくらにも「弾はまだ、残っとるがよ…」

 沖縄では4つの選挙区で、地滑りのような勢いで闘いのスタイルが出来上がった。
 翁長新知事の「辺野古への米軍新基地建設絶対阻止」を国政レベルで支援しようという「オール沖縄」態勢の構築だ。

 自民党の4人の候補はすべて、前回選挙で「普天間飛行場の、最低でも県外移設」を公約に掲げた。
 その結果の当選だった。
 だが、この自民党議員たちの卑屈な場面を、沖縄県民は目にしてしまった。
 石破茂自民党幹事長の恫喝に屈した場面である。

 前回のこのコラムで書いたので詳しくは触れないが、それは沖縄県民に「現代の琉球処分」として、屈辱の思いを刻み込んだ“事件”だったのだ。

 沖縄はいつまで政府に足蹴にされ続けなければならないのか、沖縄県民に自分のことを決める権利はないのか…。

 沖縄県民がとなえ始めた「自己決定権の回復」が、今回の翁長さんの圧勝という結果に表れたのである。

 それを引き継いだのが、今回の衆院選での「オール沖縄」態勢だ。
 すなわち、次のような布陣である。

 沖縄一区 国場幸之助(自民)vs 赤嶺政賢(共産)    
 沖縄二区 宮崎政久(自民) vs 照屋寛徳(社民)
 沖縄三区 比嘉奈津美(自民)vs 玉城デニー(生活)
 沖縄四区 西銘恒三郎(自民)vs 仲里利信(保守系無所属)

 見事なものではないか。

 従来の保守革新の枠を軽々と飛び越えた。
 一区では先の県知事選で大敗した下地幹郎氏も出馬するなど、ほかの立候補者もいるけれど、まずは上に挙げた「自民vsオール沖縄共闘」の一騎打ちとみて間違いないようだ。

 この「沖縄方式」が、沖縄選挙区をとても分かりやすいものにしている。
「辺野古米軍新基地建設」をもっとも重要な争点に掲げて、反自民陣営は共闘体制を組んだのだ。

 ぼくは、この方式を編み出した沖縄県民の叡知に尊敬の念を抱く。

 政府が地方の苦しみに目をつぶるならば、自分たちの手に政治を取り戻す。
 最近、沖縄でよく耳にする「自己決定権」という言葉は、まさにその意味だ。
 そして言葉どおり、沖縄の人たちは自ら決定するための「沖縄方式」を編み出した。

 共産党は、全国のすべての小選挙区に候補者を擁立する方針だったが、ここ沖縄では一区以外は候補者を見送って「オール沖縄」に乗った。
 沖縄の共産党は中央とは一味違うということなのか。

 沖縄のように、重要な争点を設定して、それを反自民統一候補のスローガンにする、という方式は全国では不可能か?

 たとえば、鹿児島や福井、福島などでは原発問題を最重点課題に押し出す。
 火山と原発も議論の対象になるはずだ。
 北海道や農業生産地域ではTPP問題で統一戦線を組む。
 過疎化対策を前面に押し出す共闘があってもいい。
 被災地では放射能汚染物質の中間貯蔵施設問題を大きく取り上げる。
 米軍基地のあるところの騒音問題も共闘課題になるだろう。
 中小の製造企業の多い地区では、それこそ円安による不況(アベノミクスの失敗)を突けばいい。

 各地方・地域で、野党が最重要課題を論議してまとめ、それを基に統一候補を模索する。
 各地方には、その土地特有の重要問題が必ずあるのだから、そんな試みは不可能ではないはずだ。

 巨大与党に挑むには、沖縄のように争点をひとつに定めて「腹一分でも手を結ぶ」ことが必要だった。
 でなければ、組織票に乗る自民・公明の堅陣を破ることは難しい。

 ところが安倍は、アレもコレもソレも、みんなごった煮にぶち込んで争点隠しを図った。
 ことに「アベノミクスの成果を問う」などと、自分の手で国民生活を破壊しておきながら、あたかも経済問題を解決できるのは安倍政権以外にはない、という幻想にもならない絵に描いた餅を振り回して、国民の目を眩まそうとしている。

 だが、そんなものが争点か? 

 安倍の存在、つまり、文太さんの言うところの「いま最も危険な政府」こそが争点なのだと、ぼくは思う。

 アベノミクス、原発再稼働、集団的自衛権、秘密保護法、TPP、さらには壊憲…。ひとつひとつがキナ臭い。
 それらを一挙に持ち出してきたのが安倍“戦前への先祖返り政権”なのだ。

 ここで安倍政権を勝たせてしまえば、少なくともあと4年間は、これらキナ臭い政策の具体化を強行する時間を、安倍に与えてしまうことになる。
 それを阻止するためには、安倍の存在そのものを争点にしなければならない。

 それぞれの地方での野党共闘のための争点設定は、今からではもう間に合わない。
 ならば、安倍を問え!

 マスメディアは、個々の問題をそれなりの視点で分析してくれる。
 だが、分析すればするほど、安倍のキナ臭さが霞んでいく。

 安倍を問え!

 ぼくは、そう訴えたい。

 文太さんの妻・菅原文子さんのコメントには、こうある。
「落花は枝に還らず」と申しますが、小さな種を蒔いて去りました。ひとつは、先進諸国に比べて格段に生産量の少ない無農薬有機農業を広めること。もう一粒の種は、日本が再び戦争をしないという願いが立ち枯れ、荒野に戻ってしまわないよう、共に声を上げることでした。すでに祖霊の一人となった今も、生者とともにあって、これらを願い続けているだろうと思います。
 恩義ある方々に、何の別れも告げずに旅立ちましたことを、ここにお詫び申し上げます。

 長年連れ添った夫婦は、顔かたちから心まで似てくるものだというが、この文章の端麗な寂しさに、文太さんの想いがそのままに浮かぶ。

 文太さんの「遺言」を無にしてはならないと、強く思う。


マガジン9、2014年12月3日up
菅原文太さんの「遺言」と、沖縄方式」の叡知
鈴木耕「風塵便り」
http://www.magazine9.jp/article/hu-jin/16713/

(ヤッホーくん注)

 2014年1月の名護市長選(米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題に「断固反対」の稲嶺進が再選)を皮切りに、同市辺野古の新基地建設を許さない「オール沖縄」の流れと、県民を裏切った新基地押し付け勢力との対決となった約1年の政治決戦。
 その締めくくりとなった12月14日の総選挙は、11月の県知事選圧勝(「辺野古ノー」の翁長雄志知事が誕生)の流れを引き継ぎ、「オール沖縄」4氏が小選挙区で完勝するという最高の形で締めくくられました。
 新基地押し付けに対する、これ以上ない民意が示されると同時に、国政選挙における「一致点での共同」のあり方にも、大きな一石を投じました。


しんぶん赤旗、2014年12月16日(火)
「オール沖縄」完勝
新基地ノーの民意はっきり

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-12-16/2014121603_01_1.html

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posted by fom_club at 08:31| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする